デジタルピッキングシステム(DPS)とは?物流や倉庫管理に役立つ機能を紹介

2023.09.11
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
デジタルピッキングシステム(DPS)とは?物流や倉庫管理に役立つ機能を紹介
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

倉庫を持つ物流会社や通販会社にとって欠かせないピッキング作業。
ピッキング作業では、多くの時間がかかったり、人為的なミスが発生したりと多くの課題を抱えているでしょう。

そこで役立つシステムが、デジタルピッキングシステム(DPS)です。
デジタルピッキングシステムはデジタル表示器を使ったピッキングシステムであり、昨今では多くの物流センター・倉庫・工場で導入されています。

本記事ではデジタルピッキングシステムについて、以下のポイントを解説します。

  • デジタルピッキングシステムの仕組みや機能
  • デジタルピッキングシステムのメリット・デメリット
  • デジタルピッキングシステムの選び方

実際にデジタルピッキングシステムを導入する際に役立つので、ぜひ参考にしてください。

目次

自社の在庫管理を最適化したい、在庫管理についてシステム化を計画している方
ぜひ下記の資料から最適なシステムの選び方もご確認ください。


 コストと販売機会の効率化をはかるための在庫管理について、システムの選び方や導入時の注意点などを解説しています。

デジタルピッキングシステム(DPS)とは?

デジタルピッキングシステムとは、アンサーキットと呼ばれるデジタル表示器などでピッキングをサポートするシステムです。
「Digital Picking System」の頭文字を取って「DPS」とも呼ばれます。

デジタルピッキングシステムは、作業棚に取り付けられたデジタル表示器によってピッキングすべき商品の位置や数を表示します。
従業員はその表示に従って商品をピッキングするだけで作業を完了できるため、作業にかかる時間の削減が可能です。

また、製品によってはスマートフォンやタブレットなどにピッキングする商品の情報が表示される場合があります。

デジタルピッキングシステムの構成機器

デジタルピッキングシステムは、大きく分けてシステム部分とデジタル機器で構成されています。

システム部分は上位システムと連携することにより、倉庫内の商品の状況を把握し、ピックアップすべき商品や品数の指示を出します。
システム部分が伝達した情報をケーブルを通じ、各デジタル機器に表示することで従業員に指示を出す仕組みです。

なお、デジタルピッキングシステムで使用されるデジタル機器は多種多様であり、以下のようなものがあります。

  • アンサーキット
  • タブレット
  • スマートフォン
  • バーコードリーダー
  • ハンディターミナル

製品ごとに機器の操作性が異なるため、スムーズな導入を目指すなら従業員が扱いやすいものを選びましょう。

【種類別】デジタルピッキングシステムの仕組み

デジタルピッキングシステムには、大きく分けて2種類があります。

  • 摘み取り式
  • 種まき式

一見すると違いがわかりにくいですが、それぞれ機能や使い勝手が異なるので、導入前にチェックしましょう。

摘み取り式

摘み取り式はアンサーキットで商品の位置や残りの品数を表示してピッキングをサポートするタイプです。
作業棚に設置されているアンサーキットが画面やランプの点滅で商品の場所を教えてくれるので、誰でも手軽に作業できます。

摘み取り式なら商品を探して作業棚を歩き回る必要がないうえに、残りの品数も把握できるので在庫管理もしやすくなります。
それだけでなく、特定の仕向け先に優先的に発送したいときに対応できるなど、状況に合わせた柔軟な作業が可能です。

種まき式

種まき式は「デジタルアソートシステム」とも呼ばれており、仕向け先ごとに区分けした作業棚やボックスに商品を配る方式です。
つまり摘み取り式が各作業棚から商品をピックアップするのに対し、種まき式は仕向け先別に商品を分配する点が異なります。

デジタルアソートシステムは仕向けに特化しているシステムであり、注文数が多くても一括で作業を完了させられます。
そのため、商品の出荷頻度や仕向け先が多い現場に最適です。
ただし、特定の発送先に配送する商品だけをピックアップする機会が多い現場には適していません。

