MVP開発とは?アジャイル開発との違いや進め方、メリットや事例を紹介

最終更新日:2024.11.26
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
MVP開発とは?アジャイル開発との違いや進め方、メリットや事例を紹介
SHARE ON
  • FaceBook
  • Twitter
  • LINE
  • Note

こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

昨今は、技術の発展やニーズの多様化によって不確実性が高まった結果、マーケットの動向が予測しにくくなりました。
そのため、従来の開発手法ではマーケットに受け入れられず、失敗するリスクが高まることがあります。

市場の変化に伴い、近年はMVP開発を積極的に実践する企業が増えています。
MVP開発はユーザーやマーケットのフィードバックを積極的に取り入れ、開発に伴うリスクを低減する開発手法です。

本記事ではMVP開発について、種類や進め方などを解説します。
実践する際のメリットや注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

システム開発を検討されている方に向けてすぐに使える『RFP(提案依頼書)テンプレート』をご用意!

編集しやすいパワーポイント形式のテンプレートなので、項目を埋めるだけで簡単にRFPが作成できます。

【基礎知識】MVPとは?

MVP開発とは、最低限の機能を持つMVPをリリースし、フィードバックを得ながら改善を繰り返すことでシステムやプロダクトの完成を目指す開発手法です。

MVP開発で利用されるMVPとは、「Minimum Viable Product」の略称であり、直訳すると「必要最小限のプロダクト」を意味します。

MVP開発はあえて必要最低限の機能のみで付随機能のない状態でリリースに踏み切る点が特徴です。
リリースした後は、ユーザーからフィードバックを集め、改善を繰り返すことによりプロダクトの完成を目指します。

なお、MVP開発は小規模なプロジェクトや、機能がシンプルなプロダクトの開発に適しています。
そのため、スタートアップ企業や新規開発と相性が良く、リソースが限定されている環境でも実施が可能です。

MVP開発はリーンスタートアップの一部

MVP開発はリーンスタートアップの構成要素の1つに位置付けられており、構築・計測・学習のステップと連動しています。
それぞれのステップの概要は以下の通りです。

構築仮説を検証するためにMVPを製作する
計測リリース後にユーザーからフィードバックを得る
学習フィードバックの結果と仮説を照合し、課題の洗い出しと改善を行う

リーンスタートアップの一環としてMVP開発を実施したケースは多く、世界的な企業でも実践しています。
中でも、InstagramやAmazonなどは、MVP開発の成功事例として認識されています。

MVP開発とアジャイル開発との違い

アジャイル開発はMVP開発と混同されやすい開発手法の一つです。
アジャイル開発もリーンスタートアップで多用される開発手法であり、MVP開発と同様にスピーディーにプロダクトを開発できる点が特徴です。

ただし、アジャイル開発とMVP開発には以下のような違いがあります。

開発手法アジャイル開発MVP開発
目的プロダクトの短期間でのリリースフィードバックを得たうえでのプロダクトの改善
プロセス機能ごとにプロセスを分けて短期間で開発を進める必要最小限の機能を持つMVPを開発・リリースする
開発期間各機能ごとに1~4週間ほど1週間~2ヶ月

アジャイル開発は機能ごとにプロセスを最小単位で分け、それぞれの機能をスピーディーに開発する手法です。
MVP開発と同様に、短期間で開発ができるうえに、必要なコストを削減できます。

アジャイル開発は開発期間を短縮化させることを重視していますが、MVP開発はユーザーからのフィードバックを得て製品のブラッシュアップが最大の目的です。
ただし、目的やプロセスに違いはあるものの、企業によってはアジャイル開発の一環としてMVP開発を行うケースがあります。

一方で、アジャイル開発はMVP開発よりも、ユーザーニーズの変化に対応しやすい開発手法です。
また、MVP開発では対応できない開発プロセスが複雑なプロダクトや、大規模なプロジェクトにも活用できます。

