システム開発におけるデータベース構築の目的とは?メリットや外注先の選び方も解説

2023.04.10
DX・システム開発
安藤 大海
システム開発におけるデータベース構築の目的とは?メリットや外注先の選び方も解説
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こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。

「業務で扱うデータがどんどん増えてきて大変」「Excelでのデータ管理は限界」

このようにお考えではありませんか?
データ量が増えると、データの整理・管理が非常に困難になりますが、この問題を解決するのがデータベースです。

当記事では、データベースの基本事項から構築の手順、導入することで得られる多くのメリットや外注する際の注意点についても紹介します。ぜひ参考にしてください。

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目次

データベースとは|データの追加・変更・抽出・削除が簡単に行える

データベースとは、コンピュータ上に集積したデータ群のことです。データの追加や変更、抽出・削除が簡単に行えるのが特徴です。
管理するデータの集まりをデータベースと呼び、それを管理するソフトウェアのことをデータベース管理システム(DBMS)といいます。
また、データベース管理システムを操作するためには、SQLというデータベース言語が必要です。

それぞれの役割をまとめると下記のとおりです。

  • DBMS:大量のデータを安全に保存できる
  • SQL:簡単かつスピーディーにデータを抽出・更新できる

SNSでは、ユーザー登録の際にプロフィールなどを追加しますが、この情報は自分自身だけではなく他のユーザーからの参照も可能です。
逆に検索して目当てのユーザーを探すこともできますし、一度登録した情報は、追加・変更・削除が簡単に行えます。

登録した情報が維持されて、これに対して検索・参照・変更・削除を可能としているのがデータベースの役割です。
ここでは「DBMS」と「SQL」について、詳細を説明します。

DBMS(データベース管理システム)とは

DBMSとは、データベースを管理するためのミドルウェアで、MySQLやPostgreSQLなどが有名です。
データの安全性や信頼性を確保するために、以下の制御をしています。

  • 複数名が同時編集するとき、矛盾が生じないようにする「排他制御」
  • 不正アクセスを防止する「機密保護」
  • 障害発生時に復旧作業する「障害回復」

DBMSには、「リレーショナル型データベース」「ネットワーク型データベース」「NoSQL」「階層型SQL」の4種類が存在します。
現在主流になっているのはリレーショナル型データベースで、データを行と列に分類した表(テーブル)形式で整理されるDBMSです。

表同士を結合することで、複雑なデータの追加や削除・更新を効率的に実行できます。

SQLとは

リレーショナル型データベースを操作するためには、SQLというデータベース言語を使用します。
通常は「エスキューエル」と呼ばれ、データベース操作を学ぶためには必須の言語です。

データベース言語としてISO(国際標準化機構)で規格化されているため、一つのSQLを覚えることによって他のほとんど全てのデータベースを制御できます。

SQLで行える処理を表にまとめました。

データの条件検索詳細な条件を指定した検索によって効率よくデータを抽出できる
データの抽出・更新・登録・削除データの条件検索と組み合わせて、条件に当てはまる複数のデータを一括で操作可能
テーブルの作成・更新・削除表単位でも、追加・更新・削除が可能

SQLはデータベースを操作するための言語であって、システム開発言語とは異なります。
システムからデータベースを利用する場合には、システム側にSQLの命令文を記述して、受け取った戻り値をシステム側で利用するという考え方です。

システム開発におけるデータベース構築の目的|5つのメリット

一般的には、以下の目的でデータベースを構築します。

  • 大量のデータを安全に管理して、必要なデータをスピーディーに取り出す
  • 大量のデータを分析して、売り上げアップに役立てる
  • 複数名でデータ処理をしても整合性を保つ

いずれもExcelで管理していると困難な内容です。
上記のような考えをお持ちの企業様は、ぜひデータベースの構築をご検討ください。

ここからは、データベースを構築することによって得られる5つのメリットを紹介します。

  • データを安全に管理できる
  • 人的ミスを防止できる
  • データ処理が楽になる
  • データを有効に活用できる
  • データを大人数で共有できる

それでは、ご覧ください。

データを安全に管理できる

1つ目のメリットは、大量のデータを安全に管理できることです。

データベースを利用しない場合、どうしてもデータ管理が分散してしまいます。
最新のファイルがどれかわからなくなる場合や、誤ってデータを削除してしまうなど、管理が難しく作業効率も上がりません。

データベース化されていれば、関連する情報は全てひもづけて集約されるため、情報の一括管理が可能です。
データの分散を防ぐことによってセキュリティ面の向上にもつながり、データベースを丸ごとバックアップできるため、リスクマネジメントにも役立ちます。

アクセス履歴や操作履歴をログとして残すことで、不正アクセスがあってもログを解析すれば犯人の特定も容易です。

人的ミスを防止できる

2つ目のメリットは、人的ミスを防止できる点です。

人的ミスには、次の2種類があります。

  • 間違った形式でのデータ入力
  • 誤ったデータ削除

本来数字で登録すべき項目に対して、文字列で登録されると後で問題が発生するような場合、データベース側で制約を設定することによって誤った形式で登録されることを防止できます。

