【ノウハウ公開】ベトナムで優秀なエンジニアを採用する方法とは?

2022.07.27
ベトナム情報
中垣圭嗣
採用
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こんにちは。Wakka Inc.のベトナム法人、Lampart Co., Ltd.でラボマネジメント業務を担当する中垣です。私はベトナム現地で働き始めてから約9年になるのですが、9年前から現在にかけてベトナム法人の運営にずっと関わってきました。

この経験をもとに、IT企業のベトナム法人設立や運営サポートなどを広く紹介していますが、今回は「ベトナムでのエンジニア採用ノウハウを大公開!」と題して採用ノウハウの情報発信をしていこうと思います。ベトナムへの進出を考えているIT企業の関係者の方、またはすでに現地でIT企業運営をしている方にもなにかしらの改善策やヒントになるとうれしいです。

Wakka Inc.では、ベトナムでの法人設立の支援をしています。
ベトナム法人設立における基本STEPや人材採用の基本手法について知りたい方は「ベトナム法人設立マニュアル」をご覧ください。

目次

採用する職種

さて、エンジニア採用ノウハウと申し上げましたが、弊社ではその業務の特性上、様々な職種の採用を継続的に行っています。もちろん開発会社なので採用の中心はエンジニアということにはなるのですが、大きく社内の採用は以下の職種にわけられます。

・バックエンドエンジニア(BE)
・フロントエンドエンジニア(FE)
・ブリッジエンジニア(BrSE)
・ビジネスアナリスト(BA)
・ITコミュニケーター(ITC)
・クオリティコントロール、テスター(QC)
・人事、総務、経理(Admin)

それぞれの役割を記載していくと以下のようになります。

バックエンドエンジニア(BE)

弊社では主にPHPやJAVAを中心にしたエンジニア採用を行っており、20代の若手が中心です。主にWebシステム、スマートフォンアプリの開発を行っています。

特に多い業務としては、日本国内のWeb系システムの新規開発・保守・運用カスタマイズといったDevOpsを前提としたチーム伴走型の業務です。チームのPMやPLの指示の下、エンジニアが設計からリリースまでを一気通貫で行っています。

エンジニア達は比較的若手が多く、モチベーションやバイタリティが高いという特徴があります。こうした背景からか学習意欲も同様に高く、新しいフレームワークやモダンな技術を業務と関係なく自己学習することも多いです。

フロントエンドエンジニア(FE)

WebサイトやWeb/モバイルアプリのフロントエンドの構築・カスタマイズを行う職種です。

Webデザイナーが作成したサイトデザインをもとに、HTML・CSS・JavascriptやJSフレームワークを使用してWebサイトを構築していきます。

Web制作においては、ピクセルパーフェクトの概念やコンテンツマーケ、SEO概念を理解し構築を行うエンジニアも増えてきました。ベトナムではVue.jsやReact.jsといったモダンなJs開発についても開発者が多数存在します。

ブリッジエンジニア(BrSE)

日本とプロジェクトチームとの間でコミュニケーションや進捗報告の「橋渡し」の役割を持つ業務です。具体的には、以下の業務を担います。

・プロジェクト計画
・設計書の作成(翻訳や補足などの業務を含む)
・開発内容や設計内容を開発組織へ説明
・成果物の品質チェック
・関係者への開発進捗・品質報告業務

ビジネスアナリスト(BA)

要求分析、要件定義、外部設計、内部設計が主な業務となります。さらに弊社でいえばBAの重要な業務としてクライアントの業務プロセスを理解した上でエンジニアへ外部設計、内部設計内容を詳細に伝えることです。この業務のおかげでエンジニアの設計に対する背景の理解が進むのはもちろんですが、クライアントやSEが設計時に見落としているロジックや仕様矛盾をフィードバックすることが可能になります。 

 ITコミュニケーター(ITC)

日越間でのコミュニケーションの橋渡し業務。ITに精通した通訳・翻訳者です。

「正確性・効率性・調整」を意識した通訳・翻訳業務を職務としています。BrSEと違い直接エンジニアリングの業務は行うことがありませんが、システム構築の現場で専門的に通訳・翻訳業務を行います。文化、言葉が異なる日本とベトナムを繋ぐ大事な役割を持った職種です。

クオリティコントロール、テスター(QC)

QCは、一般的に女性が多い職種です。

主な業務は品質管理です。担当するシステムを高品質に安定供給できるよう。仕様の抜け漏れや関連する仕様との不整合などを網羅的にチェックします。

地道な作業が多いですが、縁の下の力持ちとして品質を改善・担保する重要な役割を担っています。

人事、総務、経理(Admin)

総務・人事・経理 などバックオフィス業務全般を行います。

・総務

各種契約関係書類の管理などの法務機能を持つとともに、会社の保守管理などを行っています。業務は多岐に渡りますが、会社によって役割や業務範囲が変化しやすい職種かと思います。

・人事(HR)

