【法人設立】ベトナムでオフショア開発拠点を立上げ運営した話

2022.10.25
ラボ型・オフショア開発
河原一泰
ベトナムオフショア開発拠点
SHARE ON
  • FaceBook
  • Twitter
  • LINE
  • Note

こんにちは。Wakka Inc.で開発本部の部長をしている河原です。
私はWakka Inc.の開発本部長であるのと同時に、ベトナム・ホーチミンシティにある開発拠点、LAMPART Co.,Ltd.の社長も兼任しています。

ここでは、そのベトナムの開発拠点をたちあげ、会社登記をしてきたなかでの経験談や、現在の120名を超える規模に成長してきた道中に苦労したことなどを中心に書いていこうと思います。これからベトナム進出される方や、海外でのエンジニア雇用を考えている人たちになにかしらの参考になると良いなと思っています。

Wakka Inc.では、ベトナムでの法人設立の支援をしています。
ベトナム法人設立における基本STEPや人材採用の基本手法について知りたい方は「ベトナム法人設立マニュアル」をご覧ください。

目次

なぜ設立したのか

もともと当社では日本国内にてWeb系システムの受託や、メディアの保守運用などを業務として行っていたのですが、日本国内の所属エンジニアたちはこうした通常のプロジェクトや保守運用業務に工数を取られ、新規や追加での受託開発やR&Dを行うことが難しい状況が続いていました。

こうした状況を改善するためにベトナムに拠点を立ち上げることを決定し、ベトナムで活動するチームには主に保守フェーズに入ったプロジェクトを担当してもらい、その結果日本側にリソース余力をもたせ、R&Dや新規事業の開発などにリソースをしっかりあてていこうという狙いがありました。

後述していくのですが、結果的に現在のベトナム拠点については拡大を続けることになり、当社のメイン開発拠点としてあらゆるプロジェクトの開発業務とR&Dを担う組織となりました。

駐在員事務所の設立

海外に進出されているみなさんはご存知かと思いますが、現地法人や海外支店の他に、駐在員事務所という出店形態があります。Wakkaでは当初、駐在員事務所をベトナムに設置しました。

これは事前の調査で現地法人のライセンス取得には一定の時間がかかることがわかっていたため、先に駐在員事務所を設立し、調査などの準備がひと段落した時点で現地法人の登記に着手しようということで決めた経緯があります。

駐在員事務所のメリットとデメリット

そんな駐在事務所の形態ですが、この形態での進出にはどんなメリットやデメリットがあるのか、実体験に基づいて説明します。

 メリット

・現地のスタッフを採用するために、法人設立までの時間短縮ができる
・現地スタッフに給与支払を行うスキームとして利用できる
・駐在員のビザ関連について申請ができる

駐在員事務所では、売上の計上ができない仕組みとなっているので(つまり営業できない)まずは採用と雇用したスタッフの教育を行っていきました。同時にバックオフィス担当のスタッフ雇用と現地法人設立に向けての調査や手続きの進行を駐在員事務所にて行いました。

デメリット

・当然ながら駐在員事務所開設にもコストがかかる
・現地法人設立後の閉所手続きが面倒
・スタッフの転籍手続きが面倒

デメリットについては、やはり現地法人設立時の転籍や駐在員事務所を閉める必要があるところでしょうか。スタッフの転籍は契約の終了として書類や手続きを進めた後、現地法人での雇用契約をあらためて行う必要があります。当然の手続きではあるのですが、やはり海外かつ手探りでこの作業を行うことになりますし、スタッフも雇用まわりのやりとりでモタモタされると不安にもなります。給与振込みのタイミングなどもありますので、このあたりの手続きが続く間は非常にナーバスになりました。

現地法人の設立

そんなこんなでようやく現地法人の設立となります。
海外に進出すれば誰だって大変な思いをするのだとは思うのですが、わたしたちが設立にあたって苦労したポイントをまとめてみます。

