ヘッドレスCMSの導入事例5選|メリットやおすすめのサービスを解説
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
近年、注目度が高まりつつある「ヘッドレスCMS」は、フロントエンドやプレビュー機能がないCMS(コンテンツマネジメントシステム)のことです。
そんなヘッドレスCMSについて、「具体的に何ができるのだろう」「どのような導入事例を知りたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ヘッドレスCMS導入のメリット・デメリット、おすすめのヘッドレスCMSや導入事例を紹介します。
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ヘッドレスCMSとは?
ヘッドレスCMSは、自由度の高いサイト制作が可能なCMSです。
従来型CMSとの違いやヘッドレスCMSの種類について、見ていきましょう。
従来型CMSとヘッドレスCMSの違い
従来型CMSとヘッドレスCMSとの違いは、フロントエンドの有無です。
これまでのCMS(例:WordPress)は、フロントエンドとバックエンドが一体となっており、バックエンドにあるコンテンツがフロントエンドを通して表示される仕組みです。
内容の反映や視聴、投稿やメンテナンスなど、サイト制作に必要な機能が備えられているため、経験が浅くてもサイト制作・更新できる点が魅力です。
一方、最近話題になっているヘッドレスCMSは、画面への反映を担うフロントエンドの表示部分がなく、デバイスに反映させるためには別途プレビュー機能を実装する必要があります。
ただ、フロントエンドが独立したことで、バックエンドを自由に編集できるメリットがあります。
バックエンドの編集で、独自性の高いUI設計やセキュリティ強化を実現できます。
ヘッドレスCMSの種類
ヘッドレスCMSには、「Self-hosted型」「CaaS型」の2種類があり、大きな違いとしてホスティング(CMSの置き場所)が異なります。
それぞれのCMSの特徴を見て、自社に合っているヘッドレスCMSを選びましょう。
Self-hosted型
Self-hosted型は、名前の通り、自分で用意したサーバーやデータベースにCMSをインストールします。
好きな場所にホスティングができ、ソースコードへのアクセスが可能なケースが多いため、自由にカスタマイズできる点が特徴です。また初期費用はかかるものの、毎月のコストを抑えやすい点が魅力的です。
ただしサポートは受けられず、デプロイメントや環境管理も基本的に自己対応となります。
安全に運用を行うには、セキュリティ対策やデプロイメント関連に精通している人材が必要になるでしょう。
CaaS型
CaaS型は、「CMS as a Service」の略称で、システム運用会社のクラウド上のサーバーやデータベースにCMSがホスティングされています。
ヘッドレスCMSはサービス提供なので、「保守管理を任せられる」「トラブル時にサポートを受けられる」メリットがあります。
ただ、サブスクリプションで月額または使用料に応じた料金がかかるため、Self-hosted型と比べるとコストがかかる点、システム運用会社がサービスを打ち切った場合に使えなくなる点に注意が必要です。
ヘッドレスCMSのメリット
ヘッドレスCMSは、現代のシステムに適した魅力が多くあるため注目されています。
こちらでは、ヘッドレスCMSのメリット4選をご紹介します。
コンテンツ表示が速くなる
ヘッドレスCMSはコンテンツの管理と表示を分離しているため、フロントエンドはAPIからデータを取得して表示することができるため、表示が速くなることがメリットです。
従来型CMSはバックエンドとデータの伝達が欠かせず、スクリーン反映に時間がかかります。
ヘッドレスCMSの場合、データ伝送が不要でスクリーンに映るまでの時間が従来型CMSと比較して短い点が特徴です。
オフラインサービスをオンラインに移行している現代では、表示速度が重要視されます。
表示速度の速いサービスは、ユーザーにストレスを与えにくく、快適に利用できるようになります。
マルチデバイス対応ができる
マルチデバイス対応できる点も、ヘッドレスCMSの大きなメリットのうちの1つです。
従来型CMSではウェブをメインにフロントエンドが作成されます。
スマートウォッチなどウェアラブルデバイスへの対応できないゆえに、別にAPI作成が必須です。
ヘッドレスCMSは、同一内容をAPIを通してあらゆる端末で反映可能なので、少ない開発工数でマルチデバイス対応を実現できます。
パソコンを始め、iOSやAndroid、デジタルサイネージといった様々な端末で同じコンテンツを利用でき、コンテンツ管理にかかる手間や時間を大幅に削減可能です。
フロントエンドの変更に柔軟に対応できる
ヘッドレスCMSであれば、フロントエンドの変更に柔軟に対応できる点も、ヘッドレスCMSならではの魅力です。
