Webシステム開発費用の相場とは?安く抑えるポイントと開発会社の選び方

2023.04.10
DX・システム開発
安藤 大海
Webシステム開発費用の相場とは?安く抑えるポイントと開発会社の選び方
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こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。

Webシステム開発の外注を検討するにあたって、費用の相場を知りたいとお考えではありませんか?
開発費用は、会社によってバラツキがあるため妥当性の判断が難しいものです。
本記事では、Webシステム開発費の相場を種類別に紹介します。

最後までお読みいただくことで、見積もりの妥当性を判断する方法や、開発費を安く抑えるポイント開発会社の選び方についても理解できるようになるでしょう。
ぜひ参考にしてください。

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目次

Webシステムとは

インターネット上で利用できるシステムやサービスのことを、総じてWebシステムと呼びます。
WindowsやAndroid、iOSといったOSを問わず、Webブラウザを搭載した全ての機器から利用が可能です。

Webシステムは、サーバー上にデータが保存されており、パソコンやスマホからインターネットを通じてアクセスし、各種機能を利用します。

さらにサーバサイドは、Webサーバーとデータベースサーバーで構成されます。
クライアントから受けた要求を、Webサーバーに搭載されたアプリケーションを通じてデータベースサーバーにアクセスし、処理内容をクライアントへ返す仕組みです。

一般的なパッケージソフトと異なり、クライアント側へのセットアップ操作は必要ありません。
そのためシステムのアップデートが必要となっても、Webサーバー側のアプリケーションを更新するだけで済んでしまうのがWebシステムの特徴とも言えます。

【種類別】Webシステム開発費用の相場

Webシステムの開発費用を、種類別に一覧化しましたのでご覧ください。

Webシステムの種類開発費用の相場システムの概要
予約管理サイト80万円~500万円顧客からの予約を一元管理する。
マッチングサイト100万円~500万円ユーザー同士をつなげるシステム。
ビジネス系や恋愛系など多くのジャンルが存在する。
SNS100万円~500万円ソーシャルネットワーキングサービスの略。
「Twitter」「LINE」「Instagram」「Facebook」「YouTube」が代表的。
ECサイト60万円~400万円自社商品をインターネット上で販売するための独自サイト。
CMS80万円~400万円HTMLやcssなどの専門知識がない人でも、簡単にWEBサイトの作成が可能なシステム。
WordPressが有名。
掲示板50万円~300万円利用者が自由に書き込みすることでコミュニケーションが可能なWebページ。
Q&Aサイト60万円~300万円OKWAVEが代表的。
一人の質問に対して、複数人が回答を書き込むサイト。
口コミサイト80万円~300万円利用した店や購入した商品についての感想が投稿されるサイト。
店や商品を選ぶとき、口コミを参考にすることが多い。

ご覧いただいたように、開発費の相場には大きな幅があります。
機能が増えるほど開発費は高くなりますし、依頼する会社によっても金額に差が出るでしょう。

依頼先の会社とは十分に話し合い、予算も含めて相談することが重要です。

Webシステム開発費用の見積額内訳|要確認の4項目

システム開発費の見積もりを依頼すると、内訳は以下のものがあげられます。

  • 要件定義費用
  • 運用設計費用
  • デザイン制作費用
  • 進行管理費用
  • システム開発費用
  • テスト設計・テスト実施費用
  • 設備購入費用
  • 出張・会議費用
  • 導入・サポート費用
  • 保守費用

依頼先企業によって項目が増減する場合もありますが、これから説明する4つは特に重要です。
見積もりに詳しく記載されているか、確認しましょう。

要件定義費用

要件定義とは、発注者の問題を解決するために、どのような機能が必要かを明確にする作業です。
この工程でシステムの大まかな仕様を決定する必要があり、その際にかかる費用を「要件定義費用」と言います。

要件定義費用は、作業に要した日数に人件費を掛けることによって算出されるのが一般的です。
プロジェクトマネージャークラスの役職が担当する場合、人件費の単価は上がりますし、システム仕様が複雑になるほど要件定義に必要な日数も増えるため、費用も高くなります。

