レガシーシステムとは?問題点・診断方法・解決策まで徹底解説

最終更新日:2025.10.26
DX・システム開発
安藤 大海
レガシーシステムとは?問題点・診断方法・解決策まで徹底解説
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こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。
近年課題になっている「レガシーシステム」ですが、昔ながらのシステムが“使いやすい”という理由で、そのまま使い続けている企業は多いのではないでしょうか。
しかし、レガシーシステムは多くのリスクを抱えており、使い続ければ事業にさまざまな悪影響を及ぼしかねません。今回は、レガシーシステムの問題点と脱却の方法を詳しく解説します。ぜひ貴社の事業の成長にお役立ていただければ幸いです。

レガシーシステムの脱却にはDXを検討してみましょう。
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目次

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レガシーシステムの定義と問題点

レガシーシステムとは?

レガシーシステムとは、汎用性のあるメインフレームやオフィスコンピューターなどに使われる古いシステムや技術のことです。システムのレガシー化により、例えば下記のような問題が起こると言われています。

  • システムが複雑になり属人化する
  • メンテナンスできる人材がいなくなる
  • システムがブラックボックス化する

最新の技術やシステムを導入する必要性は感じていても、互換性の問題などでレガシーシステムから新システムへとうまく移行できない企業も多いのです。まずは、レガシーシステムを使い続けることの主な問題点を解説します。

ビジネス環境の変化に対応しにくい

レガシーシステムを使い続けていると、時代の変化から取り残されていき、重大なシステム障害が発生するリスクが高まります。
システムの老朽化や処理能力の遅延からデータが膨大になり、システムが止まってしまう恐れもあります。レガシーシステムを放置し続ければ、事業活動そのものが継続困難になるような事態までも引き起こしかねません。

その結果、変化し続けるビジネス環境に対応できず、競合優位性を失うリスクがあります。

技術者不足・属人化によるリスク

レガシーシステムの導入が進まない原因のひとつには、IT人材の高齢化が挙げられます。
ベテランのIT担当者が既存の古いシステムを扱う技術や知識しか持っていないために、新技術の導入が進まないケースも少なくありません。
またIT人材不足により、レガシーシステムを扱う技術の継承すらも難しくなってきています。レガシー化を理解した上で新システムを導入できるIT人材が、圧倒的に不足しています。

業務の属人化により、レガシーシステムを脱却できない状態が続けば、DX促進ができずに生産性低下へとつながるリスクもあるでしょう。いつまでもレガシーシステムから脱却できないためにいっそう技術革新が困難になる悪循環は、現在レガシーシステムを使用する多くの企業が抱えている問題なのです。

維持コスト・改修コストが高い

維持管理費などの運用コストが高いことも、レガシーシステムの大きな問題点です。運用期間が長くなるほど不具合やトラブルの発生頻度も高くなり、その分メンテナンスコストもかさみます。
レガシーシステムを放置していると、新システムなら起こらないようなトラブルが頻発し、無駄なコストを生むことになるのです。経済産業省が公表した「DXレポート」によると、2025年の崖問題においてメンテナンスコストは、企業におけるIT予算の9割を占めるほど高額になり、収益性を低下させる課題が懸念されています。レガシーシステムから新システムへの移行は、コスト削減のためにも早急に対処すべき課題です。

セキュリティリスクの増加

レガシーシステムを継続利用すれば、セキュリティ面で多くの問題を引き起こすことがあります。まず、メーカーのサポート終了により、セキュリティパッチや更新プログラムが提供されず、既知の脆弱性が放置されるリスクがあるのです。その結果、外部からの不正アクセスやマルウェア感染・情報漏えいの危険性が高まります。

さらにレガシーシステムは、最新の暗号化技術や多要素認証などのセキュリティ機能に対応できず、防御力が低下します。また、保守担当者の減少や技術文書の欠如により、インシデント発生時の迅速な対応が難しくなり、事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性もあるのです。

レガシーシステムの放置は、企業全体のセキュリティリスクを高める要因となるため、早急な対処が必要です。

レガシー化の現状

レガシー化の現状

多くのシステムのレガシー化が深刻になり、政府や企業のホストコンピューターには近年さまざまな問題が起きています。
昨今、政府が主導するDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるにあたり、レガシー化が弊害となっているのです。
DXとは、デジタル変革を指します。企業がAIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を駆使して、業務フローを改善したり、新たなビジネスモデルを生み出したりする取り組みです。
DXは、大きな変革のためにデジタル技術を導入するのであって、デジタル技術の導入自体が目的ではありません。最新のデジタル技術を採用することで、顧客体験を改善し、企業の競合優位性を高めていくための取り組みなのです。

