プロダクトを自社開発するメリット・デメリット|成功の秘訣も解説

最終更新日:2024.11.21
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
プロダクトを自社開発するメリット・デメリット|成功の秘訣も解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

プロダクトの開発には大きく分けて自社開発と外注があります。
自社開発する企業には、開発可能な高い技術力やリソースを持っているといった、プラスのイメージを持たれることがあります。

そのため、自社開発に興味があり、メリット・デメリットや進め方を知りたいと考えている担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、プロダクトを自社開発するメリット・デメリットと基本的な進め方を解説します。

また、自社開発が難しく、外注を検討している場合に、外注先の選定ポイントも紹介します。
プロダクト開発の方法を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

目次

プロダクトの自社開発と外注の違い

ビジネスシーンにおけるプロダクトとは、商品や製品のことです。
IT業界においては、システムやアプリなどをプロダクトと呼びます。

プロダクトの開発方法は、大きく分けて以下の2つです。

  • 自社開発
  • 外注による開発

2つの違いやそれぞれどのような特徴があるのかを解説します。

プロダクトの自社開発とは?

プロダクトの自社開発とは、企画の立案から設計、リリースまでをすべて自社で行う開発方法です。
他社からの依頼ではなく、以下2種類の用途で開発されます。

  • 自社で利用するためのシステム
  • 不特定多数の一般ユーザーが利用するためのシステム

企画部や開発部などさまざまな部署が連携しながらシステムを作成するのが一般的です。
自社が持つリソースのみで開発する必要があるため、高いスキルが求められます。

その一方で、成果がすべて自社の資産になる点はメリットです。
また、外注による開発と比べると開発の自由度が高く、自社の要件通りのプロダクトを開発できます。

プロダクト開発の外注とは?

プロダクト開発の外注とは、外部企業に開発を依頼する方法です。
専門技術を有する企業に依頼することで、社内リソースの確保が難しい場合でも、開発が可能です。

一方、外注による開発には以下のようなデメリットも存在します。

  • 開発内容や納期を変更しにくい
  • 開発にかかわる関係者が増えてコミュニケーションがとりにくい
  • 開発イメージが適切に伝わらない場合、希望通りに開発が進まない
  • 開発ノウハウが蓄積されない

プロダクト開発に人的リソースを割きたくない場合や開発の難易度が高い場合は、外注を利用するとよいでしょう。
また、開発後の保守・運用を外部に委託することも可能です。

自社でプロダクトを開発する5つのメリット

プロダクトを自社開発するメリットとして、以下の5つが挙げられます。

  • コミュニケーションがとりやすい
  • 開発スケジュールを調整しやすい
  • 企画の立ち上げから開発に携われる
  • サービスの評判やユーザーの反応を実感しやすい
  • エンジニアの意見が反映されやすい

プロダクトの開発方法に迷っている方はぜひ参考にしてください。
それぞれのメリットについて詳しく解説します。

コミュニケーションがとりやすい

プロダクトの開発に関わるメンバーはすべて自社の社員であるため、コミュニケーションがとりやすい点がメリットです。
気軽にやり取りができるため、細かな要望を伝えやすく希望に沿ったプロダクトが完成しやすいでしょう。

また、過去の開発ノウハウも活用しやすくなります。
同じ開発を経験した社員同士でニュアンスも伝わりやすいため、スムーズに開発を進められるでしょう。

外注の場合は、自社の社員同士と比べると連絡が取りにくく、コミュニケーション不足から希望通りのプロダクトを完成させられない場合があります。

開発スケジュールを調整しやすい

開発メンバー同士でコミュニケーションをとりやすいため、外注による開発と比べて自社開発の方がスピード感を持って進められます。
期限も自社で決定できるため、開発スケジュールを調整しやすい点がメリットです。

自社で利用するシステムの開発であれば、完成が遅れても売上に影響が出ないためより細部にこだわって開発ができるでしょう。
開発段階で発生するトラブルや問題への対処にも時間をかけて丁寧に対応できます。

企画の立ち上げから開発に携われる

自社開発は、企画の立ち上げからリリースまでをすべて自社で行います。
社員が出したアイデアが形になったり、開発したシステムが実際に社内で活用されたりするとモチベーションの向上につながるでしょう。

業務に役立つプロダクトのアイデアや業務改善の方法をより多くの社員が出せる環境は、企業の強みにもなります。
また、開発に携わった社員のスキルアップにもつながり、開発ノウハウとして他の業務にも活かせるでしょう。

サービスの評判やユーザーの反応を実感しやすい

自社開発したプロダクトは、評判やユーザーの反応がダイレクトに感じられます。
社内システムとして利用するのであれば、社員から直接、一般向けのサービスであればインターネット上の口コミやレビューで反応を確認できます。
意見を参考にして改善しやすい点も自社開発のメリットです。

開発に携わった社員は評判やユーザーの反応が気になるものです。
手掛けたプロダクトが業務に役立っている様子やユーザーからの好評を実感すれば、モチベーションが向上するでしょう。

