新規事業立ち上げのプロセスと成功のためのフレームワークを紹介

2022.12.19
DX・システム開発
安藤 大海
目次

こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。

「今後より収益を拡大したい」と考え、新規事業の立ち上げを視野に入れている企業は少なくありません。

とはいえ、新規事業の立ち上げには不明点が多く、リスクもあるため、なかなか本格始動に踏み切れないこともあるのではないでしょうか。

この記事では、新規事業の立ち上げ経験がない方でもわかるように、新規事業の立ち上げプロセスから、構築に活用できるフレームワークまで詳しく解説いたします。

実際に新規事業を立ち上げた事例も紹介しているので、今後事業の拡大を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

新規事業を立ち上げる理由

新規事業の立ち上げとは、その名の通り企業において、既存事業とは異なる性質を持った新たな事業を開始することを指します。

新規事業の立ち上げは、企業のビジネスチャンスを広げる手段となり得る一方で、相当なリスクがある経営判断であることも間違いありません。

では、なぜ新規事業を立ち上げる必要があるのでしょうか。
多くの場合、新規事業を立ち上げる理由は、以下の3つのメリットを得るためとなるでしょう。

  • 新たな収益源の創造
  • 長期的なリスクヘッジ
  • 将来的に経営層となり得人材の育成

新たな収益源の創造

新規事業を立ち上げる理由として特に多いのが、新たな収益源を生み出すことです。

1つの事業では、ターゲットとなる顧客に限界があるなど、収益が伸び悩むケースも多くあります。

会社の規模をより大きくしたい場合や、将来的な成長の見込めない既存事業がある場合には、新たな事業から収益を増やす必要があるでしょう。

新たに収益源を確保したいなら、新規事業の立ち上げは有効な手段です。
特に、現状の会社状態に内部留保や人材などの余剰資源があるなら、新規事業の立ち上げを検討してみましょう。

長期的なリスクヘッジ

新規事業の立ち上げには、長期的にビジネスを運営する上で、リスクを分散できるメリットもあります。

1つの事業や、関連業界のみでの事業推進は、効率的な企業経営の方針です。
しかし、その業界や業態において予期せぬ変化が起こった際には、一気に会社が傾いてしまうリスクもあります。

既存事業とは異なる業界の新規事業があれば、収益源の分散につながり、リスクマネジメントが可能です。

特に、一つの事業に依存している状態は効率的な経営につながる一方で、パンデミックなど外部的な大きな変化があった場合に、利益が大幅に減少して倒産する可能性もあります
このような事態になることを回避するためにも、主要事業を分散しておくことは重要な経営方針の1つと言えます。

予測不能な原因による経営悪化のリスクヘッジのためにも、新規事業の立ち上げを検討しましょう。

将来的に経営層になりうる人材の育成

将来的に経営層として自社を牽引する人材を育成できるのも、新規事業立ち上げのメリットです。

企業を経営するためには、次世代の人材を育成する意識が必要不可欠です。
優秀な経営人材の育成には、新規事業を立ち上げる経験を積ませることが非常に重要になります。

なぜなら、新規事業の立ち上げには、ヒト・モノ・カネといった経営資源の適切な管理・運用が必要だからです。

新規プロジェクトの進行では、アイデア出しや事業構築といったプレイヤーとしてのスキルだけではなく、

  • 自社の経営資源の分析
  • 事業計画の作成
  • チームマネジメント

などのスキルも身につきます。

経営幹部に必要な素養を育てるためにも、新規事業の立ち上げは大変有効な方法です。

新規事業を立ち上げるプロセスとポイント

新規事業を立ち上げるためには、多くのプロセスを経て、様々な観点から分析をした上で進めていくことが必要です。

一般的に、新規事業立ち上げのプロセスには、以下の8ステップが含まれます。

  1. 顧客課題の特定・自社の経営資源分析
  2. アイデアの発案
  3. 外部の市場分析
  4. 担当者の選定
  5. 立ち上げ方法の選択
  6. 事業内容の構築
  7. 具体的な行動計画・目標の設定
  8. 事業の開始・改善