MVP開発とPoCの違い

アジャイル開発と同じように、PoCもMVP開発と混同されやすい手法です。
それぞれの違いは以下の通りです。

開発手法PoCMVP開発
目的新規事業やアイデアの実現可能性の検証フィードバックを得たうえでのプロダクトの改善
プロセスプロトタイプを使った実証実験など必要最小限の機能を持つMVPを開発・リリースする
開発期間プロダクトによる1週間~2ヶ月

PoCは概念実証とも呼ばれ、新規事業やアイデアの実現可能性を探るために行われます。
そのため、実現する可能性が低いと判断されたら開発・リリースを行わないケースもあります。

実現可能性を検証するうえでMVPを作成するなど、PoCはMVP開発と組み合わされやすい取り組みです。
企業によってはPoCの過程でMVPを作成し、フィードバックを得たうえで開発・リリースの可否を判断する場合があります。

MVPを作成すれば、実現可能性をより正確に把握できるため、開発・リリースが成功する確率が高まります。

MVP開発とウォーターフォール開発の違い

ウォーターフォール開発は、システム・プロダクトの開発における定番の手法です。
開発過程が「滝のように落下するように進む」ことから、「ウォーターフォール」と呼ばれています。

MVP開発とウォーターフォール開発の違いは以下の通りです。

開発手法ウォーターフォールMVP開発
目的ソフトウェアやインフラ設備などの開発フィードバックを得たうえでのプロダクトの改善
プロセス各開発プロセスを独立した工程で区切り、順番に実施する必要最小限の機能を持つMVPを開発・リリースする
開発期間2ヶ月~1年程度1週間~2ヶ月

ウォーターフォール開発は工数が多くなりやすく、要件定義だけでも数ヶ月かかるケースも珍しくありません。
もちろんプロジェクトの規模が大きくなるほど、開発プロセスが複雑化するため、ウォーターフォール開発は開発期間が長期化しやすい開発手法です。

しかし、ウォーターフォール開発は複数のブロックに分けて実施するので、複雑な開発プロセスでも進捗を管理しやすい点が特徴です。
そのため、大規模なシステム開発や複雑な機能を搭載したプロダクトの開発に適しています。

長期的な開発が予測されるプロジェクトの場合は、ウォーターフォール開発を実践しましょう。

MVP開発の4つのメリット

MVP開発を実践した際のメリットは、以下の通りです。

  • 先行者利益を得られる
  • 早期収益化を望める
  • 開発コストを最小限にとどめられる
  • 顧客ニーズを確認できる

MVP開発のメリットを知れば、実践する意義を理解しやすくなります。

先行者利益を得られる

MVP開発はスピーディーに開発できるため、競合他社よりいち早くマーケットにリリースできます。
そのため、ユーザーを早期に囲い込みやすく、先行者利益を得やすい点がメリットです。

昨今は技術の発展やユーザーのニーズの多様化により、トレンドが変動しやすく、マーケットの動向を予測しにくくなっています。
もし開発に時間をかけてしまうと、プロダクトをリリースしてもトレンドの変動によって想定した売上が得られなくなるリスクが高まります。

MVP開発なら、ニーズが高まっている段階でのリリースも可能であるため、競合他社に先んじたプロダクトの提供が可能です。

早期収益化を望める

MVP開発は早期収益化を望める点もメリットです。

MVP開発は、リリース後にユーザーからフィードバックを得ながらプロダクトのブラッシュアップを行います。
万が一ニーズとギャップがあった際も、早期に修正ができるため、収益化のタイミングを早められます。

また、MVP開発はスピーディーかつ低コストで開発を進めるため、収益化が遅れても損失を減らせる点も魅力です。

開発コストやリソースを最小限にとどめられる

必要最小限の機能しか持たないMVPを開発・リリースするため、MVP開発は開発コストを最小限にとどめられます。
さらにMVP開発はフィードバックを得ながら改善するため、プロジェクトの軌道修正や巻き戻しによるコストや損失の発生を回避できます。

さらに、MVPの開発は人員やリソースの投入が最小限で済む点もメリットです。
MVP開発ならリソースが限られていたり、大規模な開発体制を構築できなかったりする状況でも開発を進められます。

