アパレルECで売上を伸ばすには?市場トレンドやポイントを解説

2023.02.13
EC開発
中垣圭嗣
アパレルECで売上を伸ばすには?市場トレンドやポイントを解説
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こんにちは。Wakka Inc.のベトナムラボマネージャーの中垣です。
「試着ができないのでサイズ感がわかりにくい」
「衣料品は実店舗で購入したほうが安心」
アパレルのECサイトに対して、上記のようなマイナスイメージを持っている顧客は少なくありません。しかし最近では、オンライン接客の充実やECと実店舗を連携した新しい顧客体験の実現により、アパレルEC市場は飛躍的に成長しています。
この記事では、アパレルEC市場のトレンドから効果的なEC設計のポイントまで詳しく解説します。ぜひEC事業の開発や改善にお役立てください。

Wakka.IncではDXプロジェクトを検討している担当者の方に向けて、失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しているDX進め方ガイドブックを無料で配布しています。ぜひご確認ください。

目次

アパレルEC市場の現状

近年オンラインショッピングの需要は増加傾向にあり、アパレルEC市場は拡大しています。
感染症の拡大による外出自粛により、衣料品をオンラインで購入する利用客が増えたことは、市場拡大の大きな理由のひとつでしょう。
ブランドによっては、店舗販売よりEC販売の売り上げの方が大きい場合も少なくありません。
アパレル企業がEC事業へ参入する流れは今後も加速していくでしょう。

国内アパレル市場の推移

国内アパレル市場は、少子高齢化や経済の低迷、感染症の流行、ファストファッションの台頭などの影響により縮小しています。

出典:経済産業省『繊維産業の現状と経済産業省の取組

経済産業省が発表した上記の資料によれば、1990年には14.7兆円であった国内市場の規模は、2017年時点では10.4兆円にまで下落しています。
またファストファッションの拡大により顧客の消費傾向は大きく変化し、低価格志向に合わせたアパレルブランドが台頭してきました。市場規模に反して国内供給量は増えており、不良在庫の問題も深刻化しています。

アパレルECの市場規模

アパレル市場全体は縮小傾向にありますが、EC市場は着実に成長しています。
感染症の拡大による影響の他に、オンラインで服を買う行為が一般的になってきたことも、ECが成長している要因のひとつでしょう。

出典:経済産業省『電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

具体的な数値で見ると、2019年には1.9兆円であったアパレルECの市場規模は、2021年には2.4兆円に伸びています。
またアパレル市場全体におけるEC化率も、2019年の13%から2021年には21%まで上昇しています。
全産業の平均EC化率は8%であるため、アパレル市場はEC化が活発な業界と言えるでしょう。

アパレル市場でEC化が増加している背景

アパレル市場でEC化が増加している背景には、次のような理由が考えられます。

  • 消費者ニーズが高い
  • 費用対効果が高い
  • 参入障壁が低い

順番に見ていきましょう。

消費者ニーズが高い

アパレルECは、ECサイトの中でも特に消費者のニーズが高い分野のひとつです。
人々の生活様式が多様化した現代において、店舗まで足を運ばなくても好きな時にで好きな場所で買い物ができることは大変なメリットでしょう。

  • 混雑や行列を避けて買い物ができる
  • 最安値の服を探せる
  • 口コミで比較できる

その他にも、アパレルECには多くの利点があります。
特にブランド毎の服を比較したり、イベントやセールを利用する顧客にとっては、実店舗よりECサイトのほうが利便性が高いでしょう。

費用対効果が高い

実店舗と比較して費用対効果が高い点も、アパレル市場でEC化が増加している理由のひとつです。
実店舗では設備投資や人件費などのコストが大きな負担となりますが、ECサイトの運営にはそのような費用はほとんど掛かりません。
ECでもサイト構築費や保守管理費用、在庫の管理費用などは掛かりますが、実店舗と比べると非常に低コストで運営できるでしょう。

参入障壁が低い

アパレル市場でEC化が増加している背景には、事業者の参入障壁が低い点も挙げられます。
ITの発達により、専門的な知識が無くても手軽にECサイトを構築できるツールが登場し、IT化をサポートする企業や専門機関も増えました。

