オフショア開発における準委任契約・請負契約の特徴と向いている案件とは

2022.03.30
ラボ型・オフショア開発
中垣圭嗣
準委任契約_ラボ
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オフショア開発を行う際には、準委任契約と請負契約のどちらかの契約形態を活用してプロジェクトを進めることがほとんどです。

オフショア開発を成功に導くためには、準委任契約と請負契約の違いを正しく理解し自社のプロジェクトに合った契約形態を選ぶことが必要です。

そこで準委任契約、請負契約の特徴とそれぞれの契約形態に向いているオフショア開発案件を紹介します。

オフショア開発のうち、Wakka Incでは準委任契約のラボ型開発サービスを提供しています。
ラボ型開発に興味がある方は「【保存版】成長企業が導入するWakkaのラボ型開発」に詳しいサービス内容を掲載しているのでご覧ください。

目次

準委任契約と請負契約の違い

まず、準委任契約と請負契約の特徴を解説します。

準委任契約

オフショア開発における準委任契約とは、ある業務やプロジェクトに関する労働力や技術提供を委託先に任せて、その労働期間に対して報酬が支払われる契約形態のことを指します。システム開発の目標や方向性は発注者側が定めますが、プロジェクトの進行は委託先の企業が担います。

準委任契約では、成果物(アウトプット)ではなく業務の遂行を目的としています。
そのため、成果物に対して委託先の企業は完成責任を負いません。

また、発注者都合で、途中で準委任契約を終了する場合、受託側がすでにした履行の割合に応じて報酬を支払う必要があります。

IT業界では一般的に、準委任契約のことを「SES(システムエンジニアリングサービス)」と呼ぶことが多いです。

請負契約

請負契約は、成果物を完成させる義務があり、納品後に検収され問題がなければ報酬が支払われる契約形態です。
そのため、開発が完了したものの、成果が出なかった場合は報酬が発生しないこともあります。

また請負契約には瑕疵担保責任があり、納品したシステムに欠陥や不具合などの瑕疵があった際、委託先の企業に責任が発生します。

準委任契約と請負契約の大きな違いは、委託先企業の「成果物の有無」と「瑕疵担保責任の有無」の差と言えます。

準委任契約は成果物の完成は問われませんが、請負契約は成果物の完成責任があります。また、完成物に不具合があった場合に生じる瑕疵担保責任も負います。

SESついて詳しく知りたい方は「契約する前に知っておきたい!SESとSIerの違いや特徴を徹底解説」をご覧ください。

オフショア開発における準委任契約のメリットとデメリット

ここでは、オフショア開発で準委任契約を活用することのメリットおよびデメリットを紹介します。

メリット

オフショア開発における準委任契約は、一般的に『オフショアラボ型開発』と呼ばれます。

この形態では成果物の納品ではなく、委託先のエンジニアを自社の専属の開発チームとして提供してもらう契約となるため、発注側が委託先で稼働するエンジニアと意思疎通がしやすくなることがメリットです。

そうすることで、オフショア開発において課題となる、エンジニアとのコミュニケーション不足や進捗管理のブラックボックス化を防ぐことができるようになります。

また、準委任契約は労働時間に対して報酬が支払われる契約形態であるため、新規事業やR&Dなどのシステム開発の際に、よく発生する仕様変更にも柔軟に対応しやすいこともメリットです。

デメリット

準委任契約では、委託先に完成責任がないことがデメリットと言えます。たとえば、契約期間中に予定していたプロジェクトが完了しなかった場合、発注側は委託先と追加で再契約を結ぶか、もしくは別の委託先と契約を結ぶかを選択しなければなりません。委託先のスキルの質が悪ければ、当初の計画よりも開発費用が多くかかるケースがあります。

また、開発したシステムやソフトウェアに対する責任はすべて発注側が負わなければいけません。納品した成果物に対して瑕疵があった(品質が不十分だった)場合や、完成したアプリやシステムを第三者が購入した後に欠陥が発覚した場合も、発注側の責任になります。そのため、発注側が開発しているシステムの品質保証体制を構築するなどの対策が必要となります。

一方、オフショア開発における請負契約では、「契約した完成物・アウトプットに関して完成させる義務」があることで納期までに完成品を納品できるというメリットがあります。デメリットは、途中で仕様変更は難しく、変更に応じて追加費用が発生することです。

オフショア開発で準委任契約が向いている案件とは

ここでは準委任契約が向いている案件の特徴を3つ紹介します。

大規模開発かつ仕様変更が発生しやすい案件

請負契約の場合は、契約前に要件定義や設計費などを決定したうえで契約を結びます。そのため、基本的に契約期間の途中で仕様や開発リソースの変更が困難です。準委任契約であれば、大規模な開発プロジェクトや企画が確定していないなど仕様変更が頻繁に発生しやすい案件に対して柔軟に対応ができます。

中長期での開発が予想されるシステム開発案件

準委任契約では完成の条件や時期などの定めがないことから、中長期での開発が予想されるシステム開発案件に向いています。長期間、優秀な人材を確保できることで委託側が発注側の業務や組織風土に慣れ、安定した開発が可能になります。

システム運用・保守など自社内で賄うのが難しい案件

システム運用・保守は24時間365日の稼働が必要で、一般的に自社内でエンジニアを賄うことが難しいとされています。そのためシステム運用・保守は、特定の委託先が長期間継続して業務を担うことができる準委任契約が適しているといえます。

また、システム運用・保守の業務は突発的なトラブルに対して柔軟な対応が求められたり、業務範囲が多岐にわたります。準委任契約の契約期間内であれば、業務内容の変更や継続的なメンテナンス実施に対して柔軟に対応ができることもメリットです。

上記のような案件は、途中で仕様変更が起きやすく、長期継続的な案件であるケースがほとんどです。そのため、労働期間を明確にした内容で準委任契約を結ぶのが適しています。

一方、小規模で費用を抑えたい開発案件や期間が短く単発の案件、仕様が明確な案件は請負契約が向いています。システム開発の完成までの期間を考慮しなければならないため、納期に余裕がある案件がいいでしょう。

準委任契約でオフショアを活用するのであればラボ契約という選択肢も

オフショア開発における準委任契約と請負契約の特徴について紹介してきました。オフショア開発には、コストの削減や優秀な人材を確保できるメリットもありますが、物理的距離の問題やコミュニケーション不足による管理体制の難しさなどが課題にあります。

準委任契約でオフショアを活用するのであれば、コストを抑え中長期間優秀な人材を確保できる「ラボ契約」という選択肢も有効です。「ラボ契約」はオフショア開発の契約形態のひとつで、外部のエンジニアチームを確保することで、コストダウン・人材の確保・仕様変更などの柔軟性・自社にノウハウを蓄積できるなどのメリットがあります。

委託先企業との文化や言語の差があるため、メリットを生かすためには適切な体制づくりなどのマネジメントが必要ですが、案件量が安定している中長期の開発案件や、仕様や要件を変更する可能性がある場合も「ラボ契約」を活用できます。

準委任契約、請負契約の違いを理解し、自社のサービスに合った適切な契約を結びましょう。

ラボ契約について詳しく知りたい方は

システム開発でのラボ契約とは?請負契約との違いや導入時の注意点を解説」をご覧ください。

Wakka Incでは、10年以上のオフショア開発の実績があり、日本の本社とベトナム支社が一丸となってお客様のオフショア開発や海外の開発子会社設立を支援しています。

オフショア開発について少しでも気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。

ラボ型開発のご相談はWakka.incまで

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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