そのため、少人数で開発を進めたいときでも実践できます。

MVP開発はコストを最小限にできるからこそ、リーンスタートアップの一環として実践できる開発手法です。
開発コストを抑制できれば、プロダクトによって得られる収益を最大化できます。

顧客ニーズを確認できる

MVP開発は顧客ニーズを確認できる開発手法です。
そのため、適切なタイミングで改善したり、マーケットに適したプロダクトをリリースしたりしやすくなります。

従来の開発手法は、自社でマーケティングを行ったうえでプロダクトの開発に着手していました。

しかし、この方法だと予測が外れた際に改善や軌道修正が間に合わず、損失を被るリスクがあります。
MVP開発ならリリース後からユーザーのフィードバックを得られるため、万が一ニーズとのギャップが発生しても、早期に修正できます。

MVP開発の3つのデメリット

MVP開発は、以下のようなデメリットにも注意しなければなりません。

  • 開発に時間を要するプロダクトには向かない
  • エンジニアのスキルが進捗に影響する
  • ユーザーの意見に左右されやすい

MVPに着手する際は、上記をあらかじめチェックしましょう。
デメリットを把握しておけば、想定されるリスクを回避できるはずです。

開発に時間を要するプロダクトには向かない

MVP開発はスピーディーに開発するからこそ、本来のメリットを発揮する開発手法です。
そのため、開発に時間を要するプロダクトには向いていません。

複雑な機能を搭載していたり、プロジェクトの規模が大きかったりすると、MVP開発を実施しても、開発コストの抑制はできません。
それどころか、かえってコストの増加を招き、プロジェクトの失敗を招く恐れがあります。

一般的にMVP開発は、長くても1ヶ月程度とされています。
開発期間が2ヶ月以上かかるプロジェクトならウォーターフォール型開発などのような別の手法を選びましょう。

エンジニアのスキルが進捗に影響する

MVP開発はリリースに耐え得るMVPを開発しなければならないうえに、フィードバックを踏まえて修正や機能の追加に対応しなければなりません。

そのため、MVP開発の進捗をスムーズにするなら、エンジニアのスキルが大きく影響します。
もしエンジニアのスキルが不足していると、プロセスがスムーズに進まなくなるため、MVP開発が成功する可能性が低下します。

社内のエンジニアがスキル不足の場合、MVP開発の実施は困難です。
MVP開発に必要なスキルを確保するなら、外部への委託も検討しなければなりません。

ユーザーの意見に左右されやすい

MVP開発はユーザーからフィードバックを得られる反面、さまざまな意見に左右されやすい開発手法です。

ユーザーの意見をすべて取り入れていると、無駄な機能を追加したり、当初のコンセプトからズレたりするリスクが高まります。
その結果、余計な開発コストが発生したり、想定より開発に時間を費やしたりすることになりかねません。

フィードバックを得る際は、意見を丁寧に取捨選択し、必要なものだけを参照しましょう。
自社の開発に役立つ意見だけを取り入れることで、コンセプトに合ったスムーズな開発を実現できます。

システム開発を検討されている方に向けてすぐに使える『RFP(提案依頼書)テンプレート』をご用意!

編集しやすいパワーポイント形式のテンプレートなので、項目を埋めるだけで簡単にRFPが作成できます。

MVP開発の主な7種類

MVP開発には様々な種類があり、それぞれプロセスが異なる点に留意しましょう。
本章では以下の種類を紹介します。

種類概要作成物コスト
プロトタイプ試作品をユーザーに提供するプロトタイプ(試作品)
スモークテストプロダクトへの興味を調べるプロダクトの紹介動画や解説サイトなど
コンシェルジュマニュアルですべての作業を行う機能を自動化していないMVP
オズの魔法使い人力でシステムを動かす機能を自動化していないMVP
ランディングページ興味を引くランディングページを作成するランディングページや問い合わせフォームなど
モックアッププロダクトの外観だけを作成するプロダクトの外観のみ
プレオーダーリリースする前に購入者を募集するMVP状況による