適切なプロセスで進行しなければ、事業構築時になって初めて事業の致命的な弱点に気づいたり、事業を開始してからすぐに撤退を余儀なくされたりなど、失敗が起きやすくなります。

各ステップを詳しく知り、新規事業を適切に立ち上げられる状態にしましょう。

顧客課題の特定・自社の経営資源分析

新規事業を立ち上げるチャンスがあるのは、自社の既存事業では解決できない顧客の悩みやニーズがあるときです。

そのため、新規事業について考える前に、自社視点ではなく、まずは以下のような顧客視点で課題を洗い出していきます。

  • 自分自身が顧客なら、何が欲しいと思うのか?
  • 世の中の流れのなかで、何が必要とされているのか?
  • トレンドとなっている価値観は何か?
  • 顧客が困っているのは、どのような状況なのか?

自社の製品やサービスと関連した課題を挙げていっても、漠然と世の中のニーズを考察しても良いでしょう。
ただし、課題を特定する際には、自社の経営資源で解決可能なのかも分析することが重要です。

  • 新規事業を立ち上げる人材リソースがあるのか?
  • 自社の既存資源で成立するサービスなのか?
  • 新規事業を立ち上げる資金的な余裕があるのか?

といった、自社の経営資源と照らし合わせて実現可能性を判断します。

自社の経営資源で顧客の課題を解決できそうな目途が立ったら、具体的に新規事業を考えるフェーズに移ります。

アイデアの発案

自社の解決すべき顧客課題が見つかったら、解決できる事業のアイデアを考案します。

すぐにビジネスのアイデアをあげていく前に、まずは新規事業を展開する領域となる事業ドメイン※を決定しましょう。

事業ドメインは、物理的定義機能的定義の両面から決定することが重要です。

物理的定義機能的定義
意味具体的な製品やサービスを軸にしたドメインの定義提供する機能や価値を軸にしたドメインの定義
オンラインショップを作る
ソフトウェアを開発する
健康サプリメントを製造する
遠方にいる顧客にも商品を提供する
自社のノウハウを誰でも使えるようにする
手軽な方法で人々を健康にする

機能的定義は顧客課題の解決、物理的定義が解決手段となる商品やサービスとなるケースが多くなります。
あらかじめ洗い出した顧客課題をどう解決するのかを検討することが大切です。

また、事業のドメインを決めたら、どのような理念やビジョンのもとで新規事業を進めるのかを明確にしましょう。

事業においても経営と同じように、課題を解決したい思いや解決した先のイメージを具体化して言葉にすることで、明確な方針を定められます。

新規事業プロジェクトを推進するチームの共通認識を図るためにも、事業ドメインと理念やビジョンは明確に設定してください。

※事業ドメイン……企業が経済活動を展開する事業領域、または主力事業となる本業のことを指す経営学の用語

外部の市場分析

どのような事業を立ち上げたいかを決めたら、次は「事業アイデアを本当に実現し成功させられるのか?」を検討する必要があります。
実現可能性を見極めるために、外部要因となる他社や競合を含めた市場を分析しましょう。

市場分析で調査すべき項目は、市場性事業性の2つです。

  •  市場性……市場の需要量と市場規模
    • 市場の特徴や構造
    • 市場の将来性や成長予測
    • 市場に潜んでいるリスク
    • 市場に存在するステークホルダー
  • 事業性……顧客が抱える課題と課題の解決方法
    • 事業の特徴
    • ターゲットとなる顧客の特性
    • 顧客が求めるサービスの特性や量と質
    • 予測できる顧客の数
    • すでに参入している競合他社

