AIによる音声認識とは?仕組みや活用事例などを解説
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
近年はAI関連技術の発展により、さまざまな形でAIが用いられるようになりました。
スマートフォンや家電にAIが利用されるケースもあるなど、今やAIは身近なツールです。
なかでも、AIによる音声認識は多くの企業でも活用されるようになった技術の1つです。
今でも、さまざまな企業が、AIによる音声認識を応用した新たなデバイスやソフトを開発しています。
本記事では、AIによる音声認識について解説します。
音声認識の仕組みや活用事例に加え、ビジネス導入する際の課題などについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
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AIによる音声認識とは?
音声認識とは、人間が発した音声を解析し、テキストに出力する技術です。
スマートスピーカーやスマートフォンの音声検索などに使われています。
音声認識自体は、昔から開発が進められていましたが、不明確な会話表現や曖昧な発音などを正確に再現できないなど、技術的な問題を抱えていました。
しかし、昨今はアルゴリズムの改善に加え、ディープラーニングや自然言語処理ができるAIを取り入れることにより、音声認識の精度は劇的に向上しています。
今では、AIによる音声認識は誰でも扱う機会がある身近な技術です。
企業にとっても、ビジネスに投入しやすいものであるため、業界・業種を問わず、積極的に活用されています。
AIによる音声認識の仕組み
本章では、AIによる音声認識の仕組みについて解説します。
AIによる音声認識は、以下のような技術が使われています。
- 音声入力
- 音響分析
- 音響モデル
- 発音辞書
- 言語モデル
それぞれの技術について解説するので、ぜひ参考にしてください。
音声入力
音声入力とは、音声認識AIを搭載したデバイスにユーザーの音声を録音・入力を行う段階です。
音声入力をする際はマイクのような入力装置を使います。
音響分析
音響分析とは、入力された音声をAIが認識できるようにデジタルデータに変換するプロセスです。
アナログ信号である音声の抑揚・強弱・間隔などの特徴を解析・抽出したうえでノイズを除去するなど加工を施します。
音響モデル
音響分析の段階で加工されたデータは、音響モデルとして出力されます。
これは、AIが膨大な学習データを参照しながら、音素を抽出し、母音・子音・擬音を登録した音素と合致させる段階です。
発音辞書
発音辞書とは、音素と対応する文字列(単語)と発音がセットになったデータベースです。
音響モデルに記録されている音素と発音辞書を照らし合わせ、適切な単語を出力します。
言語モデル
言語モデルは発音辞書によって出力された単語を、適切なテキスト(文章)に組み立てていく技術です。
多用される言語モデルは2種類あり、それぞれ「隠れマルコフモデル」と「N-gramモデル」と呼ばれます。
隠れマルコフモデルは特定の単語に続く単語を、統計的に処理してテキストを構成する言語モデルです。
特定の単語に対し、頻出する確率が高い単語を組み合わせることで、意味のあるテキストを構成します。
N-gramモデルは単語をN個ごとに区切り、それぞれの単語のつながりから最適な構成のテキストを出力する言語モデルです。
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AIによる音声認識の活用事例6選
AIによる音声認識は、今やさまざまな場面で活用されています。
本章では以下の活用事例を紹介します。
- 会話型AI・AIアシスタント
- 議事録の作成や文字起こし
- 通訳・翻訳
- 音声による文字入力
- 音声による機器の操作
- バーチャルヒューマン
それぞれの活用事例について解説するので、ぜひ参考にしてください。
会話型AI・AIアシスタント
音声でやり取り・操作ができる会話型AI・AIアシスタントは、音声認識の代表的な活用事例です。