プロトタイプ

プロトタイプとは、プロダクトの試作品を作成し、ユーザーから評価を得る方法です。

必要最小限の機能を持つプロダクトを実際に作成することにより、実際の使用感をユーザーに体験してもらえます。
フィードバックを得やすい手法ですが、実際にプロダクトを作成するため、コストはかかりやすい点に注意しましょう。

スモークテスト

スモークテストとは、ユーザーが自社が提供するサービスに対し、興味・関心を持っているかを調べる手法です。

サービスを紹介する動画や、事前登録サイトを公開し、ユーザーの反応をチェックします。
実際にサービスを開発しないため、機能や使用感の確認こそできませんが、ユーザーのニーズを確認できます。

コンシェルジュ

コンシェルジュはサービスの機能を自動化せず、従業員がマニュアルで対応する手法です。
あえてマニュアルで対応することにより、従業員とユーザーが密なコミュニケーションが取れます。

そのため、ユーザーからのフィードバックが得やすく、即効性が高い点が特徴です。
ただし、ユーザーへの対応をマニュアルで行うので、手間と時間がかかりやすい点に注意しましょう。

オズの魔法使い

オズの魔法使いとは、完成されていないシステムの機能の一部を、人間が代わりに動かすことで稼働しているように見せる手法です。

コンシェルジュと酷似していますが、あくまでユーザーにはシステムが稼働しているように見せている点が異なります。
コンシェルジュと同様に手間がかかる手法ですが、ユーザーのニーズをダイレクトに検証できるうえに、開発にかかるコストを抑えられます。

ランディングページ

ランディングページとは、サービスの概要や、ユーザーが得られるメリットなどを記載した単一ページを作成する手法です。
質問用の問い合わせフォームを設置すれば、ユーザーの興味・関心を引くだけでなく、ニーズや傾向を調べられます。

モックアップ

モックアップはプロダクトの外観のみを完成品と同じ状態にする手法です。

内部のシステムは簡略化し、あくまで見た目だけを完成品と同じ状態にします。
モックアップは、主にデザインのイメージを共有するために実践されますが、企業によっては情報アーキテクチャを確認するために実践されるケースもあります。

プレオーダー

プレオーダーは、プロダクトをリリースする前に購入者を募集する手法です。
リリース前にユーザーを募ることにより、ニーズや要望をあらかじめチェックし、開発に活用できます。

また、早い段階から購入者を確保できるため、資金調達もできる手法です。

MVP開発の進め方

本章ではMVP開発の進め方について解説します。
MVP開発は、以下のように5つのステップに分けられます。

  1. 仮説を立てる
  2. 必要最低限の機能・形を決める
  3. MVPを作成する
  4. MVPを検証する、フィードバックを回収する
  5. MVPを修正・改善する

それぞれのステップについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

ステップ1:仮説を立てる

MVP開発で最初に実行するプロセスは仮説を立てることです。
ユーザーのニーズ・課題などを分析し、プロダクトが顧客に提供できる価値を明確にします。

仮説の時点でビジョンが具体的であれば、無駄な工数がなくなり、スムーズな開発が可能です。
逆にビジョンが曖昧な状態だと、不要な機能をつけたり、コンセプトがブレたりするため、無駄なコストがかかります。

ステップ2:必要最低限の機能・形を決める

ビジョンが固まったら、MVPに搭載する必要最低限の機能・形を決めます。
MVP開発において、「完成品を目指さないこと」は重要です。

初めから完成品を目指し、複雑な機能を搭載しようとすると、MVP開発のメリットが失われます。
機能の優先順位を明確にし、必要最小限まで絞り込むことを意識しましょう。

ステップ3:MVPを作成する

MVPを作成する際は、コストを押さえ、スピーディーに開発を進めなければなりません。
この際、必要最小限の機能に絞り込むだけでなく、開発プロセスや開発体制にも工夫が必要です。

