ラボ型開発とは?メリット・デメリットから費用・成功事例まで徹底解説


こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
ラボ型開発は、近年注目されている開発手法の一つです。
開発コストを抑制できる上に、不足しているリソースを拡充できるため、ラボ型開発は多くの企業で実践されています。
しかし、「ラボ型開発と他の開発手法との違いが分からない」「わざわざ実践するメリットがあるのか」と感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ラボ型開発を実施するメリットや注意点について解説します。
アジャイル開発との関連性・SESとの違いなどについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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ラボ型開発とは

ラボ型開発とは、社外に開発チームを構築し、業務を委託することで開発を進める手法です。
別の業者に開発を委託し、チームを構築することで、自社にないリソースを利用して開発できる点がラボ型開発のメリットです。
また、ラボ型開発なら固定したメンバーのチームを確保できるため、安定的に開発を続けられます。
ラボ型開発の「ラボ」とは開発チームを指しており、半年から1年と長期的に開発チームを所有する点が特徴です。つまり、ラボ型開発はただ案件を発注するのではなく、一定期間自社専属の開発チームを構築することも目的としている開発形態といえます。
構築した開発チームは、契約期間内であれば自社のチームのように運用できるため、さまざまな開発プロジェクトに役立てられます。
このように、ラボ型開発はただ開発をスムーズにするだけでなく、自社のリソースを増強する効果も期待できる手法です。
ラボ型開発の契約形態

ラボ型開発は外部に開発業務を委託しますが、その際の契約は契約期間中に依頼した業務の実施を求める「準委任契約」に該当します。
そのため、契約書に記載していない限り、成果物の提出や仕事の完成を求めるものではありません。
基本的に開発業務を委託する業務委託契約は3種類あり、それぞれ以下のような特徴があります。
| 準委任契約 | 成果物は求めず、受注側が人員を提供して依頼された業務を遂行する |
|---|---|
| 請負契約 | 受注側が人員の提供に加えて、成果物を提供する |
| ラボ契約 | 受注側が発注側のオフィスに人員を提供し、業務を遂行する |
上記の内、ラボ契約は準委任契約の一種ですが、出向のように人員を発注側のオフィスに提供する点で異なります。
ラボ型開発と他手法との違い

ラボ型開発と請負型開発・SES(常駐型開発)は、似た開発手法ですが、それぞれに明確な違いがあります。
ラボ型開発の理解を深める上で、請負型開発とSESとの違いを知ることは重要なため、しっかりと把握しておきましょう。
本章では、ラボ型開発と請負型開発・SESとの違いを解説します。
ラボ型開発と請負型開発の違い
請負型開発とラボ型開発は似ていますが、目的や契約形態が違います。
請負型開発はシステム開発やアプリ開発を依頼し、納品までを依頼する契約形態です。
つまり、プロジェクトの完了がゴールに設定されています。プロジェクトの完了が目的であるため、請負型開発は短期間で契約を締結するパターンがほとんどです。
また、請負型開発の「請負契約」に該当するため、ラボ型開発と違い、成果物の提出や仕事の完了を求められます。
請負型開発はラボ型開発と並んでオフショア開発で多用される開発形態です。
単発の案件のみを発注したい企業に適しています。
ラボ型開発とSES(常駐型開発)の違い
ラボ型開発と似た開発手法にSES(常駐型開発)がありますが、両者には明確な違いがあります。
SESもラボ型開発と同様に準委任契約を締結する手法ですが、受注側がエンジニアを発注側に派遣する点が特徴です。
つまり、SESは発注者側の拠点に人材を送り込むことを念頭に置いた手法です。
また、ラボ型開発は特定の技術が必要になる作業を委託するケースが多いのに対し、SESはプロジェクト全体を委託する点が異なります。
そのため、大規模な開発プロジェクトを実施する際に多用される傾向があります。
国内ラボ型開発と海外ラボ型開発の違い

なお、ラボ型開発には、国内企業に委託する「国内ラボ型開発」と海外の企業に委託する「海外ラボ型開発」の2種類があります。
国内ラボ型とは、その名の通り国内の企業に開発業務を委託する手法です。
同じ日本人同士で開発を進められるため、コミュニケーションが円滑にできます。
一方の海外ラボ型開発は、海外の企業に開発業務を委託します。
近年は開発コストを削減できることから、オフショア開発の一環として、多くの企業が海外ラボ型開発を実践するようになりました。
なお、海外ラボ型開発はオフショア開発やニアショア開発に近い印象があります。
オフショア開発とは、海外に開発を委託する手法です。
しかし、海外ラボ型開発はあくまで準委任契約を締結したものを指しますが、オフショア開発やニアショア開発では請負契約など別の契約形態を使用する場合があります。
そのため、オフショア開発・ニアショア開発の一環でラボ型開発を行うケースこそありますが、厳密には両者は同一ではありません。
対してニアショア開発は、国内の遠隔地に開発を委託する手法です。
例えば本社が東京にある企業の場合、北海道や九州の企業に開発を委託することがニアショア開発に該当します。
ニアショア開発もさまざまな契約形態で実施されるため、ラボ型開発のように準委任契約に限定されません。
ラボ型開発の5つのメリット

