MVP開発とは?種類と進め方|実践するメリットや注意点も解説

2024.07.08
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Wakka Inc. メディア編集部
MVP開発とは?種類と進め方|実践するメリットや注意点も解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

昨今は、技術の発展やニーズの多様化によって不確実性が高まった結果、マーケットの動向が予測しにくくなりました。
そのため、従来の開発手法ではマーケットに受け入れられず、失敗するリスクが高まることがあります。

市場の変化に伴い、近年はMVP開発を積極的に実践する企業が増えています。
MVP開発はユーザーやマーケットのフィードバックを積極的に取り入れ、開発に伴うリスクを低減する開発手法です。

本記事ではMVP開発について、種類や進め方などを解説します。
実践するうえでのメリットや注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

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【基礎知識】MVPとは?

MVP開発で利用されるMVPとは、「Minimum Viable Product」の略称であり、直訳すると「必要最小限のプロダクト」を意味します。

MVP開発はあえて必要最低限の機能のみで付随機能のない状態でリリースに踏み切る点が特徴です。
リリースした後は、ユーザーからフィードバックを集め、改善を繰り返すことによりプロダクトの完成を目指します。

リーンスタートアップにおけるMVP開発の位置づけ

MVP開発はリーンスタートアップの構成要素の1つに位置付けられており、構築・計測・学習のステップと連動しています。
それぞれのステップの概要は以下の通りです。

構築仮説を検証するためにMVPを製作する
計測リリース後にユーザーからフィードバックを得る
学習フィードバックの結果と仮説を照合し、課題の洗い出しと改善を行う

リーンスタートアップの一環としてMVP開発を実施したケースは多く、世界的な企業でも実践しています。
なかでもInstagramやAmazonなどは、MVP開発の成功事例として認識されています。

MVP開発とアジャイル開発との違い

アジャイル開発はMVP開発と混同されやすい開発手法の一つです。
アジャイル開発もリーンスタートアップで多用される開発手法であり、MVP開発と同様にスピーディーにプロダクトを開発できる点が特徴です。

ただし、アジャイル開発とMVP開発には以下のような違いがあります。

アジャイル開発MVP開発
目的プロダクトの短期間でのリリースフィードバックを得たうえでのプロダクトの改善
プロセス機能ごとにプロセスを分けて短期間で開発を進める必要最小限の機能を持つMVPを開発・リリースする
開発期間各機能ごとに1~4週間ほど1週間~2ヶ月

アジャイル開発は開発期間を短縮化させることを重視していますが、MVP開発はユーザーからのフィードバックを得て製品のブラッシュアップが最大の目的です。
ただし、目的やプロセスに違いはあるものの、企業によってはアジャイル開発の一環としてMVP開発を行うケースがあります。

MVP開発とPoCの違い

アジャイル開発と同じように、PoCもMVP開発と混同されやすい手法です。
それぞれの違いは以下の通りです。

PoCMVP開発
目的新規事業やアイデアの実現可能性の検証フィードバックを得たうえでのプロダクトの改善
プロセスプロトタイプを使った実証実験など必要最小限の機能を持つMVPを開発・リリースする
開発期間プロダクトによる1週間~2ヶ月

PoCは概念実証とも呼ばれ、新規事業やアイデアの実現可能性を探るために行われます。
そのため、実現する可能性が低いと判断されたら開発・リリースを行わないケースもあります。

MVP開発の4つのメリット

MVP開発を実践した際のメリットは、以下の通りです。

  • 先行者利益を得られる
  • 早期収益化を望める
  • 開発コストを最小限にとどめられる
  • 顧客ニーズを確認できる

MVP開発のメリットを知れば、実践する意義を理解しやすくなります。

先行者利益を得られる

MVP開発はスピーディーに開発できるため、競合他社よりいち早くマーケットにリリースできます。
そのため、ユーザーを早期に囲い込みやすく、先行者利益を得やすい点がメリットです。

昨今は技術の発展やユーザーのニーズの多様化により、トレンドが変動しやすく、マーケットの動向を予測しにくくなっています。
もし開発に時間をかけてしまうと、プロダクトをリリースしてもトレンドの変動によって想定した売上が得られなくなるリスクが高まります。

MVP開発なら、ニーズが高まっている段階でのリリースも可能であるため、競合他社に先んじたプロダクトの提供が可能です。

早期収益化を望める

MVP開発は早期収益化を望める点もメリットです。

MVP開発は、リリース後にユーザーからフィードバックを得ながらプロダクトのブラッシュアップを行います。
万が一ニーズとギャップがあった際も、早期に修正ができるため、収益化のタイミングを早められます。