例えば一部の開発プロセスをアウトソーシングしたり、オープンソースを利用したりするなど、外部のリソースを活用すれば、開発に要する時間やコストを削減できます。

ステップ4:MVPを検証する、フィードバックを回収する

MVPを検証したり、フィードバックを回収したりする方法は、以下のように複数あります。

  • テスターを募集する
  • ユーザーにインタビューやアンケートを行う
  • 集めたデータを分析する

MVPの検証・フィードバックを収集する際は、定性的・定量的な両方のデータを集めることが重要です。
テスターの募集やインタビューによる定性的データ、データ分析やアンケートによる定量的データを組み合わせることで、多角的な分析が可能になります。

このように複数の観点からフィードバックを収集することで、より効果的な改善を実現できます。

ステップ5:MVPを修正・改善する

フィードバックを得たら、MVPの修正・改善を行いましょう。
フィードバックの過程で得た新たな課題を解決し、ニーズが高い機能を実装すれば、よりユーザーやマーケットにフィットしたプロダクトを開発できます。

改善が完了したらリリースとなりますが、これで終わりではありません。
リリース後もPDCAサイクルを回し、適切な改善を繰り返すことで、プロダクトをさらにブラッシュアップしていくことも重要です。

MVP開発を進める際の3つのポイント

MVP開発を成功させるなら、いくつかのポイントに留意しなければなりません。
本章ではMVP開発を進めるうえで、注意すべき3つのポイントについて解説します。

  • 最低限のコスト、期間で開発する
  • ユーザーニーズを把握する
  • 目的・判断基準を明確化させる

あらかじめポイントを知っておけば、MVP開発が成功する可能性が高まります。

最低限のコスト、期間で開発する

MVP開発の目的は「最低限のコスト・期間で市場のニーズを確かめること」です。
裏を返せば、余分なコストをかけたり、開発に無駄な時間を使ったりすると、MVP本来のメリットを得られなくなります。

MVP開発を実践する際は、コストや開発期間を最低限にとどめることを意識しましょう。
また、付加機能を実装する際は、ユーザーからフィードバックを得てから検証する段階に入ってからにしなければなりません。

なお、MVP開発は、最初から複雑な機能を搭載する必要があるプロダクトの開発には向いていません。
原則として、開発に2ヶ月以上かかるプロダクトはMVP開発には不向きとされています。

ユーザーニーズを把握する

フィードバックを得てから改善するプロセスがある以上、MVP開発においてユーザーニーズの把握は重要な課題です。
もしユーザーニーズを間違えて把握すると、マーケットに適合しないプロダクトを開発してしまうリスクが高まります。

また、ユーザーからフィードバックを得る際は、取捨選択も不可欠です。
ユーザーのニーズを把握しつつも、有用な意見と不要な意見を選り分けなければ、コンセプトがブレる恐れがあります。

フィードバックを得る際は、有用な意見を見極めるようにしましょう。

目的・判断基準を明確化させる

MVP開発を実践する際は、目的や判断基準をあらかじめ明確化しましょう。
目的や判断基準を明確にしなければ、開発プロセスに悪影響を及ぼします。

目的や判断基準が不明確な状態だと、機能を必要最小限に絞り込めず、無駄な機能を実装するリスクが発生します。
無駄な機能を搭載すれば開発コストが増えるうえに、余計な時間をかけてしまい、先行者利益を得るチャンスを逃しかねません。

また、開発の巻き戻しが発生しやすくなり、結果として開発が進まなくなるだけでなく、損失が発生する恐れがあります。

MVP開発の事例

本章では、MVP開発の事例を解説します。
解説する事例は以下の7つです。

  • X(旧Twitter)
  • Dropbox
  • 食べログ
  • Airbnb
  • Uber
  • Amazon
  • Oculus

それぞれの事例について、以下で解説します。

X(旧Twitter)

X(旧Twitter)は最初にプロトタイプを作成し、それをそのままMVPとして利用する方法を取りました。
具体的には、プロトタイプをまず社内で公開し、従業員に実際に使用してもらいながらフィードバックを得ていました。

