オフショア開発の外注事例5選|メリットやデメリットを徹底解説


オフショア開発は、海外の開発会社や子会社に開発業務を委託する手法で、労働力が不足している場合に効果的です。
自国より賃金が安い国に委託すれば、人件費を抑えながら労働力を確保できるため、開発にかかる工数・コストを削減できます。
しかしオフショア開発には、文化の違いやコミュニケーションの壁など課題もあるため、多面的に実施すべきかどうかを検討しましょう。
特にオフショア開発を実施するべきか悩んでいる企業は、実施するメリットとデメリット、他社の外注事例をよく確認することをおすすめします。
本記事ではオフショア開発の外注事例を5選ご紹介します。
メリットとデメリットの双方もあわせて解説するため、ぜひ最後までご覧ください。

オフショア開発の外注事例5選

オフショア開発を実施するべきか悩んでいる企業は、他社の成功事例を参考に、外注依頼するべきか検討しましょう。
オフショア開発の外注事例として、次の5つをご紹介します。
外注事例 | 企業名 | 外注先の国 |
営業支援ツールの外注事例 | REGAIN GROUP株式会社 | ベトナム |
CRMの外注事例 | 株式会社ブレイン・ラボ | ベトナム |
ビジネスチャットアプリの外注事例 | AI CROSS株式会社 | ハノイ(ベトナム) |
ECサイトの外注事例 | アスノシステム株式会社様 | ベトナム |
シェアオフィスアプリの外注事例 | 株式会社フロンティアコンサルティング | ベトナム |
各事例を参考に、自社の開発業務をオフショアで外注するべきか検討してください。
営業支援ツールの外注事例
営業支援事業を行っているREGAIN GROUP株式会社が、オフショア開発でAIを利用した営業支援ツールをリリースしました。
過去に何度もオフショア開発を行っており、ベトナムへのオフショア開発を推奨しています。
ベトナム人は仕事の対価として「やりがい」や「スキルアップ」を求めている傾向があり、熱意を持って仕事に取り組み、難易度の高い案件でも積極的に受注する姿勢があるそうです。
システム開発チームを国内で依頼した場合、工程数から費用を算出する時間給となり、開発期間が長引くほどコストが高くなる傾向にあります。
対してベトナムは国内より賃金が安く、意識の高いエンジニアが大勢いるため、高品質な営業支援ツールを破格のコストで開発できました。
優秀なプログラマーに巡り合ったことで、事業化を企画してからわずか半年で営業支援ツールをリリースしたオフショア開発の成功事例です。
参照元:技術力の高さは当たり前。仕事への熱量が高いベトナム人 | V-DETAIL | VNEXT HOLDINGS
CRMの外注事例
株式会社ブレイン・ラボは、東証プライム市場上場の株式会社じげんの子会社として、人材紹介の「CAREER PLUS」、人材派遣の「MatchinGood」を主力として扱っているHR領域のCRM企業です。
ベトナムにオフショア開発の子会社(ベンチュラ)を持っており、人材紹介の「CAREER PLUS」と人材派遣の「MatchinGood」をリリースするために、オフショア開発を外注しました。
オフショア開発では、委託先に業務を丸投げするのではなく、適度にコミュニケーションを取りながら「難しいものは巻き取る」姿勢で、委託先ともフラットな関係性を築きながら開発に取り組んでいます。
コロナ禍によってリモート開発が普及したことにより、遠隔地での開発業務が特別なものではなくなりました。
遠隔地にいるリモート開発では、コミュニケーションの接点を持ち続けることで同じプロジェクトに携わる仲間として必要な情報を共有し、同じゴールを目指す意識づくりを大切にしています。
自社のリソース不足をオフショア開発によって解消した成功事例です。
参照元:国境を超えた開発が成功する鍵は、壁をつくらないことにあった! | V-DETAIL | VNEXT HOLDINGS
ビジネスチャットアプリの外注事例
AI CROSS株式会社は、AI(人工知能)の活用など次世代サービスや技術革新を積極的に活用し、コミュニケーションツールなどITサービスを提供する企業です。
人件費の高騰や人材不足により国内でのエンジニア確保が困難になり、オフショア開発でビジネスチャットアプリ「InCircle(インサークル)」の開発を外注しました。
もともと東アジアの企業とオフショア開発を行ってきましたが、2017年ごろから価格が高騰し、コストメリットがなくなったことで外注を止めていました。
そこでベトナムのハノイにある企業にオフショア開発を外注し、技術力とコストパフォーマンスの高さによって、リソース・コストを抑えながらビジネスチャットアプリの開発を成功させています。
iOS、Android、Windowsアプリ、Webシステムという複数のスキルを持つエンジニアを探して、ベトナム企業にオフショア開発を外注した成功事例です。
参照元:オフショア開発成功の鍵は、 目指すゴールやビジョンの共有にあった! | V-DETAIL | VNEXT HOLDINGS
ECサイトの外注事例
アスノシステム株式会社様は、流通・物流関係の基幹システム構築などを行っている企業です。
過去にベトナムを含む複数の国でのオフショア開発の経験があり、ラボ型開発へと移行して他者のアプリ開発をアウトソーシングしています。
国内大手飲食サービス企業からの開発途中のアプリを引継ぎ、完成させる依頼を受けましたが、アプリで使用するプラットフォーム「Magento」を扱える技術者がほとんどいなかったことが課題でした。
そこでMagentoを扱える技術者を確保するため、ベトナム企業へオフショア開発を外注し、アプリ開発を成功させました。
自社に不足している技術をオフショア開発によって確保した成功事例です。
参照元:Magentoによるアプリ構築をラボ型のオフショア開発で継続していく秘訣 | V-DETAIL | VNEXT HOLDINGS
シェアオフィスアプリの外注事例
株式会社フロンティアコンサルティングは、設計施工、運用支援、不動産仲介までを多角的に行い、日本を含むアジア諸国で数多くのワークプレイスをつくってきた企業です。
パーソナルシェアオフィス「comolu(コモル)」の予約Webアプリケーションを開発する際に、施設オープンと同時のリリースを目指していましたが、十分なリソースが確保できずに悩んでいました。
そこでベトナムへオフショア開発を外注し、短期間(3〜4カ月)でのリリースを完了させました。
オフショア開発で課題となるコミュニケーションの齟齬は、日本人PM・SEが積極的に参画することで解消し、クラウドインフラやソフトウェア開発、現地疎通までワンストップで対応しています。
プロジェクトを日本人PMがコントロールし、開発リソースのみを外注したオフショア開発の成功事例です。
参照元:パーソナルシェアオフィス「comolu」新たな時代の「働く場」に求められる価値をデザインするプラットフォームビジネス | ベトナムオフショア開発|スマラボ
オフショア開発を外注するメリット

