DXとAIの関係性とは?DXとAIの違いや活用事例を紹介

2023.11.06
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
DXとAIの関係性とは?DXとAIの違いや活用事例を紹介
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

昨今は業務の効率化や事業の発展を目指し、DXに取り組む企業が増えています。
同時に、さまざまなIT技術が注目を集めるようになりました。
とりわけDXのなかで、AIはChatGPTや画像生成AIの普及もあって、世界的に話題を呼んでいます。

しかし、DXもAIもまだ日本に完全に浸透していません。
そのため、「DXとAIにはどのような関係性があるのか」「DXとAIの違いは何か」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

本記事ではDXとAIの関係性に着目し、両者の意味や違いなどについて解説します。

DXとAIの関係性やそれぞれの意味を知れば、業務への取り入れ方やそのヒントが見えてきます。
ぜひ本記事を参考にしてみてください。

目次

DXとAIの違い

まずはDXとAIの違いについて解説します。

DXとは

経済産業省が示すDXの定義は以下の通りです。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や
社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務その
ものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

引用:「DX 推進指標」とそのガイダンス|経済産業省

つまりDXとは、IT技術・デジタル技術を取り入れて組織全体を変革し、新たな価値観の創出や競争力の向上を目指す取り組みです。

近年ではIT技術の発展により、DXに活用できるシステムやツールが増えています。
それらを活用して組織全体の変革に成功した企業も増加傾向にあります。

一方で、レガシーシステムが足かせとなり、DXを推進できていない企業も多く存在します。
そのため、今後も国全体を挙げたDXへの取り組みは継続されるでしょう。

AIとは

AIは「Artificial Intelligence」の略称であり、日本語では「人工知能」と訳されます。
AIの定義は専門家の間でも異なりますが、総務省は以下のように定義しています。

「AI」とは、人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じる情報処理・技術

引用:令和元年版情報通信白書総務省

AIの研究は1900年代の半ばから盛んに行われており、現代ではさまざまなデバイスに投入され、以前より身近な存在となりました。
ビジネスの分野においても、新たな価値を生み出すツールとして積極的に活用されています。

DXとAIの関係性

DXとAIの関係性は明確です。
DXはデジタル化やデータ活用によって変革を目指す取り組みであるのに対し、AIはあくまでもDXを実現するための手段です

そのため、AIの導入が必ずしもDXの達成を意味するとは限りません
DXの手段は多種多様であり、AI以外にもIoT・ICTや、管理システムの導入などが考えられます。

AIはあくまでもDXのための手段であり、DXにおいて必須ではないという点に注意しましょう。

AIを活用した4つのDX戦略

AIを用いた戦略には、以下のようなものがあります。

  • 戦略1.AIによるビッグデータの分析
  • 戦略2.AIを活用したロボットシステムの構築
  • 戦略3.AIを使った計測
  • 戦略4.AIチャットボットの実装

AIの活用は、ビジネスの可能性を広げるきっかけになります
それぞれの戦略について、順番に解説します。

戦略1.AIによるビッグデータの分析

ビッグデータの分析において、AIは欠かせないツールです。
そもそもビッグデータとは、人間では処理できないほどの膨大なデータ群を意味します。

従来のツールでは管理しきれないほど膨大であり、そのデータ群を活用する手段として注目されているのがAIです。
AIのディープラーニングや機械学習を活用すれば、膨大なビッグデータを効率的に分析できます。

分析したデータからは、マーケティングや経営戦略などに役立つ知見を得られます。

戦略2.AIを活用したロボットシステムの構築

AIは製造業で使われるロボットにも応用できます。

AIを活用したロボットシステムは多くの企業で実際に導入されており、さまざまな製造工程のオートメーション化に成功してきました。
AIを搭載したロボットシステムは、従来の産業用ロボットよりも環境や状況の判断能力に優れており、複雑な判断も可能です。

加えてAIシミュレータを活用すれば、ロボットのプログラムを作成する時間を短縮できます。

戦略3.AIを使った計測

AIを活用すれば、さまざまな計測がスムーズに実行できます。

例えば特定のエリアや店舗への訪問者数・混雑状況や、原料の強度や成分量の計測など、AIによる計測が役立つ場面は多々あります。
そもそもAIの情報識別能力は人間よりも優れているため、必要な情報を自動で検知し、スピーディーな計測が可能です。

