OMO型店舗とは?メリットと成功させるポイントをわかりやすく解説

2023.02.13
EC開発
中垣圭嗣
OMO型店舗とは?メリットと成功させるポイントをわかりやすく解説
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こんにちは。Wakka Inc.のベトナムラボマネージャーの中垣です。
ECサイトなどのオンライン販売が普及して以来、オンラインによる売上が大きく伸びています。加えて感染症の流行の影響で、オンラインの利用は爆発的に増加しました。
そのような中、OMOやOMO型店舗、OMO戦略という言葉がトレンドになってきています。
本記事では、

  • OMOの概念や他の類似用語との違い
  • OMO型店舗を導入するメリット
  • OMO戦略を成功させるポイント

について解説します。OMO型店舗を導入するにあたって、ぜひ本記事をご参考になさってください。

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目次

OMOとは

このパートではまず、OMOの概要と関連する用語について解説します。

OMOの意味

OMOとは、Online Merges with Offline(オンライン・マージズ・ウィズ・オフライン)の略です。
意味は、直訳するとオンラインとオフラインの融合といったところでしょうか。
具体的にはECサイトなどのオンラインと、実店舗であるオフラインとの境界を無くし、より良い顧客体験の実現を目的としたマーケティング手法を指します。
OMOの概念は、AppleやMicrosoftで働き、Google中国では社長を務めた起業家のカイフ・リー(李開復)氏が2017年に提唱して注目されました。

OMO型店舗とは

OMOの考え方に沿ってオンラインと融合し、顧客の購買体験を向上させることを目的とした店舗のことをOMO型店舗と呼びます。
店舗としての決まった型があるわけではなく、出店する企業がそれぞれに提案する顧客体験の形を、特色あるサービスとして実現しています。
例えば、実店舗で買い物をしたときにレジで決済をする必要がなく、欲しい商品を手に取ってそのまま店から出られるタイプの店舗。
これはオフラインの場である実店舗にいながら、手に取った商品を自動的にオンライン決済する仕組みによって実現されている、OMO型店舗のひとつの形態と言えるでしょう。

OMO戦略とは

OMO戦略とは、オンラインとオフラインの良いところをうまく活用し、相互補完によって顧客体験の向上を図るマーケティング手法です。
蓄積した顧客データを分析し、顧客視点で体験をデザインするのがポイントです。OMO型店舗を導入して新たな顧客体験を創出するのもOMO戦略のひとつと言えるでしょう。

O2Oとの違い

OMOとよく似た用語にO2Oがあります。
O2OとはOnline to Offlineを略した用語で、オンラインからオフラインの流れを作るためのマーケティング手法です。
例えば、SNSなどオンライン上のキャンペーンでクーポン券を配布し、顧客を実店舗へ誘導してお得に買い物をしてもらうような取り組みが挙げられるでしょう。
O2Oはあくまで実店舗へ誘導するためにオンラインで実施する取り組みなので、OMOの考え方とは視点が異なります。

オムニチャネルとの違い

もうひとつ、OMOと似た用語にオムニチャネルがあります。直訳すると、多様な(オムニ)販売経路(チャネル)です。
つまり、オムニチャネルとはWebサイトやSNS、メルマガなど、企業が持つ様々な販売チャネルを使用して顧客との接点を増やす販売戦略と言えるでしょう。
顧客に販売チャネルの違いを意識させることなく、オンラインでもオフラインでも同様のサービスを提供します。オムニチャネルは販売チャネルを多様化することであり、やはりOMOの考え方とは視点が違っています。

OMO型店舗が小売業界で注目される理由

小売業界では2018年ごろから注目されはじめたOMO型店舗ですが、どのような理由で注目されているのでしょうか。
このパートでは、OMO型店舗が注目される理由について解説します。

消費行動の変化が進んでいるため

インターネットとスマートフォンの普及により、消費者の購買行動は劇的に変化してきました。
ECサイトなどでのオンラインショッピングは、今ではスマートフォンがあれば誰もが簡単に利用できます。
日常生活に必要なあらゆるものがオンラインで手に入るようになったことで、消費者の購買行動もオンラインが中心になりました。
加えて、2019年12月に発生した新型コロナウィルス感染症対策の影響によって、外出を自粛する消費者意識が購買行動のオンラインへの移行に拍車をかけました。
消費行動の変化によって、実店舗中心の販売手法だけではニーズに対応できなくなっているのです。

店舗運営の効率化が求められているため

少子高齢化によって労働人口は減少し、人手不足が常態化しています。
人手不足を解消するための課題として、小売業界においては店舗運営の効率化が求められています。店舗運営を効率化するためにセルフレジが普及してきました。
飲食店においても、モバイルオーダーシステムの導入によって注文から会計までがオンライン化され、店舗運営の効率化が進んでいます。