自社にEC構築のノウハウや人材が不足している場合でも、構築から運用保守までベンダーの丁寧なサポートを受けられます。
また顧客の利便性を高める新技術も次々と登場し、アパレルEC市場への参入企業を後押ししています。ただ「ECサイトを所有している」というだけで、他社と差別化を図ることは難しいでしょう。

アパレルECの種類

アパレルECは大まかに分けると

  • 企業から個人に販売するBtoC
  • 個人から個人に販売するCtoC
  • 企業から企業に販売するBtoB

の3タイプがあります。

名称概要タイプ
モール型様々なアパレルブランドがひとつのECに集結したショッピングモール型サイトBtoC
メーカー直販EC実店舗を持つメーカーが運営するECサイトBtoC
オリジナルブランドEC個人や中小企業がオリジナルブランドを展開するECサイトBtoC
ネットオークション個人などが商品を出品してオークション形式で販売を行うECサイトCtoC
フリマアプリ個人間で商品売買を行うタイプのECサイトCtoC
サブスクリプション定額料金で商品をレンタルできたり、定期的に届くタイプのECサイトCtoC

今回は、国内で主流なBtoCタイプとCtoCタイプのEC6種類を紹介します。

モール型EC

まずモール型ECについて説明します。
モール型ECには、以下の2種類があります。

  • 総合型(Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなど)
  • アパレル特化型(ZOZOTOWN、SHOPLISTなど)

モール型ECは、運営サイドに手数料を支払い出店するシステムです。
大手のモール型ECにはアクティブユーザーが多く、有名ブランドが出店すれば売り上げを上げやすい特徴があります。

ただし「モール内の規約や仕様が決まっていてカスタマイズが難しい」「他ブランドとの差別化に苦労して思うように集客できない」といった問題を抱える恐れもあるでしょう。
さらに、ECモールへの依存度が高いほど自社サイトが育ちにくい点にも注意が必要です。

メーカー直販EC

メーカー直販ECとは、実店舗を展開しているブランド・メーカーが直接運営する自社ECを指します。
UNIQLOやBEAMSなどが代表的でしょう。
自社ブランドの世界観をサイトに反映させやすく、リピート顧客の獲得につながりやすい特徴があります。
実店舗とECを連携させたオムニチャネル戦略やOMO型店舗を導入するメーカーも多く、在庫管理や購買の機会損失を防ぐ取り組みも行われています。

オリジナルブランドEC

近年、個人や中小企業がオリジナルブランドや商品を展開するECも増加傾向にあります。
サイト構築ツールやOEMメーカーの増加により、個人でも比較的簡単にオリジナル商品を販売できるようになりました。

芸能人やインフルエンサーがファン向けにオリジナル商品を販売する例も、このタイプに当てはまります。
オリジナルブランドECの大きなメリットは、商品開発や販売プラットフォームを既存サービスで賄うことにより、非常に手軽に始められる点です。
ただし、将来的にECサイトをスケールする場合には、集客や在庫管理、配送など多くの課題が生まれる可能性があります。

※OEM……Original Equipment Manufacturer:メーカーが自社ではないブランドの製品を製造すること

ネットオークション

個人が商品を出品してオークション形式で販売を行うタイプのECサイトも、幅広い層が活用しています。
オークション形式のため、希少性の高い商品は高額で取引されることもあります。
代表的なプラットフォームであるヤフオク!は、インターネット黎明期の1999年に国内でのサービスを開始しました。オークション特有の価格交渉も醍醐味で、現在も根強いファンに支持を得ています。

フリマアプリ

アパレルECで近年特に盛り上がりを見せているのがフリマアプリです。
専用アプリを利用して個人間で不用品などの売買を行い、購入された金額に応じた手数料を運営元に支払います。
フリマアプリのプラットフォームを利用できるため商品を出品するハードルが低く、10代、20代の若い層を中心に人気を博しています。

代表的なプラットフォームは、メルカリや楽天ラクマ(旧フリル)などです。
短期的に売り上げを上げやすく、ECモールや自社サイトと比較しても導入ハードルは低いでしょう。ECサイトを立ち上げる前のテストにフリマアプリが活用されるケースもあります。

サブスクリプション

サブスクリプションモデルとは、料金の定期支払いで商品をレンタルしたり、定期的に届けたりするサービスです。
定期購読や月謝などの概念自体は存在していましたが、近年アプリやソフトウェアから電子書籍や音楽、動画配信サービス(VOD)に至るまで、あらゆるサービスにおいてサブスクリプション方式の導入が広がっています。