また、MVP開発はスピーディーかつ低コストで開発を進めるため、収益化が遅れても損失を減らせる点も魅力です。

開発コストを最小限にとどめられる

必要最小限の機能しか持たないMVPを開発・リリースするため、MVP開発は開発コストを最小限にとどめられます。
さらにMVP開発はフィードバックを得ながら改善するため、プロジェクトの軌道修正や巻き戻しによるコストや損失の発生を回避できます。

MVP開発はコストを最小限にできるからこそ、リーンスタートアップの一環として実践できる開発手法です。
開発コストを抑制できれば、プロダクトによって得られる収益を最大化できます。

顧客ニーズを確認できる

MVP開発は顧客ニーズを確認できる開発手法です。
そのため、適切なタイミングで改善したり、マーケットに適したプロダクトをリリースしたりしやすくなります。

従来の開発手法は、自社でマーケティングを行ったうえでプロダクトの開発に着手していました。

しかし、この方法だと予測が外れた際に改善や軌道修正が間に合わず、損失を被るリスクがあります。
MVP開発なら、リリース後からユーザーのフィードバックを得られるため、万が一ニーズとのギャップが発生しても、早期に修正できます。

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MVP開発の主な7種類

MVP開発には様々な種類があり、それぞれプロセスが異なる点に留意しましょう。
本章では以下の種類を紹介します。

種類概要
プロトタイプ試作品をユーザーに提供する
スモークテストプロダクトへの興味を調べる
コンシェルジュマニュアルですべての作業を行う
オズの魔法使い人力でシステムを動かす
ランディングページ興味を引くランディングページを作成する
モックアッププロダクトの外観だけを作成する
プレオーダーリリースする前に購入者を募集する

プロトタイプ

プロトタイプとは、プロダクトの試作品を作成し、ユーザーから評価を得る方法です。

必要最小限の機能を持つプロダクトを実際に作成することにより、実際の使用感をユーザーに体験してもらえます。
フィードバックを得やすい手法ですが、実際にプロダクトを作成するため、コストはかかりやすい点に注意しましょう。

スモークテスト

スモークテストとは、ユーザーが自社が提供するサービスに対し、興味・関心を持っているかを調べる手法です。

サービスを紹介する動画や、事前登録サイトを公開し、ユーザーの反応をチェックします。
実際にサービスを開発しないため、機能や使用感の確認こそできませんが、ユーザーのニーズを確認できます。

コンシェルジュ

コンシェルジュはサービスの機能を自動化せず、従業員がマニュアルで対応する手法です。
あえてマニュアルで対応することにより、従業員とユーザーが密なコミュニケーションが取れます。

そのため、ユーザーからのフィードバックが得やすく、即効性が高い点が特徴です。
ただし、ユーザーへの対応をマニュアルで行うので、手間と時間がかかりやすい点に注意しましょう。

オズの魔法使い

オズの魔法使いとは、完成されていないシステムの機能の一部を、人間が代わりに動かすことで稼働しているように見せる手法です。

コンシェルジュと酷似していますが、あくまでユーザーにはシステムが稼働しているように見せている点が異なります。
コンシェルジュと同様に手間がかかる手法ですが、ユーザーのニーズをダイレクトに検証できるうえに、開発にかかるコストを抑えられます。

ランディングページ

ランディングページとは、サービスの概要や、ユーザーが得られるメリットなどを記載した単一ページを作成する手法です。
質問用の問い合わせフォームを設置すれば、ユーザーの興味・関心を引くだけでなく、ニーズや傾向を調べられます。

モックアップ

モックアップはプロダクトの外観のみを完成品と同じ状態にする手法です。

内部のシステムは簡略化し、あくまで見た目だけを完成品と同じ状態にします。
モックアップは、主にデザインのイメージを共有するために実践されますが、企業によっては情報アーキテクチャを確認するために実践されるケースもあります。

プレオーダー

プレオーダーは、プロダクトをリリースする前に購入者を募集する手法です。
リリース前にユーザーを募ることにより、ニーズや要望をあらかじめチェックし、開発に活用できます。

また、早い段階から購入者を確保できるため、資金調達もできる手法です。

MVP開発の進め方

本章ではMVP開発の進め方について解説します。
MVP開発は、以下のように5つのステップに分けられます。

  1. 仮説を立てる
  2. 必要最低限の機能・形を決める
  3. MVPを作成する
  4. MVPを検証する、フィードバックを回収する
  5. MVPを修正・改善する

それぞれのステップについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

ステップ1:仮説を立てる

MVP開発で最初に実行するプロセスは仮説を立てることです。
ユーザーのニーズ・課題などを分析し、プロダクトが顧客に提供できる価値を明確にします。

仮説の時点でビジョンが具体的であれば、無駄な工数がなくなり、スムーズな開発が可能です。
逆にビジョンが曖昧な状態だと、不要な機能をつけたり、コンセプトがブレたりするため、無駄なコストがかかります。

