プロトタイプ開発とは?メリットやアジャイルなど他の手法との違い

最終更新日:2025.03.31
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
プロトタイプ開発とは?メリットやアジャイルなど他の手法との違い
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

「新しいサービスを形にしたいと思うが、本当にユーザーに受け入れられるか不安に思う」
「開発を進めてみたものの、イメージと違った」
このような経験はありませんか。

革新的な製品やサービスを生み出すためには、ユーザーのニーズを的確に捉えて、開発の方向性の早期検証が重要です。
そこで注目されているのが「プロトタイプ開発」です。

本記事では、プロトタイプ開発の基礎知識やメリット・デメリット、アジャイル開発・ウォーターフォール開発との違いを解説します。

目次

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プロトタイプ開発とは

プロトタイプ開発とは、ソフトウェア・システム・製品などを開発する際に、事前に本製品と同様の機能を持つ縮小版または、簡略版の試作品(プロトタイプ)を作成し、ユーザーテストや検証を行う開発手法です。

本格的な開発に入る前に、実際のユーザーに試作品を使ってもらい、フィードバックを収集することで、開発における課題を早期に発見し修正できます。
実際の声をもとに開発・修正を進めるため、開発期間の短縮やコスト削減、ユーザーニーズに合致した製品開発の実現に期待できます。

まずは、プロトタイプ開発の目的や種類について紹介します。

  • 開発の目的
  • 主な種類

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

開発の目的

プロトタイプ開発を実施する主な目的は、下記の通りです。

目的詳細
ユーザーニーズの検証開発前にユーザーに試作品を使ってもらい、使い勝手や機能性の問題点を洗い出す。ユーザーニーズに合致した製品開発を行うことができる。
開発リスクの軽減早期段階で問題点を発見し修正することで、後工程での手戻りを減らし、開発コストや期間の削減につなげる。
ステークホルダー間の合意形成開発チーム、クライアント、ユーザー間で共有できる具体的なイメージを作成することで、認識のずれを解消し、合意形成を促進する。
市場調査プロトタイプを市場に投入することで、ユーザーの反応や市場の動向を把握し、製品開発の方向性を修正する。
投資判断の支援プロトタイプ開発の結果に基づいて、開発継続の可否や投資額を決定する。


このように、プロトタイプ開発にはさまざまな目的があります。

主な種類

プロトタイプ開発には、大きく分けて以下の2種類があります。

種類内容特徴
使い捨て型プロトタイプ
(ラピッドプロトタイピング)
検証後に廃棄されるプロトタイプ。機能やデザインの検証に重点を置いた開発を行う。低コスト、短期間で開発可能。検証に特化しているため、完成度が低い場合もある。
進化的プロトタイプ
(ブレッドボード・プロトタイピング)
検証結果を反映しながら改良を重ね、最終的に製品として完成させるプロトタイプ。完成度が高い製品が開発できる。開発期間が長くなる可能性がある。

それぞれのプロジェクトの目的や状況に応じて、最適な種類を検討・選択する必要があります。
以下でさらに詳しく解説します。

ラピッドプロトタイピング

ラピッドプロトタイピングとは、最低限の機能と品質でシステムを迅速に作り上げることを目指す手法です。
工業製品開発の試作品構築にも用いられる手法で、ソフトウェア開発においては使い捨て型プロトタイプ開発で用いられます。

プロトタイプは仕様を決めるためだけに使われるため、本番システムとは別の技術やツールを用いて作成されることも少なくありません。
画面の見た目や操作感を重視したプロトタイプをスピーディーに作り上げるため、操作性が高く変更に対応しやすい開発ツールが使われます。

使い捨て型プロトタイプの欠点は、変更要求が増えすぎて、開発期間やコストが膨らむリスクがあることです。
そのため、変更要求の範囲や回数を事前に定めるRAD(Rapid Application Development)という手法を採用するなど、開発期間やコストを適正にコントロールする工夫が必要でしょう。

