レガシーシステムからの脱却はDX成功への近道?対処法も徹底解説!

2023.01.16
ラボ型・オフショア開発
中垣圭嗣
レガシーシステムからの脱却はDX成功への近道?対処法も徹底解説!
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こんにちは。Wakka Inc.のベトナムラボマネージャーの中垣です。
レガシーシステムからの脱却は、経済損失を防げるだけでなく、DX化への近道です。しかし、
「レガシーシステムがDX推進に与える影響を知りたい」
「レガシーシステムから脱却するには?」
こういった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、レガシーシステムの概要から、DX推進に与える影響やレガシーシステムを脱却するための対策までを詳しく解説いたします。効果的なDX推進にご興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

Wakka .IncではDXプロジェクトを検討している担当者の方に向けて、失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説している、DX進め方ガイドブックを無料で配布しています。ぜひご覧ください。

▼参考記事

目次

DXを妨げるレガシーシステムとは?

レガシーシステムとは、導入から時間が経過し、新しい技術が普及したことで古くなったITシステムを指します。
多くの企業が活用している、大型コンピューターの基幹システムを意味するケースもあります。一般的に時代遅れのシステムとも呼ばれており、

  • システムのブラックボックス化
  • 技術の老朽化
  • システムの複雑化

などの問題を抱えています。レガシーシステムは、プログラムを部分的に修正し、多くの機能を都度追加しているため、システムの全体像が複雑になり把握できないケースも多いです。
日本企業の8割がレガシーシステムを抱えているといわれており、DX推進が阻害され、経済損失を招く恐れもあり、深刻な問題といえるでしょう。

レガシーシステムと「2025年の崖」の関係

2025年の崖は、レガシーシステムを使い続けることにより、2025年以降に年間12兆円の経済損失が生じるという問題です。経済産業省のDXレポートで提唱されました。
参照:経済産業省『DXレポート

レガシーシステムにより、DXが阻害されたり、既存の基幹システムのサポート終了で維持管理費が高騰したりすることが2025年の崖に陥る大きな要因となっています。
レガシーシステムの刷新には多大な労力や時間を要しますが、技術的負債に適切に向き合うことで、企業活動を有利に進められます。
レガシーシステムからの脱却は、企業がデジタル競争社会で生き残るために避けては通れない問題でしょう。

レガシーシステムがDX推進に与える影響

レガシーシステムを使い続けることで、DX推進が阻害されたりセキュリティリスクが高まったりするなど、与える影響は小さくありません。
DXは、IT技術を活用した業務とビジネスモデルのデジタル化を目的としていますが、レガシーシステムにより推進を妨げられる可能性があります。
レガシーシステムに人員やコストなど多くのリソースを割かれ、新しいIT技術を導入する資金や人員を確保できないなど、DX推進スピードを阻害する一因となるのです。

システムのブラックボックス化により、新しいシステムに修正した際の影響が予測できなかったり、担当者不在によりデータ移行が困難になったりするケースもあるでしょう。
レガシーシステムを使い続けることで、DXが限定的になったり、進行が著しく遅れてしまったりする原因となります。DX推進に対応できなければ、今後のデジタル競争で勝ち残っていくことはできません。
さらにDX推進について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご覧ください。

レガシーシステムが生まれる原因

レガシーシステムが生まれる原因は、システムの老朽化だけではありません。複数の要素が重なり合い、レガシーシステムとなってしまいます。具体的には、次の要素が挙げられます。

  • 外部への依存度が高い
  • 技術、システムの定期的な入れ替え
  • 担当者の離職によるブラックボックス化

詳しく見ていきましょう。

外部への依存度が高い

自社システムの外部委託は、レガシーシステムを引き起こしてしまう要因のひとつです。外部委託はメリットが大きいものの、依存度が高いほど自社システムに精通した従業員が育ちにくいデメリットもあります。
自社システムに詳しい従業員がいなければ、新しいシステムへの切り替えのタイミングを掴めず、結果的にレガシーシステムが生み出される恐れがあります。
外部が自社システムに詳しい状況をベンダーロックインと呼びますが、問題が生じた際に自社では解決できないため、好ましい状態ではありません。
外部にシステム運用を丸投げせず、自社システムに精通した従業員を育成することが、レガシーシステムを防ぐ手立てになります。