システム開発費用

システム開発費用とは、開発するエンジニアの人件費に該当します。
Webシステム開発費用の中で、最も大きな比重を占めているのが、このシステム開発費用です。

費用は、一人のエンジニアが作業完了までに必要とする月数を「人月」という単位で表します。
例えば、あるエンジニアが3カ月の作業期間を要する場合、「3人月」です。

さらにエンジニアのレベルによって単価が異なり、上級エンジニアになるほど多くの費用が発生します。
上級エンジニアの人月単価が100万円の場合、100万円×3人月で300万円の費用が必要です。

エンジニアのレベルに応じて変わる人月単価ですが、地域によっても変動します。
東京など首都圏を拠点とする会社では、人月単価は高くなりがちですので、覚えておくとよいでしょう。

テスト設計・テスト実施費用

テスト設計・テスト実施費用は、以下の作業にかかる費用です。

  • 実施すべきテスト項目を洗い出し、テスト設計書を作成する
  • テスト設計書をもとにしてテストを実施する

実際には、下記4種類のテストを実施します。

  • 単体テスト(最小機能単位でプログラム担当者が行うことが多い)
  • 結合テスト(単体テストをクリアした機能をそれぞれ結合して行う)
  • シナリオテスト(実際の運用を想定したシステム全体の動作を確認する)
  • 受入テスト(仕様書通りの動作かどうか、発注者が行う)

システム開発に携わるエンジニアは、SE(システム・エンジニア)かPG(プログラマー)であることが一般的です。しかし、このテスト工程ではテスターが作業する場合もみられます。
SEやPGに比べると、テスターの方が人月単価は安い傾向があります。

複雑化するシステムでは、テストの工数も膨らむ傾向にありますが、システムの品質を左右する重要な工程です。

保守費用

最後に忘れてはならないのが、保守費用です。
保守費用とは、運用開始後に必要となるメンテナンスにかかる費用のことを言います。
例えば以下のような保守作業が発生します。

  • バグの修正
  • トラブル対応
  • イレギュラー運用に対応するためのデータ補正

Webシステムは完成したらそこで終わりではなく、リリース後も安定稼働が求められるので、このような保守作業が必要になります。
開発費用だけではなく、運用開始後に発生する保守費用への見通しも立てたうえで、予算検討することが大切です。

Webシステム開発見積額の妥当性を判断する4つのポイント

ここでは、Webシステム開発見積額の妥当性を判断するポイントを紹介します。

  • プロジェクト期間や作業工数が明確か
  • リスクを考慮した見積もりになっているか
  • 数字の根拠は明確に記されているか
  • 打ち合わせにエンジニアが参加していると信頼度高い

Webシステム開発の見積もりは、システムの規模や会社によって様々なので、妥当性の判断が難しくなりがちです。
4つのポイントを1つずつ説明するので、参考にしてください。

プロジェクト期間や作業工数が明確か

要望を理解した上での見積もりであるかどうかを判断するために、プロジェクトの期間や作業工数が明確に記されているかを確認しましょう。
なぜプロジェクト期間や工数が大切なのでしょうか。

Webシステム開発費の大半は人件費であると説明しました。
人件費は工数をもとに算出されるため、開発期間や工数があいまいな記述では正確な見積もりとは言えません。

また、依頼する側としても開発してほしいシステムのイメージを明確化し、外注先企業との認識を明確にすり合わせることが重要です。

リスクを考慮した見積もりになっているか

リスクに対する費用が含まれているかを確認しましょう。
ここで言う「リスク」とは、開発途中で方向転換せざるを得ないようなトラブルや修正依頼のことを指します。

システムの規模にもよりますが、一度要件定義して開発を進めていく中で、多かれ少なかれ修正依頼は発生するものです。
修正依頼のたびに追加費用がかかってしまうのか、あらかじめこのようなリスクを想定した費用が見積もられているかを確認しておきましょう。

数字の根拠は明確に記されているか

見積もりの各項目によく目を通し、数字の根拠が明確かどうかを確認しましょう。
あいまいな記述や、複数項目がひとくくりにまとめられた見積もりでは、大まかすぎて妥当とは言えません。

エンジニアの人月単価もチェックしたい項目の一つです。
この金額は開発側企業が定めた指標になるため企業によって異なりますが、どのような背景で設定された額なのか確認しておきましょう。