ヘッドレスCMSはフロントエンドとコンテンツ管理をするバックエンドが独立しているため、従来型のCMSと比べてフロントエンドの改修時にバックエンドへの影響を考慮する手間が少なくなります。
例えば、従来型のCMSでトップ画面(静的ページ)にCMSで「お知らせ」などを付け加えたい場合、追加できずCMSで一からの組み立てが必要です。
ヘッドレスCMSの場合は、データをAPIを通じてサイトやページに反映させることが可能で、フロントエンドとバックエンドを独立して開発が行えるという大きなメリットがあります。
編集頻度が高い、広報などのお知らせページのような場合、ヘッドレスCMSを導入することでエンジニア負担が少なく、利用部門の担当者がリアルタイムに更新できるという点も企業とって見逃せない特徴と言えるでしょう。
高いセキュリティ
ヘッドレスCMSは、フロントエンドとバックエンドが分離されているため従来型のCMSに比べて高いセキュリティでシステム構築が可能になります。
インターネット上に公開されているのはAPIのみですので、そのほかのコンテンツに関わる管理ツールやダッシュボードは公開されません。そのため、攻撃を受ける可能性のある部分を減らすことができます。
加えて、静的ページとヘッドレスCMSを組み合わせて利用することで、SQLインジェクションやサーバーサイドの脆弱性を狙われるリスクが低下します。
企業にとってサイトのセキュリティは重要ですので、企業ページや自社ECサイトを頻繁に更新する会社はヘッドレスCMSの導入を前向きに検討すると良いでしょう。
ヘッドレスCMSのデメリット
一見、メリットの多いヘッドレスCMSですが、実はデメリットも存在します。
こちらでは、ヘッドレスCMSのデメリット4選を紹介します。
フロントエンド開発者が必要
ヘッドレスCMS導入において、フロントエンド開発者が必要な点が懸念点となります。
未着手状態では、フロントエンドなしで情報端末へ反映させられません。
開発に際しては、ReactやAngular、Vue.jsといったWeb開発フレームワークに長けているフロントエンド開発者が必要です。
また、APIの知見があり、バックエンドのプログラムをフロントで組むなど、開発者に高いスキルが求められます。
Web開発プロセスの複雑化ゆえ、高いスキルを持った人材獲得や社員教育は避けられないでしょう。
API関連の知識が必要
API関連の知識は、ヘッドレスCMSに必須です。
データをAPIでフロントエンドに伝達するヘッドレスCMSにおいて、開発者はAPIリクエスト生成のような、APIにまつわる知識が求められます。
直接開発に無関係のWeb管理者であっても、操作に最低限のAPIの知識はあった方が好ましいです。
動的ページ作成に外部ツールが必要
いままでのCMSでは外部ツールなしで速く・簡単に動的ページを作成可能でしたが、ヘッドレスCMSには外部ツールが必要です。
フロントエンドが存在しないヘッドレスCMSではすべてが静的ページの扱いです。
フロントエンドがある従来型CMSでは、ツールに頼らず動的ページも静的ページも作成できます。
しかし、動的機能が備わっていないヘッドレスCMSでは開発に際して、外部ツールが欠かせません。
プレビューには別途環境作成が必要
ヘッドレスCMSにはフロントエンドがなく、プレビューするには別途環境構築が必須という点に扱いにくさを感じるでしょう。
これまでのCMSは、ページ公開前の画面をプレビュー機能で確認可能ですが、プレビュー機能を備えていないヘッドレスCMSでは公開前に確認できません。
公開前の画面を確認するには、プレビュー用のサイトを用意するなど、事前準備が必要です。
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おすすめのヘッドレスCMS5選
様々なプラットフォームでコンテンツ配信するWebサイトにおいて、ヘッドレスCMSは便利です。
こちらでは、おすすめのヘッドレスCMS5選を1つずつ見ていきましょう。
Newt
「Newt」は「WordPressの次のサービスを作る」をミッションに掲げ、2022年3月に無料版をリリースした新しい日本製ヘッドレスCMSです。
個人利用・チーム利用の両方に対応しているため、既に多くの国内企業が採用し、コーポレートサイトやLPをメインに利用しています。
Appテンプレートとスターターがあり、数分程度でサイト立ち上げ可能な点が魅力的です。
チームもしくはプロジェクトに合わせてメンバー招待、参加・退出を行えるため、円滑に複数人で管理したい企業との相性が良いです。
Hygraph
「HyGraph」はGraphQLでのデータのやり取りにフォーカスした、ドイツ発のヘッドレスCMSです。
GraphQLの使用により、1つのリクエストで、異なるデータベースのデータを組み合わせ、素早く反映できます。
Rest APIも使用でき、リソースのURL毎にGraphQLとRest APIのどちらを使うか設定可能です。
多言語対応やモデル・フィールドのカスタマイズなど、ベーシックな機能があるため、効率的なデータ結合が可能です。
microCMS