また、オンライン決済を導入することで、店舗運営を効率化するとともに、ストレスとなる決済待ち時間の解消を両立しているケースもあります。
こうした店舗運営の効率化を狙った施策では、より多くの顧客データが蓄積される効果もあるため、せっかく蓄積したデータを分析してマーケティングに活かしたいというニーズが高まっていると考えられるでしょう。

新たな接客スタイルが求められているため

感染症対策の影響で、消費者の購買行動は大きく変化しました。
オンラインによる購買が加速すると、店舗に求められる価値も変わってきます。求められる価値の変化に対応するため、店舗の側も新しい接客スタイルを模索し、顧客の視点でさまざまな提案をしています。
アパレルショップなどで見られるオンライン接客は、新しい接客スタイルの一例と言えるでしょう。

消費者が店舗サービスのデジタル化を求めているため

株式会社New Innovationsが2020年8月に実施したアンケート調査によると、65.5%の人が人による接客とデジタル化の融合を求めています。

出典:New Innovations『店舗利用に関するアンケート

すべてデジタル化されてほしい人が29.2%なので、合わせると約95%の人が店舗サービスのデジタル化を望んでいることになります。
つまり、消費者が求めている店舗サービスのデジタル化に対応していくことは、業績を伸ばしていく上で欠かせない要素と言えるのです。

OMO型店舗を導入するメリット

OMO型店舗を導入するとどのようなメリットが得られるのでしょうか。
このパートでは、OMO型店舗を導入することで得られるメリットについて見ていきましょう。

新しい顧客体験を提案できる

OMO型店舗を導入することで得られるメリットとして、まず新しい顧客体験を提案できることが挙げられます。
単に購買のしやすさに限定したものではありません。

  • 商品情報の検索
  • 商品の試着
  • オンラインで予約した商品の店舗受け取り

顧客が商品を見つけてからアフターサポートに至るまで、購買のライフサイクル全体について新しい顧客体験を提案できます。

もちろん、各企業や店舗が自社にとっての顧客体験をどのように定義づけるかによって、提案すべき顧客体験は変わってくるでしょう。
しかし、従来の実店舗だけの販売、オンラインのECサイトだけの販売に留まらず、オンラインとオフラインを融合することによって幅広い顧客体験の提案が可能になります。
企業や店舗が定義した顧客視点から新たなサービスを設計することで、OMO型店舗によるサービスの可能性は一層広がるでしょう。

顧客との接点を増やせる

オンラインとオフラインを融合したOMO型店舗は、提供するサービスを通じて顧客との接点を増やせるのもメリットのひとつです。
実店舗だけの販売では、顧客との接点は店舗に限定されるでしょう。一方、ECサイトだけの販売も、顧客との接点はオンライン限定となります。
OMO型店舗の場合は、例えばオンラインで商品の試着予約をして、試着は最寄りの実店舗。購買時の決済はオンライン、といった具合で顧客との接点を増やせます。
顧客との接点が増えることで、ECサイトやスマートフォンアプリを通して自社の認知度を向上させたり、顧客との関係性を深めたりといったことに役立てられるでしょう。

顧客情報を収集できる

有効な顧客情報を収集しやすいのもOMO型店舗のメリットのひとつでしょう。
OMO型店舗ではオンラインを経由して購買が行われるため、実店舗だけで購買が完結するのと比較して顧客の購買データを集めやすいと言えます。
実店舗でもポイントカードの導入やクレジットカードの利用によってある程度の顧客情報は集められますが、すべての顧客が利用するわけではなく、収集できる情報は限定的でした。
すべての決済をオンラインで実施しているOMO型店舗では、すべての顧客の購買実績を収集できます。
またOMO型店舗の設計によっては、商品の検索履歴や試着データを収集できたり、カメラやセンサーを設置している店舗なら顧客の導線データを収集できたりと、顧客の傾向分析に役立つ多角的な情報を収集できるでしょう。

ブランドイメージを向上できる

注目を集めているとはいえ、OMO型店舗はまだまだ導入事例が少なく、導入に成功すれば先進的な事例としての宣伝効果も高いと言えます。
前述したように、多くの消費者が店舗サービスのデジタル化を望んでいるため、デジタル技術を積極的に利用する企業としてブランドイメージの向上につながるでしょう。
顧客との接点が増えることで、自社のブランドイメージを浸透させる機会も増やせれば、効果的なブランド戦略を実施できるようになるのではないでしょうか。
もちろん、実店舗のメリットを活かしてディスプレイ・照明・商品配置や音楽など、様々な要素で魅力的なイメージを創出することも、ブランドイメージの向上に役立ちます。