場合によっては、リスクヘッジ分や成功担保としての金額が上乗せされていることもあります。
細かいところまで質問して、認識をすり合わせた方がよいでしょう。

打ち合わせにエンジニアが参加していると信頼度高い

打ち合わせの場に営業担当だけでなくエンジニアが出席していると信頼度が上がります。

「やはりエンジニアさんが同席されていると、安心できますし印象がいいですね」
これは以前、Webシステム開発のプレゼンにエンジニアとして同席した際、発注側の担当者から言われた言葉です。

営業は何とか契約を取りたいと考えるため、安い見積もりや短いスケジュールを提出しがちですが、その見積もりやスケジュールが理にかなっていない場合には炎上案件となりかねません。
このような状態で開発されたWebシステムは、決して品質のよいものにはならないでしょう。

大規模なWebシステムほど、開発期間や各作業の工数を正確に把握することは、営業担当だけでは難しくなります。
しかしエンジニアが一緒に出席することで、作業内容や工数の正確さが担保されるのです。

エンジニアが同席していないからといって信頼できないわけではありませんが、営業とエンジニアの間でしっかりとコミュニケーションが取れた上での見積もりかどうかは確認すべきです。

Webシステム開発費用を安く抑える3つのポイント

Webシステムの開発費用を安く抑えるための具体的な方法を3つ紹介します。

  • 要件定義をおろそかにしない
  • 最小限の機能からスタートする
  • 補助金や助成金を利用する

特に補助金や助成金に関しては、受給対象に当てはまるのであれば忘れずに申請しましょう。

要件定義をおろそかにしない

要件定義は、Webシステム開発を進めるうえでは重要な工程ですので、決しておろそかにせず外注先と一緒になって進めていきましょう。
要件の認識が合っていないと、後の工程で大きな修正が発生することになり、開発期間の延長や追加料金が発生してしまう場合もあります。

発注側としてまず正確に伝えるべきことは、以下の2つです。

  • 普段の業務内容と改善したい内容
  • Webシステムの利用を想定している人数

運用と改善点が見えなければ必要な機能が見えてきませんし、利用者の想定人数の認識にずれがあると、運用開始後に大きな障害が発生して追加改修・料金が発生することもあり得ます。
発注側がこれらの要件を正確に伝えることによって、外注先は質の良い要件定義が行え、その後の工程での手戻りを防ぐことにつながるのです。

最小限の機能からスタートする

2つ目は、初めから全ての機能を詰め込むのではなく、最小限の機能に抑えてスタートさせる方法です。
MVP(Minimum Viable Product)とも呼ばれます。

発注側の問題点を解決できる機能のみをリリースして、運用を開始した後で機能を追加していく方法です。
機能が限定されるため、開発の初期費用が安くなります。また、実際の運用において利用者からのフィードバックを受けて改修ができるため、初めから機能として組み込むよりも運用に適した機能になるのもメリットです。

Webシステム導入初期に不要な機能があれば、いったん切り離せないかを検討してみてはいかがでしょうか。

補助金や助成金を利用する

最後に、国や自治体からもらえる補助金について、以下の4つを紹介します。

  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業再構築補助金

それぞれを解説しますので、開発費用を安く抑えるためにも申請を検討してみてはいかがでしょうか。

IT導入補助金

IT導入補助金は、自社で抱える課題解決を目的としてITを活用したツールを導入する場合、その経費の一部を補助する制度です。
各枠の補助上限額と補助率を、以下に記載します。

枠種別補助上限額(補助率)
通常枠(A類型・B類型)450万円(1/2)
セキュリティ対策推進枠100万円(1/2)
デジタル化基盤導入類型350万円(2/3~3/4)
複数社連携IT導入類型350万円(2/3~3/4)
参照:IT導入補助金2022

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業の経営革新を目的として開始された中小企業庁による補助金制度です。
各枠の補助上限額と補助率を、以下に記載します。

枠種別補助上限額(補助率)
通常枠1250万円(1/2~2/3)
回復型賃上げ・雇用拡大枠1250万円(2/3)
デジタル枠1250万円(2/3)
グリーン枠4000万円(2/3)
グローバル市場開拓枠3000万円(1/2~2/3)
参照:ものづくり補助金総合サイト

さらに特例として、補助事業終了後の3~5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に対して、上記枠の補助上限を100万円~1000万円が上乗せされます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、中小企業や個人事業主の事業発展を目的として開始された制度です。
各枠の補助上限額と補助率を、以下に記載します。