会社設立にあたっての苦労

お役所に振り回される

進出あるあるだとは思うのですが、当社もご多分に漏れず大変苦労しました…。(思い出すだけで疲れる‥。)

特に申請書類のやりとりでこれが顕著で、まずは窓口の対応が非常に遅い。計画通りの進捗にしていくために、何度も当社スタッフがプッシュの連絡をしました。

進捗がようやく進んだかと思うとネットで調べた情報とは相違があり、書類再提出の連続。書類フォーマットまで違うと言われることがありましたし、複数部の準備が必要で揃えて持っていったところ部数が違うといわれてやりなおしをすることもありました。そうして揃えた書類も、後日の審査段階でさらに書類不備を指摘されるなど、もう数百回やり直しをしたんじゃないかというくらい大変でした(泣)

そのため何度も役所を往復していたわけですが、この頃は同行してくれていたスタッフと毎日3〜4時間は一緒に行動していたため、お昼やおやつをいつもご馳走をしていたところ、そのスタッフがどんどん太ってしまい逆に文句を言われるという事件もありました(笑)

オフィス探し

法人設立にあたっては登記住所が必要になるのですが、その住所のためにオフィスを契約しようとすると法人が必要になるという謎の仕様のため、登記用に仮の住所が必要でした。当社はもともと現地で知り合った知り合いのビルのGF(グランドフロア)を借りて登記住所として実際に活動を開始しました。

その後すぐに実際に業務を行うオフィス探しをするのですが、当時はまだまだ不便なことも多く、自分たちでネット検索や不動産屋に連絡してタクシーを1日かりて内見ツアーをするなどまさに手探りでのスタートとなりました。

チームの育成とはじめてのプロジェクト

会社設立時、2012年の開発に関わる社員数は、たった7名ほどでした。プロジェクトとしてもごく小規模のもので、

・メディアサイトの運用保守
・自社コーポレートサイトの運用保守
・ベトナムの飲食店まとめサイト開発
・LAツアー専門サイトの開発

などなど、、

まずは案件ごとにプロジェクトとしてチームを形成し、それを維持することでメンバーひとりひとりがプロジェクトの大事なポジションであることの動機付けをし、運用において改善提案を自発的に行うようにしていくなどといったマイクロマネジメントを行っていきました。常に意識していたこととしては、

・チームワークを促進できる環境を作ること
・オープンなコミュニケーションを国を跨いで取ることができるような場を用意すること
・組織内における問題解決をそれぞれが自発的に行うための場や環境を用意すること

日本とベトナムでは文化的な違いがたくさんありますが、結局のところ問題の多くはコミュニケーションに起因します。そのためコミュニケーションを密に取ることと、コミュニケーション上の問題を解決することができる土台や環境を意識して作り続けることを重視しました。

こうしたプロジェクトやライフサイクルを通して、チームの育成と維持に集中することで、国境を超えて相互に信頼できるチームが育ってきたのだと思います。

また、チームを育成するうえで目標はシンプルに以下の3つを設定しました。

1.要件や仕様の理解度を上げる
2.成果物のクオリティを高める
3.スタッフの個人スキルを高める

これらを管理するKPIを独自に設定し管理することで個人・チームの総合力を高めて来ました。当初は非常に手探りでの教育でしたが、現在では各職種においてチームごとに独自カリキュラムを開発していたり、人事評価での連動とマネジメントチームでの共有がなされています。

オフィス移転

移転の例を見ていただく前に、まずはベトナムでオフィスを選ぶにあたってのポイントがいくつかあるので大きなものから簡単にご紹介します。

1.契約期間

通常のオフィスでは2〜3年、サービスオフィスでは1年が一般的です。

2.保証金

家賃1〜3ヶ月分が一般的です。

3.家賃

ベトナムの法律により、契約書への記載についてはVND(ベトナムドン)が義務付けられています。しかしながらベトナムではUSD(USドル)での表記やUSDの為替レートを意識した値付けがされることが多いです。このため契約時のUSD為替レートによって、VNDの契約金額を決めるケースが多いです。