アパレル業界においても、服やかばん、時計などをレンタルできるサブスクリプションサービスが提供されており、ファッションの流行に敏感な層を中心に広く利用されています。
エアークローゼットやメチャカリなどは特に有名でしょう。
「スタイリストが衣服を選んでくれる」「クリーニングの手間が掛からない」など、顧客にとっても多くのメリットがあります。
国内供給量の増加による不良在庫の問題を解消する画期的な方法として、注目を集めているシステムです。

アパレルEC市場が抱える課題

成長傾向のアパレルEC市場ですが、当然課題も存在します。今後アパレルECへの参入を検討している場合、事前に課題を把握しておく必要があります。
具体的には以下の通りです。

  • 価格競争
  • EC導入率の低迷
  • フリマアプリの影響
  • サイズ感
  • ECモールへの依存
  • 在庫管理
  • 返品作業
  • IT人材の不足

ひとつずつ解説します。

価格競争

多くのアパレルブランドがEC市場に参入したことで商品の比較が容易になり、顧客はより低価格の商品を求める傾向にあります。
このためアパレルECは価格競争に巻き込まれやすく、収益性が落ちるケースも少なくありません。
価格競争を回避するためには、集客やブランディングなどの施策を行い、他社との差別化を図る必要があります。利用客に他社との違いや価値を感じてもらえれば、購買率も高まるでしょう。

EC導入率の低迷

EC市場に参入するアパレル企業は増加傾向にありますが、ECの導入に踏みきれていない企業も少なくありません。

日本米国英国
人口(2018年)1億2,693万人3億2,572万人6,640万人
EC化率(2018年)6.22%9.85%20.67%
アパレル店舗数140,465143,26140,875
1店舗あたりの人口904人2,274人1,624人

参照:経済産業省『令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)』

経済産業省が発表した2018年の市場調査によれば、日本は米国や英国と比較して人口当たりのアパレル店舗数が多く、EC化率は6.22%に留まっています。
特に都心部においては交通網が整備され実店舗へのアクセスが良いことも、EC化率の低迷に影響していると考えられます。

しかし感染症の流行により実店舗での購入機会が減少し、購買の流れが変化しているのも事実です。
実店舗とECのつながりを強化するオムニチャネル戦略やOMO型店舗の導入により、オンライン購入を後押しする手法も有効でしょう。

フリマアプリの影響

CtoC市場のフリマアプリが活発に利用され、急速な市場成長を遂げています。
低価格の商品を容易に購入できる二次流通のフリマアプリ拡大は、一次流通の市場に大きな影響を及ぼしかねません。
ただしフリマアプリの中には、メルカリや楽天ラクマのように法人名義での事業者出品(大口出品)を解禁しているプラットフォームもあります。自社ECやECモールと合わせて、顧客との接点のひとつとしてフリマアプリを活用することも、有効な手段と言えるでしょう。

サイズ感

昔からアパレルEC市場が抱える課題に、サイズ感をつかみにくい問題があります。
実店舗であれば、試着をしてサイズ感や着心地を確認してから購入する人が多いでしょう。
しかしアパレルECでは、商品を実際に手にとってサイズ感や着心地を確認することができません。

そこで昨今のアパレルECでは、試着できない不安を払拭できるサービスも数多く誕生しています。
すでにサービスが終了していますが、着用するだけで身体の詳細な計測ができるZOZOSUIT(ゾゾスーツ)は大変注目を集めました。※足の計測サービスZOZOMAT(ゾゾマット)、肌の色の計測サービスZOZOGLASS(ゾゾグラス)は継続
その他にも、一度だけサイズ変更が可能なサービスや、簡単な質問に答えるだけで自分のサイズを教えてくれるECサイトもあります。新しいテクノロジーの台頭により、アパレルECを利用する顧客の心理的ハードルは徐々に下がっていくでしょう。

ECモールへの依存

ZOZOTOWNや楽天などのECモールは集客力があるため、売上を伸ばすために依存してしまうケースも少なくありません。
ECモールに依存すれば、価格競争に巻き込まれて売上が不安定になったり、規約の変更に振り回されたりする恐れがあります。
ECモールに依存しすぎないためには、自社ECに注力して売上を安定させることが重要です。マーケティング施策やオムニチャネル戦略などを継続的に実施して、長期的な視点で自社ECを育てましょう。