技術・システムの定期的な入れ替え

技術やシステムの定期的な入れ替えもレガシーシステムを引き起こす原因です。長期的に特定のシステムを活用すれば、必要に応じて新しい技術が追加され、徐々にシステムが複雑化します。
複雑化したシステムでは、最新技術を追加する際にも支障が出たり、データ移行が困難になったりするかもしれません。
部門ごとにシステムがカスタマイズされていては、組織内で連携がうまく機能せず、企業全体でDXへの足枷にもなります。レガシーシステムを未然に防ぐためにも、企業全体でガバナンス*を効かせるなどの対策が必要でしょう。
※ガバナンス……健全な企業経営を行うために求められる管理体制の構築

担当者の離職によるブラックボックス化

レガシーシステムが生まれる大きな原因としてよく挙げられるのが、担当者の離職によるブラックボックス化です。
企業のシステムは独自の設計になっているケースが多く、ノウハウのある担当者が離職すればシステム更新などが途絶えてしまいます。
長年使っているシステムでは当時の開発言語でプログラムされていることも多く、対応できる人材がいないことから、結果的にレガシーシステムに陥ってしまうパターンもあります。
担当者の離職に備えて、ノウハウをマニュアル化し、引き継いでいく体制を整えておきましょう。

レガシーシステムの使用で生じるリスク

前述したとおり、レガシーシステムには、DX推進の阻害だけでなく、その他にも多くのリスクも含まれています。レガシーシステムの刷新は、今後の企業活動を有利に進めるためにも欠かせないといえるでしょう。
例として大きなリスクは、次の6つが挙げられます。

  • システムのパフォーマンスが低下する
  • システム障害リスクが高まる
  • IT人材の確保が難しい
  • ビジネス上の影響が大きい
  • システム維持費が高い
  • セキュリティのリスクが上がる

すべてレガシーシステムを刷新する大きな要因にもなるため、順番に見ていきましょう。

システムのパフォーマンスが低下する

ひとつ目のリスクは、システムのパフォーマンス低下につながることです。レガシーシステムは古く、複雑化しているため、データ処理に膨大な時間を要する可能性があります。
基本的に、一定量のデータ処理を行うバッチ処理は夜間に実施しますが、レガシーシステムでは始業時間まで処理がずれ込むケースもあります。
作業時間に影響が出ていては、非効率であり、従業員のモチベーションにも影響するかもしれません。

システム障害リスクが高まる

レガシーシステムを使い続ければ、システム障害リスクが高まります。古いシステムのままでは、要求される情報処理の量に対応できず、システム障害が発生しやすくなります。
ブラックボックス化したレガシーシステムでは、対応に時間を要したり、システム障害が重症化したりする恐れもあるでしょう。
またシステム障害による経済損失も見過ごせない問題であり、システム刷新の必要性は年々高まっています。

IT人材の確保が難しい

レガシーシステムを運用できるIT人材の確保が難しい点も注意しなければなりません。
レガシーシステムは、過去に開発された古いプログラミング言語で構築されているため、対応できるIT人材を探すのは簡単ではありません。
例えば、1950年代に開発された言語であるCOBOLは、現在でもアップデートされているものの、対応できるIT人材の多くは高齢です。
レガシーシステムに対応できる人材を見つけるより、システムそのものを刷新するほうが、長期的には業務の効率化やコスト削減に役立つ可能性が高いでしょう。

ビジネス上の影響が大きい

レガシーシステムを使い続けた場合、ビジネス上の影響は避けられません。
レガシーシステムでは、最新のシステム導入が難しいケースもあり、クライアントとの取引に支障をきたす恐れがあります。ITの進化は早く、企業に求められるシステムも変わり続けます。
クライアントの要求に対応し、ビジネス上のリスクを軽減するためにも、レガシーシステムの刷新は急務です。

システム維持費が高い

システム維持費が高い点も、レガシーシステムの大きなリスクのひとつです。
2025年の崖問題による年間12兆円の経済損失にも、高騰したシステムの維持費は含まれており、大きな問題として捉えられています。
レガシーシステムは古いシステムなので、メーカーの公式サポートが切れていることも多く、ベンダー企業に高額な保守代金を支払うことになります。
また、障害やトラブル時には復旧に時間がかかるケースもあるでしょう。復旧作業中は作業が停止し、ビジネス上の機会損失が生まれるリスクも問題視されています。

セキュリティのリスクが上がる

レガシーシステムのような古いシステムを使い続けることで、セキュリティ面のリスクが上がります。
前述のとおり、レガシーシステムはメーカーの公式サポートが切れているケースが多いことに加え、システムが複雑です。システム障害や、サイバー攻撃などが起こった際には、データ消失などのリスクも大きいでしょう。
DX推進により、今後さらに企業の扱うデータ量が増えれば、リスクに対する備えが今まで以上に求められ、レガシーシステムでは対処しきれない恐れがあります。