エンジニアの意見が反映されやすい

自社開発は、エンジニアの意見が反映されやすい点もメリットのひとつです。
プロダクトの企画段階からエンジニアが携われるため、意見を出しやすいでしょう。

他社から依頼を受ける受託開発では、決定権は顧客である他社が持っているため、意見を出したり採用されたりする可能性は低いです。
自社開発であれば自由に意見できるため、エンジニアが企画段階から参加して開発に携われます。

自社でプロダクトを開発する3つのデメリット|やめとけと言われる理由

プロダクトの自社開発にはさまざまなメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットも存在します。

  • リソースの確保が必要
  • 技術が偏る
  • スケジュール管理が困難

メリットだけでなくデメリットも理解した上で、自社開発を検討しましょう。
それぞれ詳しく解説します。

リソースの確保が必要

プロダクトの自社開発は企画から設計、リリースまでのすべてを自社で行うため、高いスキルを持つ社員を確保していなければいけません。
また、開発するプロダクトが決まっている場合にはリソースをうまく活用できますが、常に高い稼働率を保てるとは限りません。

そうなると、リソースの確保は企業にとってコストとなってしまいます。

外注すると1件あたりの費用が明確になり高額なイメージを持ちますが、自社開発のためにリソースを確保し続けることの費用もかかります。

実際に開発したいプロダクトのスキルを持った人を常に確保できているとは限らないうえ、新規で雇用する場合には、必要なスキルを持った人材かどうかの判断をして雇用しなければいけません。
リソース確保のための労力も、会社にとっては決して簡単なものではないでしょう。

技術が偏る

自社開発では、同じ開発担当者が担当するため、過去にうまくいった事例を繰り返し使用する傾向があります。
そのため、使用する技術に偏りが出て、開発担当者のスキルアップにつながりにくいといった状況につながります。

また、失敗のリスク回避のために、より良いプロダクトや革新的なプロダクトの開発よりも、安定的な開発に落ち着いてしまうことも。
開発担当者の士気を上げていくことが課題とも言えます。

より専門的な知識が必要なプロダクト開発においては、他社に後れをとってしまうこともあるでしょう。

スケジュール管理が困難

自社開発では、管理しなければいけない工数やスケジュールが多岐に広がります。
プロダクトによっては工数管理が困難になるケースもあります。

スケジュール管理ができず、リリースが遅れてしまったり、最悪の場合、プロダクトの質の低下にもつながるでしょう。

また、契約などを交わしていない状態の自社開発では、リリース時期が遅れてしまうこともたびたび起きます。
スケジュール管理が行き届かない、専門的な知識が必要で社内リソースだけで追いつかないといったことが原因です。

このようにスケジュール管理の困難さも自社開発におけるデメリットです。

プロダクトを自社開発する手順

プロダクトを自社開発する場合は、大きく分けて以下3つの流れで進めるとよいでしょう。

  • 企画・戦略を立てる
  • 設計・試作する
  • テストを重ねてリリースする

それぞれの工程で注意すべきポイントを交えながら解説します。

企画・戦略を立てる

プロダクトの自社開発を進める場合、まずは企画と戦略を立てる必要があります。
マーケティングや自社の強み、自社の方針などをもとに、プロダクトを企画します。

失敗のリスクが大きいため、開発目的を明確にして達成するための戦略を立てましょう。

不特定多数の一般ユーザーが利用するためのシステムを開発する場合は、以下のポイントを押さえて戦略を立てるのがおすすめです。

  • ターゲットとなる顧客の特性を定義するペルソナ設計
  • 顧客ニーズのヒアリングや市場調査
  • 売上や利益の予測

アンケート調査やインタビューなどを通じてできる限り多くの情報を収集し、ニーズに合ったプロダクトを企画することが重要です。

設計・試作する

次に、企画や戦略に沿ってプロダクトを設計します。
使用する言語やプログラムの手順、セキュリティなど可能な限り細かく設計しましょう。
また、ユーザーがシステムを利用する流れも言語化すると制作しやすいでしょう。

設計に沿って試作すると、問題点や改善点が見つかります。
市場の動きやプロダクト開発の目的を定期的に見直し、試作を繰り返して納得のいくプロダクトを制作しましょう

試作段階で、知的財産権に関する調査や特許の申請も行います。

テストを重ねてリリースする

試作は以下の観点で何度もテストし、不具合をなくしましょう。

  • 設計通りに作れているか
  • 設計通りにシステムが動くか
  • ユーザーの利用画面に不具合がないか
  • デザインを見直す必要はないか

リリース後の本番環境でも問題なく利用できることを確認し、リリースします。

プロダクトの自社開発を成功させる秘訣

成功とは、プロダクトの企画段階で設定した目的や目標を達成することです。
プロダクトの自社開発を成功させるためのポイントとして、以下の3つが挙げられます。

  • プロダクトの4階層を理解し活用する
  • PSFを意識する
  • ロードマップを作成する

重要なのは、ユーザーが「使ってみたい」「使いやすい」と感じるシステムを作ることです。
3つのポイントを押さえて、自社開発を成功させましょう。

プロダクトの4階層を理解し活用する

自社開発はさまざまな部署が連携して行われるため、認識や意思決定がバラバラになりがちです。
プロダクトの4階層に沿って企画を立てることでビジョンを明確にし共有しやすくなるため、スムーズに進めやすくなるでしょう。
プロダクトの4階層は、以下の通りです。