上記のような観点から、現状ある市場のデータや競合他社の情報を収集し、数字などの根拠をもって事業に勝ち目があるのかを分析します。

市場分析では、定量的かつ定性的に事業が成功するという確信が重要です。

担当者の選定

内部や外部を入念に分析した結果、そのアイデアが実現可能と判断したら、いよいよ人員を増やして具体的なチームを立ち上げます。

新規事業の立ち上げ期には、社内でも各分野に優れた実績を持つ人材を登用するのがおすすめです。

新規事業の立ち上げは優れたノウハウを必要とするだけでなく、立ち上げを経験した人材はのちの経営幹部候補にもなります。
できるだけ、今後の会社を背負って立つような有望な人材で構成するのが良いでしょう。

また、既存の事業とかけ離れた事業を立ち上げるなら、外部から人材を採用したり、パートナーをチームに招き入れることも必要です。

様々な素養を持った人材からバランスよくチームを構成するとともに、事業スタートに必要な資金調達や環境の確保も進めていきます。

立ち上げ方法の選択

担当者の選定と同時期には、事業をどのように立ち上げるのかの選択も必要です。

新規事業の立ち上げ方法は、主に以下の3つがあります。

手段特徴
自社での立ち上げ自社で完全に独自の事業を新規で立ち上げる方法。
既存の事業と親和性の高い事業を立ち上げやすく、オリジナリティも出しやすいが、ノウハウ不足となる可能性もある。
M&Aすでにある事業を行っている会社を買収して立ち上げる方法。
資金さえあればすぐに新たな市場に参入できる一方で、理想となる事業の実現は難しい場合もある。
外部パートナーとの立ち上げ外部パートナーとともに、新規事業を立ち上げる方法。
すでにノウハウを持つ企業との提携により、オリジナリティの高い事業を成功確度をあげて開始できる。ただし、提携費用やパートナーへの利益分配などの継続的な金銭負担が必要になる。

完全に新しい事業ドメインでの立ち上げを検討している場合には、M&Aや外部パートナーとの提携での立ち上げがおすすめです。

ただし、競合がほとんどいない市場を開拓する場合や、既存事業とかけ合わせた新規事業を立ち上げる場合には、なるべく自社内で進める割合を高めた方がいいでしょう。

事業内容の構築

チームや環境を整備したら、具体的に事業の内容を構築していきましょう。

これまでの分析をもとに、顧客の課題を解決でき、さらに競合他社と差別化した商品やサービスを具体的に設計していきます。

また、

「どのように顧客に認知してもらうのか?」「どのように利用・購入してもらうのか?」といったマーケティング戦略営業戦略も具体的に策定しましょう。

このプロセスでどれだけ明確に成功をイメージできるかが、立ち上げる新規事業の成否に関わります。
慎重に事業内容を構築してください。

具体的な行動計画・目標の設定

事業内容の詳細が決定したら、具体的な行動計画や目標を設定します。

「いつ」「誰が」「何を」するのかを明確にしたビジネスプランの作成により、スムーズに事業を立ち上げられます。

また、ビジネスプランでは、事前に行動完了や数字の目標を設定することも重要です。
期限を定めて行動完了目標を置くことで、タスクの進捗が遅れにくく、定量的な目標は新規事業を収益化する上で必要不可欠な指針になります。

あとは行動するだけという気持ちで事業を立ち上げられるように、緻密に立てた計画をもとに事業を構築しましょう。

事業の開始・改善

計画や目標が定まり、事業の構築ができれば、いよいよ新規事業の開始となります。

経営資源分析や市場調査から考案した事業計画をもとに、マーケティングや営業活動に注力するフェーズです。

さらに、新規事業は立ち上げたら終わりではなく、その後の改善活動にも注力する必要があります。
社内外の環境が変化する可能性もあるので、高速でPDCAを回し、必要に応じて事業計画を変更しましょう。

新規事業のシステム開発のご相談はWakka Inc.まで

Wakka Inc.は、オーダーメイドのフルスクラッチ開発を得意としており、専門性の高いコンサルティングチームが新規事業のニーズに合わせて、理想的なシステムを実現するための方法をご提案いたします。

