ラボ契約(ラボ型契約)とは?請負契約との違いや導入のメリット・注意点を解説


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はじめに
みなさん、こんにちは。Wakka Inc.ベトナム拠点のラボマネージャー中垣です。
開発リソース不足やエンジニアリソース不足の解決策として、オフショア開発の導入を一度は検討されたことがあるのではないでしょうか。
海外に拠点をもつオフショア開発における契約形態には、ラボ契約(ラボ型開発)と請負契約があります。「ラボ契約と請負契約の違い」や「ラボ契約を導入する際に気をつけるべきポイント」について紹介していきます。
ラボ契約(ラボ型開発)とは?
ラボ契約とは、外部へ開発業務を依頼する際の契約形態のひとつで、ラボ型開発とも呼ばれています。一定期間中に専属チームを確保し、発注者側の指示で開発を行う契約のことです。
ラボ契約と請負契約との違い
ラボ契約(ラボ型開発)は「一定期間、自社の専属チームとして一緒に開発を行う契約」のことです。一方、請負契約は「契約で決められた要件、期間、工数で開発を委託する契約」のことで、納期や品質に関する担保が委託を受けた側に発生します。
契約の発注段階でプロジェクトの詳細が完全には固まっておらず、要件定義をこれから確定していく場合は、ラボ契約が向いているでしょう。一方、契約の発注段階でプロジェクトの納期・仕様などの要件定義が明確になっている場合は、請負契約が向いています。プロジェクトの特徴によって、契約を使い分けるのがよいでしょう。
ラボ契約が向いているプロジェクトの例
ラボ契約は、発注段階では方向性が定まっておらず、開発しながら要件定義をしていくプロジェクトに向いています。ラボ契約が向いているプロジェクトの例は次のとおりです。
- テストを繰り返しながら仕様を決定する自社開発や新規のシステムの立ち上げなど長期的なプロジェクト
- ユーザーの要望に合わせて柔軟な対応が求められる請負でのWeb制作やシステム開発案件
- 中長期にわたるWebサイトの改修や運用保守
ラボ契約と請負契約の違いについて詳しく知りたい方は、「システム開発でのラボ契約とは?請負契約との違いや導入時の注意点を解説」もご覧ください。
ラボ契約のメリット、デメリットとは
ラボ契約を導入する前に、メリット、デメリットをそれぞれ知っておきましょう。ここではそれぞれ3つずつ挙げて、解説します。
ラボ契約の3つのメリット
- 優秀な人材を長期間確保できる
ラボ契約の期間中はひとつのプロジェクトが終了した後も、契約期間内であれば同じメンバーの確保が可能なため、優秀な人材を長期間確保することができます。
また、自社の専属チームとしてリソースを確保しているため、複数のプロジェクトを同時進行することができること、ノウハウを蓄積しながら開発・管理ができることもメリットです。
- 仕様変更に対して柔軟な対応ができる
ITシステムにおける新規開発では、開発途中で仕様の変更や機能追加を行うケースも多く発生します。
ラボ契約では、請負契約と違って仕様変更や追加開発で見積もりの再調整や契約を更新する必要がありません。開発体制の変更も含め、スムーズで柔軟な対応が可能です。
- コストダウンができる
オフショア開発の場合、一般的に海外の人件費は国内よりも安いのが特徴です。ラボ型開発であれば契約期間内においては、仕様の変更をしても追加費用が発生しません。
そのため開発コストの低減が期待できます。なかでも近年は、優秀な人材の多いベトナムが委託先として注目されており、コストとクオリティの両面でメリットを享受できます。
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ラボ契約の3つのデメリット
- 契約期間中は仕事量にかかわらずコストが発生
ラボ契約は期間を定めた契約のため、予定していたプロジェクトが想定より早く終了した場合でも、契約自体は終了できません。
予定より仕事量が少なかった場合でも契約期間内であればコストが発生するため、有効に人材を活用できるよう計画を立てておくことが重要です。
- 自社メンバーと同じくマネジメントが必要
ラボ契約では、現地に専用チームを作り、そのメンバーと一定期間ともに業務を行うことになります。そのため契約前に、開発レベルに合った人材であるかどうか、能力の見極めが重要です。
また、プロジェクト進行中も、お互いに仕様や納品物の認識の違いがないかの確認のために、自社メンバーと同じく現地のチームに対してもマネジメントが必要とされます。
オフショア開発では言語や文化の違いがあるため、明確なコミュニケーションがとれるように事前の準備が不可欠と言えるでしょう。
- コミュニケーションの問題がある
海外に委託するオフショア開発の場合、言葉の違いからコミュニケーションの問題が発生しやすいです。言語や文化の違いはもちろん、時差があるとリアルタイムの連絡や意思疎通が難しい場合もあります。
そのため、委託先にはベトナムなど時差の少ない国がよいでしょう。一定期間、一緒に開発していくため信頼関係が構築できるかどうか、自社との相性がいいのかも事前にコミュニケーションをはかって確認することがおすすめです。
オフショアでのラボ型開発とそのメリット/デメリットついて知りたい方はこちらの記事もご覧ください
【ラボ型開発】その特徴とメリット・デメリットは?|分かりやすく解説
ラボ契約で開発を行う際に気をつけるべきポイントは?