4.途中解約

途中解約できないケースが多いので事前に確認が必須です。

5.税金

通常10%のVATが加算されます。先方から提示された家賃にVATが含まれているのかどうかの確認が必要です。

その他注意点 

・会社設立(登記)が認められていないオフィスが存在する
・オフィスが外資系企業の登記ができない場合がある
・サービスオフィス(レンタルオフィス)でも会社設立(登記)が認められていない物件がある
・賃料は契約期間内に上昇することがある
・内装付き物件の場合、原状回復が必要になる
・オフィスが冠水エリアだと雨季に水没する
・自家発電設備の有無(停電対策)
・バイク駐車が可能かどうか
・オフィス近隣の飲食店数やクオリティ

思わずツッコミたくなる内容があったりしますが、まだまだたくさんありますので割愛します。

はじめて借りたオフィス

はじめてのオフィスは「オフィス探し」で前述した知人のビルのGFでした。

ここは知人のご厚意で3ヶ月間だけお借りすることになりました。この間に駐在員事務所の開所と最初のスタッフの雇用を行いました。

スタッフの雇用といっても当時は面接をする場もなく、仕方なくレタントン通りとタイバンルン通りの日本人街のヘム(路地裏)にあるレンタル催事上みたいなところを借りてグループ面接を行っていました。定食屋さんやラーメン屋さんがあるヘムのメイン通りのあたりです。しかし路地裏での面談なので候補者が迷子になってたどり着かなかったりとトラブルだらけでした。ここで雇用したスタッフを最初のオフィスに集めて業務を開始しました。

第1の移転

住所   :Phan Đăng Lưu, Phường 2, Phú Nhuận, Thành phố Hồ Chí Minh
平米数  :90㎡

2012年~
当時はわずか8名しかいない会社でしたが、最初に借りた知り合いのビルのGF(グランドフロア)も3ヶ月間の約束だったため、すぐに移転をすることにしました。

この当時は停電が多く、業務に差し支えることが多かったためにオフィスビル選びの条件ではビル内に自家発電機があるかどうかを重要視していました。

組織規模と比べるとあきらかに高い家賃を払って「Phan Đăng Lưu」という通りにオフィスビルを借りたのですが、この理由はホーチミンシティの国際空港であるタンソンニャット空港からもほど近く、飲食店が多くベトナムの若者に人気のエリアだったためです。これを利用して優秀な人材をできるだけ多く採用したいと考えての移転でした。

結局その思惑が的中したかどうかはさておき、すぐに10名近い社員を採用できています。この時期は求人媒体へ掲載すると約1ケ月間で50名〜70名ほど応募があった時期でした。従業員数も順調に増えて90㎡のオフィスはあっという間に手狭になってしまいました。

第2の移転

住所    :Nguyễn Phi Khanh, Phường Tân Định, Quận 1, Thành phố Hồ Chí Minh
平米数:240㎡

2014年~
第2のオフィスはいきなり一棟借りです。
移転前のオフィスと比べると広さは約2.6倍へと広くなりました。

ベトナム法人設立から3年目とまだまだ駆け出しの企業にとってはかなりチャレンジングな選択であったといえますが結局事業は拡大し成長を続けていきました。このオフィスではスタッフは60名まで増えることになります。

当時は勢いで一棟借りをしましたが、ビルごと借りるとなるとベトナムでは入り口に警備員の設置が必要だったり、ビルの駐車場のメンテナンスや消防署検査の対応、ビルそなえつけのエアコンの整備など、大変なことがたくさんありました。