オフショア開発を外注するメリットは、次の通りです。
- コスト最適化ができる
- 労働力を確保できる
- グローバル化を促進できる
- 技術力を強化できる
- BCPにおけるリスク対策ができる
各メリットを確認して、オフショア開発を外注するべきか検討しましょう。
コスト最適化ができる
オフショア開発を外注するメリットは、開発コストを最適化できることです。
日本よりも人件費が比較的安い中国やベトナム、インドなどをオフショア先に選ぶことで、開発にかかるコストを削減できます。
日本国内のエンジニアの人件費は高騰しており、自社開発ではコストを抑えられないことからオフショア開発を外注する企業が増えています。
労働力を確保できる
少子高齢化に伴う労働人口減少によって、日本国内で労働力の確保が課題となっています。
特にソフトウェアやアプリケーション開発を行うIT人材は不足しており、各社が人材獲得に悩んでいる状態です。
しかし海外まで労働力を求めれば、優秀なIT人材が豊富にいるため、オフショア開発を外注することで労働力不足の課題を解消できます。
人件費を抑えながら外部の労働力を活用することで、自社のリソースを使わずに効率的な開発を実現できます。
グローバル化を促進できる
海外企業と協力して開発を行うことで、グローバル化を促進することが可能です。
オフショア開発を外注することで、海外企業とのつながりが生まれ、海外の顧客獲得や案件獲得が期待できます。
オフショア開発を外注している企業は、国内でも海外展開しているグローバル企業のイメージがつくため、ダイバーシティの促進や組織のグローバル化を促進したい企業にオススメです。
技術力を強化できる
オフショア開発を外注すれば、自社や国内にはない技術やノウハウを活用できるため、組織の技術力強化につながります。
オフショア開発によって海外の技術やノウハウを学び、自社に取り込めば競合にはないアドバンテージを獲得し、競争力を高められます。
自社の技術力を強化したい企業は、オフショア開発による海外企業への外注を検討しましょう。
BCPにおけるリスク対策ができる
オフショア開発を外注することで、BCPにおけるリスク対策ができます。
BCP(Business Continuity Planning)は、事業継続を意味しており、台風や地震、感染症など緊急事態化においても事業を継続させる計画を指します。
日本は台風や地震が多いため、BCPにおけるリスク対策が必要です。
海外の拠点に開発業務を委託することで、国内で災害や感染症が起きた際にも、問題なくシステム開発を進められます。
万が一の災害や感染症への備えとして、オフショア開発でBCPにおけるリスク対策を行いましょう。