デジタルピッキングのやり方

デジタルピッキングは摘み取り式・種まき式に関わらず、基本的に以下のやり方で実施します。

  • ①各作業棚にアンサーキットを設置
  • ②上位システムで入力されたデータを元にアンサーキットで情報を表示
  • ③従業員は表示に従って商品をピックアップするか、あるいは仕分けを行う
  • ④作業が完了したらアンサーキットの表示を消す

商品に貼付されたバーコードやタグを読み取るハンディターミナルなどがあれば、商品の内容や状態の確認も可能です。それだけでなく、ピックアップのミス防止や在庫管理の効率化にも役立ちます。

デジタルピッキングシステムのメリット3つ

デジタルピッキングシステムの導入には、以下3点のメリットがあります。

  • 業務の標準化により従業員の負担を軽減
  • ペーパーレスや作業時間の短縮でコストを削減
  • 人的ミスの発生を防止

デジタルピッキングシステムを導入するだけでも、さまざまな恩恵が得られます。現場が抱える課題を解決するうえでも役立つので、ぜひ参考にしてください。

業務の標準化により従業員の負担を軽減

デジタルピッキングシステムはピッキングの作業を効率化するだけでなく、誰でも作業ができるように標準化する効果もあります。

元来ピッキング作業は、作業棚の数や注文数に比例して増えるため、規模が大きい現場では作業の難易度が高い傾向がありました。
ただし、デジタルピッキングシステムがあればアンサーキットの表示に従うだけで作業ができるので、入社したての人でも対応しやすくなります。

さらにピッキング作業を標準化すれば、研修する手間を減らせるうえに、従業員が働きやすい現場を実現できます。

ペーパーレスや作業時間の短縮でコストを削減

デジタルピッキングシステムはコストの削減にも役立つシステムです。

デジタルピッキングシステムによって作業を効率化すれば、アナログではできなかった作業量をスピーディーに遂行できます。
さらにシステム上で情報共有や保存が完結するため、書類の発行や保存の手間がかかりません。そのため、ペーパーレスによる作業工数の削減が可能です。

ペーパーレスや作業時間の短縮を実現すれば、無駄な工数や従業員の拘束時間を減らせるので、人件費や事務処理にかかる経費などのコストを削減できます。

人的ミスの発生を防止

デジタルピッキングシステムは人的ミスの発生を防止するうえでも効果的です。
アンサーキットやタブレットなどを組み合わせれば、商品や仕分け先の位置だけでなく、手元で品数などの情報も把握できます。
これにより、ピックアップする商品を間違えたり、確認不足で在庫切れを起こすリスクを減らせるため、正確な作業が可能です。

加えてデジタルピッキングシステムなら扱っている商品に合わせたスムーズな在庫管理が実現します。
例えば食品の場合、賞味期限や保存状態などの情報も確認できるようにすれば、きめ細かい品質管理や適切なタイミングの廃棄が可能です。そのため、在庫管理を行う際の見落としも防げます。

デジタルピッキングシステムのデメリット3つ

デジタルピッキングシステムはメリットが多いシステムですが、デメリットも存在します。
なかでも以下3点のデメリットには注意しましょう。

  • 保管場所の固定により物流倉庫が限定される
  • システムの導入や維持でコストがかかる
  • システムトラブルのリスク

デメリットを知らないと、実際に導入した際に思わぬ失敗を招く恐れがあるので注意しましょう。

保管場所の固定により物流倉庫が限定される

デジタルピッキングシステムは、物流倉庫にある商品の位置などの情報がシステムと紐づいているため、基本的に保管場所が固定されます。
そのため、商品を動かすなら、その度にシステムを書き換えたり、配線や設備の移行したりしなければなりません。
いくらピッキング作業が楽になっても、移動に伴う作業が発生するとかえって業務の負担が増加します。

他方で、商品の保管場所を変える機会が多い物流倉庫向けに、フリーロケーションに対応できる製品も販売されています。
EC事業のように季節や需要に合わせ、ロケーションの位置や商品を変更する場合は、フリーロケーションへの対応可否を確認しておきましょう。