デジタル化が進んだ現代では、顧客が好きなときに好きな場所で好きな媒体から、自由に商品やサービスにアクセスできるようになりました。
変化の激しいニーズを満たし、より良い顧客体験を創造するために、DXは欠かせません。
デジタル競争社会から取り残されないために、政府は2030年までにDX化を完了することを目標としています。しかし、レガシーシステムがDX化の大きな足かせとなっているのです。
政府は、レガシーシステムを2025年の崖問題として危惧しており、企業に警鐘を鳴らしています。(2025年の崖問題に関しては、後ほど詳しく解説します)

自社システムはレガシー化している?診断チェックリスト

自社システムがレガシー化しているか判断できない方は、下記のリストを確認しておきましょう。

  • 古いプログラミング言語で開発されている
  • 特定ベンダーに依存している
  • 保守費用が年々増加している
  • 外部サービス・クラウドとの連携ができない
  • システム改修に数か月以上かかる

上記のリストに該当する場合は、自社システムがレガシー化している可能性が高いです。

古いプログラミング言語で開発されている

レガシーシステムの特徴として、古いプログラミング言語で開発されており、新しい言語に対応していないことです。古いプログラミング言語は、開発環境やライブラリがすでに更新されていない場合が多く、脆弱性への対応が難しい問題を抱えています。

また、古いプログラミング言語に対応できるエンジニアが減少しており、修正や機能追加のたびに高額なコストがかかったり、開発スピードが低下したりするリスクがあります。

古いプログラミングを理解できる担当者がいない状態では、業務が属人化しやすいため、トラブルが発生した際に対処できません。

古いプログラミング言語やフレームワークを使い続けている場合、今後の運用やセキュリティ強化に支障をきたす可能性が高いため、モダナイズ計画(再構築・再開発)によるレガシーシステム脱却を検討しましょう。

特定ベンダーに依存している

自社システムが、特定のベンダーや開発会社に強く依存している場合も、レガシー化の典型例です。

ソースコードや設計書が社内に共有されておらず、外部ベンダーしか保守・改修できない状態では、トラブル発生時に迅速な対応ができません。

担当企業が、契約終了や廃業などで対応できなくなった場合、システムの維持自体が困難になる可能性があります。
また、改修依頼のたびに、高額な費用や長期の調整期間が必要になるケースも珍しくありません。

特定ベンダーへの依存は、コスト・リスク・運用面での柔軟性を奪う要因となるため、ソースコードの共有やドキュメント整備を進めて、自社内でノウハウを蓄積しておきましょう。

保守費用が年々増加している

システムの老朽化が進むと、部品やソフトウェアの更新が難しくなり、保守コストが上昇します。
古いプログラミング言語や旧OSを利用している場合、対応できる技術者が減少しているため、人件費も高騰しやすくなるのです。

さらに、既存環境に手を加えるたびにトラブルが発生し、修正のたびに追加費用が発生する悪循環に陥るケースもあるので要注意です。

保守費用が右肩上がりになっている場合は、レガシー化の明確なサインであるため、早期にモダナイズ計画を立てましょう。

外部サービス・クラウドとの連携ができない

レガシーシステムでは、最新のクラウドサービスやAPIとの連携が難しく、新しい業務ツールやデータ基盤を活用できない課題があります。これにより、他システムとのデータ連携や自動化が進まず、業務効率化の妨げとなる場合があるのです。

また、クラウド連携していないオンプレミス型のシステムでは、オンラインでの利用に制限があり、生産性・競争力の低下につながります。

外部連携の制約は、デジタル化・DX推進を阻む大きな要因であり、API対応やクラウド基盤への移行を視野に入れた再設計が必要です。

システム改修に数か月以上かかる

機能追加や画面変更などのシステム改修に数か月以上かかる場合、システムは柔軟性を失っています。
なぜなら、複雑な構造やドキュメント不足・依存関係の多さが原因で、改修ごとに全体への影響調査やテストに時間がかかってしまうからです。

システム改修ごとに数か月単位の時間を有するようでは、ビジネス要件の変化に対応できず、競合他社との差が広がってしまいます。

改修リードタイムの長期化は、ビジネスの機動力を損なう要因であり、モジュール分割やアーキテクチャの刷新などによる構造改善が必要です。

レガシーシステム脱却のメリット

レガシーシステム脱却のメリット

レガシーシステムから脱却すると、具体的に下記のようなメリットが期待できます。

  • コスト削減と効率化
  • 運用リスク・セキュリティリスクの低減
  • ビジネスのスピードと競争力向上

コスト削減と効率化

レガシーシステムから脱却するには、多くの時間と費用がかかります。そのため「今までのシステムがまだ使えるのだから」と、新システムへの移行に後ろ向きな経営者も少なくないのではないでしょうか。
しかし、既存のシステムを維持管理するためのコストも考慮しなくてはなりません。
レガシー化からの脱却には初期投資が必要ですが、長期的に見れば、コストパフォーマンスに優れた未来への投資となるのです。

