ベトナムでの現地法人設立時によくあるトラブルと対策を解説

最終更新日:2024.10.26
ベトナム情報
中垣圭嗣
ベトナムでの現地法人設立時によくあるトラブルと対策を解説
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みなさんこんにちは。Wakka Inc.ラボマネージャーの中垣です。

先進国を中心に世界的にITエンジニア不足が叫ばれる中、システム開発の現場では外国人エンジニアを活用したグローバルな開発体制の構築がますます広がっています。
かつては賃金の低い外国へのアウトソーシングという目的で始まったオフショア開発を取り巻く状況は、単にアウトソースをする選択肢から、自社の開発拠点をグローバルに増やすという積極的な展開を目にすることが増えてきました。もちろんベトナムへ開発拠点としてグループ会社を設立する企業も年々増加傾向にあります。
ベトナムは、2014年以降は年6%前後の安定した経済成長をみせており、べトナム自体が消費市場として有望なうえに、周囲にもたくさんの国々があるため貿易がしやすいといった点が魅力となり誘致政策が非常にうまくいっている国だと感じます。

この記事では、こうした背景から増加してきた外資系企業のベトナムでの法人設立について、よくあるトラブルやその解決策をまとめています。

手っ取り早く法人設立の流れを知りたい方は、ベトナム法人設立マニュアルの資料をご覧ください。

目次

ベトナムにグローバル開発拠点設立を予定している方へ。
日本のIT企業さまにご利用いただけるベトナムでの現地法人設立マニュアルです。

ベトナム法人設立における基本STEPや人材採用の基本手法について解説しています。ベトナムでの法人設立手法、スケジュール感を知りたい方はぜひダウンロードしてみてください。

この記事を読んでわかること

・IT企業設立におけるベトナムの優位性
・ベトナムにおける法人の種類
・法人設立の簡単なステップ
・ベトナムでの法人設立時によくあるトラブルとその対策

なぜベトナムにIT企業を設立するのか

国を挙げてのさまざまな施策が実を結び、アジア屈指のIT人材大国となったベトナム。
ベトナムは政情的にも安定しており、安全とコスト、開発能力のバランスが取れたIT人材大国です。ベトナムの多くの優れた人材をオフショア開発に活用すれば、日本よりコストパフォーマンスに優れたシステム開発が可能になります。

やはりIT人材の豊富さがベトナムでIT企業を設立する大きな検討要素の1つですが、ベトナムがIT大国となった理由は「ベトナムはなぜIT人材大国となったのか?その背景や得意とする技術分野を紹介」で、まとめています。
また、IT企業の優遇税制も魅力のひとつです。ライセンスにもよりますが、設立後4年間の100%免税などは進出の足かせを軽くすることができます。



IT企業とひとくちにいっても、ベトナムでの法人ライセンスには大きく分けて2カテゴリがあります。

インターネット・Web業界

インターネットを利用したサービスを展開して収益を上げているのがインターネット・Web業界に属する会社です。代表的なビジネスモデルとしては、次のようなものがあります。
Webサイト制作:会社やサービスなどのサイト制作。コンサルティングなどで収益を上げる。
広告:広告代理店や仲介店を運営する方法と、アフィリエイターや動画クリエイター、インフルエンサーとして収益を得る方法があります。
EC:商品やサービスを販売する、いわゆるオンライン通販。商材はオリジナルでなくても良く、いわゆる「せどり」や個人輸出入での会社設立も可能です。

ソフトウェア業界

スマートフォンやPC用のアプリケーションを提供したり、他企業からアプリ開発依頼を受けたりして収益を上げているのがソフトウェア業界です。代表的なビジネスモデルとしては、以下があげられます。
SaaS開発:主にクラウドで提供するアプリケーションソフトウェアを開発。
PaaS開発:アプリを動かすデータベースやプログラム実行環境などを開発、提供。
IaaS開発:仮想サーバーやファイアーウォールといったインフラをネット上のサービスとして提供。