この手法では、プロトタイプを作成する過程で、ユーザーとのやり取りやフィードバックを大切にします。

ブレッドボード・プロトタイピング

ブレッドボード・プロトタイピングは、進化型プロトタイプ開発の一種です。
この手法では、最初に作成したプロトタイプを段階的に改良して最終的なシステムに仕上げていきます。

進化型プロトタイプ開発で作成するプロトタイプは、最終的に本番システムとして利用するため、開発に使用するツールは本番環境と同じものでなければなりません。
また、開発ツールは作成しやすさだけでなく、変更しやすさも重要です。

進化型プロトタイプ開発では、設計段階で細部までシステム仕様を決める必要はありません。
大まかな仕様を決めたら早期にプロトタイプの作成に着手し、プロトタイプを検証しながら詳細な仕様を検討していきます。そのため、開発期間と開発コスト(費用)を大きく削減できます。

プロトタイプ開発とその他開発手法の相違点

プロトタイプ開発は、他の開発手法であるアジャイル開発やウォーターフォール開発などと、開発アプローチにおいて明確な違いがあります。
それぞれの開発手法の特徴を理解することで、最適な手法の選択やプロジェクトの成功につながります。

本章では、以下の3点について解説します。

  • プロトタイプ開発とアジャイル開発の違い
  • プロトタイプ開発とウォーターフォール開発の違い
  • プロトタイプ開発とMVP開発の違い

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

プロトタイプ開発とアジャイル開発の違い

アジャイル開発とプロトタイプ開発は、どちらも反復的な開発プロセスを採用しますが、目的とアプローチに違いがあります。

アジャイル開発は全体を小さな単位に分割し、各単位を短いサイクルで開発・テスト・リリースを繰り返して、柔軟な開発を進めます。
一方、プロトタイプ開発は、最小限の機能を持つプロトタイプを作成し、試作品をユーザーに評価してもらうことでフィードバックを得て開発を進めます。

また、アジャイル開発は、最初から最後まで全体像を把握しながら開発を進める手法です。
対してプロトタイプ開発は、プロトタイプ作成という段階を設けて、ユーザーのフィードバックを早期に獲得し、開発方向性を修正する機会を設ける手法です。

表で比較すると下記の通りです。

両者の異なる部分アジャイル開発プロトタイプ開発
開発アプローチ反復型開発、小さな単位への分割プロトタイプ作成による段階的開発
目的柔軟性と迅速な開発早期フィードバックと方向性の検証
ユーザーフィードバック各イテレーションで取得プロトタイプ完成後に重点的に取得
工程分割最初から最後まで分割プロトタイプ作成と本格開発で分割


なお、アジャイル開発については下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

プロトタイプ開発とウォーターフォール開発の違い

ウォーターフォール開発は、工程を厳密に順序立てて進める開発手法です。
一方、プロトタイプ開発は、試作と改良を繰り返す中でユーザーニーズに合わせた開発を進めます。

ウォーターフォール開発では、仕様が確定してから開発が始まるため、ユーザーのニーズに対する柔軟性を確保しにくい場面もあります。

プロトタイプ開発では、プロトタイプ段階でユーザーフィードバックを得られるため、修正や仕様変更に対するリスクを軽減できます。
しかし、プロトタイプ開発は、ウォーターフォール開発に比べて開発期間が長くなる場合がある点に注意が必要です。

両者のメリット・デメリットを比較した表は以下の通りです。

開発手法ウォーターフォール開発プロトタイプ開発
メリット・工程が明確で管理しやすい
・コスト予測が比較的容易
・ユーザーニーズを反映しやすい
・リスク軽減や柔軟な対応が可能
デメリット・仕様変更に柔軟に対応できない
・ユーザーニーズのズレが生じやすく、後戻りが困難
・開発期間が長く、コストが高くなる可能性がある
・開発側の技術力に依存しやすい