枠種別補助上限額(補助率)
通常枠50万円(2/3)
賃金引き上げ枠200万円(2/3)
卒業枠200万円(2/3)
後継者支援枠200万円(2/3)
創業枠200万円(2/3)
参照:小規模事業者持続化補助金


さらに免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する事業者の場合、インボイス特例の要件を満たすと判断され、表中の補助上限額に50万円が上乗せされます。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響によって、売り上げの回復が困難な中で中小企業などの事業再構築を支援することを目的とした制度です。
各枠の補助上限額と補助率は、以下の通りで、従業員数によって上限額は異なります。

枠種別補助上限額(補助率)
通常枠8000万円(1/2~2/3)
大規模賃金引上枠1億円(1/2~2/3)
回復・再生応援枠1500万円(2/3~3/4)
最低賃金枠1500万円(2/3~3/4)
グリーン成長枠1.5億円(1/3~1/2)
緊急対策枠4000万円(2/3~3/4)
参照:事業再構築補助金

Webシステム開発会社を選ぶときの注意点3つ

Webシステム開発費用の相場や見積もりの各項目については理解できたとしても、いざ外注先を探すとなると、一体どこにお願いすればよいのか決めかねるでしょう。
ここでは、Webシステムの開発を依頼する時に気をつけるポイントを3つ紹介します。

  • 同等のシステム開発実績があるか調べる
  • 複数社の見積もりを取る
  • RFP(提案依頼書)を作成して提出する

それでは、ご覧ください。

同等のシステム開発実績があるか調べる

依頼したいWebシステムと同じような開発実績があるかを確認しましょう。

システム開発会社では、一度開発したシステムをフレームワークとして保持し、似たようなシステム開発のベースとして使用することが多いものです。
すでに運用実績のあるシステムがベースとなることで納期も短縮されるため、開発費用を抑えることにもつながりますし、何より完成度が高く初期の不具合も少ないというメリットがあります。

開発実績は、会社ホームページ内に「開発事例」として掲載される場合が多いので、依頼前には必ず調査しましょう。

複数社の見積もりを取る

見積もりは必ず「相見積もり」の形で、複数社分を取得することが重要です。
具体的な開発実績や開発費用、提案力などから最適な1社を見つけ出すためにも、必ず複数社から相見積もりを取得しましょう。

相見積もりの社数ですが、1社では良いか悪いかの判断ができませんし、逆に多すぎると比較するのが大変です。
3社から5社が妥当ではないでしょうか。

例えば、5社から見積もりを取って、この記事で紹介した「見積もりの妥当性の判断方法」を参考にして3社に絞ります。
残った3社を、「コストで有利」「提案力がある」「コミュニケーションがとりやすい」などで分類して、社内協議にかけることも可能です。

RFP(提案依頼書)を作成して提出する

RFPとは「Request for Proposal(提案依頼書)」を略したもので、外注先企業に対して正確に要件を伝えることを目的として提出する資料です。
RFPを作成することで、自社のニーズが正確に伝わり、外注先企業との認識のずれを防げます。

「どんなシステムを」「予算いくらで」「いつまでに」作ってほしいのかを要求するのが基本です。
少なくとも上記した3つの項目について詳細を記載することで、見当違いな見積もりや提案を受け取る可能性は減ることでしょう。

質の良い見積もりや提案だけではなく、完成したシステムの品質までを決めかねない重要な資料ですので、社内でしっかりとニーズを調査して、漏れなく記載しましょう。
弊社では、RFPのテンプレートを無料配布しておりますので、ぜひご活用ください。

見積もりの妥当性を判断して信頼できる開発会社を選びましょう

この記事では、Webシステム開発費の相場や見積もりの妥当性について解説しました。
開発費の相場は、企業やシステムの規模によって大きな幅があるため、その額の妥当性の判断や開発会社の選定は難しい作業になります。

先ずは自社の要件や予算、納期などをまとめたRFPを提出することで、外注先との認識を共有することが重要です。
その上で、提出された見積書の妥当性を見極め、信頼できる開発会社を見つけてください。

補助金も利用して、できるだけ安くて便利なWebシステムが完成することを願っております。

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この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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