ベトナムにグローバル開発拠点設立を予定している方へ。
日本のIT企業さまにご利用いただけるベトナムでの現地法人設立マニュアルです。

ベトナム法人設立における基本STEPや人材採用の基本手法について解説しています。ベトナムでの法人設立手法、スケジュール感を知りたい方はぜひダウンロードしてみてください。

ベトナムの法人種別(外資・内資&有限・株式)

ここでは、IT会社を設立する際に必要な費用と手続きをまとめます。
会社設立には当然費用が発生するのはご存じだとは思いますが、日本とは異なる手続きも多く複雑です。それぞれの詳細を解説していきます。
ベトナムでは日系企業が現地法人を設立する際の会社設立形態は主に下記の3種類に分かれています。

1.有限会社:出資者が1名の場合

日本で言う有限会社で、その中でも、出資者が一人の場合の会社設立形態です。個人でも法人でも設立可能で、日本法人が設立・出資する場合は必然的に外資(ベトナムから見ると)100%の子会社になります。そのため、外資規制のない業種での進出の際に適しています。

2.有限会社:出資者が2名以上の場合

日系企業がベトナムに進出する際の8割はこの形式で会社を設立しています。特に、現地企業や現地パートナーとの合弁会社を設立する際、つまり外資規制で資本比率などの規制がある場合に、この法人形態を利用して進出する企業が多いようです。

3. 株式会社:出資者3名以上

有限会社と比べ管理運営コストが高く、出資者が3名以上必要なことから日本の中小企業がベトナムで会社を設立する際に株式会社の形態を利用することは稀です。

会社設立(法人設立)までの期間は、概ね3ヶ月〜6ヶ月です。半年から1年程で登記から従業員の募集もできます。法人設立におけるステップをかいつまんで記載すると、

1.申請書類の準備(公証・ベトナム語翻訳含む)
2.投資登録証明書(IRC)取得申請
3.IRC取得
4.企業登録証明書(ERC取得)取得申請
5.ERC取得
6.国家企業登録情報サイトへERC記載内容掲載
7.会社印鑑作成
8.会社印鑑作成の使用通知提出
9.国家企業登録情報サイトへの印鑑サンプル掲載通知書取得
10.  投資資本口座(DICA)と支払口座(VND)開設
11.  法人設立(登記)完了

このようなステップになります。各ステップ毎の詳細は以下のスケジュール表へ期間とともにまとめていますので参考にしてください。また、会社設立後の手続きは期限があるので、あらかじめ必要な手続きや届出を確認しておくのがおすすめです。

法人設立時によくぶつかる問題

ようやくこの記事をポイントでもある「よくあるトラブルとその対策」です。
法人設立時にぶつかる問題点や課題は様々ですが、結局のところその原因は、現地の税制や法律にそって設立手続きや社内規定を整備する必要があるが、必要な手続きが非常に煩雑で手間とコストがかかるということです。
また現地での採用活動や労務管理、資金調達、会計手続き、税務申告などが必要となるため、法人設立後の経営体制の構築についても同様に容易ではありません。
いくつか事例をあげると、

銀行口座開設

日系企業が利用する銀行はベトナムだと、「日系銀行」「外資系銀行」「ベトナム系銀行」の3種類が主になります。どの銀行が良いかなどは、当然知見がないと口座開設は難航します。
日系の銀行は、日本国内での取り引き実績がない場合開設は難しいので外資系またはベトナム系に口座を開設するのが一般的です。
外資系銀行は英語の通用度は高いですが、手数料が高くなります。
ベトナム内資系銀行はベトナム語対応が中心になりますが、支店数が多いこと、手数料が安いことが利点です。
こうした背景から、あくまで例ですが当社では資本金先口座開設を含めてベトナム系のローカル【ACB銀行】での口座開設をオススメしており多数の導入実績があります。
アジア・コマーシャル・ジョイント・ストック・バンク(Asia Commercial Joint Stock Bank)は、商業銀行サービスを提供するベトナムの金融機関の1つで国際決済サービス、貿易金融、保証サービス、外国為替取引等の企業向け銀行サービスも展開しており、ベトナムで実績があり信頼できる銀行です。