このように、プロトタイプ開発・アジャイル開発・ウォーターフォール開発の特徴はそれぞれ異なります。
プロジェクトの規模・複雑さ・ユーザーの関与度合いなどを考慮して、最適な開発手法を選択することが重要です。

プロトタイプ開発とMVP開発の違い

MVP(Minimum Viable Product)開発は、プロトタイプ開発とは違って、市場の要求に応えられるかどうかを検証するのが目的です。
新規の製品やサービスなどをリリースする前に、最低限必要な機能だけを持ったものを作って市場の反応を見る方法のことです。
そのため、開発期間が短く、製品をそのまま市場に投入できることが強みといえます。

プロトタイプ開発とMVP開発は、正式な開発に先立って試作する開発手法である点では共通ですが、以下のように確かめたい内容が異なります。

プロトタイプ開発機能面や使い心地を確認する
【例】「このアプリは使いやすいかな?」
MVP開発市場やビジネスモデルの反応を見る
【例】「このアプリ売れるかな?」

プロトタイプ開発とMVP開発どちらを選ぶかは、試作の目的によって決めましょう。

MVP開発については以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

プロトタイプ開発のメリット

本章では、プロトタイプ開発のメリットについて解説します。

  • 開発側・発注側のズレを解消しやすい
  • 想定外のリスクを回避できる
  • システムの品質を確保できる
  • ユーザーの意見を反映しやすい
  • 仕様変更・機能追加に対応しやすい

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

開発側・発注側のズレを解消しやすい

プロトタイプ開発の大きなメリットの一つは、開発側と発注者間の認識のずれを早期に解消できる点です。
言葉や資料だけでは伝わりにくい仕様・機能・デザインイメージなどを、実際に動くプロトタイプを通して共有できるため、双方の理解を深めることができます。

複雑なシステムや新規開発など、完成形をイメージしにくいプロジェクトでは、プロトタイプを介したコミュニケーションが効果的です。
早期の問題点発見と修正が可能となり、プロジェクトの後戻りを最小限に抑え、開発期間の短縮やコスト削減にもつながります。

表でまとめると下記の通りです。

従来の開発手法プロトタイプ開発
仕様書や図面による説明のみで、イメージのずれが発生しやすい実際に動くプロトタイプで確認できるため、イメージのずれを最小限に抑えられる
問題点が後工程で発覚した場合、修正に多大な時間とコストがかかる早期に問題点を発見し修正できるため、開発期間とコストを削減できる
発注者と開発者の間で、認識のずれによるトラブルが発生しやすい共通の理解を形成しやすく、トラブルを未然に防げる

想定外のリスクを回避できる

プロトタイプ開発のメリットは、想定外のリスクを回避できることです。

プロトタイプのテストやレビューをすることで、発注側は開発側の技術や工程について詳しく知ることができます。
このように、双方のコミュニケーションがスムーズになり、予期せぬトラブルや誤解が防げます。

さらに、プロトタイプを繰り返し改良することで、不具合や使い勝手の悪い部分を早期に発見し、修正できます。
改良した結果を反映し、本開発ではより洗練された製品が構築できます。
新しいアイデアや技術を検証しつつ、製品の付加価値を高め、他社との差別化も可能となるはずです。

システムの品質を確保できる

プロトタイプ開発のテストやレビューは、プロダクトの品質向上に欠かせないプロセスです。
アイデアを出し合い、課題を洗い出し、改善策を実装しながら、プロダクトをより良くしていきます。

フィードバックを受けながら段階的に改良することで、発注側の期待やニーズに応えるシステムに仕上げられます。
開発側で仕様を決めたプロダクトを受け取るよりも、具体的なイメージを共有しながら協同開発することで、より高品質で満足度の高いプロダクトになるはずです。

ユーザーの意見を反映しやすい

プロトタイプ開発では、開発の早い段階からユーザーにプロトタイプを使用してもらい、フィードバックを獲得できます。
よって、ユーザーの生の声を反映しやすくなり、よりユーザーニーズに合致した製品・サービスを開発できる点が大きなメリットです。