ラボ型開発を実践するメリットは、以下の通りです。
- 開発コストを抑制できる
- 優れたエンジニアを一定期間確保できる
- 柔軟な仕様変更・修正ができる
- 開発に関わるノウハウが蓄積されやすい
- スムーズにコミュニケーションがとれる
あらかじめメリットを把握しておけば、ラボ型開発を選択する意義の理解が深まります。
それぞれ順番に解説します。
開発コストを抑制できる
海外ラボ型開発は、委託先企業を上手に選ぶことで、開発コストを抑えられる可能性がある手法です。
加えてラボ型開発は長期的な契約を締結するため、受注側も開発予算の管理やツールの調達の効率化が可能です。
また、ラボ型開発は請負型開発のように仕様変更に伴う追加費用が発生しません。
そのため、プロジェクトの方針を変更する事態になっても、開発コストの増加に対する心配は無用です。
開発コストを抑制できれば、収益の向上につながるだけでなく、コストの増大によるリソース不足でプロジェクトを中断せざるを得ないリスクを回避できます。
優れたエンジニアを一定期間確保できる
ラボ型開発は、優れたエンジニアを一定期間確保できる点もメリットです。
契約期間内であれば、委託先のエンジニアを自社の専属にできるため、自社の従業員のように運用できます。
契約期間中は継続的に案件を任せられる上に、請負型開発と違い、特定のエンジニアに絞った委託も可能です。
自社にないノウハウを持つ人材に開発を委託できるなど、ラボ型開発は不足しているリソースを補いたいときにも役立ちます。
そのため、新規開発にも応用が可能です。
柔軟な仕様変更・修正ができる
ラボ型開発は、仕様変更・修正に柔軟に対応できます。
請負型開発では、案件ごとに開発を発注するため、仕様変更や修正の際には再度見積もりをとる手間が発生します。
一方、ラボ型開発は成果物の提出がゴールではないため、仕様変更や修正時にあらためて見積もりをとる必要がありません。
加えて、ラボ型開発を請け負う企業の多くは、仕様変更や修正を前提にして委託を受けています。
そのため、仕様や要件が曖昧な状態でも開発を委託しやすく、相手の開発チームとコミュニケーションを取りながらシステムを具体化していく作業も可能です。
システム開発のノウハウが不足している企業にとっても、ラボ型開発は実践しやすい手法です。
開発に関わるノウハウが蓄積されやすい
ラボ型開発は自社専属の開発チームを社外に構築できる上、メンバーの固定もできます。
そのため、開発に関わるノウハウを蓄積させられます。
開発を委託するごとにノウハウが蓄積されていけば、それだけスピーディーに作業を進められるようになり、さらなるコストの削減が可能です。
加えて、蓄積した開発ノウハウは将来的に自社で開発する際に役立てられるなど、長期的なメリットも期待できます。
スムーズにコミュニケーションがとれる
ラボ型開発は固定されたメンバーで開発チームを構成できるため、スムーズにコミュニケーションがとれる点もメリットです。
特に、長期的に開発を任せているチームなら、経験値が増えるだけでなく、信頼関係も深まります。
円滑にコミュニケーションがとれるような関係性を構築すれば、スピーディーな開発やノウハウの共有もできます。
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ラボ型開発のデメリット・注意点