オフィス物件探し

オフィス物件選定は法人設立とともに行う大事なタスクのひとつですが、当地ではベトナムの文化や天候などを加味して選択する必要があります。物件契約後に問題になりやすいのが、「利便性が悪く採用が効かない」ことや「大家とのトラブル」です。
事前の対応策として必須なのが 
・通勤時間帯の渋滞調査(交通量や居住エリアからの利便性) 
・賃料に VAT・共益費・光熱費といった諸費用が含まれているかどうかの確認
・オフィス周りの食堂・レストラン事情
・オフィス内発電機の有無
・オフィスビル利用時間の有無
といったものです。日系企業でも移転を何度も行っていてこうしたオフィス探しや不動産オーナーとの交渉に慣れている会社もあります。事前調査を怠らないようにしましょう。

オフィス工事業者選定

内装工事といった業者については、契約のトラブルや完成度、瑕疵担保といった多くの問題にあたることが多いです。こうしたことから、はじめて進出してきた日系企業さまにはできるだけ同じ日系企業の工事業者をお薦めしています。コストの問題などはあるのですがクオリティや日系企業担当者(日本人)とのコミュニケーションがあるとやはりストレスが軽減できるためです。
こうした日系の業者さんも多く進出をしているので事前に調査を入れておくと便利です。

ざっとよくあるトラブルと対応策を書いてきましたがこれらは基本的な事項であり当地での法人設立は手続きが煩雑で時間がかかります。
弊社では駐在事務所設立から外資系法人設立やローカル法人設立まで幅広く手掛けてきましたこともあり、ベトナムでの現地法人設立(IT企業)の基本ステップをまとめた「ベトナム法人設立マニュアル」を無料でDLできます。興味があるかたは是非DLしてみてください。

Wakka Inc. のべトナム法人設立支援ラボ概要

ここからは宣伝になってしまいますが、当社が運営する、「ベトナム法人設立支援ラボ」についてご紹介させてください。「ベトナム法人設立支援ラボ」では、日本国内のIT企業さま向けに、ベトナム開発拠点の設立支援サービスを提供しています。事例については「法人設立支援ラボ導入事例集」でまとめていますが、最短1年でエンジニア雇用とそのノウハウを学びながら法人設立とチームビルディングを行えるサービスです。

▼こんな方におすすめ
・エンジニアや開発リソースの確保を目指している方
・ベトナムに開発拠点をつくりたいと考えている方
また、現地法人設立・運営においてもコンサルティングサービスをご用意しています。

▼法人設立支援のサービス概要一覧
1.法人設立支援
・必要な手続きの一覧提供
・どんな手続が必要か
・どんな書類の用意が必要か
例)
・銀行口座開設
・会社設立新聞掲載
・就業規則・雇用契約書
・組合登録・保険事務所登録
・ワークパーミット、レジデンスカード申請
などなど

2.スタッフ採用のノウハウ取得
・求人媒体掲載
・求人媒体選定
・ベトナム語での原稿掲載
・人材紹介会社の紹介
・面接手法
・実務内容の説明
・面接経験&実務経験豊富なスタッフによるチェック

3.会計ノウハウ
・会計会社とのやりとり(毎月、四半期、年次)
・伝票(RedInvoice)の保管
・出納帳作成(本社報告用)
・年次会計報告
・年次個人所得税申告(日本人スタッフ、ベトナム人スタッフ)

今回はベトナムにおける会社を設立する理由や設立時によく起こるトラブルを中心に解説しましたが、こうした課題をできるだけスムーズに解決できるサービスとして設立支援サービスを運営しております。どうぞ以下よりお気軽にご相談ください。

ベトナムにグローバル開発拠点設立を予定している方へ。
日本のIT企業さまにご利用いただけるベトナムでの現地法人設立マニュアルです。

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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