こうした中でもオフィスの利点や活用について当時のスタッフ達と一緒になってアレコレ考えた時期でもありました。

・スタッフの働きやすい環境とは
・スタッフの気分転換がしやすい環境作りとは
・スタッフにとって長く働きたい環境だと思ってもらうこと、働く環境に投資する企業であることを理解してもらうにはどうすれば良いか
・積極的な採用活動を継続していくためにどうするべきか
・採用活動において好印象を与えるオフィスはどうあるべきか

こうしたことを一緒に考え、よりよりオフィス環境づくりを行うことで、採用活動への寄与はもちろんバックオフィスのスタッフだけでなく社員みんながオフィス環境に対して改善アイディアを出したり当事者意識を持って活動していくような社風のきっかけとなったと感じています。

第3の移転

住所   :Nguyễn Văn Trỗi, Phường 14, Phú Nhuận, Thành phố Hồ Chí Minh
平米数:510㎡

2016年~
当時の従業員数は90名ほどまで増えました。

この移転では、不動産業者を通さずにメンバーと一緒に歩き回ってオフィスを探しました。

もともとは350㎡のオフィスでしたが、拡張工事を行い510㎡となりました。第1の移転でもお世話になったフーニャン区にオフィスを借りました。フーニャン区は私自身が非常に好きなエリアでもあったこともあるのですが、当社のスタッフが周辺地域に居住していることが多く、交通の便や浸水しにくい立地であったこと、渋滞回避の観点から決定しました。

また、このころ(2019年頃)から、これまでの現地法人の運営や開発チーム育成ノウハウ、法人設立ノウハウなどを活かして、ベトナム法人設立を前提としたラボ型開発サービスを提供し始めています。

トライ&エラーを繰り返してきた採用やチーム育成手法と、現地法人設立ノウハウ(ここまでグループ会社やサポート依頼で手伝った複数社の登記)を提供する内容で、サービスを作ってすぐに2社のITベンチャーさまにご契約いただきベトナムに開発拠点を設立するサポートをさせていただきました。

現在

住所  :Lầu 12, An Phú Plaza 117-119 Lý Chính Thắng, Phường Võ Thị Sáu, Quận 3, Thành phố Hồ Chí Minh
平米数:811㎡

2020年~
現在も入居しているオフィスはコロナ禍での移転でした。
200名体制を目指し 811㎡のオフィスフロアをまるまる借りることにしました。現在では120名ほどまで拡大していますが、引き続き積極的に採用活動を行っています。

ここまでオフィス遍歴を振り返ってきましたが、いずれの移転においても共通しているのは、人員増加を見越した大胆なオフィス物件選びでした。
90㎡ → 240㎡ → 350㎡ → 510㎡ → 811㎡

このように拡張と移転を繰り返してきました。事業とオフィスを拡大し続けると同時に社員数は当然ながら増加していくわけですが、社員増加の過程で悩ましいことがたくさんありました。

拡大期における組織体制と採用活動

ベトナムでは毎年経済成長率が5〜6%を超えています。そのためベトナム国内の採用市場は当社が進出してからもずっと活発な状況が続いています。近年はシニアエンジニア層ともなると、日本のシニアエンジニアと比べても遜色のない能力をもったエンジニアが多数生まれており、各企業が優秀な人材を採用するべくしのぎを削っています。

世界的にDX需要やWeb3.0人材需要が高まる昨今では、自国内のエンジニア不足を解決すべくベトナムのIT市場に進出する外資系企業もまだまだ増加すると考えています。

ここでは、当社のこれまでの採用活動やそれにあわせた組織運営を簡易的にではありますがリアルな情報として発信してみたいと思います。

2012年~2013年の組織体制と採用活動

画像は2012年のプロジェクトの構築フローと2012年〜2013年の採用計画です。すごい適当ですが当時はとにかく手探りで、当時のファイルを掘ってみるとこのようなメモが残っていました。