在庫管理が困難

アパレルECに取り組む過程で、在庫管理の問題に直面することもあるでしょう。
自社ECやモールEC、実店舗の在庫を別々の倉庫に管理しているケースが多いからです。
別々の倉庫に管理しているため把握が追いつかず、不良在庫を抱えたり、欠品で機会損失を生んだりする問題が指摘されています。
不良在庫の大量処分は、サステナブル思考が強い現代ではブランドイメージにも影響する恐れがあります。対策には、在庫の一元管理を導入したり、物流を委託したりする方法が有効でしょう。

複雑な返品作業

アパレルECで返品をする場合、購入者自身で商品を梱包して発送するなど、実店舗と比べて手間が増えて億劫に感じる利用客も少なくありません。
購入者都合での返品が認められなかったり、送料は自己負担になったりするなど、金銭的な負担も顧客の不安要素です。返品作業が複雑なために、利用者が減って機会損失につながるケースも想定されます。

  • 返品のフローやマニュアルがわかりやすい
  • スマホで簡単に申し込みができる
  • バーコードを読み取れば発送伝票が自動で出力される
  • 返送料は企業側が負担してくれる

例えば上記のような対策により、顧客の負担をできる限り少なくする仕組み作りが大切です。
商品のミスマッチを防ぐ仕組みも重要ですが、返品作業が簡単であれば、アパレルECを安心して利用できる消費者も増えるでしょう。

IT人材の不足

アパレルECの成功には、適切な技術や知識を持ったIT人材が必要です。
しかし優秀なIT人材は業界を問わず不足しており、政府も「2030年に79万人のエンジニアが不足する」と警鐘を鳴らしています。

自社でECを構築する場合には、サイト運営やデジタルマーケティングだけでなく、システム開発や保守運用などの専門的な知見を持ったIT人材も欠かせません。
自社のリソース不足や採用に課題を感じている場合には、ラボ型開発などにより海外の優秀な人材を活用することも非常に有効です。

アパレルECの市場トレンド

今後アパレルECを始める場合、市場トレンドは押さえておく必要があります。市場トレンドを適切に取り入れれば、顧客のニーズを汲み取った魅力的なEC事業を実現できるでしょう。
具体的な市場トレンドは次の4つです。

  • 自社ECでブランドを確立させる
  • ライブコマースを導入する
  • 多角的なオンライン接客を行う
  • サステナブルファッションを意識する

順番に見ていきましょう。

自社ECでブランドを確立させる

長期的に収益を伸ばすためには、ECモール依存から抜け出す必要があります。
自社ECであれば、オリジナルサービスの展開やブランドイメージの演出によって、ターゲットユーザーへの効果的な訴求が可能です。
集客のハードルは高いものの、自社独自のマーケティング戦略やブランディング強化が成功すれば、大きなリターンが見込めます。

ライブコマースを導入する

ライブコマースの導入も、アパレルECの大きなトレンドのひとつです。
ライブコマースとはライブ配信とECサイトを組み合わせた販売方法で、消費者ニーズも高く、短期間で売上を伸ばす可能性を秘めています。
ライブコマースを利用すれば、テレビ通販のように、生産者の思いや商品の細部を顧客に直接伝えられます。
また利用客の中には、好きなブランドのファンが集まるコミュニティとしてライブコマースを活用している層もいます。ライブコマース専用のプラットフォームも増えてきており、今後も導入企業は増加するでしょう。

多角的なオンライン接客を行う

多角的なオンライン接客は、ECに懐疑的だった潜在顧客へとアプローチできる効果的な手法のひとつです。
アパレルEC利用客からのニーズも高く、企業もオンライン接客を強化しています。
電話やビデオ通話の他にも、チャットでコーディネートを相談できる機能や、AIによる自動会話プログラムを導入している企業もあります。
またYouTubeやInstagramなどの動画プラットフォームを活用したライブ配信も有効でしょう。

サステナブルファッションを意識する

サステナブルファッションは、政府も主導するアパレルEC市場のトレンドのひとつです。環境省は、サステナブルファッションを次のように定義しています。
衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組み