運用リスク・セキュリティリスクの低減

COBOLと呼ばれる事務処理用のプログラミング言語は、1950年代に生み出されました。
誕生から50年以上が経過した古い技術ですが、COBOLによって開発されたシステムを使っている企業はいまだに少なくありません。古いシステムを使い続ければ、それだけセキュリティ上のリスクも高まります。
レガシーシステムから脱却して最新システムへ移行すれば、より強固なセキュリティを築けます。運用リスクの観点でも、レガシーシステムからの脱却は重要なのです。

ビジネスのスピードと競争力向上

レガシーシステムから脱却すれば、自社のビジネスが加速します。
DX化により、業務の無駄が減り効率化が進みます。不要になった高額なメンテナンス費用を、新商品の開発への投資に回すことも可能です。DX化は、ビジネスの可能性を大きく広げてくれるのです。

2025年の崖問題とは?

2025年の崖問題とは?

レガシーシステムを理解する上で外せないのが、2025年の崖問題です。具体的には、既存のITシステムが

  • 老朽化
  • 肥大化
  • 複雑化
  • ブラックボックス化

により利用できなくなったり、生産性を大きく下げたりすることを意味します。レガシーシステムにより、競争力の低下や経済損失が引き起こされると言われています。
経済産業省が2018年に発表した『DXレポート』によれば、2025年から2030年にかけて、最大で年間12兆円の経済損失が起こると試算されているのです。
参考:経済産業省『DXレポート

システム管理・メンテナンス費用の高騰や、レガシーシステムを管理できるIT人材の不足なども起こっています。
さらに、レガシーシステムに使用されるソフトウェアのサポート終了に伴うセキュリティの危機も、決して無視できない問題です。
これらの問題を防ぐためにDX化は緊急の課題であり、政府も各種の補助金や助成金を用意して、レガシーシステムからの脱却と新システムへの移行を後押ししています。
2025年の崖問題によって、システムを利用するユーザーやベンダーには、どのような影響があるか押さえておきましょう。

競争力が低下する

まず、増え続けるデータを活用しきれず、市場での競争力を失う可能性が出てきます。レガシーシステムでは、ビッグデータなどの膨大なデータを効率良く処理することは難しいです。
大量のデータをスムーズに処理・管理できるソフトウェアを導入すれば、将来的なビジネスの発展に大きく貢献します。
また、レガシーシステムが技術的な負債となり、業務基盤の崩壊につながる恐れもあります。
頻繁なメンテナンスや非効率な運用により業務が滞るばかりか、大切な顧客や取引先を失うリスクさえ抱えているのです。

セキュリティリスクが増大する

レガシーシステムは、サイバー攻撃や災害などによるシステムトラブルやデータ損失、情報流出のリスクを大幅に高めます。
OSやソフトウェア、ハードウェアのメーカー公式サポートが切れていれば、セキュリティアップデートを受けられません。
セキュリティアップデートを行わないまま放置すれば、新たな脅威や脆弱性へのリスクが格段に高まっていくのです。最悪の場合、顧客データの流出などにより、企業の信頼や価値を損ねる可能性も覚悟しなければなりません。

IT人材が育たない

2025年の崖は、ベンダーにとっても重大な問題です。
レガシーシステムの保守・運用には多くのリソースを割かなければならず、最新のデジタル技術に対応できる人材の育成がどうしても後回しになってしまいます。
取引先との交渉で、最新技術の運用が必要になったとしても、対応できる技術者がいなければ顧客の要望を満たすことはできません。
AIエンジニアやデータサイエンティストなど、それぞれの技術に精通した外部の人材を登用することも可能ですが、技術力の高いエンジニアほど高額な採用コストが発生します。長期的なコストを考えるなら、人材育成は重要な課題です。

受託型業務から脱却できない

レガシーシステムのサポートに伴う技術者派遣による受託型業務から脱却できない点も、2025年の崖が抱える問題のひとつです。レガシーシステムのセキュリティ対策やシステムサポートの多くは受託型業務です。
時代の変化やシステムの老朽化によりサポート量が増えれば、それだけコストがかかってしまいます。
また技術者が既存のシステムにしか対応できない場合、新たに起こりうるサイバー攻撃を防ぐのは難しいです。サイバー攻撃の手口は常に進化しており、攻撃を防ぐには最新のセキュリティ対策が必要です。

クラウド化が進まない

クラウド型システムへの対応の遅れも懸念されています。
現在、業界を問わずシステムのクラウド化が急速に進んでいます。サーバーを自社に構えるオンプレミス型のシステムと比べ、コストやセキュリティの面でメリットが多いからです。
しかし、特に中小企業や各自治体ではクラウド化に消極的な場合も多く、クラウド型システムの導入があまり進んでいないのが現状です。

レガシーシステムから脱却するには?