エンジニア – 5名
ITC – 2名

まだ初期の段階で開発部は7名の組織でした。プロジェクトをどのように日本からベトナムへ割り振って製造を円滑に機能させるかということに手探りで挑戦しはじめたフェーズです。

当初、クライアントからITコミュニケーターを通じて直接エンジニアへ指示出しするのが理想として思い描いていましたが、クオリティを担保するためには仕様理解や説明部分で日本側のSEが間に入らなければならないのが現実でした。SEが間にはいる前提でもあったので、開発の現場であるベトナム側へ送付する要件定義書についてはあまり作成に時間をかけないようにしていました。クライアントの希望する予算や納期と製造クオリティを天秤にかけながらベトナム現地へのコミュニケーションコストの配分をするのに非常に苦労しました。

クライアントへのデリバリー業務は基本的には駐在の日本人SEが確認してソースサーバーにアップし、日本側のSE陣が最終デバッグする流れでした。

また、とにかくエンジニアを増やしてプロジェクトをより多く受注することも当時の規模では重要なミッションであったため、採用活動にも関わる日本人駐在員の業務量は大量になりとにかくハードワークでした。当時私は赴任してから20kg近く体重が落ちました…。いまはふっくらもどっていますが(笑)

2013年~2015年の組織体制と採用活動

BrSE(ブリッジSE)を中心とした日本語人材を積極的に採用する方針を取って試行錯誤していました。エンジニアは20名を超えて来た頃かなと思います。

当時の課題

・BrSEの人材不足
・BrSEへ作業分担しきれず、現地駐在の日本人SEと日本側のSEで業務を推進していた

課題に対する打ち手

・日本側SEはクライアントとのMtgや要件定義で工数を使い切るようにする
・ベトナムで設計から納品まで対応可能にする
・ベトナムから直接納品が可能な品質レベルを達成する

結局のところ現地のエンジニアやスタッフを信じて業務を任せるということが重要でした。気持ちの問題とも取れますが、決断することがなにより重要で、決断さえしてしまえば不足しているスキルやノウハウを教育することもできますし、現地のスタッフも責任感を持って対応してくれるようになります。決断しきれなかったこれまではスキルが足りないと思えばスキルがたりている人員がすべてカバーするような状況だったため、育成に対して課題感をもって改善行動を行っていました。

2015年~2016年の組織体制と採用活動

基幹システムの開発やフルスクラッチでのEC開発〜保守などを一気通貫して対応できる現場体制が整ったことで、エンジニア採用がさらに加速し2015年〜2016年にかけては従業員数で約60名ほどに増員することができました。

プロジェクトによっては品質改善の課題もあったので社としてはじめて「テスター」人員を採用開始した時期でもあり、増員課題の解決にインターンの募集を開始した時期でもあります。

ありがたいことに、プロジェクトの状況としては人手不足に陥るほどプロジェクトが複数稼働しており、新規で小規模なプロジェクトが走るときにはベトナム現地の日系企業へ短期間ではありますが人材派遣で1〜2ヶ月ヘルプをお願いすることが何度かありました。

2017年~2020年の組織体制と採用活動

ちょうどコロナ禍前になりますが、2017年〜2020年にかけては全従業員数で約100名体制へと増員することができました。QCといわれるいわゆるテスターも10名ほどの組織となり、デリバリー部門のクオリティもかなり良いかたちになってきました。

引き続きインターンの雇用も続けており、ここでさらに社内の教育専門の部署を立ち上げることになりました。この部署のKGIは「インターン雇用から10ヶ月間で実務での活躍が見込める人材へ育て上げること」でした。活躍できると判断するためのKPIは教育部門の他に現場のマネージャーが個別に管理し評価します。

当初のインターン採用は10名からはじまりましたが、今日に至るまでこの部署でのインターンから本採用となったエンジニアや、ジュニアからミドルやシニアエンジニアまで成長した人員も存在します。教育部門は当社の採用や育成業務のなかでも大きな柱のひとつとして現在も機能しています。

