【解説】ベトナムにおけるIT企業の優遇税制

最終更新日:2026.09.24
ベトナム情報
中垣圭嗣
優遇税制
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こんにちは。ベトナム駐在の中垣です。ベトナムへの新規参入を目指した出張者の方々の増加と、IT業種での進出を目指した方々も増えてきたように見受けられます。

当社では、ベトナム関連の記事を多数作成していますが、今回はベトナムにおけるIT企業の優遇税制について解説します。

法人税率の低さがベトナム進出の魅力の1つですが、
現在、IT企業の進出は活発な傾向にございますので、進出を考えている方々の中には、ベトナムにおける法人税について気になっている方も多いかと存じます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。

目次

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ベトナムの法人税について

法人設立から合計15年間の法人税の優遇を受けることが可能です。
ベトナムの標準法人税率は、20%と日本と比べると比較的低くなっています。2025年10月以降は、中小企業向けに年間総収入30億ドン未満で15%、30億~500億ドン未満で17%の軽減法人税率が導入されました。ただし、ソフトウェア生産企業は別途、IT優遇税率や免税・減税制度の適用対象となる場合があります。

これまで、外資誘致のためもあってか段階的に税率を引き下げてきた歴史があり、さらに積極的に誘致を目指している業種、または地域に対しては、多数の優遇税制が採用されています。
その中でも今回は当社も恩恵を受けたIT企業の優遇税制(減税・免税・優遇税率)について解説していきますが、こちらはライセンス(業種)や事業内容、地域によって内容が異なり、法解釈にも幅があるためいくつかの注意が必要となっています。

IT企業の優遇税制

ベトナムの優遇税制は、大きく分けて「①優遇税率」と「②減免税」があります。
IT企業の主な優遇税率として、

①売上計上年度から15年間にわたり法人税率10%の適用
②課税所得が発生してから4年間は免税、9年間は50%の減税が適用

2025年10月1日施行の新法67/2025/QH15により、工業団地への立地を理由とした『2年免税+4年50%減税』は同日以降に認可されたプロジェクトでは廃止され、一方で半導体設計・製造・検査やAIデータセンターなどが優遇分野に追加されました。ソフトウェア製造は引き続き優遇対象です。あらためて数字を見るとかなり魅力的ですね!

参照:各国・地域の税制概要とホットトピックス ベトナム|経済産業省

【例:売上が計上されて課税所得が発生する場合】
以下、法人設立年数と優遇税制率と課税所得の発生を纏めたイメージ図になります。
是非とも参考にしてみてください。

IT企業の優遇税制と期間

期間優遇税制(簡易説明)
設立後4年間CIT(法人税)100%免除
設立後5年目~13年目CIT率10%となり、CITの50%免除
設立後14年目~15年目CIT率10%で納税
設立後16年目~通常税率で納税

※ ソフトウェア生産企業が要件を満たす場合の一般的な優遇税制です。
※ 免税・減税期間は「会社設立日」ではなく、「初めて課税所得が発生した事業年度」から起算されます。以下は2026年に設立し、2026年に初めて課税所得が発生した場合の例です。

期間優遇税制(簡易説明)
2026年~2029年CIT(法人税)100%免除
2030年~2038年CIT率10%となり、CITの50%免除
2039年~2040年CIT率10%で納税
2041年~通常税率で納税
期間課税売上CIT(法人税)納税額
設立後4年間¥25,000,000¥5,000,000¥0
設立後5年目~13年目¥25,000,000¥5,000,000¥1,250,000
設立後14年目~15年目¥25,000,000¥5,000,000¥2,500,000
設立後16年目~¥25,000,000¥5,000,000¥5,000,000

※ ベトナムの標準法人税率(CIT)は20%です。

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IT企業の優遇税制 各種条件

ベトナムでは製造業やハイテク・インフラ関連事業社にも優遇税制がありますが、それぞれ細かい条件があります。
ではIT企業ではどうでしょうか。IT企業の中でも、税制優遇の恩恵を受けられるのは「ソフトウェア開発」と定義されています。

・ソフトウェアの定義について
従来は情報通信省通達16/2014/TT-BTTTT等がソフトウェア関連活動の判断根拠として参照されていましたが、2025年の政府機構改革により情報通信省は科学技術省へ統合されました。また、2026年1月1日施行のデジタル技術産業法71/2025/QH15により、ソフトウェアを含むデジタル技術製品・サービスの法的枠組みが再整理されています。

