テスト自動化とは?メリットや注意点・導入の進め方などを詳しく解説

最終更新日:2024.11.22
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
テスト自動化とは?メリットや注意点・導入の進め方などを詳しく解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

近年、ソフトウェア開発の分野において、テスト自動化の技術が注目されています。
テスト自動化によって成果を出している企業や、導入を検討している企業の話題を耳にする機会も増えています。

しかし、どのように進めれば期待した効果を出せるのかわからない方もいるのではないでしょうか。
テストツールなどを導入すれば、すぐに結果が出るものではないことに注意が必要です。

そこで本記事では、テスト自動化についての概要、メリットや注意点、導入の進め方などについて解説します。

テスト自動化を導入して効果を上げるために、ぜひ本記事を参考にしてください。

目次

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テスト自動化の概要

本章では、テスト自動化の意味や、自動化が求められる背景、自動化によって得られる効果について解説します。

テスト自動化とは

テスト自動化とは、従来技術者が手作業で行っていたテストの実行や結果の確認を、専用のツールやスクリプトを用いて自動化するプロセスを指します。

テストの実行や結果の検証といった作業を自動化するためには、専用のテストツールやテストスクリプトを使用します。

ソフトウェア開発のプロセスにおいて、テスト工程は、ソフトウェア開発全体の50%近くを占めるとも言われており、技術者にとっても作業の負担は小さくありません。
テストを自動化できれば技術者の負担が軽減されるとともに、開発にかかる工数や期間を減らせる効果が期待できます。

テスト自動化が求められる背景

ソフトウェア開発を取り巻くビジネス環境は、近年大きく変化しています。
市場のニーズも目まぐるしいスピードで変化するため、ソフトウェア開発も市場の変化に対応できるスピード感が必要です。

しかし、従来のウォーターフォール型と言われる開発手法は、要件定義をはじめとする開発工程を段階的に進めるため、計画どおり確実に開発できる利点はあるものの、市場の変化にタイムリーに対応する柔軟性がありませんでした。

そのため、スピーディーで効率的な開発が可能なアジャイル型に変化しているなど、よりビジネス環境の変化に適応しやすい形に進化しています。
このような背景の中で、よりスピーディーで効率的な開発を可能にするテスト自動化が注目されるようになりました。

テスト自動化で得られる効果

テストを自動化すれば、ソフトウェア開発を担当する技術者の業務負担を軽減できます。
また、テストの作業自体を効率化できるため、開発のスピードアップも可能です。

前述したように、ソフトウェア開発プロセス全体の50%近くをテスト工程が占めるため、ソフトウェア開発においてテストは非常に大きな負荷がかかります。
複雑なシステムや大規模な開発になるほどテストに時間がかかり、負担も大きくなります。

したがって、テストを少しでも効率化できたら業務負担は軽減され、開発のスピードアップにもつながるため、テスト自動化には大きな効果があると言えるでしょう。

テスト自動化のメリット

ソフトウェア開発のテスト工程において、テストの実施作業を適切な手法で効率化できれば、さまざまなメリットが得られます。
本章では、テスト自動化によってどのようなメリットが得られるかを見ていきましょう。

テストにかかる工数を減らせる

技術者が手作業でテストを実施する場合、テスト準備やテストを実行する作業はもちろんのこと、結果を検証する作業に時間がかかります。
しかも、一連の作業手順が十分に組み立てられていないと、途中でミスに気づいて最初からやり直しになるといったことも十分考えられるでしょう。

しかし、テストを自動化すれば、技術者が手作業で実行して目視などで時間をかけて結果を検証していたものが、機械的に実施できるようになるため、テストにかかる工数を大きく削減できます。

一度自動化されたテストは何度でも実行可能なため、プログラム修正後に繰り返しテストが必要な場合でも、技術者の工数を削減できます。

人的リソースの不足を解消できる

技術者が手作業でテストをする場合は、人的リソースが不足していると十分なテストができなくなることが懸念されます。
しかし、テストを自動化していればツールがテストコードにしたがって自動的にテストを実施してくれるため、人的リソースが不足していても十分なテストが可能です。