従来の開発手法では、ユーザーからのフィードバックは開発後期に集約されるケースが多く、修正に多大なコストと時間がかかってしまうこともありました。
プロトタイプ開発は開発初期段階からユーザーの意見を反映し、コストや時間の問題を解消できるため、開発全体の効率性向上につながる手法です。

従来の開発手法プロトタイプ開発
ユーザーテストは開発後期に行われ、修正に多大なコストと時間がかかる開発初期からユーザーテストを行い、フィードバックを迅速に反映できる
ユーザーのニーズを十分に反映できない可能性があるユーザーニーズを正確に把握し、反映することで、満足度の高い製品やサービスを提供できる
市場投入後の修正が困難で、大きなコストがかかる可能性がある市場投入前に修正を行うことで、コストと時間を削減できる

仕様変更・機能追加に対応しやすい

プロトタイプ開発は、開発過程における仕様変更や機能追加にも柔軟に対応できます。
プロトタイプは完成品ではないため、比較的容易に修正や改良に着手できるためです。

市場の動向やユーザーからのフィードバックを迅速に反映でき、より競争力のある製品・サービスを創出できます。

従来のウォーターフォール型開発では、仕様変更は開発工程の後戻りを意味し、大きなコストと時間ロスにつながっていました。
プロトタイプ開発は、このようなリスクを軽減し、開発プロセス全体をよりアジャイルなものにできます。

従来の開発手法プロトタイプ開発
仕様変更は後工程での修正となり、時間とコストがかかる柔軟な仕様変更に対応でき、開発期間とコストを最適化できる
市場の変化への対応が遅延しがち市場の変化に迅速に対応し、競争優位性を確保できる
ユーザーからのフィードバックを反映するのが難しいユーザーからのフィードバックを迅速に反映できるため、ユーザー満足度を高められる

プロトタイプ開発のデメリット

本章では、プロトタイプ開発のデメリットについて解説します。

  • コスト高になる可能性がある
  • 開発に時間がかかるケースがある
  • 開発側の技術力に依存しやすい

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

コスト高になる可能性がある

プロトタイプ開発では、完成品とは別に試作品を作成する必要があるため、開発コストが高くなる可能性があります。
例えば修正を繰り返す場合や、高機能なプロトタイプを作成する場合は、その分コストが膨らむ傾向にあります。

また、プロトタイプを本番システムに一部又は全部流用する「ブレッドボード・プロトタイピング」を採用した場合でも、プロトタイプ作成にかけたコストを完全に回収できる保証はありません。
そのため、プロトタイプ開発を行う際は、事前に綿密にコストを算出するプロトタイプの機能を最小限に絞り込むなど、対策を実行して予算を適切に確保しましょう。

開発に時間がかかるケースがある

プロトタイプ開発は、試作品の検証やフィードバックなどに時間が必要です。
プロトタイプ開発は、試作・評価・修正を繰り返す反復的なプロセスで構成されるため、開発期間が長引く可能性があります。

 ユーザーからのフィードバックを反映し、プロトタイプを改良していくには、時間と労力を要します。
特にユーザーのフィードバックが頻繁に変化したり、複雑なシステムを開発したりする場合には、開発期間が当初の予定よりも大幅に延びる可能性も否定できません。

 開発スケジュールを立てる際は、余裕を持った計画を策定し、開発期間が伸びた場合に備えてください。
また、アジャイル開発の手法を取り入れることで、柔軟な対応が可能になる点も把握しておきましょう。

開発側の技術力に依存しやすい

プロトタイプ開発では、開発者の技術力や経験が開発の成功に大きく影響します。
高度な技術が必要なプロトタイプ開発において、開発者のスキルが不足した場合は、プロトタイプの品質低下や開発遅延のリスクに直結するためです。