人事・労務・福利厚生を担当
日本でも一般的な人事関連の業務を網羅的に行います。当地の文化背景を前提として業務を行うため、採用においてはダイレクトリクルーティングやリファラルの採用活動に力を入れることも多いです。当然労務関連の業務も並行して行うことがありますので、社の規模に応じて増員をしていく必要があります。   

・経理

経理に関する業務全般を扱います。多くの業務を経理コンサルティング会社にアウトソーシングしている場合もありますが、一般的には社内でも雇用を行います。外資系企業の場合は、本社側とのコミュニケーションが必要なため、複数言語話者であることが多いです。

エンジニア採用の手法

さて、エンジニアの採用に移りますが、採用にあたってはいくつかの手法があります。大枠は日本国内とそう大きく違いはないように見えるのですが、細かいノウハウやコツはやはり当地の文化に関係してきます。ここではそれぞれの手法でどのように採用が行われるかを説明していきます。

求人広告

採用手法としてまずご紹介するのが求人広告です。その中でもベトナムで代表的な2社といえば「IT Viec」と「Vietnamworks」です。

エンジニア採用やIT企業の採用ではこの2社の媒体はまず確実に利用することになると思います。そこでこの2社の求人媒体の商品について一部をご紹介しつつ、弊社ではどういった利用をしているか手法を公開します。

まず、「IT Viec」Vietnamworks」共に、運営会社からチケットを購入し通常掲載の入稿を進めます。通常掲載期間は約1ヶ月間です。

ここでひとつ目のポイントですが、通常掲載とともにTOPページで上位表示にするオプションサービスを適用することをオススメしています。

これは掲載を開始すると、媒体の掲載順序でいえば上部からスタートするのですが、日が経つ(約1週間)につれて、掲載順位が下位になってしまいクリックレート自体が減少します。媒体の中で情報が埋もれてしまいがちになり結果的に応募数が減少する道を辿ります。この対策として通常掲載とあわせて上位表示オプションサービスの併用がひとつの改善策となってきます。

また、日別、月別のパフォーマンスを確認しPDCAをまわしてくことも必要です。

具体的には、閲覧された回数やクリックされた回数からクリック率を確認でき、閲覧数に対するクリックレートが悪い場合はクリックを促すためのタイトルを変更する対策や、詳細ページの閲覧から応募率が悪いと判断される場合は、詳細ページ文を改善しABテストを行います。

こうしたいわゆる運用型広告やオウンドメディア運用などで必須となるマーケティングノウハウを転用し、HRでの現場でも積極的に改善行動を取ることが重要です。長く求人広告運用を続けていればやはりデータも貯まりますし、相対的にデータや各数値を評価することができるようになります。

CV検索

日本の求人広告でもおなじみかと思いますが、採用要件にマッチした人材を検索できるCV検索機能が非常に有効です。

「IT Viec」「Vietnamworks」共に、求人のCV検索軸が豊富で採用要件にマッチした人材を探しやすいです。CV検索でのノウハウは非常に細かいのでここでは割愛しますが、これもまた長くデータを貯めてきた実績や、競合他社との差別化がモノを言います。常に運用におけるPDCAと競合分析を意識すると良いかと思います。

各媒体における商品やサービスについては、時期によって内容が変わるため、「IT Viec」「Vietnamworksのホームページでご確認ください。

人材紹介会社

ベトナム国内には日系の人材紹介会社が多数進出しています。一定の採用予算があり、即戦力人材を採用したいという場合には、そうした人材紹介会社を利用すると人材のスキルや経験を絞って探せるので効率的です。紹介フィーは年収の15〜25%程度です。

日本人・ベトナム人いずれも即戦力人材採用という場面では人材紹介会社に依頼するのが一般的かつ最適な手法のひとつになります。

弊社での利用シーンとしては、新規事業の初期メンバーに利用したり、リーダー、マネジメントレイヤーの人材を採用する際に利用しています。

リファラル

自社の社員から人材を紹介・推薦してもらうのも有効な採用の手法の1つです。ベトナムでは社員から人材の紹介を受けることが一般的で、社員が優秀な人材を紹介してくれるシーンを数多く見てきました。そのため、募集中の職種については人材要件を明確にして自社の社員に声をかけてみるのもよい方法のひとつになります。

弊社の例ですが、社員から紹介された人材が本採用となった場合には、その社員と候補者へ紹介料を支払う制度を敷いており、必要なポジションに応じて既存社員へ告知を行い紹介を促進しています。

社員から紹介された人材はやはり優秀であるからこそ紹介してきた場合が多く、高い確率で面接やテストに合格しスキルセットの指定が守られやすい傾向があります。

Facebook

ベトナム人は求職中にFacebookを活用しています。

仕事探しのFacebookコミュニティや業界別のコミュニティなどが存在するため、人事担当者がそのコミュニティに申請してメンバーとなり、求人情報を投稿する方法もあります。