新規事業のシステム開発に関する事例の詳細な情報や、具体的な費用感などについて知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

経営資源分析に活用できるフレームワーク

新規事業を立ち上げる際には、様々なフレームワークを用いて課題の洗い出しや分析を実施することで、成功の可能性をより高められます。

ここからは、新規事業立ち上げの最初のプロセスとなる、自社の経営資源分析で使えるフレームワークを4つご紹介します。

自社の事業状況を把握するSWOT分析

自社の事業状況を明確に押さえるために有効な分析手法が、SWOT分析(スウォット分析)です。

SWOTとは、以下の頭文字を取っています。

  • S:Strengths(強み)
  • W:Weaknesses(弱み)
  • O:Opportunities(機会)
  • T:Threats(脅威)

内部環境のポジティブ要素となる強みと、ネガティブ要素となる弱み、また外部環境のポジティブ要素となる機会と脅威を洗い出すことで、自社が置かれている事業状況を把握していきます。

例えば、オフィスビル街にある飲食店をSWOT分析してみた結果が以下の通りです。

ポジティブネガティブ
内部 要因Strengths ・立地が良い ・顧客層の予算があるWeaknesses ・テナント料が高い ・カフェタイムの集客が難しい
外部 要因Opportunities ・オフィス出社の再開 ・競合他店の撤退Threats ・リモートワーク ・デリバリーサービス

このように自社の事業状況における魅力的なポイントと改善すべきポイントが明確になります。

さらに、それぞれの要因をかけ合わせて分析するクロスSWOT分析も組み合わせることで、より具体的な課題を洗い出すことも可能です。

強み弱み
機会Strengths ×Opportunities (強み×機会)Weaknesses ×Opportunities (弱み×機会)
脅威Strengths ×Threats (強み×脅威)Weaknesses ×Threats (弱み×脅威)

こちらは既存事業の分析だけでなく、新規事業を構築する際の分析にも応用可能です。

自社の外部環境を把握・予測するPEST分析

自社の外部環境を重視して経営資源を分析するのが、PEST分析です。

PESTとは、以下の4要素を指しています。

  • P:Politics(政治的要因)
  • E:Economy(経済的要因)
  • S:Society(社会的要因)
  • T:Technology(技術的要因)

具体的にPEST分析する際には、以下の要素を判断していきます。

要素
Politics法律、税制、政権、政策、裁判など消費税率引き上げによる売上への影響
Economy景気動向、経済成長率、株価、物価動向など円安による原価への影響
Society人口、宗教、教育、少子高齢化、流行など少子高齢化による顧客数への影響
Technologyインフラ、IT、特許、新技術などSNSによる集客への影響

PEST分析においては、現時点での影響度だけでなく、将来的な動向の予測も重要です。

5年後や10年後に市場がどうなっているのかを予測し、最適な事業ポートフォリオを見直していける点では、経営戦略の策定にも有効な分析手法でしょう。

将来的な流れも予測しながら、新規事業立ち上げの判断材料にお使いください。

経営資源の投資配分を判断するPPM分析

PPM分析とは、Product Portfolio Management(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の略で、経営資源の投資配分を判断するための手法です。

市場占有率が高い市場占有率が低い
市場成長率が高い花形 (Star)問題児 (Problem Child)
市場成長率が低い金のなる木 (Cash Cow)負け犬 (Dog)

現状の事業や製品がどれに分類されるのかを判断するのが、PPM分析の仕方です。

もっとも理想的なのは花形の事業で、問題児は工夫次第で花形へと転じることが可能です。

一方、金のなる木は安定した収益基盤となりますが、将来的には成長性の高い事業への転換が必要になります。
既存事業が負け犬の状態なら、早急に事業の停止や新規事業立ち上げに乗り出した方が良いかもしれません。

