ヘッドレスCMSのSEO対策4選|導入メリット・注意点を解説
ヘッドレスCMSは、バックエンドのみで構成されたコンテンツ管理に特化したシステムです。
コンテンツを閲覧したり表示したりする機能が備わっていない分、開発の自由度が高くスムーズな表示速度を実現できます。
さらにヘッドレスCMSを活用して、Webサイトを改良すればSEO効果を高めて、サイトの露出度を向上できます。
Webサイトからの集客力を向上させたい企業は、ヘッドレスSEOによるSEO対策を実施しましょう。
本記事では、ヘッドレスCMSが実現するSEO対策を4選ご紹介します。
ヘッドレスCMSを導入するメリットと注意点をあわせて解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
ヘッドレスCMSとは
ヘッドレスCMSとは、Webサイトを表示・閲覧する機能を持たず、コンテンツを管理することに特化したシステムです。
そもそもCMSは「Contents Management System」の略称で、Webサイトを構成するテキストや画像などのデジタルコンテンツを統合・管理し、配信するシステムを指します。
CMSには、フロントエンドと呼ばれるコンテンツを表示する機能と、バックエンドと呼ばれるコンテンツを入稿する機能が備わっています。
ヘッドレスCMSには、「ヘッド」と呼ばれるコンテンツを表示する機能が存在しません。
ヘッドレスCMSは、入稿機能に特化したバックエンドのみで構成されており、フロントエンドをデバイス側で処理しています。
不要な機能を取り除いてバックエンドのみでコンテンツを入稿できるため、スピーディーな処理速度と自由なカスタマイズ性を実現しています。
従来のCMSとの違い
従来のCMSとヘッドレスCMSの違いは、次の通りです。
項目 | 従来のCMS | ヘッドレスCMS |
フロントエンドの有無 | 有 | 無 |
バックエンドの有無 | 有 | 有 |
表示画面の自由度 | 低い | 高い |
セキュリティの高さ | 低い | 高い |
従来のCMSは、フロントエンドとバックエンドをセットで取り扱うことで、コンテンツを表示しながら入稿作業を行ってきました。
対してヘッドレスCMSは、バックエンドのみで構成されており、デバイスにフロントエンドを表示させるには専門的な知識とスキルが必要です。
従来のCMSが専門知識がなくてもWebサイトを構築・管理できるのに対して、ヘッドレスCMSは専門知識・スキルがなければ、コンテンツを表示できません。
ただしフロントエンドがない分、バックエンドのみを管理できるため、表示画面の自由度が高いです。
さらにコンテンツ表示・入稿する機能が分かれているため、サイバー攻撃を受けにくくセキュリティが高い傾向にあります。
ヘッドレスCMSの種類
ヘッドレスCMSは、大きく分けて次の2種類があります。
- Self-Hosted型
- CaaS型
どちらもヘッドレスCMSですが、それぞれ導入形態や特徴が異なります。
ヘッドレスCMSの導入を検討している企業は、それぞれの違いを確認しておきましょう。
Self-Hosted型
Self-Hosted型は、自社で用意したサーバーやデータベースにヘッドレスCMSを導入する形態です。
自社で用意したサーバー内にCMSを設置できるため、カスタマイズ性が高く利用コストを抑えられる特徴があります。
サーバーやデータベースをレンタルするコストを抑えられる反面、自社でアップデートやセキュリティ対策を行わなければなりません。
自社で運用する手間がかかりますが、自由にコードを書き換えてカスタマイズできる特徴があります。
CaaS型
CaaS型は、ベンダーが用意したクラウド上に設置されたヘッドレスCMSを利用する導入形態です。
クラウド上にサーバーやデータベースがあり、ベンダーに利用料金を支払うことで、ヘッドレスCMSを利用できます。
運用・管理をベンダー側が行ってくれるため、システム管理にかかる手間や労力を削減しながら、コンテンツ管理を行えます。
アップデートやセキュリティ対策をベンダー側が行ってくれるため、専門知識がない方でも導入しやすいヘッドレスCMSの種類です。
ただし利用料金を支払う必要があるため、Self-Hosted型を導入するよりCaaS型のほうが、ランニングコストがかかってしまいます。
ヘッドレスCMSの必要性
ヘッドレスCMSは2016年ごろから提唱されていましたが、国内で注目を集めだしたのは2020年ごろでした。
新型コロナウイルス蔓延に伴い、オフラインからオンラインのサービスが普及したことにより、ヘッドレスCMSが注目されました。
ヘッドレスCMSが求められる理由は、次の通りです。
- Webサービスの普及
- 従来のCMS運用にかかる負荷の増加
それぞれの理由を確認して、ヘッドレスCMSの必要性を理解しましょう。
Webサービスの普及
