ラボ型開発のメリットとは?相性の良い案件や注意点なども解説
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
ラボ型開発は、近年注目されている開発手法のひとつです。
開発コストを抑制できるうえに、不足しているリソースを拡充できるため、ラボ型開発は多くの企業で実践されています。
しかし、「ラボ型開発と他の開発手法との違いがわからない」「わざわざ実践するメリットがあるのか」と感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ラボ型開発を実施するメリットや注意点について解説します。
ラボ型開発と相性の良い案件についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
【基礎知識】ラボ型開発とは
ラボ型のメリットについて解説する前に、概要をおさらいしましょう。
本章では、概要に加え、請負型開発との違いについても解説します。
ラボ型開発の概要
ラボ型開発は、社外に構築した開発チームに開発を委託することで開発を進めます。
ラボ型開発はただ案件を発注するのではなく、一定期間自社専属の開発チームを構築することも目的としている開発形態です。
構築した開発チームは、契約期間内であれば自社のチームのように運用できるため、さまざまな開発プロジェクトに役立てられます。
ラボ型開発には、国内企業に委託する「国内ラボ型開発」と海外の企業に委託する「海外ラボ型開発」の2種類があります。
近年は開発コストを削減できることから、オフショア開発の一環として、多くの企業が海外ラボ型開発を実践するようになりました。
なお、ラボ型開発は契約期間中に依頼した業務の実施を求める「準委任契約」に該当するものです。
そのため、契約書に記載していない限り、成果物の提出や仕事の完成を求めるものではありません。
請負型開発との違い
請負型開発とラボ型開発は似ていますが、目的や契約形態が違います。
請負型開発はシステム開発やアプリ開発を依頼し、納品までを依頼する契約形態です。
つまり、プロジェクトの完了がゴールに設定されています。
プロジェクトの完了が目的であるため、請負型開発は短期間で契約を締結するパターンがほとんどです。
また、請負型開発の「請負契約」に該当するため、ラボ型開発と違い、成果物の提出や仕事の完了を求められます。
請負型開発はラボ型開発と並んでオフショア開発で多用される開発形態です。
単発の案件のみを発注したい企業に適しています。
ラボ型開発の5つのメリット
ラボ型開発を実践するメリットは、以下の通りです。
- 開発コストを抑制できる
- 優れたエンジニアを一定期間確保できる
- 柔軟な仕様変更・修正ができる
- 開発に関わるノウハウが蓄積されやすい
- スムーズにコミュニケーションできる
あらかじめメリットを把握しておけば、ラボ型開発を選択する意義を理解しやすくなります。
それぞれ順番に解説します。
開発コストを抑制できる
海外ラボ型開発を実践すれば、開発コストの抑制が可能です。
システム開発はエンジニアに係る経費が開発コストの大半を占めますが、人件費が安い国の企業に開発を委託すれば、コストを削減できます。
特にベトナムやミャンマーのようなアジア圏の国なら、日本より30%~50%ほど低いコストで開発が可能です。
また、開発コストを抑制できれば、収益の向上につながるだけでなく、コストの増大によるリソース不足でプロジェクトを中断せざるを得ないリスクを回避できます。
優れたエンジニアを一定期間確保できる
ラボ型開発は優れたエンジニアを一定期間確保できる点もメリットです。
ラボ型開発は、契約期間内であれば、委託先のエンジニアを自社の専属にできるため、自社の従業員のように運用できます。
契約期間中は継続的に案件を任せられるうえに、請負型開発と違い、特定のエンジニアに絞った委託も可能です。
自社にないノウハウを持つ人材に開発を委託できるなど、ラボ型開発は不足しているリソースを補いたいときにも役立ちます。
そのため、新規開発にも応用が可能です。
柔軟な仕様変更・修正ができる
ラボ型開発は、仕様変更・修正に柔軟に対応できます。
請負型開発だと、案件ごとに開発を発注するため、仕様変更や修正の際には再度見積もりをとる手間が発生します。
一方、ラボ型開発は成果物の提出がゴールではないため、仕様変更や修正時にあらためて見積もりをとる必要がありません。
加えて、ラボ型開発を請け負う企業の多くは、仕様変更や修正を前提にして委託を受けています。
そのため、仕様や要件が曖昧な状態でも開発を委託しやすく、相手の開発チームとコミュニケーションを取りながらシステムを具体化していく作業も可能です。
システム開発のノウハウが不足している企業にとっても、ラボ型開発は実践しやすい手法です。
開発に関わるノウハウが蓄積されやすい
ラボ型開発は自社専属の開発チームを社外に構築できるうえ、メンバーの固定もできます。そのため、開発に関わるノウハウを蓄積させられます。
開発を委託するごとにノウハウが蓄積されていけば、それだけスピーディーに作業を進められるようになり、さらなるコストの削減が可能です。
加えて、蓄積した開発コストは将来的に自社で開発する際に役立てられるなど、長期的なメリットも期待できます。
スムーズにコミュニケーションできる
ラボ型開発は固定されたメンバーで開発チームを構成できるため、スムーズにコミュニケーションがとれる点もメリットです。
特に、長期的に開発を任せているチームなら、経験値が増えるだけでなく、信頼関係も深まります。
円滑にコミュニケーションがとれるような関係性を構築すれば、スピーディーな開発やノウハウの共有もできます。
ラボ型開発と相性の良い案件
ラボ型開発はメリットが多い開発形態ですが、より高い効果を得るなら、相性の良い案件を選びましょう。