開発者がユーザーのニーズを的確に捉えて、プロトタイプに反映できる能力も重要です。
そのため、経験豊富でユーザーニーズを理解できる開発者をいかにチームに配置できるかが、プロトタイプ開発を成功させるための鍵となり得ます。

 開発チームの能力を事前に確認・評価し、必要に応じて外部の専門家などの活用が必要かを検討しておくと安心です。

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プロトタイプ開発の進め方|5つのプロセス

プロトタイプ開発は、ただ試作品を作るだけではありません。
ユーザーフィードバックを効果的に活用し、最終製品へとつなげるための、明確なステップを踏む必要があります。

本章では、プロトタイプ開発の5つのステップを解説します。

  1. 要件定義と計画立案
  2. プロトタイプの設計と開発
  3. ユーザーテストの実施
  4. 反復と改善
  5. 本番開発への移行

上記のステップの効果的な実行により、ユーザーニーズを的確に捉えて、成功するプロトタイプ開発を実現できます。

手順1.要件定義と計画立案

プロトタイプの開発要件を定義する際には、検証したい機能や仕様を明確にすることが必要です。
また、プロトタイプの開発後の運用方針を決めるのも重要といえます。

プロトタイプは、工業製品の場合は試作品として廃棄されることが一般的ですが、ソフトウェア開発の場合はプロトタイプを改良して完成版としてリリースすることも可能です。
この選択肢は、要件定義の精度や設計の柔軟性に影響を与えます。

また、サービスの内容や事業計画にも関係します。
そのため、プロトタイプの目的やスコープを明確にし、適切な運用方針を決めることが必要です。

手順2.プロトタイプの設計と開発

要件定義に基づき、プロトタイプを設計しましょう。
紙ベースのモックアップから、実際に動作する機能を持つプロトタイプまで、さまざまなレベルのプロトタイプがあり、 使用するツール・技術・開発期間などを決定します。

この段階では完璧なプロトタイプを作る必要はありません。
最低限の機能を実装し、ユーザーに評価してもらうための試作品を作成することが第一です。

また、試作品の開発においては、検証したい内容を明確にすることが重要です。
そのためには、発注者と開発者が共通の目的を持ち、試作品の範囲と仕様を決める必要があります。

どの機能や画面をどの程度試作するかによって、試作品の品質や工数が変わってきます。
試作品の設計は、事前検証の効果を高めるだけでなく、無駄な試作を避けることで、開発コストを抑えることにもつながります。
プロトタイプ開発で十分な効果を出せるよう、入念な計画を立てましょう。

手順3.ユーザーテストの実施

設計したプロトタイプを用いて、ユーザーテストを実施しましょう。

ターゲットユーザーに実際にプロトタイプを使ってもらい、使い勝手・機能・デザインなどに関するフィードバックを収集します。
ユーザーテストは、開発チームだけでなく関係者も参加することで、より多角的な視点からのフィードバック収集につなげます。

手順4.反復と改善

ユーザーテストの結果を分析し、プロトタイプを改善しましょう。
ユーザーから改善要望などのフィードバックを収集し、プロダクトの改善に活かすべきポイントを検討しましょう。

フィードバックに基づき、機能の追加・変更、デザインの修正などを実施します。このステップを繰り返すことで、ユーザーニーズに合致したプロトタイプを完成させることが大切です。
必要に応じて、ステップ2~3を繰り返し、プロトタイプの完成度を高めましょう。

プロトタイプにユーザーのフィードバックを取り入れたら、再度テストを実施してもらいます。
このサイクルを繰り返すことで、プロトタイプを完成品として十分な品質に引き上げるのが重要です。

