業務系システムへのAI導入メリットは?業務を効率化した事例も紹介
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
近年、AI技術が発展し、ビジネスにおけるさまざまな場面で活用されています。
「AIの活用で業務を効率化したい」「業務系システムにAIを導入したい」と考えている企業の担当者も多いのではないでしょうか。
しかし、AIとはそもそもどのようなもので、業務に活用できるAIが何なのか、といったことが不明瞭なままでは効率的な導入ができません。
本記事では、業務系システムに導入できるAIの分類や導入のメリットについて解説します。
後半では、業務系システムを導入し、業務の効率化に成功した事例も紹介します。
業務系システムをより効果的に活用したい企業の担当者は、ぜひ本記事を参考にしてください。
業務系システムとは
業務系システムは、企業の業務を効率化するシステムのことです。
勤怠管理システムや営業支援システムなどが業務系システムに当たります。
さまざまなデータを一括管理できるため、情報を共有しやすくなるでしょう。
以下では、業務系システムの種類、基幹系システムや情報系システムとの違いについて解説します。
また、業務系システムに関して詳しく知りたい方は、業務系システムとは?導入のメリットや種類、開発の流れを解説!を参考にしてください。
業務系システムの種類
業務系システムにはさまざまな種類が存在し、多様な役割を果たしています。
主な業務系システムは、以下の通りです。
会計管理システム | 販売や売り上げに関するデータを管理するシステム |
販売管理システム | 販売に関する一連の流れを管理するシステム |
生産管理システム | 主に製造業における品質や計画から販売までを管理するシステム |
人事管理システム | 給与や配属先など人事に関するデータを一元管理するシステム |
営業管理システム | 営業のプロセスや進捗、顧客情報を管理するシステム |
ほかにも、勤怠管理システムや配送管理システムなど細かな業務に対応するシステムが存在します。
データの管理だけでなく、計算の自動化も業務系システムの役割です。
業務系システムと基幹系システムの違い
基幹系システムとは、企業活動の根幹を支援するシステムです。
企業の主要業務を支えるシステムであり、例えば製造業における生産管理システム、銀行における勘定系システムを指します。
業務系システムが停止しても別の手段で業務を進められるのに対し、基幹系システムが停止すると業務の流れも止まってしまう点が大きな違いです。
業務系システムの中でも業務に必須となるシステムが基幹系システムと言えます。
業務系システムと情報系システムの違い
情報系システムは、社内のコミュニケーションを円滑にするシステムです。
例えば、メールやチャットツール、スケジュール管理ツールなどが当てはまります。
近年ではテレワークやリモートワークが普及しているため、情報系システムの重要性が高まってきました。
業務系システムは業務の一部を効率化するシステムのため、情報系システムとは役割が大きく異なります。
業務系システムに導入できるAIとは
AIはArtificial Intelligenceの略で、人工知能を表す言葉です。
業務系システムに導入できるAIとは、どのようなものを指すのでしょうか。
以下の内容をそれぞれ解説します。
- AIの種類
- 生成AIとは
また、AIと混同されやすいシステムにRPAがあります。
RPAはRobotic Process Automationの略で、作業を自動化するシステムです。
AIと混同されがちですが、AIは学習した情報を基に判断を行うのに対し、RPAは手順の決まった作業を自動化するのみである点が異なります。
RPAに関しては、ChatGPTとRPAの違いや関係性、連携方法を徹底解説でも詳しく解説しています。
AIの種類
AIは、汎用型と特化型の2種類に分けられます。
両者は実現できる範囲が異なる点で分類されます。
汎用型 (AGI:Artificial General Intelligence) | 自ら思考し、さまざまな課題に幅広く対応するAI 現時点では実用化されていない |
特化型 (ANI:Artificial Narrow Intelligence) | 特定の作業に特化したAI 事前にプログラムされた処理を行う |
汎用型AIは現時点では実現しておらず、例えば、SF映画に出てくるようなアンドロイドなどです。
一方で、特化型AIとは自動運転機能や音声・画像認識など特定の機能を持つAIです。