引用:環境省『SUSTAINABLE FASHION – これからのファッションを持続可能に

従来のアパレル業界では、大量生産・大量消費が一般的でした。
しかし世界的な感染症の流行をきっかけに、持続可能性を重視する意見が多くなり、サステナブルファッションが注目され始めました。
具体的には、製造工程のCO2削減や、古着回収プログラムの推進、リユース素材で作られた衣類の販売などが進められています。
「環境に優しい良質な衣服を長く着たい」と考える顧客は今後も増えていくでしょう。

アパレルECの成功事例4選

ここからは、実際にアパレルECで成功している事例を4つ見ていきます。
ご紹介する企業は次のとおりです。

  • ユニクロ(UNIQLO)
  • ZOZOTOWN(ゾゾタウン)
  • ベイクルーズ
  • アダストリア

ユニクロ(UNIQLO)

まずは、アパレルの自社EC(メーカー直販EC)において国内随一の売り上げを誇るユニクロの成功事例を見ていきましょう。
2021年8月期の業績発表で、ユニクロの国内EC売上高は前期比17.9%増の1269億円でした。
二期前と比較すると、EC売上高が50%増と脅威の伸びを見せています。

ユニクロの強みは、アプリやECサイトを基盤に、顧客がオンライン・オフラインをスムーズに行き来できる環境を整えている点です。
例えば、アプリから注文して最短2時間後に店舗で商品を受け取れるORDER & PICKサービスが有名です。
その他にも、商品や着こなしの情報をライブ配信するLIVE STATIONを開始し、動画での情報発信にも注力しています。

参考:日本ネット経済新聞『ユニクロ、国内EC売上は17.9%増の1269億円 OMO加速でEC化率は15.1%に、グローバルEC売上は3800億円に』

ZOZOTOWN(ゾゾタウン)

アパレルのECモールにおいて、圧倒的なシェアを誇るのがZOZOTOWNです。
22年3月期決算で、ペイペイモール内のゾゾタウンの売り上げは前期比7.6%増の1229億7600万円でした。過去1年間の購入数は1041万人にも達しています。
「自分が好きなものをより多くの人に届けたい」という澤田宏太郎社長の強い気持ちが、常識にとらわれない奇抜で大胆な施策を次々と実現しています。

ZOZOの施策としては、今までボトルネックだった寸法の計測を簡略化したZOZOSUITやZOZOMATなどが有名でしょう。
他にも、自分の体型に近い人や著名人の服装を真似できるファッションコーディネイトアプリのWEARは、累計1,600万ダウンロードを突破しています。

参考:DIAMOND Chain Store『ファッションEC独走のZOZO コスメ領域でも急拡大できる「強さの源流」とは』

ベイクルーズ

独自の世界観を持つ自社ブランドや海外ブランドを武器に、幅広い年齢層にアプローチしているベイクルーズも、EC事業で成功している企業のひとつです。
2020年8月期のEC売上高は510億円で、直近3年で1.9倍もの成長を遂げました。企業全体の売上は1,240億円で、約半分をEC売上で占めるのは競合他社と比較しても際立っています。

野田晋作副社長が語る成功のポイントは、まだECが普及していない時期に億単位の先行投資をした点です。
具体的には、デジタル人材の採用を進めEC専門の組織を結成したり、広告・メール・ソーシャルメディア・アプリなどを活用して購買につなげたりしています。

参考:DIAMOND Chain Store『ベイクルーズ野田晋作副社長が語る!EC売上500億円突破、勝ち残るアパレル企業の深化形とは』

アダストリア

コロナ禍の2020年に自社ECで急激な伸長を見せたのが、グローバルワーク、niko and …、ローリーズファームなどのブランドを展開するアダストリアです。
国内ECの売上高は574億円に達し、国内全体の売上高1886億円の30%超を占めています。
アダストリアでは以前からWeb事業に注力しており、業界内のEC売上では2位の座をベイクルーズグループと競っています。

同社が特に注力しているのは自社サイトの育成です。
他業種とのコラボやECサイトでの先行予約など、顧客の興味を引く施策を実行して集客力を高めていきました。

参考:DIAMOND Chain Store『EC売上高574億円、EC化率30%超へ!アダストリア2022年2月期決算』

販売力のあるECサイトを構築する7つのポイント

アパレルECを始める際には、どのような点に気をつければ良いでしょうか。
ここからは、販売力のあるECサイトを構築するためのポイントを7つご紹介します。

  • 自社ECから始める
  • 商材に適したEC設計を行う
  • SNSを活用する
  • CRMを導入する
  • 検索性を向上させる
  • 実店舗とECを連携させる
  • サイズ感がわかるコンテンツを充実させる