例えばITコミュニケーターを募集をしているとしましょう。「日本語」「日本語人材」といったような専門のFacebookコミュニティに、求人情報とコンタクト先を書いた投稿をします。すると求職中の日本語話者や通訳の方が募集をしてくれることがあります。そのためSNSでの採用活動も有効な手法のひとつと言えます。また、さらにSNSでのエンゲージメントを高めFacebookの広告機能を使い募集を行う方法もあります。

   

エンジニアの採用フロー

次は募集から採用までの流れを弊社を例にしてご説明していきます。これも大きく流れだけをいえば日本国内と大差ないと思うのですが、やはり細部は多少違いがあります。

募集要項の作成

まずは必要な要件スキルに見合った人材や人物像などの募集要項を作成します。

他社との差別化を図り、以下のような応募者が注目しているであろう項目を記載することで興味を惹き、魅力ある募集要項を作成することが重要で応募数アップにつなげられます。

・必要な要件スキル
・福利厚生
・会社独自の制度
・求める人物像

この中では、福利厚生や独自制度が差別化に繋がりやすい項目ですので、こういったものがある場合は積極的に記載してみてください。我々のような外資系(ベトナムからすると)だと、日本への出張や研修だったりと、ベトナム法人だけではなかなかできないようなことがあると好印象だったりします。また、人物像では社の文化とマッチするように意識をしてください。このあたりはどの国でも同じだと思いますが、組織文化に合う人材を採用し、ミスマッチを防ぐという目的があります。

広告出稿

募集要項が決まったら、前述した求人広告などに出稿し募集を開始します。同時に複数媒体を利用することもありますので、それぞれのパフォーマンスチェックとPDCAを通じて広告効果を最大化します。

応募管理

候補者の応募状況をパイプライン管理して、関係部署と情報連携します。

面接やテストなども行いますが、競合各社も同様に採用に動いているため応募からアポ設定まではスピード勝負です。

アポイント設定

候補者とアポイント設定します。関係部署が多岐にわたることがありますので常にパイプライン管理&共有できるツールを利用しましょう。採用管理システムなどを利用するのがベストですが、存在しなければセキュリティに注意しながらExcelやSpreadsheetで管理します。

テスト・面談

テスト・面談は当日に完結させることがお薦めです。いかに採点までのフローや時間短縮をするかが肝となります。

弊社ではカンニング防止策を徹底した採点式のオフライン試験を実施しています。

また、遠方の候補者や何かしらの理由によりオフラインでの試験実施ができない候補者にはオンライン試験実施など柔軟な対応を行うことにより、テスト&面談数の最大化と途中キャンセル(離脱)率の最小化に努めています。

評価

採点結果と面接結果をふまえて評価します。評価基準は各社によって当然違うと思うのですが、当社では技術(スキル)・ビジネスマナー・カルチャーフィットの大きく3点を総合的に判断し採用可否を評価しています。特にカルチャーフィットは重要で、所属部のリーダー、マネージャークラスでの決裁を通過したのちにGM決裁しオファーレターの作成に至ることになります。

採用オファー

良い人材ほど複数社に応募し多くの内定を得ますが、オファーが早い会社ほど承諾率が上がる傾向にあります。そのため最終面接の当日に採用オファーを送ることも少なくありません。この手法については様々な見解があるのですが、これまでの経験上、求職者にはオファー送付までのスピードが重要視されている傾向があります。

 

採用決定

オファー送付からオファーへの承諾、そして入社日まで数回にわたり候補者の近況確認アプローチを行います。オファー承諾後も離脱率を最小化するためのコミュニケーションコストをしっかりとかけていきます。

給与トレンド

ベトナム統計総局が行った調査によるとベトナムの平均賃金は、ここ10年間で約3倍に増加しています。こうした状況から、いまなおベトナム国内ではエンジニアは人気の職業であり、若く優秀な層がどんどん増えています。

多言語話者も増加傾向で、アジア圏だけではなく、北米や欧州からの外資系企業も多く参入をしてきています。

そのためこれまで同様、またはそれ以上にエンジニアの平均給与は増加をしていくことになると思います。

弊社では開発言語や職種別に弊社が独自に調査したエンジニアやその周辺職種の平均給与レンジデータもございます。ご興味があれば是非お問い合わせください。

教育制度

採用の後押しができるコンテンツとして、弊社では人材の教育&育成に力を入れています。採用ノウハウとはちょっと話題がズレてしまいますが、弊社が長年積み重ねてきたベトナム拠点での人材教育ノウハウも公開しているので、ぜひ採用ノウハウとあわせて参考にしてみてください。

まとめ

ここで公開してきたエンジニア採用ノウハウや教育について、さらに詳細にお伝えするコンテンツをご用意しました。ベトナム、ホーチミンシティでの無料視察の受け入れサービスです。

今回お話した内容をさらに詳細に公開するのはもちろんですが、実際にその組織がどういった働き方をして、ベトナム法人をどのように運営しているかなど、実際に弊社内を見ていただきながらセミナー形式でご紹介します。ぜひこの機会に遊びに来てください。現地のおいしいランチにもご一緒しましょう!

この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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