すでに日常生活にも多く取り入れられている例が多く見られます。
また、上記とは別の概念で以下の2つに分けられることもあります。
強いAI | 自律した思考を持ち、人間と同じような自意識を備えたAI フィクション作品には登場するが、現実には存在しない |
弱いAI | 自律した思考や自意識を持たないAI プログラムされた特定のタスクを処理するもので、実用化されているAIはすべて弱いAIに分類される |
強いAIと弱いAIの分類は、自意識の有無が大きな違いです。
特化型AIは弱いAIと同義と捉えられます。
生成AIとは
生成AIは人工知能の一種で、新しいデータやコンテンツを生成する技術のことです。
画像や動画、テキストなどを生成できます。
パターンを学習させることで、資料やレポートの作成に役立つでしょう。
また、ChatGPTのような対話型AIも生成AIを活用したサービスです。
業務に関するさまざまなタスクを任せられるため、業務の効率化に役立ちます。
生成AIは新しいアイデアを生み出す可能性もあるでしょう。
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業務系システムに活かせるAI技術
AI技術には、以下のような活用方法があります。
- 画像認識
- 音声認識
- 自然言語処理
- 推論と予測
AI技術にはどのような活用方法があるのかを知れば、より効果的に業務系システムに活かせるでしょう。
それぞれ詳しく解説します。
画像認識
画像認識は、画像や動画などの情報を識別する技術のことです。
画像や動画の中から人やもの、文字などに関する情報を抽出可能です。
例えば、以下のような活用方法があげられます。
- 監視カメラに映る人の顔を抽出して判別する
- カメラに映る商品の中から不良品を検知する
- 湿度や人の体温を検知してエアコンの設定を自動で変える
- 帳簿の画像から文字情報を抽出して文字データに変換する
近年では、ディープラーニングの発展により識別の精度は高まっています。
ディープラーニングは深層学習とも呼ばれ、蓄積された大量のデータを基に学習して柔軟な判断を下すAI技術です。
音声認識
音声認識は、さまざまな音を分析して音声情報を抽出する技術のことです。
音の振動により人が話す言葉を認識し、テキストデータに変換できます。
例えば、以下のような活用方法があるでしょう。
- 会議の音声を認識して自動で議事録を作成する
- 窓口業務で外国語を翻訳する
- チャットボットに声で指示を出す
チャットボットは、音声情報をAIが認識して返答するプログラムです。
問い合わせの対応を自動応答に任せられるため、オペレーターの負担軽減やコストの削減に役立ちます。
自然言語処理
自然言語処理は、言葉の情報を読み取ってコンピューターで解析する技術のことです。
文章の構造や単語の意味を学び、文章の意味を理解します。
例えば、以下のような活用方法があげられます。
- Web検索エンジンに入力された文章を理解して検索意図を反映する
- 窓口業務で外国語を翻訳する
- チャットボットで受け取った情報を処理する
自然言語処理は音声認識と組み合わせて、翻訳や音声入力、チャットボットなどに活用されることが多い技術です。
音声で機器を操作するサービスにも自然言語処理が使われています。
推論と予測
推論と予測は、蓄積された学習データを基にして将来を予測する技術です。
以下のような役割を果たします。
- 蓄積されたデータと比較し、システム障害やクレジットカードの不正利用などの異常検知
- 囲碁や将棋などのボードゲームにおけるプログラム
- 商品・サービスの需要や売り上げの予測
データに基づいた将来の予測により、必要以上のコストをかけるリスクを減らせるでしょう。
業務系システムへのAI導入メリット
業務系システムにAIを導入することでシステムの運用を効率化でき、以下のようなメリットが得られます。
- 労働力不足を解消できる
- 生産性を向上できる
- 人的ミスを減らせる
メリットを理解し、業務系システムにAIを導入する目的を明確にしましょう。
労働力不足を解消できる
少子高齢化の進行により、労働人口も減少しています。
業務系システムにAIを導入すれば、業務を大幅に効率化できるため、労働力不足の解消が期待できるでしょう。
働き手が不足しているといった課題を抱える企業にとっては、大きなメリットとなります。
特に、決まった作業を行うルーティンワークをAIにより自動化すると、業務効率が上がりやすいでしょう。
人的リソースを有効活用し、新たなチャレンジに投資できる点もAI導入のメリットです。