  • Core
  • Why(課題)
  • What(解決策)
  • How(どのように)

4階層は上層がより抽象的、下層がより具体的な意思決定を表します。
最上層のCoreはプロダクトの根幹です。
すべての層に影響を与えるため、できる限り開発の途中で変更する必要がないように長期的なビジョンを描きましょう。

Whyは課題を表します。
ターゲットとなるユーザーを設定し、課題を抱えるユーザーをどのような状態にしたいかを考えましょう。
そのためには市場や競合の分析が必須です。

Whatは解決策を表します。
ユーザーの課題をどのように解決すべきかを考えましょう。
具体的なビジネスモデルや開発の優先順位を決定します。

Howは実現する方法を表します。
プロダクトの設計や実装だけでなく、市場にプロダクトを提供する戦略であるGTM(Go To Market)を検討しましょう。

PSFを意識する

PSFとは、Problem Solution Fitを略した言葉で、市場の需要とプロダクトの供給がフィットしている状態のことです。
つまり、顧客が抱える課題を解決するプロダクトを提供している状態を指します。

PSFを達成するために必要なポイントは、以下の通りです。

  • ヒアリングやアンケート調査により顧客のニーズを確かめる
  • 課題は本当に解決すべきものなのか、購買意欲はあるのかを確かめる
  • プロダクトのコミット率を検証する
  • PSFの達成基準を設けて定期的に検証する

PSFの達成後は、PMF(Product Market Fit)への移行を目指します。
つまり、プロダクトが市場に受け入れられている状態を作り出すことが大切です。
PSFとPMFを意識して開発を進めることで、成功に近づくでしょう。

ロードマップを作成する

計画的にプロダクトの自社開発を進めるためには、ロードマップの活用が欠かせません。
開発の方針や流れをロードマップで可視化することにより、優先順位が明確になってスムーズに取り組めるでしょう。

ロードマップを作成する過程がチームのコミュニケーションを活性化させ、プロダクトの戦略がより練られるといったメリットもあります。
ロードマップには以下のような項目を掲載するのがおすすめです。

  • プロダクトの目的
  • プロダクトの開発手順
  • プロダクトのリリース計画
  • ユーザーからの視点でプロダクトを定義するユーザーストーリー

ロードマップはチーム全体で共有するため、可能な限りシンプルで見やすいデザインのものを作成しましょう。

プロダクト開発を外注する際の委託先の選び方

プロダクトの開発を外注する場合、どの会社に委託するかでプロダクトの完成度や費用などが大きく変わります。
委託先を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

  • 開発の手法を理解する
  • 複数の会社に見積もりを依頼する
  • 開発実績が豊富な会社を選ぶ

システム開発を請け負う委託会社は多いため、スケジュールに余裕を持って選定するのがおすすめです。

開発の手法を理解する

システムの開発手法は、大まかに以下の3つに分けられます。
それぞれの特徴を理解し、自社の希望に適した開発手法で依頼すべきです。

オープン系システム業務系のアプリケーションを開発する手法
より専門性が高くオーダーメイドのシステムを開発できる
Web系システムWebアプリケーションを開発する手法
ECサイトや予約サイトなど一般ユーザーが利用するシステムの開発に特化している
汎用系システム汎用機と呼ばれる大型コンピューターにより開発する手法
セキュリティ性や耐久性の高さが求められる基幹システムの開発に特化している

複数の会社に見積もりを依頼する

より希望に合った事業者を選定するためには、複数の会社に見積もりを依頼することが大切です。
開発にかかる費用だけでなく、細かな要望に応えられそうか、どのくらいの期間で完成できるかなどを比較しましょう。

また、コミュニケーションが適切に図れるかどうかも重要なポイントです。
見積もりを依頼する際のヒアリングで、やり取りに違和感を感じた場合は注意が必要でしょう。
希望通りのプロダクトが完成しなかったり予定通りに開発が進まなかったりする恐れもあるため、十分に比較して信頼できる委託先を選定すべきです。

開発実績が豊富な会社を選ぶ

委託先を選ぶ際は、開発の実績を比較するとよいでしょう。
依頼したいシステムと同じ分野の開発実績があれば、より安心して依頼できます。
システム開発を請け負う会社にはそれぞれ得意とする分野があるため、その点にも注目して比較すべきです。

また、システム完成後の運用や保守を任せることも多いため、業績が安定している会社を選ぶことも重要なポイントとなるでしょう。

適切なプロセスでプロダクトの自社開発を成功させよう

プロダクトの自社開発を成功させるためには、プロダクトの4階層やPSFの考え方を意識することが大切です。
自社開発のメリット・デメリットを理解し、ロードマップに沿って開発を進めましょう。
また、自社開発が難しい場合は信用できる会社に外注する方法もおおいに有効です。

本記事を参考にして、プロダクトの開発を成功させてください。

この記事を書いた人
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