ヘッドレスCMSが求められる理由は、Webサービスが普及したからです。
2020年の新型コロナウイルス蔓延に伴い、Web上で完結できるオンラインサービスが増加し、スマートフォンやタブレットなどのデバイスも増えたことでマルチデバイスへの対応が求められました。
そのため従来のコンテンツ表示・入稿機能を合併したCMSより、両者を切り離してバックエンドをサーバーで、フロントエンドをデバイスで処理するヘッドレスCMSが注目されました。
Webサービスが普及したことにより、従来のCMSよりスピーディーな表時速度と自由なカスタマイズ性、強固なセキュリティが求められています。
スマートフォンやタブレットなど異なるデバイスでサイトを表示でき、従来のCMSより現代のWebサービス事情に適合したヘッドレスCMSを求めるユーザーが増えたのです。
従来のCMS運用にかかる負荷の増加
従来のCMSでは運用にかかる負荷が多く、作業時間や労力などの運用コストが課題でした。
WordPressなどオープンソース型のCMSでは、専門知識がなくともWebサイトを構築・管理できるため、多くのユーザーが利用していました。
しかし自社でメンテナンスやバックアップ、セキュリティ対策を行う必要があり、運用には膨大な労力や時間がかかってしまいます。
ヘッドレスCMSであれば、バックエンドのみの管理になるため、従来のCMSより運用コストが少ないです。
またCaaS型のヘッドレスCMSを導入すれば、ベンダー側がメンテナンスやセキュリティ対策などの運用を行ってくれるため、運用コストを大幅に軽減できます。
ヘッドレスCMSを導入するメリット
ヘッドレスCMSを導入するメリットは、次の通りです。
- 表示速度を向上できる
- 開発の自由度が高い
- マルチデバイスに対応しやすい
- フロントエンドの自由度が高い
- コストパフォーマンスが高い
- 他システムと連携性が高い
- セキュリティが高い
ヘッドレスCMSは、コンテンツ表示と入稿の機能が分離していることで、従来のCMSにはないメリットが多数あります。
それぞれのメリットを確認して、ヘッドレスCMSを導入するべきか検討しましょう。
表示速度を向上できる
ヘッドレスCMSを導入するメリットは、表示速度を向上できることです。
従来のCMSでは、コンテンツを表示するにはフロント・バックエンド間でデータをやり取りする必要があり、一定の処理時間がかかってしまいます。
対してヘッドレスCMSは、フロントエンドとバックエンドが独立しているため、データをやり取りする時間がかかりません。
余計な表示時間を短縮することで、ユーザーが快適にサイトを閲覧でき、SEO評価も高くなるためサイトの露出度が増えます。
開発の自由度が高い
ヘッドレスCMSは従来のCMSと比べて、開発の自由度が高いです。
従来のCMSでは、フロントエンドとバックエンドがセットになっているため、どちらかを改修すれば他方に影響が生じてしまいます。
しかしヘッドレスCMSの場合は、フロントエンドとバックエンドが独立しているため、どちらかを改修しても他方に影響せず、自由なカスタマイズを行えます。
そのため、サイトを作成した後にコンテンツを編集・追加したり、変更箇所だけを修正したりと、自由に仕様や機能を改修できます。
マルチデバイスに対応しやすい
ヘッドレスCMSのメリットは、マルチデバイスに対応しやすいことです。
ヘッドレスCMSでは、コンテンツ表示と入稿の機能が分離しているため、API連携によりコンテンツを表示します。
そのためデバイスごとにコンテンツを作成しなくても、一つのコンテンツデータを複数のデバイスで表示することが可能です。
WEBサイトやAndroid・iOSアプリなど、パソコンからスマートフォン・タブレットまで異なるデバイスに合わせたコンテンツ表示を実現できます。
従来のCMSでは、Webサイトを主体としてフロントエンドが作成され、他のデバイスに表示させるにはAPIを新たに作成しなければなりません。
ヘッドレスCMSでは、デバイスごとにAPIを作成し直す手間がかからず、マルチデバイスに対応したコンテンツ制作が可能です。
フロントエンドの自由度が高い
ヘッドレスCMSを導入するべき理由は、フロントエンドの自由度が高いことです。
従来のCMSでは、フロントエンドを改修するとバックエンドに影響が出てしまいますが、ヘッドレスCMSでは自由にシステム改修を行えます。
バックエンドの仕様や環境設定に合わせて改修を行う必要がないため、フロントエンドを自由に改修できます。
さらにフロントエンドとバックエンドをそれぞれ好きなタイミングで改修できるため、各メンテナンスや開発を行いやすいです。
コストパフォーマンスが高い
ヘッドレスCMSは、従来のCMSに比べてコストパフォーマンスが高いです。
従来のCMSでは、フロントエンドでコンテンツを表示するために、ファイルをサーバー上で処理しなければなりません。