参照:ベトナム国会「デジタル技術産業法(71/2025/QH15)」
参考(英語版):Law on Digital Technology Industry「No.71/2025/QH15」

・IT優遇税制になる条件
以下の6つの業種コード(ライセンス)の中から最低1つの業種コードを登録しなければなりません。

業種コード(ライセンス)CPCコード詳細
5820CPC 849ソフトウェアの発行(Software Publishing)
6201CPC 842コンピュータープログラミング活動(ソフトウェア開発、作成、修正、テスト、保守、組込みソフトウェア開発等)
6202CPC 842コンピューターシステムおよびシステム管理に関するコンサルティング
6209CPC 842その他の情報技術サービスおよびコンピューター関連サービス
6311CPC 843データ処理、ホスティング、関連サービス
6312CPC 844Webポータル運営(一般情報Webサイト、ポータルサイトの運営等)

※ ベトナムのIT企業で一般的に登録される主要業種コードです。
※業種コードはベトナムのVSIC(Vietnam Standard Industrial Classification)をベースに整理されています。

さらにその中でも科学技術省に含まれるソフトウェア開発のプロセスに準ずる必要があり、そのプロセスは要件定義からはじまる7つのものにいくつかの業務適用されていることや、プロセスを証明する書類を有していることが条件とされています。

ソフトウェア製造のプロセスについては下記をご確認ください。

・ソフトウェア製造プロセス
①要件定義 (機能、特徴等ソフトウェアの要件を決める)
詳細内容:顧客要求の決定、分析、要求の収集と開発、プロセス調整のコンサルティング、要求の集約と承認を含む要求の決定

②分析・設計(機能要件の仕様、アルゴリズムの設定等)
詳細内容:分析と設計、次のタスクを含む:要件の説明、開発アルゴリズムの確立、データモデリング、機能モデリング、情報フローモデリング、ソフトウェアソリューションの決定、ソフトウェアシステムの設計、設計ソフトウェアユニットとモジュール

③プログラミング・コーディング
詳細内容:プログラミング、コーディング

④検査・テスト
詳細内容:ソフトウェアテスト:ソフトウェアユニット及びモジュールのテストシナリオの作成、ソフトウェアテスト、ソフトウェアシステムテスト、ソフトウェア機能テスト、ソフトウェア品質検査、エラーの可能性評価、顧客満足度判定、ソフトウェア譲渡

⑤完了・梱包
詳細内容:ソフトウェアの完成と包装(ソフトウェア説明書、ソフトウェアのインストールと使用に関する説明書、ソフトウェアの包装、意匠登録、知的財産権の登録)

⑥インストール・ユーザーへの使い方説明・メンテナンス
詳細内容:設置、譲渡、指示、保守、保証(以下の業務を含む):ソフトウェアの設置指示、ソフトウェアの設置、ユーザーへの指示、譲渡後のソフトウェアのテスト、譲渡後のソフトウェアの修理、譲渡後のサポートと保証、ソフトウェアの保守

⑦販売、貸与、配布
詳細内容:出版、ソフトウェア製品の配布(以下の業務を含む):ソフトウェア製品のマーケティング、広告、販売、配布、ソフトウェア製品の出版

注意事項:
①〜⑦の工程の中で、①・②の工程を含んでいる必要があります。
科学技術省通達番号(13/2020/TT-BTTT)

また、優遇を受ける企業には情報通信省への毎年の報告をはじめとした義務があります。

IT企業の優遇税制 否認

ここまで前述した条件に合わない他IT業種、例えばソフトウェア販売やITコンサルティングなどは優遇対象外となります。また、税務調査にて優遇条件に該当しないと判断された場合、罰金や遅延金などの追徴はもちろん、過去の税額を優遇のない標準課税で支払うこともあり得るので注意が必要となります。

さいごに

ベトナムでのIT企業における優遇税制について解説してきました。
今回は法人税についてでしたが、これらは時期によって変更されたりと細かいアップデートがあります。詳細については各種関連コンサルティング会社へ調査依頼をしたり、ジェトロなどをチェックいただくと良いかと思います。
当社でも常にバックオフィスチームが調査や適用をしていますので、今後も法人税だけではなく、個人の所得税や付加価値税なども解説していきたいと思います。ベトナム関連記事についてはコチラをご確認ください。

最後に、当社ではベトナムでのIT企業運営手法を公開しています。現地でのオフィス訪問・内覧も無料で行っていますのでお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。