ラボ型開発は多くのメリットがある開発手法ですが、注意点がないわけではありません。
ラボ型開発を検討する際は、注意点を確認した上で、十分な成果が挙げられることを確認しましょう。
チームビルディングに時間とコストがかかる
ラボ型開発では、プロジェクトに合わせてメンバーを選定します。
そのため、チームの構築には一定以上の時間がかかります。
プロジェクトの状態によっては、チームメンバーを入れ替えるケースもあります。
チームメンバーの入れ替えは、適した人材選びに時間がかかるため、気をつけましょう。
案件数の継続確保が必要
ラボ型開発においては、発注する案件がなくてもコストが発生する点がデメリットです。
ラボ型開発は作業要員と期間で専属チームを契約するため、継続的に案件を確保できない場合にコスト高になる可能性があります。
案件数の課題を解決するには、ラボ型開発の契約を締結する前に、発注する案件を明確にしておきましょう。
文化や言語の違いによるコミュニケーション課題
海外でラボ型開発を進める場合は、文化や言語の違いからコミュニケーションが不十分になるケースがあります。
文化や言語の違いを乗り越えるには、現地の通訳を利用するのが有効です。
コミュニケーションが充実化されることで、開発を円滑に進められるため、積極的に利用してください。
成果の責任範囲が曖昧になりやすい
ラボ型開発は作業要員数と期間という体制に対する契約です。
そのため、成果物の品質に関する責任範囲が曖昧になりやすい傾向にあります。
また、ラボ型開発では、発注者側がタスク設計や進捗管理の主体となるのもデメリットです。
ラボ型開発の契約範囲は「業務遂行」という点も考慮しましょう。
ラボ型開発と相性の良い案件

ラボ型開発でより高い効果を得るなら、相性の良い案件を選びましょう。
具体的には、以下のようなものがあります。
- 定期的な発注が見込まれる案件
- 既存のWebサービスやアプリの運用・改修
- 仕様変更が想定される案件
いずれの案件も、ラボ型開発のメリットを最大限活用できます。
以下を参考に、ラボ型開発が自社の案件と相性が良いかをチェックしましょう。
定期的な発注が見込まれる案件
ラボ型開発は契約期間内であれば、何度も開発を発注できる上に、見積もり調整をする必要がありません。
そのため、定期的な発注が見込まれる案件に適しています。
人材が不足しているのに、案件が定期的に発生するような状況の企業にとって、ラボ型開発は有効な手法です。
何度も開発を依頼すれば、それだけノウハウが蓄積されるため、開発スピードを早めるきっかけになることも。
既存のWebサービスやアプリの運用・改修
既存のWebサービスやアプリの運用・改修にも、ラボ型開発は役立ちます。
Webサービスやアプリは日々稼働しているだけでも、アップデートやバグの修正など、さまざまな業務が発生するものです。
そのため、運用・改修が多発すると業務負担が大きくなる恐れがあります。
ラボ型開発でWebサービスやアプリの運用・改修を委託すれば、業務負担の軽減につながります。
場合によっては、運用・改修にかかるコストの削減可能です。
仕様変更が想定される案件
要件が曖昧だったり、ユーザーからのフィードバックによる影響を受けたりするような、仕様変更が想定される案件にも、ラボ型開発は適しています。
ラボ型開発は開発期間内であれば、再見積もりをしなくとも仕様変更や修正を依頼できます。
加えて、仕様変更に際して追加費用が発生しないため、コストを抑えやすい点もメリットです。
通常、仕様変更は工数を増やすため、開発を遅滞させる恐れがあるものです。
しかし、何度も開発を委託し、ノウハウが蓄積されたチームであれば、仕様変更もスピーディーかつ柔軟にこなせます。
ラボ型開発と相性の良い開発手法

ラボ型開発と相性が良い開発手法には以下のようなものがあります。
- アジャイル開発
- MVP開発
本章では、それぞれの開発手法について解説するので、ぜひ参考にしてください。
アジャイル開発
ラボ型開発はアジャイル開発にも対応できる点が特徴です。
アジャイル開発とは、工程を最小単位に分け、複数のチームでそれぞれの工程をスピーディーに開発を進める手法です。
短時間かつ低コストで開発を進められるため、近年多くの企業が実践しています。
また、アジャイル開発は工程を最小単位で分ける上に、開発の過程で改修や軌道修正も発生する可能性があります。
そのため、軌道修正に対応しやすいラボ型開発と組み合わせられます。
MVP開発
アジャイル開発と同様に、MVP開発もラボ型開発と好相性です。
MVP開発は必要最小限の機能を搭載したシステムやプロダクトをリリースし、フィードバックを得ながら改善していく手法です。
ユーザーからの意見を取り入れながら改善を進めるため、マーケットのニーズにマッチしたシステムやプロダクトを実現できます。
最小限の機能でリリースするため、フィードバックによって機能を追加したり、大幅な改修が発生したりします。
柔軟な仕様変更に対応できるラボ型開発を活用すれば、よりスムーズな開発や改修が可能です。
ラボ型開発導入の流れ