そこから改善を重ねたうえで、外部にリリースしています。

参照:TwitterやAirbnb等にみる Minimum Viable Productの4つのタイプと作り方|Medium

Dropbox

Dropboxは、デモ動画を作成してスモークテストを行ったことで有名です。

具体的には、プロダクト開発に着手する前にデモ動画を作成し、多くのユーザーに公開しました。
動画で多くのユーザーの興味を引きつつ、寄せられた意見を基にDropboxの開発を成功させています。

また、ランディングページも実施し、より多くのユーザーの興味を引くことにも成功しています。

参照:TwitterやAirbnb等にみる Minimum Viable Productの4つのタイプと作り方|Medium

食べログ

日本で実施されたMVP開発であれば、食べログが好例です。

食べログはスタッフが手打ち作業するデータベースからスタートし、ユーザーの意見を取り入れながら現在のレビューサイトを構築しました。
開発チームは現在もMVP開発を積極的に実践しており、さらなる機能の充実を図っています。

参照:食べログ開発者ブログ

Airbnb

民泊の仲介サイトであるAirbnbはリリース当初、アパートの情報や写真だけが掲載されたランディングページのみでした。
そこで、創業者が自らアパートの部屋の写真を撮影し、画像のクオリティを高めました。その結果、ユーザーの利用率向上に成功しています。

参照:TwitterやAirbnb等にみる Minimum Viable Productの4つのタイプと作り方|Medium

Uber

Uberは元々、創業者の関係者にのみ公開されている、ドライバーとユーザーをつなげるだけの簡易的なアプリでした。
このアプリが好評だったため、創業者は本格的な配車アプリとして開発を進めたのです。

そこから、さらに顧客からのフィードバックを得て開発を進めた結果、「Uber Eats」をはじめとする人気アプリのリリースに成功しています。

参照:Uber MVP – Uber が UberCab だった頃を振り返る|dittofi

Amazon

世界的に利用されているECサイトのAmazonは、MVP開発の手法でサービスを開始しました。

開発当初のAmazonは、書籍販売に特化した小規模なオンライン書店でした。注文が入るたびに、スタッフが手作業で仕入れと発送を行っていたのです。
売上が伸びるにつれて、MVP開発を取り入れながら機能拡充や取扱商品の多様化を積極的に進めてきました。

現在では、多様な商品を取り扱うだけでなく、動画配信サービスや音楽ストリーミングサービスなど、幅広いサービスを提供するグローバル企業へと成長しています。

参照:Amazonから学ぶ!効果的なプロダクトマネジメント手法|PM Club

Oculus

VRデバイスの開発を手掛けるOculusは、過去にプレオーダーを伴うMVP開発を行いました。

Oculusが初めて開発したVRデバイスのMVPは、ガムテープで補強されるなど、粗削りなものでした。
しかし、その革新的なコンセプトが評価され、結果として多くの投資を引き寄せたのです。

その結果、集まった投資と多様なユーザーからのフィードバックを基に、高度なVRデバイスの開発に成功しました。

参照:SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書|ネットコマース

適切なMVP開発の進め方を把握しよう

MVP開発は必要最小限の機能を搭載した状態でリリースし、ユーザーからフィードバックを得て改善していく開発手法です。
低コストでスピーディーに開発できるうえに、ユーザーのニーズに適合したプロダクトを開発できるため、世界中の企業が実践しています。

MVP開発は多くのメリットがありますが、実践する際は進め方やポイントを押さえておきましょう。
適切な進め方を把握すれば、MVP開発が成功する可能性が高まります。

システム開発を検討されている方に向けてすぐに使える『RFP(提案依頼書)テンプレート』をご用意!

編集しやすいパワーポイント形式のテンプレートなので、項目を埋めるだけで簡単にRFPが作成できます。

この記事を書いた人
Wakka Inc. メディア編集部
  • ホーム
  • ブログ
  • MVP開発とは?アジャイル開発との違いや進め方、メリットや事例を紹介