基幹システムにおける効果的なUIデザインとは?改善ポイントも紹介
みなさんこんにちは。Wakka Inc.ディレクターの安藤です。
基幹システムのUIは、システムを使用している社員の仕事に大きな影響を与えるため、丁寧な設計が求められます。
本記事では「基幹システムのUIを改善して生産を高めたい」とお考えの方に向けて、基幹システムのUIを考える際の注意点やポイントを解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
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基幹システムにおけるUIデザインとは
UIデザインとは、ユーザーインターフェース(User Interface)の略でそれぞれの頭文字を取ったものです。
ユーザーとアプリケーションやシステムとの接点すべてをことをUIと呼び、アプリケーションのみならず、情報を入力する装置も含まれます。
またUIデザインは、ユーザーが基幹システムやアプリケーションをスムーズに使えるようにすることを目的に設計されています。
基幹システムにおけるUIには、例えば以下のものが挙げられます。
- 受注管理システムの見積り情報の入力画面デザイン
- 各システムをユーザーが操作・遷移するための仕組み
- 操作画面にあるボタンやアイコン、画像など
UIのデザインがシステムの操作性やわかりやすさに直結するため、基幹システムにおいてUIは非常に重要なポイントといえます。
UIとUXの違い
UIとUXは一緒に使用されることが多く、馴染みのない人にとっては混同しやすい言葉でしょう。
UIは先ほど説明した通り、基幹システムとユーザーを結ぶ接点のことです。
UX(ユーザーエクスペリエンス)はUIを含むシステムから得られる体験のことを指します。
例えばユーザーがシステムに対して「使いやすい」「文字が読みにくい」などと抱く印象や感情などがUXです。
UXデザイナーのジェームズ・ギャレット氏が著書『Elements of User Experience』の中で提唱した「UXデザインの5段階モデル」によると、UXは下記の5つの要素によって設計されています。
- 表層
- 骨格
- 構造
- 要件
- 戦略
UXの5段階モデルについては以下の記事で詳しく解説しています。UXについて深く知りたい方はぜひご覧ください。
基幹システムでUIデザインが重要な理由
基幹システムにおけるUIデザインは、見た目の美しさより、システムの使いやすさやわかりやすさの方が重要と言われます。
なぜUIデザインが重要なのでしょうか。代表的な理由は以下の3つです。
- システムの使いやすさが業務効率に影響するため
- 基幹システムの仕様変更は簡単にできないため
- 使いにくいUIは業務のモチベーション低下につながるため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
システムの使いやすさが業務効率に影響するため
システムの使いやすさは業務効率に影響します。その使いやすさを左右するのがUIデザインです。
UIデザインには、ボタンの配置やテキストのフォント、レイアウトなどさまざまな要素があります。UIデザインの要素一つひとつが基幹システムの使いやすさに影響を及ぼしているのです。
例えば知りたい情報にすぐにアクセスできないレイアウトの場合、その情報が見つかるまで次の業務に移れず、業務全体に遅れが発生する恐れがあります。
さらにシステム上にある複数のボタンが似ているデザインで、すぐには見分けられない場合、ボタンの押し間違えなどが発生し、作業の手戻りや重大なミスにつながる可能性もあるでしょう。
上記のように、システムが使いにくいと業務に掛かる時間が長くなったり、ミスを誘発したりと業務の効率に悪影響を与えてしまうのです。
基幹システムの仕様変更は簡単にできないため
基幹システムの仕様変更は簡単にできないため、UIデザインは慎重に考える必要があります。
通常、生産を管理する業務のフローを頻繁に変更することは多くありません。そのため基幹システムは一度システムの仕様が決められると、その後ほとんど変更がないのです。
基幹システムが止まると業務が回らなくなるため、システムの仕様変更には企業も慎重になります。
また基幹システムを導入してから長い年月が経過している場合、システムの老朽化や複雑化により、更新や刷新には多くのコストが掛かります。
費用などのコスト面から考えても、基幹システムは簡単には仕様変更ができません。基幹システムにおけUIデザインは、長期的な視点で慎重に協議する必要があるでしょう。
使いにくいUIは業務のモチベーション低下につながるため
使いにくいUIによって従業員のモチベーションが低下する恐れがあることも、基幹システムのUIデザインが重要な理由のひとつです。
基幹システムの操作をするときに、毎回マニュアルを確認しないと理解できなかったり、メッセージが不明確だったりすると、利用する従業員は「このシステムは使いにくい」と感じるでしょう。
使いにくい基幹システムは、業務を行う際の心理的ハードルを高めます。メイン業務以外の部分にエネルギーを使うことがストレスになるため、業務に対するモチベーションを低下させてしまうのです。
優れたUIデザインによって得られる効果
使いにくいUIデザインは、業務に対するモチベーションを低下させ、業務の効率に影響を与えると説明しました。
では逆にUIデザインが優れている場合、業務にどのような影響があるのでしょうか。
優れたUIデザインによって得られる効果は下記の3つです。
- 操作ミスが減る
- 業務の効率化につながる
- 社員の教育時間を短縮できる
