契約する前に知っておきたい!SESとSIerの違いや特徴を徹底解説

2022.02.21
ラボ型・オフショア開発
中垣圭嗣
SIer_SES_Difference
目次

はじめに

デジタル時代において、企業がITシステムやソフトウェアを導入するのはもはや当たり前になっています。

そのような中で、新たなシステムを開発・導入する際には社内でのノウハウや、人材不足から外部のITエンジニアの助けを借りるSESやSIerなどのサービスを活用する企業も多いでしょう。そこで、今回はSESとSIerを効果的に利用できるように、両者の特徴や違いを紹介します。

SESとは

SES(エスイーエス)とは「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略称です。

システム開発やソフトウェアの保守・運用など、顧客が必要とする特定の業務に対して、エンジニアの紹介や労働力・スキルの提供を行うサービスのことです。SESに所属するエンジニアのほとんどは、自社の社員を客先に常駐させる「客先常駐」です。

顧客が必要な期間だけ、エンジニアの能力を労働時間単位で提供します。顧客が必要としているのは「足りない人員や開発期間に応じてエンジニアを確保すること」で、「完成したシステムではなく、エンジニアリソースを必要とする業務」に向いています。

システムのテストやソフトウェアの運用保守など、特定の業務に対して活用されることが多いのがSESの特徴です。SESは労働時間単位で報酬が発生するため、仕様の変更にも柔軟に対応できます。

また、社内のノウハウやスキル不足が発生した際にも、SESであればスポットでエンジニアを補うことが可能です。

SIerとは

SIer(エスアイヤー、エスアイアー)とは、システムを統合するという意味を持つ「System Integration(システムインテグレーション)」の頭文字SIにer(〜を行う人)をつけた和製英語です。

SIerは、受託ソフトウェア開発または情報処理サービスを提供する企業のことを意味します。ひとつのシステムの開発を行うだけでなく、顧客のシステム開発の要望に応じて、システムの統合、運用や保守、コンサルティングなど幅広い仕事を請負い、案件を受託します。ビジネスシーンにおけるシステムの複雑化などを受けて、導入企業はシステムを扱える専門的な人員確保のためにSIerを活用しているのです。

SIerが向いているのは「完成品が存在する業務」であり、多くのSIerで採用されているのが「ウォーターフォール型開発」です。業務工程としては、顧客と開発するシステムの企画、要件定義から始まり、設計、開発、テストと続きます。

このように、SIerは開発したシステムの保守や運用まで幅広く業務を受託するため、顧客(発注側)は、複数の業者へ業務を依頼する必要もなく、余分な従業員を割り当てる必要もありません。

なお、Slerと顧客は請負契約となるため、成果物に対して報酬が発生します。SIerには、大小さまざまな規模の会社があり、企業の成り立ちにより大きく3つの種類に分けられます。

メーカー系

システム開発に必須なのは、情報処理技術です。メーカー系SIerは、元々、情報処理技術に長けていたパソコンやハードウェアなどを製造しているメーカーから、情報システムを管理する部門が独立した企業です。

主に親会社から案件を受注し、公共機関に関わる案件や大規模なシステム開発を受託することが多いのが特徴です。

ユーザー系

ユーザー系SIerは、一般企業の情報システム管理部門が親会社から独立・分社化してできた企業です。

メーカー系のような業界の縛りではなく、商社系や生保系、通信系、金融系などの系統に分類することができます。親会社からの案件受注がメインですが、外部からの案件を受注することもあります。

親会社の業種によってシステムの業務内容が異なるため、それぞれの業界の強みがあるのが特徴です。

独立系

独立系SIerはメーカー系やユーザー系のように親会社から独立した企業ではなく、SI(システムインテグレーション)を専業としてきた企業です。

独立系SIerは自ら案件を獲得し、システム開発や運用業務を行っていきます。異なる製造元の製品を組み合わせて使用するマルチベンダーによって、自由にシステム設計をできるのが特徴です。

IT業界の契約形態の違い

IT業界の契約形態は大きく分けると準委任契約(SES)、請負(SIer)、派遣の3つです。それぞれについて解説していきましょう。

準委任契約(SES)