そのため高精度なサーバーが必要であり、フロントエンドとバックエンドで開発言語を合わせたり連携を取りながら開発を行ったりと、時間とコストがかかってしまいます。
ヘッドレスCMSでは、フロントエンドへコンテンツを表示するためのサーバー処理が不要で、サーバーのスペックを抑えてコストカットを行えます。
またフロントエンドとバックエンドを分離して、短時間でシステム開発を行えるため、人件費の削減が可能です。
他システムと連携性が高い
ヘッドレスCMSを使用するメリットは、他システムと連携性が高いことです。
ヘッドレスCMSは、フロントエンドとバックエンドを連携するためにAPIを活用します。
APIとは「Application Programming Interface」の略語で、ソフトウェアやプログラム・Webサービスをつなぐインターフェースのことです。
API連携により、MAやCRMなど他システムと連携し、ヘッドレスCMSのコンテンツを展開できます。
反対にMAやCRMのコンテンツを、ヘッドレスCMSに取り込んで表示することも可能です。
セキュリティが高い
ヘッドレスCMSは従来のCMSより、高いセキュリティを持つメリットがあります。
一般的にWebサイトとサーバー間をやり取りするときに、動的ファイルが表示され、サイバー攻撃のターゲットとなるケースが多いです。
さらに従来のCMSでは、多種多様なプラグインが使える反面、外部システムの脆弱性をつかれてサイバー攻撃を受けるリスクがあります。
しかしヘッドレスCMSでは、Webサイトとサーバー間を動的ファイルが行き来する必要がなく、フロントエンドに静的ファイルが置かれます。
外部システムや動的ファイルの脆弱性をつかれるリスクがないため、従来のCMSよりヘッドレスCMSはセキュリティが高いです。
ヘッドレスCMSを導入する注意点
従来のCMSより多くのメリットがあるヘッドレスCMSですが、導入するにあたって注意しなければならないポイントが存在します。
ヘッドレスCMSを導入する注意点は、次の通りです。
- 開発エンジニアが必要
- 専門性の高い知識が必要
- 動的ページには外部ツールが必要
それぞれの注意点を確認して、ヘッドレスCMSを導入する際の参考にしてください。
開発エンジニアが必要
ヘッドレスCMSを導入するには、開発エンジニアが必要です。
従来のCMSでは、専門知識がなくとも簡単にWebサイトを構築・表示できますが、ヘッドレスCMSにはフロントエンドがないため開発スキルが求められます。
コンテンツを表示するにはフロントエンドを開発し、API連携によってデータをやり取りするノウハウやフレームワークを作成するスキルが必要です。
さらにバックエンドでのAPI設計技術も必要なので、専門知識やスキルを有する開発エンジニアを確保しなければなりません。
専門性の高い知識が必要
ヘッドレスCMSの導入には、従来のCMSより専門性の高い知識が必要です。
コンテンツを表示するためのフロントエンド開発だけでなく、バックエンドとAPIをつなぐ専門的な知識が求められます。
ヘッドレスCMSを運用するには、ただエンジニアとして経験のある人材を獲得するだけでなく、API設計力やコンテンツ運用に関する高い専門性を兼ね備えた人材が必要です。
動的ページには外部ツールが必要
ヘッドレスCMSは、静的ページを扱うシステムなので、動的ページを作成するには外部ツールを導入しなければなりません。
例えば、Webサイト内に問い合わせフォームやデータベースを配置したい場合は、目的の機能を備えた外部ツールを使用する必要があります。
ヘッドレスCMSだけでは、動的ページの作成ができないため、必要に応じて外部ツールの導入を検討しましょう。
ヘッドレスCMSとSEOの関係性
「ヘッドレスCMSはSEO対策がしにくい」とされてきましたが、大きな間違いです。
もともとは、ヘッドレスCMSがフロントエンドとバックエンドをAPIで連携する必要があるため、SEO対策に制限があると考えられていました。
しかし実際は、ヘッドレスCMSを導入してもSEO対策に制限はなく、サイトのSEO効果を高めることも可能です。
そもそもSEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、「検索エンジン最適化」という意味を持ちます。
具体的には、Googleなどの検索エンジンで上位表示されるようコンテンツを最適化することであり、サイトの露出度を増やすために重要な手法です。
ヘッドレスCMSを使用する際には、サーバー側やクライアント側のAPIを利用するケースがあるため、それぞれの観点でSEOとの関係性を確認しましょう。
サーバー側のAPIを利用する際のSEO
サーバー側のAPIを利用する際は、JavaScriptの使用が問題視されていました。