順番に詳しく解説します。
操作ミスが減る
優れたUIデザインによって得られる効果の1つ目は、操作のミスが減ることです。
優れたUIはユーザーが正しく操作できるように導線が設計されており、何をするべきかがひと目でわかるようになっています。
また、間違った情報を入力すると修正されるまで次に進めないような工夫も、操作ミスの防止につながるでしょう。基幹システムは業務の根幹をなすシステムです。業務によっては小さなミスが経営に影響を与えてしまう恐れもあります。
UIデザインをできる限り使いやすい仕様にして、操作ミスによる損失を回避できる設計にすることも大切です。
業務の効率化につながる
優れたUIデザインによって得られる2つ目の効果は、業務の効率化につながることです。
- 操作ミスが減る
- システムへの疑問が少なく、スムーズに操作できる
上記によって業務にかかる時間が短くなります。
優れたUIデザインを設計すると一つひとつの作業にかかる労力が少なくなるため、業務の効率化につながるのです。
社員の教育時間を短縮できる
社員の教育時間を短縮できることが、優れたUIデザインによって得られる3つ目の効果です。
通常システム操作を社員に教育する場合、まず教育の担当者が操作方法を覚え、マニュアルを作成して研修を行います。システムのUIがわかりにくいものだと、教育担当者が操作を覚えるのに時間が掛かるでしょう。
そして教える際も操作方法が正しく伝わらなかったり、混乱が生まれたりしてその問題を解消するのに労力が掛かってしまいます。
基幹システムのUIがわかりやすく、操作しやすいものであれば上記の問題が起こりにくいため、社員の教育時間を短縮できるのです。
基幹システムにおけるUIデザインのポイント
基幹システムにおいてUIデザインが重要である理由はご理解いただけたでしょうか。
ここからは基幹システムのUIデザインのポイントをご紹介します。基幹システムのUIを設計する際に考慮したいポイントは以下の5つです。
- 必要な情報にアクセスしやすいか
- 業務の内容を理解する
- システムの利用目的を明確にする
- ユーザーの声を集められるようにする
- トライアル期間を設定する
必要な情報にアクセスしやすいか
必要な情報にアクセスしやすいかどうかは、基幹システムの操作性に大きく影響するでしょう。
必要な情報を見つけ出すのに時間を費やしたり、マニュアルを読み返したりすることが多くなれば、業務の効率や作業へのモチベーションを低下させる恐れがあります。
基幹システムの操作で必要になる情報を整理し、適切な情報にアクセスしやすい設計にすることがポイントです。
業務の内容を理解する
基幹システムのUIを考える際には、業務内容を深く理解することが重要です。
業務内容を理解せずにUIを設計すると、業務効率や生産性を向上させるといった基幹システムの本来の目的を見失う可能性があります。
目的を見失ったシステムでは機能性や操作性が低く、期待している効果を見込めないでしょう。業務内容の洗い出しや確認すべき情報、データの整理を行うことで業務内容の理解を深められます。
基幹システムのUIを改善する場合にも、改めて業務内容を理解することが重要です。
システムの利用目的を明確にする
業務内容の理解とともに基幹システムの利用目的を明確にすることも、UIデザインの重要なポイントのひとつです。
利用目的が定まっていないと、自社の業務に適したUIを設計することが難しくなるため、システムの目的を明確にする必要があります。
システムの目的を達成するためにはどのような機能を実装するべきかを考え、その後システムの導線やデザインを検証します。
上記の流れでUI設計を考えることで、従業員が使いやすい基幹システムを開発できるのです。
ユーザーの声を集められるようにする
基幹システムの開発後にユーザー(従業員)の声を収集する方法を考えておくことも、UIを設計する上で大切なポイントです。
使いやすいシステムを構築するためには、ユーザーの意見を集めて改善することが重要ですが、従業員の意見収集が課題になっている企業も少なくありません。
基幹システムに対する利用者の声を集めにくくしている要因は次の通りです。
- 社員が意見を言いにくい雰囲気がある
- 慣れによって細かい点に気づきにくくなっている
基幹システムは、開発後に仕様や機能を変更することは簡単ではありません。しかし業務の効率や生産性を向上させるには、社員の声に耳を傾けることが重要です。
ユーザーの意見を収集するタイミングや手法、システムの改善計画などを事前に決めておきましょう。
トライアル期間を設定する
基幹システムは、開発して終わりではありません。
システム開発後に導線やUIデザインに問題がないかを検証するために、トライアル期間を設定することをおすすめします。
トライアル期間があることで、システムを本格的に導入した後のトラブルを防げ、システム運用時の業務フローの確認とシミュレーションができます。
- システムの利用目的は達成できそうか
- 社員が操作に躓く部分はないか
- 修正が必要な箇所はあるか
トライアル期間では、ただ実施するだけではく、上記のような点をチェックして改善に役立てましょう。
基幹システムのUIデザインを改善して生産性を向上させよう
UIデザインはシステムとユーザーを結ぶ重要な接点です。仕事のしやすさや生産性に直接影響するため、基幹システムにおいてUIは特に慎重に設計したい要素でしょう。
自社の業務効率や生産性に課題を感じている場合には、有効な改善策を見つけるために、まずは開発経験の豊富なベンダーに相談してみてはいかがでしょうか。
▼参考記事
学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。