順番に見ていきましょう。

自社ECから始める

アパレルECを始める際には、長期的には自社ECに注力するのがおすすめです。ECモールは手軽に始められる反面、価格競争に巻き込まれたり、モールに依存したりするリスクもあります。
自社ECであれば価格競争に巻き込まれにくく、サイトデザインや機能の柔軟なカスタマイズも可能です。
自社ECは集客の難易度が高いのが難点ですが、マーケティング施策やオムニチャネル戦略の導入により、ターゲットユーザーへ強く訴求してファンを獲得しましょう。

商材に適したEC設計を行う

アパレルECでは扱う商材によってターゲットが大きく異なるため、商材に適したEC設計を行うのがポイントです。
具体的には下記のような点を特に意識しましょう。

  • ペルソナ設定を行う
  • 顧客目線に立つ
  • 競合他社も参考にする
  • ターゲット層にマッチした商材かを確認する
  • 扱う商材に一貫性を持たせる

EC設計を丁寧に行い、自社にとって適切な販売戦略を見極めることが大切です。

SNSを活用する

SNSの活用も、アパレルECを成功させるための重要なポイントです。
最近はECサイトだけでなく、「中の人」などの企業SNSによる発信や、顧客のレビューを参考にして商品を購入するユーザーが増えています。
SNSを活用して顧客と直接コミュニケーションを取ることで、ユーザーの生の声を聴ける貴重な機会も得られるでしょう。

CRMを導入する

顧客との信頼関係を築くためには、多様化するニーズを把握して、適切にアプローチすることが求められます。
CRM(顧客関係管理)を導入すれば、蓄積した顧客データを効果的に分析して、一人ひとりに合ったアプローチをすることが可能です。
CRMには以下のような機能があります。

  • 顧客情報管理
  • 配信機能
  • データ分析機能
  • お問い合わせ管理

自社に合った機能を搭載したCRMシステムを導入して、顧客との良好な関係を構築しましょう。

検索性を向上させる

快適な検索機能は、ECサイトには欠かせません。
サイト内での商品の検索性が向上すれば、ユーザーのストレスが軽減され、リピート顧客の獲得につながります。
商品数が多くなる傾向にあるアパレルECにおいては、特に効果が大きいでしょう。
カテゴリー分類だけでなく、ブランドや価格帯で結果を絞る条件検索や、ユーザーが好きな言葉で検索できるフリーワード検索も実装しましょう。

実店舗とECを連携させる

アパレルECを始めるなら、実店舗とECの連携は欠かせません。
実店舗とECの連携により双方の強みを活かし、新しい購入体験を提供できます。
例えば「ネットで在庫確認と試着予約をして、店舗で実際に試着をしてから購入する」といった顧客の流れを構築できます。
実店舗で直接コミュニケーションを取るのが苦手な顧客には、チャットによるコーディネート相談を用意すれば、気軽に利用してもらえるでしょう。

サイズ感がわかるコンテンツを充実させる

アパレルのECサイトにおいて特に重要なのは、サイズ感のわかるコンテンツを用意することです。
サイズ感のわかるコンテンツが充実すれば、顧客の購入前の不安を解消でき、購入後の返品・交換も減るでしょう。
例えば、アプリで質問に答えるだけで自分に合った色やサイズを提案してくれるサービスを導入している企業もあります。単にコンテンツを充実させるだけでなく、利用客に対して新たな価値を提供し続ける姿勢も忘れてはいけません。

アパレルECの市場トレンドをつかみ事業を成長させよう

今回は、アパレルECの市場トレンドや売上を伸ばすポイントを解説しました。
アパレルECの運営には多くの課題があるのも事実です。
しかし昨今のアパレルEC市場は、テクノロジーと実店舗の連携で得られる新しい顧客体験を武器に大きく成長しています。もし「何から手を付ければ良いかわからない」といった場合には、まずはECの開発経験が豊富なベンダーに相談するのが良いのではないでしょうか。

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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