レガシーシステムを脱却するための対策

レガシーシステムを脱却するためには、システムの刷新や移行が必要になります。有効な手段としては、モダナイゼーションとマイグレーションがあります。
ここからは、モダナイゼーションとマイグレーションの違いや、具体的な手法と進め方を見ていきましょう。

モダナイゼーション

モダナイゼーションは、現代化や近代化という意味合いがあり、レガシーシステム脱却に有効です。
資産であるデータやプログラムを活かし、新しい製品や設計に置き換える手法であり、新しくシステムを開発せずコストを抑えられるメリットがあります。モダナイゼーションの具体的な手法としては次のとおりです。

名称概要
リプレース(リプレイス)既存の古くなったシステムを、新しいパッケージソフトに移し替える方法
リホストソフトウェアはそのまま利用し、プラットフォームとなるハードウェアのみ移し替える方法
リライト新しい機種やOS向けに、ITシステムの開発言語を刷新する方法

これらの手法を単体ではなく、複数組み合わせてモダナイゼーションに取り組むケースもあります。

マイグレーション

マイグレーションは、移転や移動などを意味し、データやシステムを新しい環境に移してレガシーシステムを脱却する手法です。
現行のシステム資産をそのまま活用するため、安全性やコスト抑制、開発期間の大幅な短縮が期待できます。具体的な手法は次の5つです。

名称概要
データマイグレーション異なる装置やソフトウェア、データ形式などで、データを移動させる方法
レガシーマイグレーションオフィスコンピューターなどの古い設計や仕様のシステムから、新しいシステムに置き換える方法
サーバーマイグレーションサーバーをクラウドなどへ移行する方法
クイックマイグレーションホストOSで稼働中の仮想マシンを一旦止め、別のホストに移動させる方法
ライブマイグレーションホストOSで稼働中の仮想マシンを停止せず、別のホストに移動させる方法

具体的にマイグレーションを進める手順は下記の通りです。

  • 現状分析
  • 開発
  • 移行やテスト
  • 運用

自社に適した手法で、レガシーシステム脱却を図りましょう。

レガシーシステムを脱却する過程で起こる変化

レガシーシステムを脱却する過程で、他社との関係性やその他の変化が生じる可能性もあります。具体的には次の変化が挙げられます。

  • ITベンダーとの関係性
  • クラウドサービスの活用が活発化
  • 他社との新たな協力関係

ITベンダーとの関係性

レガシーシステムを脱却する過程で、ITベンダーとの関係性に変化が現れるでしょう。
レガシーシステムからの脱却には、知見のあるITベンダーの協力が欠かせず、パートナー関係に発展することもあります。
例えば、IT人材の育成にベンダー企業が携わり、DX推進に貢献するのも考えられるケースです。さらに、合同でビジネスを立ち上げることもあるでしょう。
長期的に企業活動を有利に進めるため、信頼できるITベンダーとの関係づくりにも注力していきましょう。

クラウドサービスの活用が活発化

レガシーシステムから脱却するプロセスでは、クラウドサービスを活用する機会が増えます。
レガシーシステムの膨大な維持コストの改善には、クラウド化が有効なアクションプランのひとつだからです。
現在では、データ管理やメール、その他多くのクラウドサービスが展開されています。既存のクラウドサービスに置き換えるだけでも、コスト削減が可能です。

他社との新たな協力関係

他社との新たな協力関係が生まれるのも、レガシーシステムから脱却する自然な流れです。日本企業の多くがレガシーシステムを抱えており、脱却やDX化を進めています。
その過程で、共通のデジタルプラットフォームも誕生し、各社が協力して投資を進めることもあるでしょう。開発を他社と協力することで、大幅なコストダウンも見込めます。

レガシーシステムから脱却してDXを進めよう!

今回はレガシーシステムが生まれる原因や使い続けるリスク、対策まで解説しました。多くの日本企業がレガシーシステムを抱えており、今後高騰する維持費によって多くの損失を被る可能性があります。
しかし、レガシーシステムを脱却してDXを進めれば、業務の生産性向上につながり、ビジネスにおいて競争優位性を高められます。ビジネスのデジタル化が加速する昨今において、DX化に乗り遅れないようにしましょう。

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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