レガシーシステムから脱却するには?

レガシーシステムから脱却するには、主に以下の2つの方法があります。

  • モダナイゼーション
  • マイグレーション

それぞれの手法について詳しく見ていきましょう。

モダナイゼーション

モダナイゼーションは日本語で近代化を意味し、自社が所有するデータやプログラムなど、稼働中の資産を活用しつつ、最新のシステムに置き換える取り組みを指します。
モダナイゼーションには、大きく分けると以下の4つの手法があります。

  • リプレイス
  • ラッピング
  • リライト
  • リホスト

リプレイス

リプレイスとは、老朽化したシステム全体を刷新する方法です。標準化されたパッケージを利用するなどして、ソフトウェア、ハードウェアともに入れ替えます。
システム全体を刷新するためコストや作業負荷が高く、個別の課題への対応が難しい側面もあります。
しかし大幅な生産性向上や業務効率化が期待できるため、業務の抜本的な変革やDX化まで見据えた場合、リプレイスは適した手法です。

ラッピング(リインターフェース)

ラッピング(リインターフェース)とは、既存のシステムは残したまま、外部からアクセスできるミドルウェアやインターフェースを用意する手法です。
元のシステム自体には手を加えずに最新システムを利用できるため、導入のハードルが比較的低く、他のシステムとの連携や、操作性の向上が期待できます。

リライト

リライトとは、既存システムの仕様はそのままに、自動変換ソフトなどを用いて、古いプログラム言語で作成されたプログラムを新しい言語で書き直す手法です。
例えば、COBOLで書かれたプログラムをJavaで書き直すなどが挙げられます。コストを抑えて最新技術を利用できますが、複雑化したレガシーシステムを活用するため、導入のハードルは高い手法です。

リホスト

リホストとは、既存システムのハードウェアやOSを、仮想化ソフトなどを用いて最新システム上で再現する手法です。ソフトウェアやデータをそのまま移行でき、クラウドを活用すれば時間やコストも抑えられます。
ただしリホストは主にレガシーシステムの延命を目的に利用されるため、抜本的な脱却にはつながらない恐れがあります。

マイグレーション

マイグレーションは日本語で移行や移転を意味し、既存のシステムやソフトウェア、データなどを別の環境に移転する取り組みを指します。マイグレーションは、以下の手順で進めるのが一般的です。

  • 移行したいデータが安全であるかを調査する
  • 新しいシステムを構築する
  • 移行したいデータを新しいシステムに合うように変換・成形する
  • 新システムに問題が発生しないかリハーサルやテスト運用を行う
  • 本番運用を開始する

近年は、オンプレミス環境で長年使用してきたレガシーシステムを、クラウド環境に移行するなどのマイグレーションを行う企業が増えてきています。

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レガシーシステム脱却の成功事例

レガシーシステム脱却の成功事例

ここからは、レガシーシステムからの脱却に成功した事例や、AIやIoTなど最新技術を駆使してDX化や事業展開に成功している企業の事例をご紹介します。
業界の異なるさまざまな成功事例に学んで、自社の事業を成長させるヒントが得ましょう。

AIを駆使して個人間売買をさらに手軽に

2013年にフリマアプリとして誕生したメルカリは、ユーザーの使いやすさを軸に、常に新しい価値を提供し続けています。
それまではフリーマーケットなどリアルの場が中心だった個人間の売買を、スマートフォンひとつで実現することに成功。今では売上1,000億円を超え、月間2,000万人がアクティブに利用する巨大マーケットに成長しました。
わざわざ伝票を書かなくても手軽に発送ができるメルカリ便や、商品バーコードを読み込むだけで説明文などを生成してくれるAI出品など、個人売買の手間を省く工夫が至るところに施されています。
また近年は、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスを提供するメルコインや、メルカリが持つデータとテクノロジーを活用して物流網を構築するメルロジなど、さらなる事業展開にも力を入れています。
参考:進化するメルカリの成長戦略 | UNITED DX