OpenAIのChat GPT・AmazonのAlexa・GoogleのGoogle Home・AppleのSiriは特に知名度が高い会話型AIです。
会話型AIやAIアシスタントは、情報収集・テキスト生成・電子書籍の読み上げなど、さまざまな場面で役立ちます。
高度なモデルになると、アイデアを出すための壁打ちにも使用できるなど、業務上のサポートにも活用が可能です。
近年は、高性能なAIを搭載したロボットがレストランや商業施設に導入されるケースも増えてきました。
音声認識を利用し、顧客からの質疑応答や案内に対応するなど、活躍の場を広げています。
議事録の作成や文字起こし
議事録の作成や文字起こしにも、AIによる音声認識は活用されています。
会議や打ち合わせの音声データをAIが取り込み、自動でテキストを出力できるサービスは、議事録のスピーディーな作成が可能です。
議事録の作成や文字起こしは、人間の手でやると時間がかかる作業でしたが、専用の音声認識AIを導入すれば、作業を瞬時に完了させられます。
高性能なものだと、文章の校正も行うため、より効率的に作業を進められます。
通訳・翻訳
海外言語の通訳・翻訳も、AIによる音声認識の得意な分野です。
スマートフォンの翻訳アプリや、翻訳機のポケトークなど、複数の海外言語の通訳・翻訳に対応できるツールは、すでに実用化されています。
音声認識を使った通訳・翻訳は現在も改良が進められており、法人向けのモデルも次々と販売されています。
音声による文字入力
昨今は音声による文字入力も積極的に利用されるようになりました。
音声入力はハンズフリーでテキストを作成できるため、別の作業を並行したり、移動したりしている状態でも文字を入力できます。
キーボードやマウスがない環境でも書類の作成などができるため、汎用性が高い活用方法です。
音声による機器の操作
スマート家電のように、音声を使って機器を操作する技術も、昨今では珍しくありません。
会話型AIと組み合わせることにより、音声で指示するだけでカーテンの開け閉めや、電灯の点灯などができます。
また、音声認識AIを搭載したスマートリモコンを使えば、複数の家電を1つのデバイスで操作できます。
バーチャルヒューマン
近年はAIによる音声認識を活用し、バーチャルヒューマンを作成する企業も増えてきました。
バーチャルヒューマンとは、高度なCGによって作成されたデジタルキャラクターであり、AIや5Gを利用することでスムーズなコミュニケーションと動きを実現しています。
バーチャルヒューマンは企業の広告や顧客対応などに利用されており、実際に人間と同等の自然なコミュニケーションができるようになりつつあります。
今後もさらなる発展が期待されている技術です。
AIによる音声認識を導入する4つのメリット
AIによる音声認識は、以下のようなメリットが期待できます。
- 業務の効率化
- 高精度な業務の実現
- ユーザビリティの向上
- 非コア業務の自動化
それぞれのメリットについて、以下で順番に解説します。
業務の効率化
音声認識の導入は業務効率化が期待できる取り組みです。
音声認識を利用したテキスト入力は、キーボードやマウスを使った入力よりスムーズに作業ができます。
タイピングのような身体的負担もないため、肩こりや腱鞘炎に悩まされることもありません。
また、音声認識を利用すれば、議事録の作成や文字起こしも簡単です。
レコーダーを何度も聞き返して入力する手間が省けるため、煩雑になりがちな作業を効率化できます。
何より、音声認識は操作性が高く、誰でも扱える点が魅力です。
キーボードやマウスによる操作が苦手な人間でも、事務作業に取り組みやすくなります。
高精度な業務の実現
AIによる音声認識は、高精度な業務を実現できる点もメリットです。
近年のAIは性能が著しく向上しており、会話の微妙な発音や不明瞭なワードを拾えるようになりました。
さらにAIが自動で学習することで、さらなる精度の向上も期待できます。
加えて、音声認識を活用すれば、手打ちの作業を減らせるので、誤字脱字やタイプミスを減らせます。
そのため、議事録や記録の精度の向上が可能です。
ユーザビリティの向上
音声認識AIを活用し、簡単な操作でデバイスを使えるようにすれば、ユーザビリティの向上にもつながります。
ユーザビリティとは「ユーザーが感じる使いやすさ」を意味する用語です。