「microCMS」は、APIベースの日本製ヘッドレスCMSで、日本発ビジネス向けウェブサービスです。
管理画面が日本語で、チャットサポートも日本語で快適に利用が可能です。
編集画面上でAPIからコンテンツを呼び出した結果のプレビューや画像のWebP変換など、細かい機能もあります。
また、無料枠でもコンテンツ数やAPIリクエスト数に制限がない点は、ヘッドレスCMSの導入を検討している企業にとって魅力的でしょう。
現在はRESTful APIのみ利用可能ですが、比較的新しいサービスで日々アップデートが行われています。
編集者も難なく使いこなせるため、メディアやコーポレートサイト、ECなど、多種多様な企業や団体で採用されています。
Contentful
「Contentful」は、ドイツ発の有名ヘッドレスCMSの1つです。
カスタマイズ性に優れ、Markdown記法や画像の自動リサイズ機能を備えているため、幅広いニーズに対応可能です。
また、トラブルへの迅速な対応が可能なため、SpotifyやWeWorkなど有名企業でも利用されています。
あらゆる環境でのチュートリアルに対応しているため、多くの企業から支持を得ています。
Prismic
「Prismic」は、フランス・パリ及びアメリカ・サンフランシスコで開発されたヘッドレスCMSです。
利用者が1ユーザーのみの場合、ほとんどの機能を無料で利用できる点が魅力。
まずは、お試しで利用したい方に適しています。
サーバーメンテナンスが不要なCaaS型のため、小規模サイトの構築や個人開発に適しています。
ダッシュボードのUIも洗練されており、動作も軽快です。
ただし、テキストにはリッチテキストのみ使用可能で、他のCMSと比較するとチュートリアルの読解に知識が必要な点は注意が必要です。
ヘッドレスCMSの導入事例
ヘッドレスCMSの利便性やコストを抑えられる点など、コストパフォーマンスの高さで導入企業は増加傾向にあります。
企業や団体など、多種多様なヘッドレスCMSの導入事例を見ていきましょう。
Vodafone UK(導入:Contentful)
Vodafone UKは、イギリスの電気通信サービスプロバイダーで、世界第2位を誇る携帯電話会社です。
Contentful導入後は、コンテンツ管理が簡略化され、コンテンツ編集に費やす時間が大幅に短縮されました。
また、スピーディーな情報反映が可能で、常に最新画面のキープが実現されています。
参照:Contentful
SAMSUNG(導入:Hygraph)
SAMSUNGは、韓国のテクノロジー企業で、世界最大の総合家電・電子部品・電子製品メーカーです。
Hygraphの導入後は、GraphQLのサポートによってフロントエンド開発者からバックエンド開発者へのAPI 調整依頼が不要になり、構築に集中できるようになりました。
また、デザインにとらわれない柔軟なコンテンツ配信も実現しています。
参照:Hygraph
株式会社NTTドコモ(導入:hacoCMS)
株式会社NTTドコモは、携帯電話など無線通信サービスや国際通信を提供する日本最大手の電気通信事業者です。
「d払い ポイントGETモール」へのhacoCMS導入で、既存サービスへの新コンテンツの組み込みがスムーズにできるようになりました。
また、セキュリティ強化および反映高速化も実現しています。
複数人でのコンテンツ管理の運用フローもでき、個人への負荷が分散されました。
参照:hacoCMS
freee株式会社(導入:microCMS)
freee株式会社は、スモールビジネスをサポートする会計ソフトの開発・提供をする会社です。
microCMS導入後は、利用技術が統一され、保守コストの削減に成功しています。
また、シンプルなUIで操作性が向上し、コンテンツ編集や管理が簡単にできるようになりました。
「HTMLの知識は合ってもJavaScriptはあまり詳しくない」というオペレーション担当者も、データ移行時やmicroCMS導入後も問題なく操作できているようです。
参照:microCMS
おおたまなびの森(導入:microCMS)
おおたまなびの森は、2023年1月にリリースされた大田区生涯学習ウェブサイトです。
「複数人の担当者が手軽にコンテンツ入稿・管理できるサイトを作りたい」「入稿の際のアクセスをIPアドレスで制限したい」という希望から、microCMSを使っています。
導入後は、直感的な操作でコンテンツを投稿できるようになり、コストや工数の削減が実現できました。
参照:microCMS
ヘッドレスCMSでコンテンツ管理を効率的に!
本記事では、ヘッドレスCMSのメリットやデメリット、おすすめのヘッドレスCMSから導入事例まで幅広く紹介しました。
フロントエンドやAPIの知識、外部ツールやプレビュー用環境が必要なヘッドレスCMSですが、その分従来型CMSより自由自在にカスタマイズでき、コストも抑えられます。
本記事を参考に、最適なヘッドレスCMSを導入してストレスフリーにサイトを制作しましょう。
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