アジャイル開発の進め方とは?メリット・デメリットや成功させるコツ4選を紹介!
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
この記事をご覧の方の中には、
「アジャイル開発の進め方を知りたい」
「アジャイル開発のメリットや成功させるコツを知りたい」
上記のような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
システムを構築する手法においてアジャイル開発は一般的ですが、プロジェクトによっては適さないケースもあります。
アジャイル開発の特徴や強みを理解したうえで導入を行えば、顧客満足度の高いシステムを短期間で開発でき、プロジェクトの成功につながるでしょう。
本記事では、アジャイル開発の進め方からメリット・デメリット、成功のコツまで詳しく解説します。
アジャイル開発を導入して自社のプロジェクトを成功させたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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アジャイル開発とは
アジャイル開発とは、プロジェクトを小さい機能単位で分け、複数のチームで短期間にシステム開発を行う手法です。
アジャイルは英語で「機敏な」「素早い」を意味する通り、要件定義からテストまで一連の工程を短期間で繰り返し行います。
アジャイル開発は、顧客に価値のあるシステムを迅速に提供することを重視しているため、フィードバックを得ながら並行してプロジェクトを遂行します。
開発工程が機能単位で細分化されているため、開発途中でも仕様変更に対応しやすい点が魅力です。
また、プロジェクトの大枠が決まれば開発に着手できるため、準備期間の短縮を図れます。
変化の多い現代において、仕様変更へ柔軟に対応できるアジャイル開発は適切な開発手法といえます。
アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い
アジャイル開発とウォーターフォール開発では、プロジェクトの進め方が大きく異なります。
アジャイルは機能単位ごとに開発を繰り返してシステムを構築する手法なのに対して、ウォーターフォールは要件定義・設計・開発などの各工程を完成させ、システムを開発する手法です。
顧客の要望を適時取り入れて需要の高い成果物を提供する場合はアジャイル開発が適しており、契約内容を明確にして予算や人員などを計画的に組みたい場合はウォーターフォール開発が有効です。
両者の具体的な違いは、以下の表の通りです。
アジャイル開発 | ウォーターフォール開発 | |
特徴 | 機能単位ごとに開発を行う | 上流工程から下流工程まで順に開発を行う |
テストの実行頻度 | 多い | 少ない |
リリースまでの期間 | 短い | 長い |
プロジェクトの規模 | 小規模向き | 大規模向き |
顧客とのコミュニケーション | 密にコミュニケーションをとる | 要件定義でのコミュニケーションが中心 |
それぞれの開発手法にメリット・デメリットが存在するため、構築するシステムやプロジェクトの特性に合わせて適した開発手法を選択しましょう。
アジャイル開発3つの手法
アジャイル開発には主な手法が3つ存在します。
具体的には以下の3つの手法です。
- スクラム
- エクストリームプログラム
- ユーザー機能駆動開発
手法によって特徴や進め方が異なるため、下記の解説を参考にしてみてください。
スクラム
アジャイル開発において、スクラムは代表的な手法で広く活用されています。
ラグビーの「スクラム」のように、チームで一丸となって要件定義からテストまでを短期間で繰り返す開発手法です。
開発チームだけでなく、顧客の意見も採り入れながらシステムに反映させる柔軟性が特徴です。
外部環境やチームの成長などによって、常に変化や改善を繰り返しながら行う価値提供を重視しています。
スクラムにはフレームワークが存在しており、定義されたルールや価値観に沿って進めるケースが一般的です。
エクストリームプログラム
エクストリームプログラムは、スクラム以上に仕様変更を柔軟に許容する手法であるため、顧客と密に連絡を取り合う場合に有効です。
2人1組でペアプログラミングを行ったり、コーディング規約に基づいて開発を進めたりします。
エクストリームプログラムにおいて、開発チームは以下の価値観を共有しながら開発を進めます。
- ステークホルダーとのコミュニケーション
- 設計はシンプルに
- フィードバックを繰り返し品質を向上
- 仕様変更に対応する勇気
- チームメンバーを尊重
エクストリームプログラムを選択する際には、5つの価値観が開発するうえで重視すべきポイントであるため、覚えておきましょう。
ユーザー機能駆動開発
ユーザー機能駆動開発は、顧客目線でより高品質な成果物の提供を目的にした手法です。
ユーザー機能駆動開発では、以下5つの基本活動を基に開発を行います。
- 全体モデル開発
- フィーチャー(機能)リストの構築
- フィーチャーごとの計画
- フィーチャーごとの設計
- フィーチャーごとの構築
他のアジャイル開発のフレームワークよりも、短い間隔で機能提供を目指しているのが大きな特徴です。