分析する際は、自社だけでなく、競合などの市場成長率や占有率も計算し、ポジショニングしていきます。
特に、事業の状態が金のなる木にある場合は、新規事業立ち上げの検討もおすすめです。

製品の盛衰を予測するプロダクトライフサイクル

自社の製品やサービスに着目して分析する手法としては、プロダクトライフサイクルがあげられます。

プロダクトライフサイクルでは、製品やサービスを導入期・成長期・成熟期・衰退期の4つのプロセスに分け、販売開始から衰退までのどの位置にいるのかを把握します。

  • 導入期……製品の発達段階にあり、顧客の認知度も低く、利益も少ない状態
  • 成長期……製品が浸透し、顧客数が増えて、利益も伸びている状態
  • 成熟期……製品が普及し、一定の顧客数がいて、安定した利益を生み出している状態
  • 衰退期……製品の需要は低下し、利益も減少傾向にある状態

プロダクトライフサイクルは、縦軸に売上規模、横軸に時間を取ったグラフ上に表示されます。S字のカーブ型で表されるのが一般的です。

自社のプロダクトが市場においてどのような位置づけにいるかを分析するには、非常に有効な手法といえます。

アイデア出しに活用できるフレームワーク

事業のアイデアを考案する際には、できるだけもれなく解決策を洗い出し、あとから実現可能性などを検討するのがおすすめです。

ここからは、アイデアを発案していく際に、イメージの拡張や整理に使えるフレームワークを4つご紹介いたします。

ビジネスのアイデアを広げるマンダラート

マンダラートは、事業だけでなく、様々なアイデアを拡張していく時に有効なフレームワークです。

マンダラートとは、9つのマスでできた表を9つ合わせた図を使って、マスにアイデアを書き込むことで自然とアイデアを広げていく発想方法です。

(マンダラートの例)

一般的には中央のマスに目標を書きますが、事業のアイデアを考案するなら、中央のマスには最終的に解決したい課題を入れると良いでしょう。

次に、中央マスの周囲の8マスに、課題を細分化した要素や解決に必要な条件を書き入れます。

その後、周囲の8マスに書いた内容を、さらに周囲の各マンダラの中央マスに書き込み、周辺マスに具体的な解決のアイデアを書き入れていきます。

マンダラートを活用すれば、様々な観点から課題を解決するための50以上のアイデアを発案することが可能です。

アイデアを拡張・派生させるSCAMPER法

SCAMPER法とは、7つの項目がある質問リストを活用して、アイデアを拡張・派生できるアイデア発想法です。
SCAMPERは、以下の7項目の頭文字を取っています。

  • S:Substitute(代用できないか?)
  • C:Combine(何かを組み合わせられないか?)
  • A:Adapt(他の何かを応用できないか?)
  • M:Modify(修正や変更は可能か?)
  • P:Put to other uses(転用できないか?)
  • E:Eliminate(削減できるものはないか?)
  • R:Reverse, Rearrange(逆転や組み換えは可能か?)

前提としてSCAMPER法を活用するには、核となる1つのアイデアを持っていることが必要です。
その核となるアイデアに対して、上記の問いに対する答えを考えることで新たなアイデアを発案します。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)

事業を推進する上では、理念やビジョンを明確にすることが重要です。その理念やビジョンを明確にするのが、MVVです。

MVVとは、以下の3つの概念を指しています。

  • M:Mission(事業を行う使命)
  • V:Vision(事業の成功による理想像)
  • V:Value(事業を進めるうえで重視する価値観)

この3つの理念をあらかじめ設定することで、事業推進時に困ったことがあっても、本質的な事業の意義に立ち返ることが可能です。

MVVは、新規事業立ち上げプロジェクトのチームメンバーには理解できるまで共有して、同じ方向を向ける状態を作りましょう。

顧客を具体的にイメージするペルソナ分析

顧客の課題を具体的にイメージするには、ペルソナ分析が有効です。
ペルソナ分析では、仮想の顧客としてペルソナを想定し、想定したペルソナが求める製品やサービスを考えていきます