Googleはクローラと呼ばれるWebサイトの巡回プログラムを使用して、SEO順位を決めていましたが、JavaScriptを使用した動的ページは変更を認識されないケースがありました。
そのため一部の変更箇所だけを評価され、SEO順位を上げにくい課題がありましたが、現在はJavaScriptによる問題点は解消されています。
ただしサーバー側からAPIを利用する場合は、ページの情報が揃っておりJavaScriptによる更新がクローラに認識されません。
そのため、シンプルな構造のページだと認識され、SEO効果を高められます。
クライアント側のAPIを利用する際のSEO
クライアント側のAPIを利用する際も、サーバー側と同様にJavaScriptの使用によるSEO対策の問題点は解消されました。
しかし、クローラとJavaScriptの実行にタイムラグが生じるため、反映されるタイミングを見計らう必要があります。
またX(旧Twitter)など、一部のSNSはJavaScriptを読み込まないため、注意しなければなりません。
ヘッドレスCMSが実現するSEO対策4選
ヘッドレスCMSが実現するSEO対策は、次の4種類です。
- ページスピードの向上によるパフォーマンスの最適化
- ユーザーニーズを満たすコンテンツの提供
- ユーザーエクスペリエンスの充実
- サイト改善によるクローラビリティの向上
自社サイトの露出度を高めて集客力の向上を行いたい企業は、それぞれのSEO対策を実施しましょう。
1.ページスピードの向上によるパフォーマンスの最適化
ヘッドレスCMSを活用すれば、ページスピードの向上によるパフォーマンスの最適化でSEO対策を行えます。
SEOの観点では、ページの読み込み速度が速いサイトは、ユーザーへ高品質なサービスを提供していると判断されSEO効果が高まります。
ヘッドレスCMSは、バックエンドのみで構成されているため、ページの表示速度が向上させてSEO対策を行うことが可能です。
SEO効果が高いWebサイトを作成するために、ユーザーがストレスフリーで閲覧・利用できる速度環境を整えましょう。
2.ユーザーニーズを満たすコンテンツの提供
ヘッドレスCMSにおけるSEO対策は、ユーザーニーズを満たすコンテンツの提供ができることです。
ヘッドレスCMSは、開発の自由度が高くSEOに特化したコンテンツ制作を実現できます。
SEO対策ではユーザーニーズを満たすコンテンツの提供が重視されるため、ヘッドレスCMSのカスタマイズ性を生かしたコンテンツ制作を行いましょう。
また検索エンジンが理解しやすいよう、コンテンツを改良しサイトを改修することで、SEOを強化して上位表示を狙えます。
3.ユーザーエクスペリエンスの充実
ヘッドレスCMSでSEO対策を行うには、ユーザーエクスペリエンスの充実が大切です。
ユーザーエクスペリエンス(UX)は、「ユーザー体験」の意味を持つWebマーケティングにおいて重要性が高い要素です。
SEOの観点でもユーザーエクスペリエンスの充実が重要視されており、ユーザーにとって興味関心のあるコンテンツを提供したり、閲覧しやすいページを制作したりすることが大切です。
ヘッドレスCMSを導入すれば、マルチデバイスに対応したコンテンツを制作でき、ユーザーエクスペリエンスを充実させられます。
またヘッドレスCMSによるシームレスでストレスフリーな体験を提供することで、SEO対策を行うことが可能です。
4.サイト改善によるクローラビリティの向上
ヘッドレスCMSでは、サイト改善によるクローラビリティの向上によって、SEO対策ができます。
クローラビリティとは、検索エンジンのクローラが「どれだけ自社サイトを見つけやすいか」を意味しており、SEO対策において重要な要素です。
ヘッドレスCMSはフロントエンドとバックエンドを切り離して、それぞれのコンテンツを独立して改修できるため、Webサイトの改善を行いやすい特徴があります。
ヘッドレスCMSの特性を生かしてWebサイトを改善すれば、クローラビリティを向上させてSEO対策を行いやすいです。
ヘッドレスCMSを導入してSEO対策につなげよう
ヘッドレスCMSを導入すれば、SEO対策につなげられます。
ヘッドレスCMSは従来のCMSより、表示速度が早く自由なカスタマイズ性と強固なセキュリティを兼ね備えています。
さらにフロントエンドとバックエンドを分離しているため、それぞれに影響を及ぼさずに改修を行えるため、サイト改善を行いやすいです。
ヘッドレスCMSを導入してサイトのページスピードを向上すれば、SEO強化につなげられるため、集客力を向上できます。
さらにユーザーニーズを満たすコンテンツ制作、ユーザーエクスペリエンスの充実を行えば、SEOで上位表示させることも可能です。
自社サイトのSEO対策を強化したい企業は、本記事で紹介したヘッドレスCMSを導入するメリットと注意点を参考にして、導入を検討しましょう。