システムの導入や維持でコストがかかる

デジタルピッキングシステムは導入や、導入後の維持でコストがかかりやすい点もデメリットです。

そもそもピッキング作業を行う物流倉庫は、ネット環境がないアナログな状況が多い傾向があります。
そのため、デジタルピッキングシステムを導入すると、配線やルーターなどを設置する費用が追加で発生します。さらに従業員の数が多いとハンディターミナルやタブレットなども多数用意しなければなりません。

また、デジタルピッキングシステムは保守管理や使用料などのランニングコストが発生する場合もあります。導入コストやランニングコストがかさばると、費用対効果が低下するので注意しましょう。

システムトラブルのリスク

デジタルピッキングシステムを使用するなら、システムトラブルが発生するリスクにも気をつけましょう。
デジタルピッキングシステムを導入すると、現場は自然とシステムに依存し、アナログな環境での作業ができない従業員が増えやすくなります。

その結果、アクシデントでシステムがダウンすると作業が停止するリスクが増すため、スムーズに復旧できる体制を作りましょう。

デジタルピッキングシステムの選び方

デジタルピッキングシステムはさまざまな企業から販売されていますが、それらから自社に合ったものを見つけなければなりません。
もし実際にデジタルピッキングシステムを導入するなら、以下の選び方を知っておきましょう。

  • 自社の規模や業種・取り扱い商品に合っているか
  • サポートサービスが充実しているか
  • 費用対効果は適切か

選び方を知っておけば、システム導入時の失敗を減らせるでしょう。

自社の規模や業種・取り扱い商品に合っているか

ピッキング作業は現場の規模やピッキング作業の頻度、取り扱う商品の種類によって業務内容が大きく変わものです。

そのため、デジタルピッキングシステムも自社の業態に合わせなければなりません。
例えば、1オーダー毎にピッキング作業を行う場合は摘み取り式が、複数の仕向け先をまとめてピッキングするなら、種まき式が適しています。

なお、ピッキングする商品の種類や、商品数の確認作業をする機会が多い場合は、手元で商品数や商品の状態を確認できる製品を選びましょう。
ハンディターミナルやタブレット・スマートフォンに対応していれば、手元で情報の確認ができるため、作業がスムーズになります。

自社のピッキング業務を可視化し、適切な製品を選定してください。

サポート体制が充実しているか

デジタルピッキングシステムを選ぶ際は、ベンダー企業のサポート体制にも注目しましょう。一般的なベンダー企業が提供するサポートサービスは、以下が挙げられます。

  • 導入支援サービス
  • トラブル時の電話・メール対応
  • 物流コンサル
  • 提供機器の保守・メンテナンス

機能だけでなく、使用中の疑問に答えてくれたり、万が一のシステムトラブルが発生したりした際に対応するベンダーのサポート体制も重要です。
手厚いサポート体制は、アクシデントが発生した際に作業が停滞するリスクを大幅に減らせます。

費用対効果は適切か

デジタルピッキングシステムの導入コストや維持コストが、使用感や効果に見合っているかも必ずチェックしましょう。

いくらすぐれた性能があっても購入費用やランニングコストが高いと、長期間の使用はできません。しかし、安い費用で導入できても、現場に適した機能がなければ無駄にコストを費やす結果になります。

デジタルピッキングシステムを導入するなら、費用と搭載されている機能のバランスを比較し、適切な費用対効果を発揮できるかを確認しましょう。

デジタルピッキングシステムで業務負担とコストを削減しよう

デジタルピッキングシステムは、従来のやり方だと時間がかかりがちだったピッキング作業を効率化し、作業時間を減らせるシステムです。
うまく活用すれば、従業員の業務負担を減らし、作業に費やしていたコストを削減するきっかけになります。

ただし、デジタルピッキングシステムは保管場所の限定やシステムトラブルなど、注意すべきポイントがあります。
また、自社に適したシステムを選ばなければ、適切な費用対効果が得られません。

実際にデジタルピッキングシステムを導入するなら、取扱商品や現場が抱える課題などを参照しながら、自社に適したシステムを選びましょう。

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