仮定する顧客は、性別や年齢だけでなく、職業や家族構成から、性格や趣味、年収まで具体的に設定しましょう。

詳細なペルソナを複数設定すれば、より具体的なアイデアを発案することが可能になります。

市場調査に活用できるフレームワーク

市場調査においては、フレームワークを活用して事業が本当に成功するのかを検証することが大切です。

これからご紹介する4つのフレームワークを活用して、市場調査を進めていきましょう。

市場での立ち位置を知るポジショニングマップ

ポジショニングマップは、事業を進めたい市場において、自社の製品やサービスの位置づけを分析するフレームワークです。

ポジショニングマップを活用する際には、軸の取り方に注意が必要です。

多くの場合、ポジショニングマップの軸には、顧客が製品を選択するときに重視する項目を設定します。
項目には、競合と比較して自社の違いとなるポイントなどを含むと、明確に自社のポジショニングを知ることが可能です。

自社と顧客、競合の3者を把握する3C分析

3C分析も、市場分析に活用できるフレームワークとして有名な手法です。

3Cとは、市場に存在する以下の3者を示しています。

  • Company(自社)……市場シェア、ブランドイメージ、資本
  • Customer(顧客)……市場規模、ニーズ、購買プロセス
  • Competitor(競合)……市場シェア、参入難易度、競合の事業状況

顧客により大きな価値を提供するためには、競合に対してどのような点で優位に立てば良いのかを分析します。

ポジショニングマップと比較すると、分析対象に顧客が入ることで、提供する価値に目を向けやすいことが特徴です。

自社の競合優位性を知るVRIO分析

VRIO分析とは、製品やサービスの競合優位性を知ることが可能なフレームワークです。

  • V:Valuable(価値)……顧客にとって利用する価値があるのか?
  • R:Rare(希少性)……顧客にとって自社を選ぶ魅力があるのか?
  • I:Inimitable(模倣困難性)……自社の特徴を他社に真似されないか?
  • O:Organaized(組織)……事業を推進する組織体制があるのか?

新規事業を立ち上げるなら、少なくとも新規事業の優位性はRareまで満たしている必要があります。
もし4つすべての項目を満たせば、持続的な優位性をもった事業となる可能性が高いでしょう。

優位性を活かして顧客対象を設定するSTP分析

STP分析は、以下の英単語の頭文字を取って名付けられた、自社の優位性を活かした顧客対象を分析するフレームワークです。

  • S:Segmentation(市場細分化)
  • T:Targeting(顧客ターゲットの設定)
  • P:Positioning(競合との立ち位置)

セグメンテーションでは、顧客の全体像を把握し、ターゲティングでは、市場においてどのような顧客に自社製品を購入してもらうのかを検討します。

ポジショニングは、ポジショニングマップや3C分析と同様に、競合他社との差別化要因から自社の立ち位置を知るステップです。

STP分析を進めると、市場状況や競合との違いだけでなく、それがどのような顧客に対して魅力的な商材であるのかも明らかになります。

事業構築に活用できるフレームワーク

最後に解説するフレームワークは、事業立ち上げの核となる事業構築に活用できるフレームワークです。

事業の構築段階では、より具体的な事業の内容や顧客への届け方を戦略立てていく必要があるため、フレームワークを用いることで、より確度の高い新規事業計画を作成できます。

顧客目線から商材・サービスを見る4C分析

4C分析は、顧客が望む製品やサービスを把握し、新規事業における顧客への価値提供の仕方を考えるためのフレームワークです。

4Cとは、顧客の意思決定に影響する、以下の4つの要素をもとに分析します。

  • Customer Value(顧客価値)
  • Cost(コスト)
  • Convenience(利便性)
  • Communication(コミュニケーション)