手順5.本番開発への移行

検証・改善のプロセスを経て十分な品質が得られたら、本開発に向けて仕様を決定します。
最終的なプロトタイプの完成後に、本番開発へと移行しましょう。

ラピッドプロトタイピングの場合は、プロトタイプを破棄し、新たに開発します。
ブレッドボード・プロトタイピングの場合は、プロトタイプをベースに本番開発を進めます。

本開発・リリースのフェーズでは、お客様の要望や市場の動向を考慮し、最適なプロダクトの方向性を確定します。
決定した仕様に沿って、細かい部分まで本格的な開発を行うのが本開発フェーズです。
開発中にも、お客様とのコミュニケーションは密に行い、可能な限りフィードバックを受け入れましょう。

本開発ではテストやデバッグを徹底的に行い、安全性や信頼性も含めたプロダクトの品質を保証します。
開発が完了したら、いよいよプロダクトのリリースです。

リリース後は、プロダクトの運用・保守を行い、品質の管理や導入効果の測定をします。
お客様の満足度やプロダクトのパフォーマンスを測定し、改善のためのアクションにつなげていきましょう。

プロトタイプ開発が向いているプロジェクトの特徴

本章では、プロトタイプ開発が向いているプロジェクトについて解説します。
プロトタイプ開発が適しているのは、主に次のようなケースです。

  • 前例が少ないシステムを開発するケース
  • システムの完成像が曖昧なケース
  • UIの使いやすさ・デザイン性が重要なケース

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

前例が少ないシステムを開発するケース

新技術やオリジナル機能を取り入れた、あまり前例のないシステムを開発する場合は、プロトタイプ開発が向いています。

例えば、新規事業は市場に存在しないまったく新しい製品やサービスを生み出すため、完成形を事前にイメージするのは困難です。
また、ユーザーの反応や市場の動向を予測することは難しく、開発途中で方向転換が必要になる可能性もあります。

そのため、新規事業のような状況下では、プロトタイプ開発が有効といえます。
プロトタイプを早期に作成し、ユーザーテストを実施することで、ユーザーニーズの把握や市場適合性の早期検証につながります。

主なメリット内容
市場ニーズの早期検証プロトタイプを用いたユーザーテストにより、早期に市場ニーズを検証し、製品の方向性を修正できる。
開発リスクの低減開発段階で問題点を発見・修正でき、後戻りを最小限に抑え、開発コストや時間を削減できる。
投資判断の精度向上プロトタイプの検証結果に基づいて、より正確な投資判断ができる。

仕様を最初に決めてから開発する手法では、要件定義や設計の段階で見落としがあった場合、大きな修正が必要になるリスクが高くなります。
その結果、開発期間の延長や費用の増加など、さまざまな問題が起こりかねません。

プロトタイプ開発では、試作品を使って評価や検証を行うため、完成品のイメージを早い段階で明確にできます。
また、自社のニーズを正しく伝えることもできます。

システムの完成像が曖昧なケース

プロトタイプ開発は、言葉だけでは伝えにくい要求事項を視覚的に共有し、発注者と開発者間の認識のずれを最小限に抑える効果があります。
プロトタイプを介して具体的なイメージを共有でき、双方の理解を深めて、スムーズなコミュニケーションや開発が可能です。

主なメリット内容
コミュニケーションの円滑化視覚的なプロトタイプを用いるため、発注者と開発者間の意思疎通がスムーズになる。
認識のずれの解消プロトタイプを通して、双方の認識をすり合わせ、誤解を防ぐ。
開発リスクの軽減早期に問題点を発見し、修正することで、開発リスクを低減できる。

また、機能性や操作性についても、実際の動きを見ながら評価や改善を行えるため、あとになって仕様変更が頻発するリスクを抑えられるでしょう。
そのため、システムの完成イメージが明確にならない場合はプロトタイプ開発がおすすめです。

UIの使いやすさ・デザイン性が重要なケース

UIデザイン重視のプロジェクトでは、ユーザーインターフェースの使いやすさやデザイン性が製品の成功を大きく左右します。
一方で、ユーザーにとって直感的で使いやすいUIを実現するには、多くの試行錯誤と修正が必要となるケースが多いのも事実です。