また、操作ミスによるデータ消失に対しても対応が可能です。
操作ログを頼りにデータを復活させることもできますし、バックアップも取りやすいのでシステムの障害対策としても有利といえるでしょう。

人的ミスはどうしてもゼロにはなりませんので、この様な防止策があるとシステムとしては安全です。

データ処理が楽になる

3つ目のメリットは、データ処理が楽になることです。

例えば、以下の処理が効率化できます。

  • 大量のデータから複雑な条件を指定して、必要なデータのみを抽出する
  • 大量のデータに対して、一括で更新・削除する

データベースから「事業者Aが扱う商品の中で、〇月〇日に発注依頼した注文のみ」のデータを取り出したい場合、SQLを記述することでスムーズに抽出できます。
さらに、抽出したデータの発注依頼日を一括でクリアする操作も、SQLによって簡単に実現可能です。

どちらもデータベースを利用しなければ、骨が折れる作業になります。
業務の効率化という面では、一番のメリットではないでしょうか。

データを有効に活用できる

4つ目のメリットは、データを有効活用できる点です。
蓄積した膨大なデータを利用しない手はありません。

例えば、ふるさと納税システムにあるデータの中から季節ごとに人気の返礼品を分析して、今後の施策に活かすこともできますし、マーケティングでダイレクトメールを送付するときにターゲット層の抽出も簡単です。
企業の売り上げアップの戦略として、活用してみてはいかがでしょうか。

システムとしての利便性向上という点で言うと、決められたフォーマットで出力して他のシステムへ取り込むようなことも可能です。
システムとの組み合わせによって、作業効率が軽減できる良い例です。

データを大人数で共有できる

5つ目のメリットは、大人数で共有できる点です。

データベースはデータベースサーバーに構築されるため、このサーバーへのアクセス権限を持つユーザーであれば誰でも共有して操作できます。
また、DBMSの「排他制御」によって、複数人が同時にアクセスしてもデータが破損することはありません。

複数人が同時に作業できるのは、作業効率化の観点からすると非常に重要なポイントです。

データベース構築の種類は「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つ

データベースの構築には、「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類ありますが、近年ではクラウド型が主流になりつつあります。

社内サーバー上に構築するのがオンプレミス型、クラウド上に構築するのがクラウド型です。
したがって、データベースを設置する場所が異なるだけで、システムの仕組みはどちらも同じと言えます。
ここでは、オンプレミス型とクラウド型のそれぞれの特徴について見ていきましょう。

オンプレミス型データベースの特徴

オンプレミス型データベースの特徴を下記に記載します。

  • サーバーは自社社内に設置
  • 接続は社内ネットワーク内の端末に限定
  • データベースサーバーのメンテナンスが必要
  • 自社に合わせたカスタマイズが可能

データベースサーバーは自社内に設置され、社内ネットワーク内の端末のみからアクセスが可能です。
ネットワーク外部からの接続が困難なため、セキュリティ上のメリットはありますが、利用者は場所や端末を限定されます。

また、社内にサーバー室を作ってサーバー機器を設置するので、設置の初期費用やメンテナンスには大きな手間とコストが必要です。

オンプレミス型では、自社システムに合わせて柔軟にカスタマイズできるメリットがありますが、ここで挙げた特徴の多くはデメリットと言わざるを得ません。
オンプレミス型のデメリットを解消できるのが、クラウド型データベースです。

クラウド型データベースの特徴

クラウド型データベースには、以下の特徴があります。

  • 場所や機器を問わずに利用可能
  • 短納期・低コスト
  • データ容量の拡張が迅速かつ容易
  • 社内におけるデータベースサーバーのメンテナンスが不要

テレワークやフリーランサーの活用が普及した昨今の状況を考えると、場所や機器を問わずにデータベースへ接続できるのはクラウド型の大きな強みです。
既に運用中のクラウドを利用するため初期コストが安く、導入までの期間を短縮できるメリットもあります。

データが増えてストレージが圧迫され始めても、クラウド型であれば自社で準備や管理・検証に追われることはなく、即時に拡張が可能です。
また、データベースサーバーのメンテナンスを自社で行う必要がないことも助かります。

ただし、ランニングコストに関しては注意が必要です。
不要に大きなリソースで契約をしてしまい、トータルコストを見るとオンプレミス型の費用を上回ってしまうことも考えられます。

もう一点、オンプレミス型に比べると自由度が少ないので、自社の要件を満たせるかどうか仕様の確認は必須です。

自社システムをデータベース構築する際の流れ

データベースは、必要なデータをスムーズに取り出せるように、よく考えて設計されていることが重要です。

パフォーマンスを最大限に発揮できるようにするためには、テーブル同士の関連性などを設計段階から整理しておく必要があります。
データベース構築の流れや要点を理解しておきましょう。

1.要件定義(調査・分析)

