WordPressのヘッドレスCMS化の特徴とメリット・デメリット

2022.06.27
ラボ型・オフショア開発
安藤 大海
WordPressのヘッドレスCMS化の特徴とメリット・デメリット
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こんにちは。Wakka Inc.にてWebディレクターとして活動している安藤です。

今回はヘッドレスCMSについての話題です。これまでは「聞いたことはあるけどいまいちよくわからない」といった声をいただくことが多かったのですが、最近徐々に市場に浸透してきた気がします。

そこで今回はヘッドレスCMSの概要に加えて、みなさんにも馴染みが深いであろうWordPressを利用したヘッドレスCMS化についてご紹介していきます。

WordPressはヘッドレスCMSの導入がおすすめ。セキュリティ対策や高速化に効果があります。
あなたにピッタリのヘッドレスCMS選定ガイドでヘッドレスCMSの特徴と自社に合うかどうかの診断をすることができるのでぜひダウンロードしてご覧ください。

目次

ヘッドレスCMSとは

ヘッドレスCMSとは簡単にいうと、表示画面の無い(ヘッドレス)CMSです。

これまでのCMSでは、コンテンツやPostを管理するバックエンド機能と、
その表示を行うビューワーといったフロントエンド機能がどちらも内蔵されていました。
つまりヘッドレスCMSはビューワー不在のコンテンツ管理機能のみのCMSということになります。

作成されたコンテンツは、APIを通じて別に構築されたフロントエンドに表示が可能となっており、
それぞれバックエンドとフロントエンドの機能が独立しているのが特徴です。

ヘッドレスCMSのメリットとデメリット

メリット

フロントエンドに制約がない

通常のCMS、例えばWordPressであればPHPベースのCMSであることから、PHPベースで構築することになります。

これは他のCMSでも同様であることはもちろん、なにかWebサービスをつくるうえでは、特定の言語やフレームワークを指定しなければならなくなったり、既存のシステムの言語を利用できないといった制約をつくることになります。

これに対してヘッドレスCMSでは、APIを通じてコンテンツをフロントエンドに配信することから、フロントエンドのプラグラミング言語には制約はありません。

あらゆるデバイスに展開ができる

言語に制約がないのと同様に、APIベースになることから、デバイスに関係なく、複数の媒体に配信することができます。また、配信先を後から増やすことができます。

そのため、従来のCMSのように、それぞれの配信先に対してCMSを構築する必要がなく、複数の配信先を一つの管理画面でコンテンツ管理することができます。

媒体もWebに限らず、IOT機器やスマホアプリ、スマートウォッチなど、あらゆるデバイスに利用できます。

表示速度の向上

WordPressなどの従来型CMSの場合、Webサイトへアクセスするとデータベースを読み込みページを呼び出す必要があります。

こうした動的な動作をヘッドレスCMSでは省略することができることや、表示にはJamstackといわれる静的サイトとして扱われる技術が利用されることから、Webサイトの表示は従来型のCMSと比べると、格段に速くなります。

デザインへの制約が少ない

ここまで説明してきた通り、ヘッドレスCMSではバックエンド側の管理のみを行います。

そのため表示側であるフロントエンドは静的に構築が可能になることからCMSがデザインに関与しません。そのため自由度の高いコンテンツ制作が可能です。

デメリット

導入や運用の難易度

ヘッドレスCMSは、実装や運用にあたって、ご担当者さまのITリテラシーがまずは必要となります。

そもそも導入検討している方はITリテラシーが高い方が現状のところは多いのですが、これはそもそもメリットがわかっていないと検討に上がらないがまだ一般的にメリットが知られていないことが理由に挙げられます。

また、なんとなくで導入したとしても、既存CMSのようなそれだけで完結できるような仕様にはなっていないため、プレビュー環境などが変わってきます。こういった手間を含めてもメリットを享受できるプロジェクトでなければ実装や運用をしていくことは難しいと考えられます。

開発コスト

ヘッドレスCMSはまだ比較的あたらしい技術であることや、フロントエンドでの実装をモダンなJs言語で開発することも多く、そのため実装できるエンジニアの選定が難しくなります。