また、夜間や休日を利用して人がいない間にテストを実行できるため、工数を減らせるだけでなく時間を有効活用できます。

不具合を早い段階で発見できる

テストを自動化していると、スピーディーで正確なテストが実施可能です。
そのため、大量のテストケースを高頻度で繰り返し実行でき、結果的に不具合を早い段階で発見できる可能性が高くなります。

技術者が手作業でテストを実行していると、同じテストを何度も繰り返し実施するのは工数面で難しいと思われますが、自動テストでは技術者に作業の負担をかけることなく、毎日や毎週などの短い周期でも負担なく実施できます。

例えば、毎日夜間に自動テストをスケジュールしておき、日中に技術者が修正したプログラムがテストされるようにしていたら、修正による影響で不具合が埋め込まれていたとしても翌日には発見できる可能性が高いでしょう。

人為的なミスを防げる

技術者が手作業でテストをしていると、人が目視などで結果を確認するため、判断ミスや見落としなどの人為的なミスが発生するリスクがあります。
しかし、自動テストの場合はテストの実行手順や結果の判断をすべてツールが自動で行うため、正確なテストがスピーディーに実行可能です。

手作業のテストでは実施手順を間違えたり、結果の判断を間違えたりして、やり直すのに時間がかかるといったことが起きますが、自動化されたテストではそのようなミスで手戻りが発生することもありません。
つまり、人為的ミスを防ぐことで、開発効率が上がる可能性が高くなると言えるでしょう。

ソフトウェアの品質を向上できる

手作業によるテストで開発するソフトウェア全体の品質を保証するためには、多大な労力とコストがかかります。
そのため、コストの投資効率を上げる意味で、品質保証の範囲をより重要な機能だけに絞るといった手法が用いられることは少なくありません。

その場合、重要度の高い機能は重点的にテストされますが、テストが手薄になる機能も出てくるため、テストが手薄な部分からシステム障害が発生するケースがよくあります。
しかし、テストを自動化していれば多大な労力とコストをかけずに、効率よくソフトウェアの品質を保証できるため、結果として開発したソフトウェアの品質向上につながると言えるでしょう。

テスト自動化を進める際の注意点

前章で解説したとおり、テスト自動化を導入すればさまざまなメリットを得られますが、導入する際には注意すべき点もあります。
本章では、テスト自動化を進める際に注意しておきたい点について解説します。

導入する初期段階で多くのコストがかかる

テストを自動化するためには、手作業のテストにくらべて初期段階で多くのコストが必要です。
主に、下記のようなコストがかかります。

  • テストツールを導入する費用
  • テストツールに習熟するためにかかる工数
  • テストの自動化を実現するためのテストコード作成にかかる工数

ツールさえ導入すれば、すぐにテスト工数が減るわけではありません。
テスト自動化にどのような効果を期待するかにもよりますが、例えばテスト工数を削減したい場合、テスト自動化が効果を発揮するまでには導入の初期段階よりも時間がかかるでしょう。

テストコードのメンテナンスが必要

テスト自動化は、初期の開発ですぐに効果が出るものではありません。
長期にわたって運用を継続し、繰り返し自動テストを実施していく中で効果が得られます。

自動化されたテストコードは、最初に構築して終わりではなく、継続的な運用とともに適切なメンテナンスが求められます。

例えば、開発したソフトウェアの機能を改修した場合、機能の仕様変更に合わせてテストコードも修正しなければなりません。
ソフトウェアの仕様変更に合わせてテストコードを更新しないと、誤った結果を引き起こし、品質を損なうリスクがあります。

自動テストで効果を得るためには長期にわたる継続的な運用が必要で、そのためにはテストコードも都度メンテナンスが欠かせません。

自動化するのに向き・不向きがある

ソフトウェアのテストにはさまざまな種類がありますが、自動化に向いたテストと不向きなテストがあります。
テスト自動化を導入する際には自動化の向き不向きを考慮し、自動化に向いたテストを見極めて適用するのが非常に重要です。