生産性を向上できる
業務系システムにAIを導入することで多くの作業を自動化できるため、生産性の向上が期待できます。
システムは休むことなく働き続けられ、正確に業務を遂行します。
社員の役割やスケジュール、生産の管理などもAIが行い効率的な配置を整えられるため、全体の生産性向上にも役立つでしょう。
近年では働き方改革の推進により残業を減らす取り組みが行われています。
AIの導入により既存の業務における作業量を減らせるため、残業時間の短縮も可能です。
同時に人件費の削減にもつながります。
人的ミスを減らせる
業務系システムへのAI導入は、人的ミスを減らす効果も期待できます。
同じ作業の繰り返しは社員にとって大きなストレスとなり、人的ミスの可能性が高まるでしょう。
AIにより制御されたシステムが代わりに行えば、人的ミスのリスクをなくせます。
また、AIは異常を検知する役割も果たすため、人的ミスを早い段階で発見できます。
事故やトラブルを防ぐ効果も期待できるでしょう。
業務系システムにAI技術を導入した事例
最後に、業務系システムにAIを導入した企業を3つ紹介します。
- 株式会社ZOZO
- ソフトバンク株式会社
- パナソニックコネクト株式会社
社内ツールや会計ツールとしてAI技術を導入し、業務の効率化を成功させた事例です。
より多くの業務をAIで自動化できれば、人員をより必要な業務に回して精度を高められるでしょう。
事例を参考にしてAI導入のヒントにしてください。
株式会社ZOZO
株式会社ZOZOは、ファッション通販サイトのZOZOTOWNやファッションコーディネートアプリのWEARなどを運営する会社です。
請求書を自動処理するAI「sweeep」を導入して経理業務を効率化しました。
「sweeep」は、請求書の受け取りや仕訳、振込などの手続きをすべてAIに任せられるサービスです。
導入前は請求書の経路や形態が多岐に渡り複雑化していたところ、請求書のデジタル化や経理業務の効率化を目的として「sweeep」を導入しました。
結果として締め日が7営業日から3.5営業日に短縮され、ほかにも以下のような成果が上がっています。
- ペーパーレス化の推進により紙の保存にかかるコストを削減できた
- リモート業務を推進できた
- 債券計上フローを一元化できた
参照:ZOZO様・ZOZOテクノロジー様の導入事例を公開しました!|sweeep株式会社
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社は2023年5月、生成AIを活用した社内向けチャットツールの利用を開始しました。
独自に構築したソフトバンク版AIチャットであり、以下のような効果が期待されています。
- 文章の作成や翻訳といったすでにある業務の効率化
- 生産性の向上
- 営業やマーケティング部門における企画やアイデアの立案
- サービス開発のためのプログラミングのサポート
また、AIチャットの活用により社員一人ひとりの業務レベルを一定以上に保つ効果も期待できるでしょう。
ソフトバンク版AIチャットは社内で開発されたチャットツールのため、セキュリティ面で安心して利用できるメリットもあります。
例えば、ChatGPTをはじめとする他のツールを使って社内データが流出するリスクをなくせるでしょう。
参照:ソフトバンク版AIチャットの利用を開始|ソフトバンク株式会社
パナソニックコネクト株式会社
パナソニックコネクト株式会社は、パナソニックグループで主にBtoB向けのソリューションを提供する会社です。
2023年2月にAIアシスタントサービスConnectAIの利用を開始します。
日本の大手企業では生成AIを使ったツールを利用する前例がなかったため、注目を集めました。
社員によるAI活用スキルの向上を目的とした導入で、定型業務だけでなく非定型業務のシステム化を目指しています。
社内情報に関する質問をAIにできるようになれば、業務の効率が大幅に上がり生産性も向上するでしょう。
また、社内で安全なツールを提供することでシャドーAIの利用リスクを軽減することも導入の目的です。
参照:パナソニック コネクトのAIアシスタントサービス「ConnectAI」を自社特化AIへと深化|Panasonic Group
AI技術を導入して業務系システムをより便利に活用しよう
業務系システムにAIを導入することで、人的ミスのリスクを抑えつつ生産性を向上できます。
さまざまなAI技術を理解し、業務系システムを効果的に活用しましょう。
業務系システムやAI技術を導入する際は、ぜひ本記事を参考にしてください。