プロトタイプ開発では、紙のプロトタイプやデジタルプロトタイプを用いて、UIデザインを繰り返し検証・改善できます。
ユーザーテストを通して得られたフィードバックの迅速な反映により、完成度の高いUIを実現し、ユーザー満足度の向上に期待できます。

主なメリット内容
ユーザー体験の向上ユーザーテストを通して、使いやすさやデザイン性を検証し、最適なUIを設計できる。
デザインの修正コスト削減開発初期段階での修正により、後工程での修正コストを大幅に削減できる。
ユーザー満足度の向上使いやすく、デザイン性の高いUIは、ユーザーの満足度向上につながる。

プロトタイプ開発ではユーザーの視点を重視しているため、ECサイトや業務用システムなど、UIが重要なシステムでユーザーの満足度が高い機能を構築できます。

自社での開発が難しい場合は専門家への依頼もひとつの手

プロトタイプ開発に慣れていない場合、外部パートナーに依頼することで、システム開発にかかるコストや時間を大きく節約できる可能性があります。

自社にプロトタイプ開発の経験があるエンジニアが少ない場合、プロトタイプ開発前に相当数の人材の採用や育成が必要となるため、多大な時間とコストがかかります。
その場合はシステム開発会社に開発を依頼することで、人材の育成に必要な時間とコストの節約が可能です。

また、システム開発に必要な人材を外部から集めることができれば、人手不足が解消し、自社の社員をより重要な業務にあてられます。

システム開発を外部の開発会社に依頼するためには、開発したいシステムの業務分野に詳しく、プロトタイプ開発の実績が豊富な信頼できる会社を選ぶのが重要です。

【失敗しないために】プロトタイプ開発の2つの注意点

本章では、プロトタイプ開発で注意すべき2点を解説します。

  • プロトタイプ開発の目的を明確する
  • 開発コストとスケジュールを適切にコントロールする

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

1.プロトタイプ開発の目的を明確にする

プロトタイプ開発の採用について検討する際は、試作品で検証すべきことが何かを具体的に検討しましょう。
試作品で検証すべきことが明確でない場合や、試作品で検証するまでもない場合にプロトタイプ開発を採用すると、無駄な手間やコストが発生する可能性が高くなります。

試作品で検証したいことが明確にある場合に採用すれば、効率的に開発が進められます。
したがって、試作による検証の必要性をしっかりと判断し、コストや時間に見合った効果が期待できる場合にプロトタイプ開発を選択しましょう。

2.開発コストとスケジュールを適切にコントロールする

プロトタイプ開発は、ユーザーニーズや問題点を早期に明確にできるのがメリットです。
しかし、試作を検証する範囲や期間を適切にコントロールしないと、仕様が決まるまでに多くの工数と期間を投入してしまう結果になりかねません。

そのため、プロトタイプ開発を採用する場合は、下記を意識し、試作の検証にかけるコストとスケジュールをしっかりコントロールすることが重要です。

  • 試作で検証する対象を重要な機能に絞る
  • 到達すべきゴールと検証期間を明確に定める

プロジェクトの初期段階で、関係者と認識を共有しておきましょう。  

プロトタイプ開発でビジネスを加速させよう

プロトタイプ開発は、単なる試作品作成にとどまらず、ビジネスの成功を加速させる手法です。
プロトタイプ開発を取り入れることで、時間やコストのリスクを大幅に軽減し、よりユーザーニーズに合致した製品・サービスの迅速な提供が可能です。

開発手法は、プロジェクトの規模・特性・開発チームのスキルなどによって異なり、何が適しているかは状況次第で異なります。
プロトタイプ開発は万能な開発手法と言えない一面もありますが、合致していれば大きな効果をもたらす開発手法です。

本記事で解説した内容を参考に、ぜひ貴社のビジネスにプロトタイプ開発を導入し、ビジネスの加速を目指しましょう。

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