そのため、AIによる計測はさまざまな分野で使われており、医療や学術的な研究の現場でも積極的に用いられています。

戦略4.AIチャットボットの実装

ChatGPTなどのAIは、質問を入力するだけで自動的に文脈に沿った回答ができます。
そのため、昨今は顧客の質問に対して自動で回答するAIチャットボットを実装する企業が増えてきました。

AIチャットボットは顧客からの質問に自動で応答してくれるため、顧客対応にかかる業務負担の削減が可能です。
また、AIなら24時間いつでも対応できるため、顧客満足度の向上にもつながります。

なお、AIチャットボットに集まった質問や要望は、そのままAIの分析にかけられます。
顧客からの質問や要望はVOC(顧客の声)であり、業務の改善や新規事業の立案に欠かせない情報です。
つまりAIチャットボットはただ業務を効率化するだけでなく、新たなビジネスチャンスを掴むきっかけにもなります。

AIによるDXを成功させる3つのポイント

AIによるDXを実施する場合、押さえておきたいポイントが3つあります。
ポイントはそれぞれ以下の通りです。

  • AIを活用するビジョンを持つ
  • 体制の整備や人材の確保を徹底する
  • AIの役割を明確にする

AIは優れたツールですが、適切な運用があってこそ初めて効果を発揮します。
AIを用いたDXを成功させるうえでも、それぞれのポイントを把握しておきましょう。

AIを活用するビジョンを持つ

AIを導入するなら、どのように活用するのか明確なビジョンを持つ必要があります。
AIの用途は多種多様であり、ビジョンを絞り込まなければ成果が上がりません。

そのため、あらかじめ解決したい課題や、効率化したい業務などをイメージしましょう。
具体的なビジョンを持てれば、投入すべきAIの種類や運用方法が明確になります。

体制の整備や人材の確保を徹底する

AIを導入するなら、適切な運用を行う体制の整備や人材の確保は欠かせません。
昨今は、以前よりAIを導入するハードルこそ低くなりましたが、やはりAIを運用するうえで専門的な知識は必要です。

とりわけ部署を横断する形でAIを導入する際は、運用体制の構築やトラブルへの対応が整備されていなければ、アクシデントが発生する度に業務が停滞する恐れがあります。
万が一の事態に備えるうえでも、AIを管理・メンテナンスできる人材を社内に配置し、スムーズに対応ができる体制を構築しましょう。

もし社内でAIに対応できる人材がおらず、体制作りが難しい場合は、外部に委託する方法もおすすめです。
ただし、委託先に任せっきりにすると、社内にノウハウが蓄積せず対応できる人材が育たなくなります。

いずれはAIの運用を社内に戻す場合は、人材の育成も並行して行うと良いでしょう。

AIの役割を明確にする

AIを導入するなら、役割の明確化も重要です。
AIはさまざまな業務に対応できますが、必ずしも万能ではありません。

例えばChatGPTなどの対話型AIは、質問に対し誤った事実を回答するハルシネーションを起こすリスクを抱えています。

そのため、AIを運用する際は、人間による確認作業を追加することが大切です。
人間とAI、それぞれに適切な業務を振り分けることで、業務を効率化しつつ成果物の品質を担保できます。

AIを活用したDXの事例

DXの過程でAIを導入した企業は多数存在します。
本記事では以下4つの事例を紹介します。

  • 有限会社舟形マッシュルーム:AIによるビッグデータの分析
  • 株式会社ブリッジ・ソリューション:AIを活用したロボットシステムの構築
  • 株式会社中野建設:AIによる検知作業の実行
  • 三菱電機株式会社:FA機器やエッジコンピューティングにAI技術を搭載

いずれの企業も独自の手法でAIを取り入れ、さまざまな成果を挙げています。
ぜひ、実際に導入する際の参考にしてみてください。

有限会社舟形マッシュルーム:AIによるビッグデータの分析

マッシュルームの生産販売を手がける舟形マッシュルームは、「つくる力」と「とどける力」に磨きをかけるため、AIを活用したDXを実施しました。

舟形マッシュルームはAIによるビッグデータの分析を通じて、最適な栽培条件を特定しました
この戦略を通じ、マッシュルームの品質向上や生産量の増大に加え、栽培作業の標準化を実現しています。