OMO戦略を成功させるポイント

OMO型店舗を導入してOMO戦略を成功させるためには、どのような点が重要でしょうか。
このパートでは、OMO戦略を成功させるために必要なポイントを解説します。

顧客体験を最適化する

OMO戦略を成功させるためには、まず顧客体験を再設計し、最適化するのが重要です。OMO型店舗を導入する目的は新たな顧客体験の創出にあります。
つまり、自社が取り組んでいる現状の施策で提供できている顧客体験を把握し、OMO戦略に適した顧客体験として最適化していかなければなりません。
顧客が商品やサービスを認知してから購入し、アフターサービスを受けるまでの接点を洗い出し、それぞれの接点で実施している取り組みを確認しておきましょう。
洗い出した顧客との接点と取り組みをもとに現状の課題を洗い出し、課題を解決して新たな顧客体験を創出するための施策を検討します。

新たな顧客体験を創出するための施策は、一度作成して終わりではありません。
実施した結果をもとにPDCAサイクルを回しながら改善していく活動が重要になってくるため、顧客データを分析して施策の効果を確認する仕組みも必要でしょう。
顧客データを分析するためには、より多くの顧客データを蓄積しておくことが重要であり、顧客データの蓄積を促進させるためには販売チャネルを広げることが有効なのです。

販売チャネルを広げる

インターネットやSNSの普及で、企業や店舗と消費者の接点は多くなりました。
オンラインと実店舗の融合を図るOMOでは、多くの販売チャネルを持っておくことが有効です。
例えば、家電製品を買うにしても、今は購入前に商品比較サイトやSNSなどの口コミを調べ、複数の製品を検討した上で購入します。
購入前にメーカーや販売店に問い合わせる人も少なくないでしょう。商品の購入後、トラブルが起きた際にサポートが充実しているかなど、アフターサービスまで厳しくチェックしています。

こうした背景により、実店舗やECサイトだけでなく、SNSやチャットなど様々な販売チャネルを展開していくことがOMO戦略では必要になります。
顧客ニーズに応えるとともに、多くの販売チャネルから消費者の購買データを収集し、あらゆる角度から分析しなければなりません。
すでにO2Oやオムニチャネルを構築している企業であれば、消費者が利用した販売チャネルと、購入した商品などの購買データを取得しているでしょう。
OMO戦略では販売チャネルのマルチ化をさらに進め、取得した購買データを活用して様々な角度から分析し、消費者により良い顧客体験を提供するためにPDCAサイクルを回す環境を準備しておくのがポイントです。

オンラインと実店舗のデータを一元化する

OMO型店舗を構築するためには、オンラインと実店舗のデータを連携して一元化しておくことが重要です。
実店舗の在庫管理と、ECサイトを運営するための在庫管理が分散していると、オンラインとオフラインを融合してスムーズに運営するのが難しくなるためです。
例えば、顧客が商品の試着をオンラインで予約し、最寄りの店舗で試着して気に入ったら購入できるサービスを提供するとしましょう。
サービスを提供するには、最寄りの店舗に希望商品の在庫があるか、オンライン上で確認できる仕組みが必要です。

また、在庫がなかった場合、取り寄せが完了した時点で顧客に通知する仕組みも考えられるでしょう。
このような仕組みを導入するためには、オンラインで確認できる商品の在庫情報が、実店舗の在庫情報と連動していなければなりません。
オンラインと実店舗のデータベースが一元化されていることは、OMO型店舗の仕組みを構築する上で非常に重要なポイントなのです。

最適な決済システムを導入する

OMO型店舗を運営する上でカギとなるポイントのひとつが決済システムです。
従来のPOSシステムには、決済待ちのストレスという問題がありました。決済のストレスを解消するには実店舗の決済システムと連携し、スマートに決済できる方法を活用すべきでしょう。
またオンライン決済においては、スマートフォンやICカードを利用したキャッシュレス決済システムの導入も欠かせません。
キャッシュレス決済システムを導入すると、店舗側でも顧客の様々な情報を収集でき、マーケティング施策に活用できるメリットが得られます。

顧客体験の向上を軸にOMO型店舗に適したサービス設計を

今回は、OMOの概念とOMO型店舗、OMO戦略について解説してきました。
OMO型店舗を導入する上で重要なポイントは、魅力ある顧客体験を新たに創出することにあります。魅力ある顧客体験を創出するためには、既存の顧客体験を見直し、さらなる向上を目指すことが欠かせません。
新たな顧客体験を実現するためのIT投資も重要になってきます。
顧客体験の向上を軸にサービスを設計し、理想的なOMO型店舗を実現していきましょう。

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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