この工程では、「データベースで何をしたいのか」「データベースには何を登録するのか」を整理して要件定義書を作成します。

現在行っている業務内容を洗い出し、データベースで処理させたい項目を全て書き出しましょう。
どのようなテーブルが必要でどんな項目を持たせるのか、テーブル同士の関連性を考えることも、この後の工程を考えると大切です。

その項目は数値なのか文字列なのかといった細かい内容も、この工程で決定します。
実際の業務内容に即した「要件定義」ができていないと、想定していたのと異なるデータベースが出来上がってしまうので、要件定義は慎重に進めましょう。

2.設計・開発

要件定義書を基に、具体的にどのように処理させるかを検討して、データベースの構築までを実施する工程です。
設計工程は、大きく「概念設計」「論理設計」「物理設計」の3つに分けられます。

概念設計では、要件定義で洗い出したデータの構造を抽象化して表現した概念データモデルを作成します。
概念データモデルとは、データ同士の関係性を視覚化したものです。

論理設計では概念データモデルを整理して、使用するDBMSに合わせた形式に変換することによって、論理データモデルを作成します。
データ構造を安定させるために、データの重複排除や、テーブルや列への制約定義などもこの工程で行う作業です。

物理設計では、物理的なデータ配置の決定やパフォーマンスを重視した検討をおこなって、物理データモデルを作成します。

物理設計まで完了すると、設計は完了。
実際にテーブルの作成、データ登録やDBMSの設定まで行って終了です。

3.テスト

DBMSの設定まで完了したら、次はテストです。
SQLを実行して、データの追加・更新・削除などの処理が正常に行われることをチェックしましょう。

データベース単体で行うテストも大切ですが、実際の業務を想定したテストも忘れてはなりません。
開発者目線では問題がないように見えても、普段業務を担当する人に使ってもらうと、想定外の問題が発生するものです。

実運用に耐えうるシステムになるよう、しっかりテストして調整していきましょう。

4.運用・保守

テストが終われば、いよいよ運用を開始します。
データベース稼働後は、以下の保守作業が必要です。

  • データベース利用状況やパフォーマンスの監視
  • トラブル発生時のリカバリ
  • 定期的なデータベースのバックアップ

データベースの利用状況や負荷状況に関しては、日々確認が必要です。
運用開始当初は問題がなくても、データが増えるとパフォーマンスの低下が浮き彫りになることがあるため、普段から監視できる仕組みを検討しましょう。

トラブル発生時にデータベースが使用できなくなった場合の対処法として、手順書を作成することも大切です。
データベースを安心して利用するためにも、定期的なバックアップをおすすめします。

自社システムのデータベース構築を外注する場合のポイント3つ

最後に、データベース構築を外注する際に気をつけたいポイントについてまとめました。
次に示す3つのポイントを意識すると、自社に適した外注先が見つかるでしょう。

  • 相見積もりを取り内容をよく確認する
  • サポート体制が充実しているか確認する
  • データベースエンジニアが存在するか確認する

それぞれを詳しく解説します。

相見積もりを取り内容をよく確認する

データベース構築の外注先を探す際には、必ず複数社から相見積もりを取りましょう。
自社の業務や、解決したい問題をよく理解したうえで、良質な提案をくれる企業に出会うためにも複数社の見積もりや提案書を確認するのが理想です。

良い企業であっても、担当者が問題の場合もあります。
コミュニケーションが苦手な担当に当たると、要望がエンジニアにうまく伝わらずに要件と異なるデータベースが完成してしまう恐れもあるでしょう。

このような問題を回避するためにも、複数社の見積もりをとって納得できる1社を選びたいものです。

サポート体制が充実しているか確認する

外注先を選ぶ際には、サポート体制についても確認しましょう。

データベースを利用するシステムは大変便利なものですが、要となるデータベースサーバーに障害が起きると、その影響は致命的です。
情報の閲覧や更新ができないばかりではなく、サイトへのアクセスすらできなくなる場合があります。

障害が起きた時の復旧までの時間や、サポートの体制について、詳しく確認しておくことが重要です。

データベースエンジニアが存在するか確認する

これは必須ではありませんが、データベースエンジニアがいる企業だと、より安心です。
近年システムエンジニアでもデータベースに精通している人は多いのですが、データベースの設計・開発にとどまらず運用や管理にまで精通しているエンジニアのことを総じてデータベースエンジニアと呼びます。

データベースに特化したエンジニアなので、トラブル発生時にも頼りになる存在です。
データベーススペシャリストという高度試験もあるので、資格保有者がいるかどうかを企業ホームページからチェックしてみるのもよいでしょう。

自社システムのデータベース構築によって自社業務を効率化しよう

「大量のデータを安全に管理して、必要なデータをスピーディーに取り出したい」
「大量のデータを分析して、売り上げアップに向けた戦略を立てたい」
「複数名でデータ処理しても整合性を保ちたい」

これらの願いは全て、データベース構築によってかなえられます。

当記事では、自社システムをデータベース化することで得られる多くのメリットや、外注する際のポイントについて解説しました。
データベースの構築を成功させて、自社業務を効率化しましょう。

この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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