ニーズの高いシステム開発を実現させるため、顧客のビジネスモデルへの理解も欠かせません。
アジャイル開発におけるスクラムの進め方
アジャイル開発の進め方について、代表的な手法であるスクラムを例に解説します。
独立行政法人 情報処理推進機構が発表した「アジャイル開発の進め方」を参考に説明します。
資料によると、スクラムの進め方は次の順序です。
- 1.プロダクトバックログを作成
- 2.スプリントプランニング
- 3.スプリント内の開発作業を実行
- 4.スプリントレビュー
- 5.スプリントレトロスペクティブ
順番に解説します。
参照:独立行政法人 情報処理推進機構「アジャイル開発の進め方」
1.プロダクトバックログを作成
はじめにプロダクトバックログを作成します。
プロダクトバックログは、顧客が求める機能を洗い出して優先順位を付けたリストです。
一度作成して終わりではなく、顧客の要求に応じてその都度変更を加えていきます。
開発チームだけでなく顧客も含めて全員で共有する関係上、わかりやすい言葉選びが求められます。
プロジェクトにおいてロードマップの役割があるため、誰が見ても今後の取り組みが明確になるよう記載すべきです。
2.スプリントプランニング
プロダクトバックログを作成した後は、スプリントプランニングを実施します。
スプリントとは、開発工程を繰り返す1週間から2週間程度までの反復の期間を意味します。
スプリントプランニングは、プロダクトバックログを参考に今回開発する機能を決めた後、チーム全体で行うミーティングです。
今回行う開発の計画を立て、チームにタスクの割り当てをする工程です。
スプリントプランニングでは、ゴールを意識して顧客視点と開発者視点で行う必要があります。
3.スプリント内の開発作業を実行
次はスプリント内の開発作業の実行です。
コーディングだけでなく、顧客の要求に応じて修正を実施したり、実際のUI確認も同時に行ったりします。
開発作業を実行する際には、活動状況を共有するデイリースクラムも欠かせません。
デイリースクラムはスプリントを円滑に行うための大切なコミュニケーションの場であるため、1回15分を基本に進捗状況や課題を共有して現状把握を行います。
1人の困りごともチームの問題と捉えて、全員で解決を図るのが特徴です。
4.スプリントレビュー
開発作業の終了後は、スプリントレビューを行います。
開発した機能のデモンストレーションを行い、顧客も含めた関係者で検査や評価を実施します。
スプリントの成功や、プロダクトが順調に進んでいるかを確認できるため重要です。
スプリントレビューによって、プロダクトバックログの優先順位が入れ替わるケースもあります、
スプリントレビューを通して現状の解題や問題点についてフィードバックを得られます。これにより次にすべき項目が理解できるため重要な工程といえます。
5.スプリントレトロスペクティブ
最後にスプリントレトロスペクティブの実施です。
今回のスプリントを振り返り、進捗に影響した原因を探究したり、次回に活かせるようチームの改善を促したりする場です。
解決すべき課題や、次回実施する必要のある内容を確認できるため、チームメンバーの育成にも役立ちます。
スプリントレトロスペクティブを行うことによって、チームの開発能力を高められるきっかけになるでしょう。
アジャイル開発のメリット
アジャイル開発の具体的なメリットは以下の通りです。
- 顧客の要望へ柔軟に対応できる
- 大幅な修正リスクを防げる
- 開発スピードが早くなる
- 成果物の質が向上する
自社に適した開発手法を選択する際の参考にしてください。
顧客の要望へ柔軟に対応できる
アジャイル開発は、顧客の要望へ柔軟に対応できる点がメリットです。
なぜなら、アジャイル開発は計画段階ですべて仕様を決めず、途中でフィードバックを得ながら進める手法だからです。
各機能の開発期間も1〜2週間と短いため、仕様変更や追加対応も適時行いながら進められます。
顧客の要望を柔軟に採り入れられるため、顧客満足度の向上も期待できます。
大幅な修正リスクを防げる
アジャイル開発の特性を活かすことによって、大幅な修正リスクを防げます。
開発初期から顧客を巻き込んで進めるため、細かな修正点もその都度把握でき、最終段階で大幅な修正が発生する心配はありません。
アジャイル開発は顧客とのコミュニケーションを重視しており、認識のズレも早期に修正できます。
最終の大型テストで発生する修正リスクを防ぐために、アジャイル開発は有効な手法でしょう。
開発スピードが早くなる
開発スピードが早くなるのもアジャイル開発の大きなメリットです。
アジャイル開発は、細かな機能単位で設計からテストまでを行いリリースするため、結果的に開発にかける時間を短縮できます。
ユーザーを巻き込んで開発を進める特性上、手戻りが少ないのも開発スピードが早くなる大きな理由です。
競合他社よりもリリースのタイミングが早ければ、優位性を得られるメリットもあります。
成果物の質が向上する
アジャイル開発なら、成果物の質が向上するメリットも見逃せません。
アジャイル開発はフィードバックを得て振り返る機会が多く、その都度チームの知識やスキルが磨かれて成果物の質向上につながります。