オフショア開発を外注するデメリット

オフショア開発を外注するデメリットは、次の通りです。
- コミュニケーションの壁がある
- 文化の違いがある
- 品質管理が難しい
- セキュリティリスクへの対策が必要
オフショア開発を外注するべきか悩んでいる企業は、メリットとデメリットの双方を確認して、実施するべきか検討しましょう。
コミュニケーションの壁がある
オフショア開発を外注する場合は、海外の人材とやり取りをすることになり、コミュニケーションの壁を解消しなければなりません。
片方や両方が母国語しか話せない場合は、意思疎通が取りにくくシステム開発を進める上で、余分な時間や手間がかかります。
コミュニケーションの壁を取り払えなければ、プロジェクトの遅延や成果物の品質が低下するリスクがあります。
AI翻訳ツールの導入や言語トレーニングの提供など、円滑にコミュニケーションを取れるように対策することが大切です。
文化の違いがある
オフショア開発を外注する際は、文化の違いがあることを理解しておきましょう。
文化の違いにより仕事の進め方やコミュニケーションの取り方、距離感などが異なります。
オフショア先のエンジニアと円滑な関係を築き、スムーズに開発業務を進めていく上で、双方の文化の違いを考慮することが大切です。
文化の違いによる課題を解消するために、こまめなコミュニケーションを心がけて、双方の認識の相違を解消しましょう。
品質管理が難しい
遠隔地で開発業務を行うオフショア開発では、品質管理が難しい課題があります。
オフショア開発では、現地の開発状況や品質基準を把握しにくく、品質を均一化することが難しいです。
品質管理を徹底するために、明確な品質基準と評価基準を定めて、定期的に評価テストやフィードバックを実施する必要があります。
セキュリティリスクへの対策が必要
国内での業務委託と同じく、海外へオフショア開発を外注する際には、セキュリティリスクへの対策が必要です。
海外では日本国内とデータ保護法が違うため、情報漏洩やセキュリティリスクに対する対策法や課題が異なります。
遠隔地での開発業務を外注する際には、セキュリティトレーニングや法的コンプライアンスの研修など、セキュリティ意識を高める対策が必要です。
オフショア開発が向いているプロジェクト例

オフショア開発は、リソースやコストを削減しながら開発を進められるメリットがありますが、すべてのプロジェクトに向いているわけではありません。
自社が取り組むプロジェクトがオフショア開発に向いているか判断してから、外注を依頼することが大切です。
オフショア開発に向いているプロジェクト例は、次の通りです。
- 大規模・長期的なプロジェクト
- 外注先の国でも使われているプロジェクト
- シンプルなプロジェクト
上記のプロジェクト例を参考に、自社のプロジェクトをオフショア開発で外注するべきか判断しましょう。
大規模・長期的なプロジェクト
大規模・長期的なプロジェクトは、オフショア開発に向いています。
開発領域では、システム開発にかかる時間が長引くほど、開発コストが高くなる傾向にあります。
従業員ひとりあたりの人件費が安い海外にオフショア開発を外注すれば、長期的なプロジェクトでも開発コストを抑えることが可能です。
またオフショア開発の課題でもあるコミュニケーションや文化の違いも、大規模で長期的なプロジェクトであれば、コミュニケーションの壁や文化の違いを解消しながらプロジェクトを進められます。
長期的な付き合いでチームワークを発揮できる大規模なプロジェクトは、オフショア開発がオススメです。
外注先の国でも使われているプロジェクト
外注先の国でも使われているプロダクトや環境依存のないプロジェクトは、国内ではなく海外での外注開発が向いています。
外注先の現地でも使用されている有名なプロダクトや、日本特有のルールに依存しない環境依存のないプロジェクトは、オフショア開発でも問題なく開発を進められます。
シンプルなプロジェクト
複雑な開発工程がないシンプルなプロジェクトは、オフショア開発に向いています。
シンプルな開発工程であれば、特別な教育を施すことなく外注先のエンジニアでも問題なく開発を進めることが可能です。
そのためシンプルなプロジェクトをオフショア開発すれば、自社で不足しているリソースを低コストで確保できます。
オフショア開発の成功例を参考に外注を検討しよう

オフショア開発をするべきか悩んでいる企業は、本記事でご紹介した成功事例を参考に外注を検討しましょう。
オフショア開発は、人件費が安い国に開発業務を委託するため、開発コストを削減できます。
さらにベトナムなど熱意のあるエンジニアが多い国にオフショア開発を外注すれば、高品質な成果物を納品してもらえます。
国内にIT人材が不足している日本では、海外の優秀なエンジニアに外注するオフショア開発もひとつの手です。
自社が取り扱うプロジェクトが、オフショア開発に向いているのか検討して、外注するべきか判断しましょう。