こうした育成の活動は通常の採用においても候補者から多く質問を受けます。教育部門のカリキュラムや制度を説明することで一般からの応募者に対する訴求も可能となりました。当社で行っている教育についても【オフショア】品質問題を防ぐ!弊社ベトナム拠点での教育ノウハウ公開 にて公開しています。

2021年~2022年の組織体制と採用活動

2021年〜2022年(現在)にかけては従業員数を125名へ増員しました。

直近の採用については「【ノウハウ公開】ベトナムで優秀なエンジニアを採用する方法とは?」でも情報公開しているので参考にしていただければと思います。

駐在員の選定と採用

私自身も駐在員であったわけですが、今現在ではベトナムと日本を往復する生活をしており、100名を超える組織ともなれば現地の日本人駐在員もやはり増員をしてきました。そんな現地の駐在員ですが選定や採用において重要視することがあり、これはつまり駐在員に求める能力でもあるのですが大きく2つあります。

マネジメント

現地のスタッフマネジメントとしては労務や総務、人事、経理などバックオフィス業務も多岐にわたります。それぞれ現地スタッフが存在し業務自体は行われるわけですが、これらの職種に対して現場レベル&俯瞰でのマネジメントが必要になります。日本での経歴でこうした現場経験やマネジメント経験があれば良いですが、まずすべてを経験してきた人は採用できません。そのため、現地でのコミュニケーションと日本の本社側との橋渡しをしながらこれらを取りまわす最低限の業務知識とバランス感覚は求められることになります。

プロジェクト管理

現地の開発組織をマネジメントする役割です。

当社だと開発とひとくちにいっても、多数の部署と日本側との連携や合同チームなどが存在します。そのためSEとしての経験はもちろんですが、バックオフィス同様に様々な業務知識とマネジメント経験が必要です。立上げ期においては自身もブリッジSEとしてプロジェクトに参加しながら同時に教育も行っていく必要があるでしょう。

また、当社に限らず海外駐在員が注力することとして、日本側の理解をしっかり得ることがあげられます。当然ですが文化の違う海外では日本の常識でははかれないトラブルが発生します。こうしたトラブルが「日本では考えられないので」という前提でいられるとなにもうまくいきません。

当社では、前代表がもともとベトナムで数年間活動していた経験もあり、その経験をもとにしたマネジメントや応対のコツを共有することができました。上長とこうした関係性を作っておくことや、メンターが存在するだけで精神的にも非常に助かった部分があります。

駐在員鬱なんていう言葉もあるくらいですから、海外駐在時において日本側との関係性をきちんと構築したり権限委譲を進めておくことも大変重要だと思います。

さいごに

​​「ベトナムにIT企業を設立し開発拠点として運営した話」ということで書いてきました。(長かった…。)実はまだまだお伝えしたいことがたくさんあるのが本音でして、これでもかなり割愛したつもりです。
ここでは書ききれなかったことも聞ける、ベトナムオフィスの無料視察ツアーなんかもあります。ご興味があればぜひ。

ベトナム法人設立ラボのご相談はWakka.incまで

伴走型システム開発・開発リソース強化ならオフショアラボ型開発。
Wakka Inc.はラボ型開発・海外法人支援で選ばれて10年。経験豊富なコンサルタントが、初めての海外進出でも手厚くサポートします。
ITベンチャー企業を中心にベトナム進出支援を手掛けてきました。エンジニアの採用支援から法人設立・運営サポートまで一気通貫で対応可能です。まずはサービス資料からという方はこちらから。

この記事を書いた人
河原一泰

Wakka Inc.開発本部の部長をしています。 最近は日本酒にハマっており、仕事終わりに大好きなペットのうさぎと遊びながら晩酌をするのが日課です。

  • ホーム
  • ブログ
  • 【法人設立】ベトナムでオフショア開発拠点を立上げ運営した話