コミュニケーションを図る機会が多いため、課題発見や弱点をカバーし合うことに繋がりメンバーだけでなくチームの成長も促進できるでしょう。
短期間で開発プロセスを繰り返せば対処できる機会が何度も得られ、成果物に向き合える時間も確保できます。
アジャイル開発のデメリット
メリットの多いアジャイル開発ですが、デメリットも存在します。
採用する開発手法を正しく比較検討するために、デメリットも忘れず確認しておきましょう。
アジャイル開発のデメリットは次の通りです。
- 開発の方向性にズレが生じやすい
- 度重なる仕様変更で納期遅延を引き起こす恐れがある
- 短期間ではチーム体制の構築が難しくなる
順番に解説します。
開発の方向性にズレが生じやすい
開発の方向性にズレが生じやすいのも、アジャイル開発のデメリットです。
アジャイル開発は、仕様変更へ柔軟に対応できる反面、過度な変更により元となるコンセプトとズレる恐れがあります。
開発の方向性にズレを生じさせないためには、仕様変更時に全体像と比較して整合性を取ることが大切です。
要件は満たしつつも、方向性を見失わないよう気をつけましょう。
度重なる仕様変更で納期遅延を引き起こす恐れがある
アジャイル開発の特性上、複数の仕様変更で納期遅延を引き起こす可能性も見過ごせません。
顧客ニーズを採り入れ仕様変更も行いながら開発を進めるため、全体のスケジュールが読みにくいのが特徴です。
機能単位で開発を行っており、プロジェクト全体の足並みが揃いにくく、結果的に納期遅れにつながるケースが多いです。
あらかじめ、チーム個々人の経験やスキルを考慮して、遅延の可能性も見据えて余裕を持たせたスケジュールを組んでおきましょう。
短期間ではチーム体制の構築が難しくなる
アジャイル開発を行う際、短期間ではチーム体制の構築が難しいデメリットも存在します。
アジャイル開発の成功にはチームメンバーの協力が欠かせないものの、短期間ではプロジェクトに対する認識の擦り合わせが難しかったり、教育時間を確保できなかったりする恐れがあります。
メンバーのスキルに偏りがあるケースも多く、チーム体制の構築には一定の期間が必要でしょう。
役割を明確に固定せず、チーム同士で課題を補い合う姿勢がスクラムの本質です。
短期間で開発を行う際の対策は、弱点を補完し合える構成でチームを組み、分野の垣根を越えて協力できる体制の構築が有効な方法です。
チーム構築の期間が確保できない場合は、外注も有効な選択肢になります。
アジャイル開発を成功させるコツ3選
アジャイル開発は短期間で完成度の高いシステムを構築する際に有効な方法ですが、管理が難しかったり、一部で適さないプロジェクト領域があったりします。
アジャイル開発の失敗を避けるためには、以下3つのコツが効果的です。
- 開発チームで積極的にコミュニケーションを図る
- アジャイル開発に向いている領域か見極める
- 開発の方向性を明確にする
わかりやすく解説します。
開発チームで積極的にコミュニケーションを図る
チームで積極的にコミュニケーションを図れる環境は、アジャイル開発において重要です。
コミュニケーションが取りにくい環境では、メンバー同士の率直な意見やフィードバックが得られず、開発に反映できません。
アジャイル開発のスクラムでは、プロダクトオーナー・スクラムマスター・開発チームの3種類で構成されており、垣根を越えて意見交換できる風通しのいい環境が求められます。
コミュニケーションを活発に行い、開発チーム内でスキルを補完しながら完成度を高めていく作業が大切です。
チームで協力して問題解決を行うスクラムの本質を忘れず、コミュニケーションを活性化させましょう。
アジャイル開発に向いている領域か見極める
アジャイル開発を成功させるコツは、この手法に向いている領域であるか否かを見極めることです。
アジャイル開発は、仕様変更を行いながら短期間で工程を繰り返して完成度を高めていく手法です。
厳密な用件定義が必要で、途中で仕様変更が生じないプロジェクトにはアジャイル開発は適していません。
取り組むプロジェクトの領域を明確にして、アジャイル開発が向いているのか今一度確認すべきでしょう。
開発の方向性を明確にする
アジャイル開発を実施する際には、大きな方向性を明確にすることも重要です。
スプリントごとに修正や改善を繰り返した結果、当初の方向性からズレてしまう可能性があります。
たとえば、開発過程で新しい機能に注力した結果、理想のシステムとはかけ離れてしまうケースがあります。
開発の方向性を明確にして、あらかじめチーム内で共有しておくのがおすすめです。
方向性をチーム内で共有しておくことによって、本来充実させたい機能を見失う心配もありません。
アジャイル開発の特性を活かしてプロジェクトを成功に導こう!
今回はアジャイル開発の具体的な進め方から、メリット・デメリットに成功のコツまで解説しました。
従来主流であったウォーターフォール開発から移り変わり、現在ではアジャイル開発が多くの現場で広く採用されています。
顧客に完成度の高いシステムを短期間で提供できるアジャイル開発は、今後も多くのプロジェクトで導入される見込みです。
本記事を参考にアジャイル開発を導入して、プロジェクトを成功させましょう。
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