顧客に提供する価値やコスト面はもちろん重要ですが、製品を手に入れやすいかどうかの利便性や、企業と接点を持てるかどうかのコミュニケーションも大切な要素です。

特に、店舗戦略やマーケティング戦略を具体化するために、4C分析を導入する価値があります。

顧客視点での新規事業の分析により、さらに需要のある事業を立ち上げましょう。

事業の特徴から販売戦略を考える4P分析

顧客視点で分析する4C分析とは異なり、企業の目線から販売戦略を考えるのが4P分析です。

4つのPとは、以下の項目を表しています。

  • Product(製品)
  • Price(価格)
  • Place(場所)
  • Promotion(プロモーション)

自社が届けたい価値や優位性を前面に押し出すために、いくらでどのような製品を、どこでどのように販売するのかを、企業目線で考えます。

これまでに考えてきた事業方針はそのままで、より詳細な事業内容を詰めていくときに有用な手法です。

4C分析で考えた戦略が、4P分析による戦略とまったく同じになるのであれば、自社の強みが顧客に対しても届きやすい事業になっていると考えて良いでしょう。

顧客の態度変化を可視化するカスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーとは、顧客が自社製品やサービスを利用するまでのプロセスにおいて、態度を変容していく移り変わりのことです。

カスタマージャーニーマップでは、顧客の態度変容を図示してよりわかりやすく可視化します。

自社の顧客接点に合わせて、具体的に顧客の心理や行動を明記して、どのような流れで認知から購入まで促すのかを戦略として作成できます。

カスタマージャーニーマップで、製品やサービスをどのように届けるのかを決めていきましょう。

デジタルの顧客行動を考えるAISAS(AIDMA)

デジタル領域におけるカスタマージャーニーを明確に示したフレームワークが、AISASです。

AISAS以前は、顧客行動をAIDMAというフレームワークで示していました。

  • A:Attention(認知)
  • I:Interest(興味)
  • D:Desire(欲求)
  • M:Memory(記憶)
  • A:Action(行動)

しかし、インターネットの普及により変化した顧客行動を示すために、新たにAISASと呼ばれるフレームワークが生まれました。

  • A:Attention(認知)
  • I:Interest(興味)
  • S:Search(検索)
  • A:Action(行動)
  • S:Share(共有)

検索や共有といった行動は、現代の消費活動で一般的となっています。
マーケティング戦略などにも、新たな購買行動を反映させることが成功の秘訣です。

新規事業の成功事例

新規事業を立ち上げて成功させるのは簡単なことではありません。

「どのように事業を推進すれば、立ち上げに成功するのか?」を知るためには、新規事業の成功例に学ぶのも有効です。

そこでここからは、Wakka Inc.のお客様事例の中から、2つの成功事例を見ていきましょう。

株式会社DREAMBEER

(引用:株式会社DREAMBEER 公式サイト)

全国のクラフトビールを配送するという、ビール業界においては革新的な事業を立ち上げたのが、株式会社DREAMBEERです。

様々な場所のクラフトビールをどこでも自由に楽しめる点を競合優位性として、事業を立ち上げています。

具体的には、販売経路となるECサイトの構築から、配送などの基幹システムとの連携だけでなく、マーケティング戦略としてブランドサイトやオウンドメディアも立ち上げていきました。

システム面に関してはWakka Inc.と連携して構築しつつ事業を立ち上げ、2021年度のグッドデザイン賞を受賞するなど、新規事業としても軌道に乗りつつあります。

プレミアムウォーター株式会社

(引用:プレミアムウォーター株式会社 公式サイト)