音声認識AIを搭載したデバイスは、複雑な入力や作業が不要になり、誰でも扱えるものにします。
そのため、機器の操作が苦手な人間でも使えるようになり、より快適な使用感を実現します。
また、チャットボットのような顧客対応窓口を音声認識AIにすれば、年中無休での稼働が可能です。
顧客が急ぎで対応してほしい際にも応答ができるため、顧客満足度の向上にもつながります。
非コア業務の自動化
音声認識AIは非コア業務の自動化にも貢献する技術です。
事務作業・顧客対応・情報収集など、非コア業務を自動化すれば、従業員の業務負担を削減できます。
さらに、従業員がコア業務に集中できる余裕が生まれるだけでなく、人件費のような各種経費の削減にもなります。
AIによる音声認識の3つの課題
AIによる音声認識は優れた技術ですが、いくつかの課題がある点には留意しなければなりません。
AIによる音声認識の課題は、以下の通りです。
- 精度の維持
- 微妙なニュアンスの把握
- ノイズへの対策
課題を踏まえて利用しなければ、音声認識を適切に使いこなせません。
導入する前に把握しておきましょう。
精度の維持
AIの登場により、音声認識の精度は飛躍的に向上しましたが、まだ改善の余地を残しています。
現在の音声認識は標準語を基本としているため、方言・なまりの語彙や微妙なイントネーションの違いを完全に認識することは困難な状態です。
同様に、業界特有の表現や専門用語も、学習データが少ないため、認識精度が低下する場合があります。
また、複数人が同時で行う会話の識別も、高度なアルゴリズムがなければ精度を維持できません。
そのため、より高度なAIの開発が現在も進められています。
微妙なニュアンスの把握
現在のAIによる音声認識は、微妙なニュアンスを完全に把握する段階にはいたっていません。
例えば、「私は肉」という表現はレストランにいるシチュエーションであれば、「私は肉(を注文する)」と捉えられます。
人間同士の会話であれば、簡単に意図を汲み取れますが、AIだと状況が理解できないため、「私は肉(である)」と捉える恐れがあります。
AIが認識できる程度を理解していなければ、認識した内容を修正する作業が発生しかねません。
また、「どのくらい?」という抽象的な質問も、人間同士の会話であれば文脈から何を知りたいかを推測できますが、AIだと知りたいことが時間なのか量なのかを判別できません。
AIが回答できるように質問を具体化する必要があります。
AIが、微妙なニュアンスも完全に網羅したコミュニケーションを取れるレベルに達するまでには、まだ時間を要します。
そのため、音声認識を利用する際は、AIが対応できるようにある程度配慮しましょう。
ノイズへの対策
音声認識において、音声はAIが回答の判断材料にする情報です。
その音声に不備があると、音声認識の精度は低下します。
音声を不明瞭にするノイズが混じっていると、AIは本来の精度を発揮しません。
そのため、音声認識を利用する際は、周囲の人間の声はもちろん、BGM・風の音・物音などが入らないように配慮する必要があります。
多少のノイズがあっても精度が落ちない音声認識は、より優れたノイズキャンセリングや音声処理技術の実現を待たなければなりません。
また、マイクの感度によっても音声認識の精度が変化する場合もあります。
性能が低いマイクだと、不要な音を拾ったり、ノイズが入りやすくなったりするため、かえって音声認識の精度を落としかねません。
目的に応じたデバイス選びが重要です。
AIによる音声認識で業務の効率化を実現
音声認識は、AIの登場によって性能が飛躍的に向上しました。
現在では文字起こし・翻訳・音声を利用した文字入力・機器の操作に加え、会話する感覚で利用できるAIアシスタントも登場しています。
AIによる音声認識は業務の効率化・ユーザビリティの向上など、さまざまなメリットがある技術です。
そのため、近年では業界・業種を問わず、音声認識を活用する事例が増えています。
しかし、AIによる音声認識はまだ課題が残されている点にも留意しなければなりません。
課題を理解したうえで適切に活用しましょう。
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