また、舟形マッシュルームはハウス栽培の自動化にも着手しており、ベテランのスキルに依存しない栽培体制の構築に成功しています。

参照:DXセレクション2023|経済産業省

株式会社ブリッジ・ソリューション:AIを活用したロボットシステムの構築

ロボットシステムの開発と提供を行うブリッジ・ソリューションは、AIを導入したロボットシステムの開発に着手している企業です。
ブリッジ・ソリューションは人材不足に悩む中小企業のために、AIとロボットシステムの融合を通じ、製造現場の自動化に貢献しています。

加えて、社内でのDXにおいてはデジタル人材の育成に力を注いでおり、さまざまなスキルを持つ人材が切磋琢磨し合える環境を構築しています。

参照:DXセレクション2023|経済産業省

株式会社中野建設:AIによる検知作業を実行

中野建設は100年以上の歴史を持つ老舗の建築会社でありながら、DX化にも積極的な企業です。
中野建設は生産開発工程でのICTの全面活用に取り組んでおり、AIをはじめとするさまざまな先端技術を導入しています。

中野建設はAIを鉄筋検測や構造物の変状計測に導入し、煩雑な作業の円滑化に成功しました。
今後は、VRやARを利用した顧客へのプレゼン、施工機械の無人化・自立化による24時間施工など革新的な取り組みを実行していくようです。

参照:DXセレクション2023|経済産業省

三菱電機株式会社:FA機器やエッジコンピューティングにAI技術を搭載

三菱電機株式会社は工場内の生産情報とITを連携させる「e-F@ctory」を推しています。
e-F@ctoryの実現において、三菱電機株式会社は基本技術を開発するだけでなく、自社工場での実証を通じて課題を洗い出し、その改善に取り組みました。

その結果、現在ではe-F@ctoryを、製品として提供するほどにまで発展しています。
さらにAIのビッグデータ分析やディープラーニングを組み合わせ、さらなる進化を目指しています。

参照:製造業DX取組事例集|経済産業省

DX化でAIを導入する際の注意点

DX化において、AIは有効的な手段の1つです。
しかし、AIを導入する際には以下の点に注意しなければなりません。

  • 「AIの導入=DX」ではない
  • AIシステムの構築には膨大なデータが必要
  • 個人情報保護やセキュリティ対策を万全にする

それぞれの注意点をあらかじめ知っておけば、AIの導入で失敗するリスクを避けられます。

「AIの導入=DX」ではない

AIはDX化に役立つツールですが、あくまでツールに過ぎません。
DXの本質はただデジタル化を進めるのではなく、導入したツールやシステムを適切に運用できる組織体制の構築を含めた、企業全体の変革にあります。

明確な自社戦略と中長期的なPCDAを回し、初めてDXは成功するものです。
AIの導入をDXの目的とするのではなく、その後の変革に目を向けDX戦略を立案することが重要です。

AIシステムの構築には膨大なデータが必要

AIシステムを自社で開発する際、その構築には膨大なデータが必要です。
AIシステムを構築する際には、膨大なデータを確保し、効率的に学習させる準備を整えましょう。

万が一データ量が少ないと、アウトプットの精度が下がり、想定していた成果を得られない恐れがあります。
また、偏ったデータばかり学習させるとAIの合理性が低下するリスクが高まります。

AIを学習させる際は、量だけでなく質にもこだわってデータを確保しましょう。

個人情報保護やセキュリティ対策を万全にする

AIは、個人情報を読み込ませて分析したり、取り込んだ情報を基にレコメンドや広告を打ち出したりなど、ユーザーの個人情報に触れる機会が多いです。
不正アクセスやソフトウェアの欠陥によって、AIが扱う個人情報や社外秘の機密が流出するリスクは無視できません。

万が一、個人情報が流出する事態に陥れば、企業の信頼が大きく損なわれる恐れがあります。
そのため、AIを導入する際は個人情報保護やセキュリティ対策を万全にしましょう。

また、社内で個人情報を扱うルールを既定したり、AIを扱う従業員へのセキュリティに関するノウハウのレクチャーも、有効的な対策です。

DXにおけるAIを正しく理解しよう

DXにおいて、AIはあくまで1つのツールに過ぎません。
しかしAIを適切に活用すればビッグデータの分析や高精度なチャットボットの開発など、DXを促進させるさまざまな取り組みを実現できます。

もしAIを活用したDXを目指すなら、注意点を踏まえつつ、さまざまな企業の活用事例を参照しましょう。
適切なプロセスで実行すれば、DX化が成功する確率は格段に高まります。

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