プレミアムウォーター株式会社では、新規事業としてWeb販売に注力した事例があります。

従来の主流となっていたブースでの販売に加えて、顧客の幅が広がるWeb販売も拡大することが事業目的でした。

目的の達成のため、ブース販売とWeb販売の顧客管理システムの連携や、M&Aによる他ブランドとの合併を推進していきました。

同一システム上で販売管理を自動管理できる状態にしたことで、決済や配送、在庫管理といった業務の統合で社内コストの削減にも成功しています。

また、コールセンターのサービス品質向上や、スマートフォンアプリの開発により、ユーザーの利便性も高めながら事業を推進できるようになりました。

新規事業の立ち上げ時の注意点

新規事業の立ち上げは、収益源を増やすチャンスである一方で、失敗すれば大きな損失が発生する経営判断でもあります。

そこで、新規事業の立ち上げでは、以下のポイントに注意することが必要です。

  • 事業の撤退ラインを決めておく
  • 事業のニーズやターゲットを見極める
  • 適切なタイミングで市場に参入する

収益を拡大しようとしたのに、主要事業の利益を食いつぶす新規事業にならないよう、各注意点をしっかりと確認しておきましょう。

事業の撤退ラインを決めておく

新規事業の立ち上げにおいて重要なことは、具体的な撤退ラインを決めておくことです。

本格的な事業開始の前に、目標を設定するプロセスがあります。
目標設定では、達成すべき売り上げなどの事業の成長目標だけではなく、撤退ラインも決めておきます。

新規事業の立ち上げは、ヒト・モノ・カネといった経営資源が多く割かれるプロジェクトです。

あらかじめ事業の撤退ラインを設定しなければ、収益の上がらない新規事業をいつまでも続けて、会社の経営状態を悪化させかねません。

事前に新規事業撤退の選択肢を検討しておき、マイナス面を最小に抑える準備をしておきましょう。

新規事業のニーズやターゲットを見極める

ターゲットやニーズを見誤って新規事業を立ち上げると、顧客が集まらずに失敗する恐れがあります。

新規事業を立ち上げる動機は、あくまでも顧客課題の解決にあるべきです。
自社課題に目を向けすぎると、実際にはありえないターゲットを設定することになりかねません。

当初の課題や事業のミッション・ビジョン・バリューから外れた事業計画にしないためにも、定期的なチェックが必要です。

さらに、顧客課題を実際に解決するためにも、ペルソナ分析や市場調査を入念に行ってから、新規事業を進めていく意識を持つようにしましょう。

適切なタイミングで市場に参入する

市場に参入するタイミングを見極めることも、新規事業の立ち上げでは重要です。

すでに成熟しきっている市場にあとから参入しても、事業の成長は見込めません。
また、未開の市場を開拓しようとしても、大規模な資本の余裕がなければ継続が難しい可能性もあります。

立ち上げ準備に時間がかかれば、競合が増えて成功の可能性が下がることもあるでしょう。

自社の経営資源や製品・サービスの強みと、市場の状態を天秤にかけ、自社の勝ち筋があるのかを十分に検討しましょう。

適切なタイミングではないと判断した場合、参入を遅らせたり、新規事業の立ち上げ自体を辞めたりする選択肢も頭に入れておくことが大切です。

新規事業の立ち上げは慎重かつ大胆に

新規事業の立ち上げは、成功すれば大きなメリットを得られる経営戦略です。

立ち上げの際には、適切なプロセスを経ながら時間をかけて、事業の実現性を分析する慎重さが大切になります。
しかし、入念に検討を重ねたあとは、大胆に事業を推進する必要があります。

ご紹介したフレームワークを活用しながら、繊細かつ大胆に新規事業の立ち上げを推進しましょう。

もし新規事業の立ち上げ経験が乏しく不安な場合は、適切な外部パートナーとの連携を検討してみてはいかがでしょうか。

新規事業のIT領域やWebシステム開発の相談はWakka Inc.まで

Wakka inc.は、システム構築・コンサルティング、ラボ型オフショア開発を行っています。

業種・業態、組織、マーケットなど複雑な環境要素によって、ITでの最適な課題解決アプローチは異なります。

わたしたちの役割は、多様な要素を丁寧に洗い出し、お客様に合わせた最適なリソースを準備して、答えを導き、実現することです。

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この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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