ステップ2:必要最低限の機能・形を決める

ビジョンが固まったら、MVPに搭載する必要最低限の機能・形を決めます。
MVP開発において、「完成品を目指さないこと」は重要です。

初めから完成品を目指し、複雑な機能を搭載しようとすると、MVP開発のメリットが失われます。
機能の優先順位を明確にし、必要最小限まで絞り込むことを意識しましょう。

ステップ3:MVPを作成する

MVPを作成する際は、コストを押さえ、スピーディーに開発を進めなければなりません。
この際、必要最小限の機能に絞り込むだけでなく、開発プロセスや開発体制にも工夫が必要です。

例えば一部の開発プロセスをアウトソーシングしたり、オープンソースを利用したりするなど、外部のリソースを活用すれば、開発に要する時間やコストを削減できます。

ステップ4:MVPを検証する、フィードバックを回収する

MVPを検証したり、フィードバックを回収したりする方法は、以下のように複数あります。

  • テスターを募集する
  • ユーザーにインタビューやアンケートを行う
  • 集めたデータを分析する

MVPの検証・フィードバックの改修を行う際は、定性的・定量的なデータ情報双方を集めるようにしましょう。
例えば、テスターの募集やインタビューで定性的なデータを集め、データ分析やアンケートで定量的なデータを集めれば、より多角的な分析が可能です。

様々な観点からフィードバックも集められるため、より有意義な改善が実現します。

ステップ5:MVPを修正・改善する

フィードバックを得たら、MVPの修正・改善を行いましょう。
フィードバックの過程で得た新たな課題を解決し、ニーズが高い機能を実装すれば、よりユーザーやマーケットにフィットしたプロダクトを開発できます。

改善が完了したらリリースとなりますが、これで終わりではありません。
リリース後もPCDAサイクルを回し、適切な改善を繰り返すことで、プロダクトをさらにブラッシュアップしていくことも重要です。

MVP開発を進める際の3つのポイント

MVP開発を成功させるなら、いくつかのポイントに留意しなければなりません。
本章ではMVP開発を進めるうえで、注意すべき3つのポイントについて解説します。

  • 最低限のコスト、期間で開発する
  • ユーザーニーズを把握する
  • 目的・判断基準を明確化させる

あらかじめポイントを知っておけば、MVP開発が成功する可能性が高まります。

最低限のコスト、期間で開発する

MVP開発の目的は「最低限のコスト・期間で市場のニーズを確かめること」です。
裏を返せば、余分なコストをかけたり、開発に無駄な時間を使ったりすると、MVP本来のメリットを得られなくなります。

MVP開発を実践する際は、コストや開発期間を最低限にとどめることを意識しましょう。
また、付加機能を実装する際は、ユーザーからフィードバックを得てから検証する段階に入ってからにしなければなりません。

なお、MVP開発は、最初から複雑な機能を搭載する必要があるプロダクトの開発には向いていません。
原則として、開発に2ヶ月以上かかるプロダクトはMVP開発には不向きとされています。

ユーザーニーズを把握する

フィードバックを得てから改善するプロセスがある以上、MVP開発においてユーザーニーズの把握は重要な課題です。
もしユーザーニーズを間違えて把握すると、マーケットに適合しないプロダクトを開発してしまうリスクが高まります。

また、ユーザーからフィードバックを得る際は、取捨選択も不可欠です。
ユーザーのニーズを把握しつつも、有用な意見と不要な意見を選り分けなければ、コンセプトがブレる恐れがあります。

フィードバックを得る際は、有用な意見を見極めるようにしましょう。

目的・判断基準を明確化させる

MVP開発を実践する際は、目的や判断基準をあらかじめ明確化しましょう。
目的や判断基準を明確にしなければ、開発プロセスに悪影響を及ぼします。

目的や判断基準が不明確な状態だと、機能を必要最小限に絞り込めず、無駄な機能を実装するリスクが発生します。
無駄な機能を搭載すれば開発コストが増えるうえに、余計な時間をかけてしまい、先行者利益を得るチャンスを逃しかねません。

また、開発の巻き戻しが発生しやすくなり、結果として開発が進まなくなるだけでなく、損失が発生する恐れがあります。

適切なMVP開発の進め方を把握しよう

MVP開発は必要最小限の機能を搭載した状態でリリースし、ユーザーからフィードバックを得て改善していく開発手法です。
低コストでスピーディーに開発できるうえに、ユーザーのニーズに適合したプロダクトを開発できるため、世界中の企業が実践しています。

MVP開発は多くのメリットがありますが、実践する際は進め方やポイントを押さえておきましょう。
適切な進め方を把握すれば、MVP開発が成功する可能性が高まります。

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