次のようなテストは自動化に向いていると言えるでしょう。

  • 手順の誤りなど人為的ミスが起きやすいテスト
  • テスト結果を機械的に判定できるテスト
  • 回帰テストなど品質担保のために繰り返し実施するテスト

逆に、次のようなテストは自動化に向いているとは言えません。

  • ユーザービリティ(使い勝手)を検証するテスト
  • 探索的テストなどパターン化が難しいテスト
  • 実施回数が多くないテスト

テスト自動化といっても、実際にはすべてのテストを自動化できるわけではありません。
そのため、上記のようにテスト種類ごとの自動化の向き不向きを理解し、自動化するテストと手作業で実施するテストを適切に見極めてテストの効率化を図りましょう。

テスト自動化の導入方法

本章ではテスト自動化を導入する際の流れを、次の3ステップで解説します。

  • テスト自動化の目的を明確にする
  • 自動化の対象や範囲を決める
  • テストツールを選ぶ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

テスト自動化の目的を明確にする

最初に、なぜテスト自動化を導入するのか、目的を明確にするのが非常に重要です。
テスト自動化によってどのような効果を期待するのか、と言い換えても良いでしょう。

一般的には、主に次のような目的が挙げられます。

  • テスト工数の削減
  • テスト期間の短縮
  • テスト品質の向上
  • 人的リソース不足の解消

目的を明確にできれば、テスト自動化のアプローチが適切か見極められます。
また、導入後の効果を検証するポイントも明確になるでしょう。

自動化の対象や範囲を決める

テスト自動化の目的が明確になったら次に、自動化すべきテストの対象や範囲を具体的に定めていきましょう。

前述したとおり、テストにはさまざまな種類があり、自動化に向いたテストと不向きなテストがあります。
テスト自動化のメリットを活かすためには、なるべく自動化に向いたテストを対象に選ぶのがおすすめです。

自動化に向かないテストに導入すると、自動化のために多くのコストがかかる割に導入効果は得られないといった結果になりかねません。
自動化の向き不向きをしっかり見極めて、自動化の対象や範囲を決めてください。

テストツールを選ぶ

自動化の対象と範囲が決まったら、テスト自動化に使用するツールを検討します。
開発するソフトウェアの種類や、テスト自動化の対象・範囲などによっても選定基準が異なるため、前提条件を明確にして選びましょう。

また、導入後は長期にわたって運用していくことになるため、運用のしやすさやメンテナンスコストなども見据えて選定するのが重要です。

おすすめのテスト自動化ツール

最後に、無料で使えるおすすめのテスト自動化ツールを紹介します。

Selenium(セレニウム)

selenium公式ページ

SeleniumはWebアプリケーションの画面機能のテストを自動化できるツールです。
人が手作業で行うWebブラウザの操作を記録して自動実行を可能にします。

Appium(アピウム)

Appium公式ページ

Appiumは、先ほどのSeleniumをベースに開発されたモバイルアプリのテストを自動化するフレームワークです。
iOSやAndroidの環境で動作するクロスプラットフォームで、さらにJava、Python、Rubyなど複数の言語を使用してテストスクリプトを記述できます。

Jenkins(ジェンキンス)

Jenkins公式ページ

継続的インテグレーション(CI)ツールとして知られているJenkinsは、ソフトウェア開発においてテストやビルドの自動化を支援してくれます。
Java言語で構築されたツールで、世界中に多くの利用者がいます。

テスト自動化を達成して品質向上とコスト削減

ビジネス環境が大きく変化し、市場のニーズも目まぐるしく変化している近年、ソフトウェア開発においてテストを自動化する取り組みには大きなメリットがあります。

しかし、自動化によってすべてのテストが効率化できるわけではないため、テスト自動化を導入する際には自動化の対象や範囲をしっかり見極めることが非常に重要です。
テスト自動化の目的を明確にし、対象や範囲を見極めて導入できれば、品質向上やコスト削減などの効果が期待できるでしょう。

これからテスト自動化を検討する方はぜひ、本記事を参考にしてください。

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