ラボ型開発と相性の良い案件には、以下のようなものがあります。
- 定期的な発注が見込まれる案件
- 既存のWebサービスやアプリの運用・改修
- 仕様変更が想定される案件
- アジャイル開発
- MVP開発
いずれの案件も、ラボ型開発のメリットを最大限活用できます。
実際にラボ型開発を実施する際は、自社の案件が相性が良いものかチェックしましょう。
定期的な発注が見込まれる案件
ラボ型開発は契約期間内であれば、何度も開発を発注できるうえに、見積もり調整をする必要がありません。
そのため、定期的な発注が見込まれる案件に適しています。
人材が不足しているのに、案件が定期的に発生するような状況の企業にとって、ラボ型開発は有効な手法です。
何度も開発を依頼すれば、それだけノウハウが蓄積されるため、開発スピードを早めるきっかけにもなります。
既存のWebサービスやアプリの運用・改修
既存のWebサービスやアプリの運用・改修にも、ラボ型開発は役立ちます。
Webサービスやアプリは日々稼働しているだけでも、アップデートやバグの修正など、さまざまな業務が発生するものです。
そのため、運用・改修が多発すると業務負担が大きくなる恐れがあります。
ラボ型開発でWebサービスやアプリの運用・改修を委託すれば、業務負担の軽減につながります。
また、人件費が低い国の企業に委託すれば、運用・改修にかかるコストの削減が可能です。
仕様変更が想定される案件
要件が曖昧だったり、ユーザーからのフィードバックによる影響を受けたりするような、仕様変更が想定される案件にも、ラボ型開発は適しています。
ラボ型開発は開発期間内であれば、再見積もりをしなくとも仕様変更や修正を依頼できます。
加えて、仕様変更に際して追加費用が発生しないため、コストを抑えやすい点もメリットです。
通常、仕様変更は工数を増やすため、開発を遅滞させる恐れがあるものです。
しかし、何度も開発を委託し、ノウハウが蓄積されたチームであれば、仕様変更もスピーディーかつ柔軟にこなせるようになります。
アジャイル開発
ラボ型開発はアジャイル開発にも対応できる点が特徴です。
アジャイル開発とは、工程を最小単位に分け、複数のチームでそれぞれの工程をスピーディーに開発を進める手法です。
短時間かつ低コストで開発を進められるため、近年多くの企業が実践しています。
アジャイル開発は工程を最小単位で分けるうえに、開発の過程で改修や軌道修正も発生する可能性があります。
そのため、軌道修正に対応しやすいラボ型開発と組み合わせられます。
MVP開発
アジャイル開発と同様に、MVP開発もラボ型開発と好相性です。
MVP開発は必要最小限の機能を搭載したシステムやプロダクトをリリースし、フィードバックを得ながら改善していく手法です。
ユーザーからの意見を取り入れながら改善を進めるため、マーケットのニーズにマッチしたシステムやプロダクトを実現できます。
最小限の機能でリリースするため、フィードバックによって機能を追加したり、大幅な改修が発生したりします。
柔軟な仕様変更に対応できるラボ型開発を活用すれば、よりスムーズな開発や改修を実現できます。
ラボ型開発を実施する際の注意点
ラボ型開発はメリットの多い開発形態ですが、実施する際にはいくつかの注意点に留意する必要があります。
注意点は以下の通りです。
- チーム構築にかける時間に注意する
- 案件の数を一定以上保つ
- マネジメントしやすい体制を構築する
それぞれの注意点について、順番に解説します。
チーム構築にかける時間に注意する
ラボ型開発では、チームの構築に時間がかかる場合があります。
自社の開発案件を任せるために専属のチームを構築するため、スキル・ノウハウを持った人選やチームとして機能するための体制づくりが必要だからです。
人材を選出した後も、自社の業務をレクチャーしたり、指示を出したりする期間も必要です。
このように、開発チームの構築には一定以上の時間がかかります。
スムーズにラボ型開発を進めるために、開発チームの構築に要する時間を踏まえ、余裕のあるスケジュールを組みましょう。
案件の数を一定以上保つ
ラボ型開発を実践するなら、案件の数を一定以上保ちましょう。
ラボ型開発のコストは委託先のエンジニアを確保できる期間によって決まります。
契約の仕様上、案件がない状態でもコストが発生するため、案件の数が少ない状態だとコストパフォーマンスが低下するリスクが高まります。
ラボ型開発を実践する際は、発注できる案件数を明確にしましょう。
もし、単発の案件や短期で開発が完了する案件が多い場合は、請負型開発を検討しましょう。
マネジメントしやすい体制を構築する
ラボ型開発の実践において、マネジメントしやすい体制は重要です。
ラボ型開発は、発注側がマネジメントを担わなければならないため、開発プロセスにマネジメントの工数が発生します。
開発を円滑に進めるうえでも、効率的にマネジメントが取れる体制の構築は欠かせません。
特にオフショア開発の一環でラボ型開発を行う場合、マネジメントをするうえでコミュニケーションが重要です。
海外は時差があるだけでなく、言語や文化などの違いが壁になるため、スムーズにコミュニケーションをとれるようにしなければなりません。
もし、コミュニケーションに齟齬が発生する状況だと、マネジメントにも影響が及びます。
定期的に現地に足を運んだり、有用なコミュニケーションツールを使ったりするなど、開発チームとより円滑にやり取りができる環境を構築しましょう。
ラボ型開発のメリットを理解すれば適切な案件を選びやすくなる
ラボ型開発は、自社に特化した開発チームを構築する開発形態です。
ラボ型開発には、開発コストを抑制したり、優れたエンジニアを確保できたりするなど、さまざまなメリットがあります。
定期的な発注が見込まれる案件や、仕様変更が発生しやすい案件などに、ラボ型開発は最適です。
メリットを活かせる案件がある場合には、ラボ型開発の活用を検討してみましょう。