ラボ型開発の依頼を検討する際に、ラボ型開発の流れを把握しておくことが大切です。
どのタイミングで・何が・どう動くのかのイメージングがスムーズになり、進捗管理などにも役立ちます。
1.目的と体制の定義
ラボ型開発は、ノウハウの蓄積・品質向上・コスト削減などを目的とした開発手法です。
ラボ型開発のメリットを活用するためには、ラボ型開発の目的と自社の目的が合致しているかを検討しましょう。
また、ラボ型開発は発注者側がタスク設計や進捗管理などを担うため、どのような人材が適しているのか、どういった体制で対応にあたるのかを検討します。
2.開発拠点・パートナー選定
国内と海外のどちらに開発拠点を置くのかといった観点も含めてパートナーを選定する工程です。
パートナーを選ぶときは、どのような実績があるのか・どのようなスキル保持者が在籍しているのかなど、多角的な観点から検討を進めます。
3.契約形態の決定
ラボ型開発においては、作業要員数と期間に基づいて契約するのが主流です。
そのため、成果物が低品質だった場合や未完成の場合でもコストが発生します。
しかし、中には成果物の質を保証する「瑕疵担保責任」や成果物の完成を保証する「完成保証」といったものを契約書に盛り込める場合があります。
成果物の質や完成に関して不安を感じたときは、瑕疵担保責任や完成保証の有無を確認すると安心です。
4.チーム立ち上げ・オンボーディング
契約後はチームが立ち上がり、長期的にプロジェクトを推進し、定着・成長するための支援活動のオンボーディングを実施します。
オンボーディングの具体的な内容は、おもに下記の通りです。
| オンボーディングの内容 | 詳細 |
|---|---|
| 情報提供 | プロジェクトの目的・背景・開発プロセスなどのほか、開発に必要なツールやリソースなどの情報を提供します。 |
| ウェルカム行動 | チームメンバーの顔合わせや、依頼者と開発チームのコミュニケーションの機会を設けます。 |
5.開発開始・アジャイル運用
開発開始後は、依頼側のフィードバックを早期に取り込んで改善を繰り返すアジャイル運用を用いて開発を進めます。
ラボ型開発でアジャイル運用を用いるメリットは下記の通りです。
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| スピード感のある開発が可能 | 要件定義を待たず、局所的な開発からアプローチでき、スピード感のある開発を実現できます。 |
| 顧客満足度の向上 | 優先順位の高い機能から開発できるため、依頼側の安心感や満足度が高まります。 |
| 社内リソース節約 | 開発チームは社外で構築されるため、社内の人材はコア業務に集中できます。 |
6.評価と改善サイクル
ラボ型開発は、PDCAサイクルを活用して評価・改善を短いスパンで実施し、継続的なシステムの改善に取り組みます。
持続的な改善サイクル体制が構築されるため、システムの品質と機能性の継続的な向上を見込めます。
Wakka Inc.のラボ型開発

ラボ型開発を実践する際は、ぜひWakka Inc.の運営サポートをご活用ください。
ラボ型開発は多くのメリットがある開発手法ですが、ノウハウがない状態だと実践のハードルが高くなる場合があります。
そのため、外部の専門企業に依頼することも一手です。
Wakka Inc.は最短3カ月でラボ型開発の提供ができるため、スピーディーな開発体制の構築が可能です。
さらに、PoCやMVP開発を取り入れたプロセスの構築ができるので、最小コスト・最短プロセスによるスタートアップや新規開発にも対応できます。また、モダンフロントエンド開発に特化しているため、サーバーサイドの実装以外の開発を検討している際にもご活用いただけます。
加えて、Wakka Inc.は日本の企業であるため、海外ラボ型開発の障害となる言語の壁がありません。
日本語でコミュニケーションがとれる上に、PMとして国内のSEやWebディレクターをアサインできます。
海外支社設立支援サービスもあわせて提供しているので、ラボ型開発を足がかりにした海外進出を検討している方も、ぜひご相談ください。
ラボ型開発を活用しよう

ラボ型開発は、自社に特化した開発チームを構築する開発形態です。
開発コストを抑制したり、優れたエンジニアを確保できたりするなど、さまざまなメリットがあります。
また、ラボ型開発は準委任契約を締結するため、仕様変更が生じても追加費用が発生せず、柔軟に対応できます。
適切に活用すれば、不足しているリソースを補い、優れたスキルを外部から導入することで、より高度なシステムを開発できる可能性を高められます。
定期的な発注が見込まれる案件や、仕様変更が発生しやすい案件などに、ラボ型開発は最適です。
ラボ型開発を実践する際は、Wakka Inc.のラボ型開発サポートを活用すれば、より効率的かつ低コストな開発を実現できます。
具体的な導入事例集もご用意していますので、ぜひご参考ください。
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