SESは主に準委任契約にあたります。エンジニアの労務などの管理を行う権限や出退勤管理や福利厚生、業務に関する指揮命令権などは、エンジニアがもともと所属している企業にあります。顧客企業(発注側)は、プロジェクトのなかでエンジニアがどんな仕事をするかをSES企業に要請するのです。

準委任契約の特徴は、エンジニアのスキルや労働力を契約内容に従って提供するため、労働時間単位で報酬が発生することです。また、顧客に対して成果物などの完成・納品義務がないことや製品の不備に対する責任(瑕疵担保責任)もありません。

請負(SIer)

SIerはクライアントと請負契約を結んで開発を進めるプロジェクトが多数を占めます。請負契約は、SES(準委任契約)とは異なり、エンジニアの働いた時間に関わらず成果物に対して報酬を得る契約です。

請負契約の特徴としては、顧客(発注側)に対して製品の不備に対する責任(瑕疵担保責任)があることです。そのため、欠陥があった場合修正に応じる必要があります。また、顧客(発注側)には業務指揮命令権がありません。

派遣

3つ目は、労働者派遣契約です。これは、派遣会社と労働者であるエンジニアが直接雇用契約を結び、派遣先である顧客先で業務に就く契約形態を指します。

SES(準委託契約)と同様に、働いた期間に応じて報酬が発生し、成果物などの完成・納品義務がなく、瑕疵担保責任を負うこともありません。SES(準委託契約)と異なる点は、業務指揮命令権が顧客(発注側)にあることです。

SESとSIerの違い

ここではSESとSIerの違いを改めて解説します。

SESとは、業務上の「契約形態」のことを指し、SIerは顧客からシステム開発などの案件を受託して業務を行う「企業」のことを意味しています。

SIerはプロジェクトを請け負う企業や案件の規模によって業務内容が変わるため一概には言えませんが、基本的には「SESは役務を提供すること」「SIerはシステムを納品すること(一括請負)」と規定できます。

SESは「エンジニアが働いた時間」に応じて報酬が発生するのに対して、SIerはエンジニアが働いた時間に関わらず、仕事の完成品に対して報酬が発生します。そのため、Slerは顧客の要望を満たしていなかったり、納品物が未完成だったりすると報酬を受け取れません。

業務指揮命令権は、SESとSIer(請負)ともに顧客(発注側)にはありません。

また、製品の不備に対する責任(瑕疵担保責任)については、SESには責任がなくクライアント先の顧客に発生します。一方、SIerが請負契約で開発を行った場合にはSIer側に瑕疵担保責任が発生します。

まとめ:システム開発を成功に導くためにはSESとSIerの特徴を理解することが重要

ビジネスシーンにおいて、新たなシステム開発や導入の際に、SESやSIerなどの外部のサービスを活用する機会が増えています。

企業間で契約を結ぶ際には、SESとSIerの特徴や違いを理解するだけでなく、依頼したい業務内容や範囲、自社の製品・サービスにマッチするかどうかなどの事前リサーチも重要です。

また、ここで紹介したSES・Sler・派遣の3つの契約形態以外にも、近年のIT業界においては「ラボ型開発」の活用も進んでいます。

ラボ型開発とは、ある一定期間、海外などに専属チームを確保して自社(発注者側)の指示のもとで開発を行うことです。オフショア開発のため人件費の低減が期待でき、契約期間内ならば優秀な人材を確保しておける点もメリットです。

さらに、ラボ型開発ならば、請負契約と違い、急な仕様変更や追加開発にも柔軟に対応できます。案件によっては、SES・Slerなどよりも効果的なシステム開発が期待できるので、選択肢のひとつとして検討する価値はあるでしょう。

ラボ型開発についてさらに詳しく知りたい方は、個別に詳細を解説しているページがありますので、

「【ラボ型開発】 その特徴とメリット・デメリットは?|分かりやすく解説」をご覧ください。

もし、ラボ型開発の利用に興味をお持ちの方は、詳細をご説明しますので、以下リンクからWakka.Incに気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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