ラボ契約(ラボ型開発)は長期的な契約となります。契約後、後悔しないために導入する際の気をつけるべきポイントを紹介します。
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ポイント1:密にコミュニケーションをとれる体制を構築する
コミュニケーションの密度は品質向上につながります。お互いに仕様や納品物の認識違いがないか確認するために、週に数回のミーティングが必要です。特にオフショア開発の場合、密にコミュニケーションをとれる体制が構築していきましょう。
日本語対応レベルや日本語が通じるスタッフ通訳の有無、時差、どのようなコミュニケーションツールを使うかなどを確認することも重要です。さらに、委託先の国の事情や文化の違いをあらかじめ調査しておくと、コミュニケーションのズレを防ぐことができるでしょう。
多くの開発企業の会社説明には「日本語対応が可能」と記載がありますが、対応レベルはまちまちです。そのため、実際に担当者と日本語で会話をして確かめることが必要です。
現地に日本語対応可能なスタッフがいない場合は、日本語の堪能な通訳やブリッジエンジニアを現地に置くのも対策のひとつです。また、国によって文化や言語の違いがあるため、曖昧な意思表示はせず、プロジェクト内での共通言語作りをするとお互いの認識を確認しやすくなります。
ポイント2:実績のあるオフショア開発会社を選ぶ
委託先の企業は、すでに日本企業と開発実績があるオフショア開発会社だと安心です。まず、委託先を選ぶ際には、日本企業との開発実績があるかどうかを確認しましょう。
さらに、スピード感を持って開発を進めるスキルがあるか、開発会社のスキルのミスマッチがないか、開発したいサービスと発注先の得意分野に親和性があるかを確認することで契約後のミスマッチを減らせます。
セキュリティに対する確認も重要です。オフショア開発では、特に情報流出リスクが高まる可能性があります。チームごとに通信ネットワークが分かれているか、社員のセキュリティ意識が高いかなど現地ラボのセキュリティを確認しておきましょう。
実績のある優良な企業であれば、既存クライアントの厳しいセキュリティチェックが完了してから受注しているケースが多く、スキルだけでなくこうしたセキュリティ対策の構築やメンバーのセキュリティ意識も高いはずです。
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まとめ:ラボ契約を成功させるにはミスマッチを減らすことが重要
オフショア開発のなかでもラボ開発(ラボ型開発)は、中長期間人材を確保でき柔軟な開発ができるだけでなく、コスト面でのメリットもあります。
コストが安く、優秀な人材が多いベトナムが委託先として人気ですが、契約後に後悔しないように、契約前にしっかりと委託先の調査が必要です。
自社のサービスとの親和性やコミュニケーションが密にとれる体制なのかを確認することが肝要です。その際、実績やセキュリティ対策なども確認する必要があります。契約後にミスマッチが起こらないよう、事前にポイントをチェックし、ラボ型開発を成功させましょう。
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WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。