AIとRPAで月200時間の削減に成功

  • 携帯電話回線や光回線などの通信事業
  • Yahoo! JAPANやLINEなどのメディア事業
  • Yahoo!ショッピングやPayPayモール、ZOZOTOWNなどのeコマース事業

など、多くの分野で事業を展開するソフトバンク株式会社。ソフトバンクでは、AI-OCRやRPA*を活用したDX化により、コールセンター業務の効率化を実現しました。
業務の効率化に成功したのは、警察署からFAXで届く携帯電話の落とし物通知依頼書の転記業務です。
それまでは、毎月届く6,000件の帳票を10人で手入力しており、メインであるコールセンター業務に注力できていませんでした。
しかし帳票の項目を自動抽出できるAI-OCRや入力業務を自動化できるRPAの導入により、個人情報のセキュリティを守りつつ一連の業務を1人で完結できるようになり、月200時間の削減に成功。
入力業務や確認業務がなくなったことでミスが格段に減り、従業員の肉体的・精神的疲労も軽減されました。
*RPA……=Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)。AIや機械学習を活用して人間の作業を代替する取り組み。
参考:月200時間の削減に成功。ひらめきが生んだサクセスストーリー | DX Suite

DX化により新たなチケット購入体験を提供

プロ野球チームの北海道日本ハムファイターズも、積極的にDX化を進めています。
チケット購入の手間を省いてより多くのファンに球場へ足を運んでもらうため、最新のデジタルチケットプラットフォームであるチケットレボリューションを導入しました。スマートフォンが中心の若年層の購入環境にフォーカスし、新たなチケット購入体験を提供。
最短3ステップでチケットを購入できる便利なシステムにより、既存顧客の満足度を向上させ、潜在顧客へのアプローチにも成功しました。さらに自動配席システムにより、配席業務の効率化も実現しています。
またグループ会社であるファイターズ スポーツ&エンターテイメント社では、電通と共にロボットを活用した未来のリモート観戦席Future Box Seatβを開発し、実用化に向けて実証実験を行っています。
参考:
ファンとのつながりを強くするチケッティングサービスで、スポーツをより身近に、より楽しく。| FUJITSU
・Future Box Seatβ – ロボットを活用した未来のリモート観戦席 | Whatever

ドローンで配送時間を半分に短縮

日本郵政株式会社では、DX化のために2021年度からの5年間で約4,300億円を投資する計画を発表しています。
「データドリブンによる郵便・物流事業改革」を第1のテーマに掲げ、日本郵便の基幹業務システムと配達員向け携帯端末の刷新などにより、業務の効率化を目指しています。

郵便事業のDX化の取り組みの中でも特に注目を集めているのが、ドローンによる配送です。まだ試験段階ですが、2020年には東京都奥多摩町にて、荷物を配送する実証実験を行いました。
実証実験が行われた奥多摩郵便局では、山間部にある個人宅まで20分近くかけて林道を抜けていかなければならず、配達員にも相当な負担がかかっています。
しかしドローンを使えば、わずか半分の10分程度で配送が完了することが確認されました。ドローン配送は、運輸・配送業界の深刻な人手不足を解消するための一歩として、実用化が期待されています。
参考:
日本郵政が4300億円のDX投資計画を発表、データとAIで配達効率化 | 日経XTECH
日本郵便、奥多摩町にてドローンを用いた配送の試行を実施 | DRONE MEDIA

電子カルテの見える化で医療の質を向上

製薬業界や医療業界でもDX化は進んでいます。
そのひとつが大塚製薬と日本IBMが共同開発した電子カルテMENTAT。MENTATは、膨大なデータが存在する精神科のカルテを電子化し、整理・分析を可能にしたソリューションシステムです。
病気歴や症状など、数値化しにくい情報の多い精神科の電子カルテを、テキストマイニング(自然言語処理)や統計処理などの技術を使い、データベース化することに成功しました。
情報流出のリスク対策も万全です。院内の匿名化サーバーやファイヤーウォールを活用し、患者の個人情報は特定通信でのみアクセス可能な暗号化データで取得して、クラウド上で分析します。
最新の技術を活用したDX化により、患者さんへの適切なアプローチや病院経営の合理化支援を実現した成功事例です。
参考:MENTAT | 大塚デジタルヘルス

レガシーシステムを脱却してビジネスを加速させよう

レガシーシステムを脱却してビジネスを加速させよう

今回はレガシーシステムの現状や脱却方法についてご紹介しました。レガシー化による脅威は、今後ますます大きくなっていきます。
自社で古くからのレガシーシステムを使い続けているのであれば、できる限り早期の脱却を目指すべきです。
もし何から手を付ければ良いか分からない場合には、まず最新のシステム開発に精通したベンダーに相談しましょう。

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この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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