APIを使った開発も、従来のWeb制作会社では手掛けていなかった会社も多いため、ある程度開発に明るい会社を選定する必要があり、いまのところコストは従来型のCMS開発よりは高くなってしまうことが多いと思われます。

なお、弊社ではヘッドレスCMSの構築だけではなく、
WordPressページの企画・開発・運用保守までトータルサポートできる、『ラボ型オフショア開発サービス』をご用意しています。

企業ページリニューアルなどのWordPress開発やECサイトとのWordPressなどお困りのことがございましたら
まずはお気軽にお問合せください。

ヘッドレスCMSのおすすめサービス

ここまで話してきたヘッドレスCMSですが、今では数多くのサービスが存在します。当然ながらそれぞれに特徴があるのですが、WordPressとともに、今回はできるだけ機能が多いものや、使いやすいものなどを中心にいくつかご紹介したいと思います。

Ghost

ghost

Ghostは、Node.js環境で動作するオープンソースのヘッドレスCMSです。管理画面のUIがWordPressと似たところがあり使いやすいといった特徴があります。

ブログサイトに特化しており、シンプルなUIであることはもちろん、カスタマイズ性に長けています。

「テーマ」というフロントエンドのテンプレートも用意されているので、インストールするだけで気軽に始めることができます。

microCMS

micro_cms

microCMSは国産のSaaS型のヘッドレスCMSです。

日本国内では、かなりメジャーなヘッドレスCMSとして知名度をあげています。

ワークフローや権限管理も充実しているので、エンタープライズ規模のコンテンツ管理にも向いています。

オフィシャルサイトでの各サポートや資料はもちろん、導入事例も増えており、日本語の情報が充実しているので、サポート面でも安心です。

Contentful

Contentfulは、世界で最も普及しているといわれるSaaS型のヘッドレスCMSです。

今まで紹介してきたヘッドレスCMSの先駆的存在で、現在でもAPIベースのクラウドサービスとして業界をリードし続けています。

多機能かつ事例も多いCMSではありますが、サポートは英語のみとなっておりますので、非エンジニアは少し触り辛いかもれません。目的や機能を精査して利用いただくと良いでしょう。

WordPress

wordpress

WordPressはみなさんご存知かと思いますが、世界で最も普及したCMSです。実はWordPressでもヘッドレス化が可能です。
ヘッドレス化をする場合はプラグインを利用して行うのが一般的ですが、現在では標準装備されている、WP REST APIを利用することでもヘッドレス化が可能となっています。

当社ではもともとオフィシャルサイトをWordPressで構築していたこともあり、WordPressをヘッドレスCMS化して利用していこうとしています。

従来のWordPressであったセキュリティや保守面でのデメリットをクリアしつつ、慣れ親しんだ管理画面を利用していけるので、他ヘッドレスCMSと並び当社ではWordPressのヘッドレス化もおすすめしております。

WordPressをヘッドレス化する

それではWordPressのヘッドレス化について詳しく解説していきます。

前述した通りプラグインを利用して行うことが多いのですが、当社ではサイトの高速化やセキュリティリスクをふまえ、フロントエンドは静的サイトジェネレーター(以下SSG)を利用し、そのバックエンドとしてヘッドレスのWordPressを構築することを一つの選択肢として推奨しています。

SSGは、簡単にいえば静的なHTMLを構築・生成する機能です。

通常のWordPressは、ユーザーに表示するフロントエンドと管理者が操作する管理画面(=バックエンド)が対となっており、同一のサーバー内に存在する必要があります。

対してヘッドレスCMSでは、バックエンドとフロントエンドが分離しており、フロントエンドに制約はありません。

SSGを利用した場合、フロントエンドでは、APIでバックエンドからデータを取得し、HTMLを生成します。

そのため、ユーザーが閲覧する環境には静的なHTMLがあるだけなので、高速化とセキュリティリスク軽減が実現できます。

また、画像についてもバックエンド環境とは別の環境に置くことで、高セキュリティと高速化を期待できます。

Wakkaのオフィシャルサイトのヘッドレス化についてはまた後日、実際の開発の様子を書いていこうと思っています。

ヘッドレスCMSを利用することで問題になりがちなこと

SEOについての問題

ヘッドレスCMSを利用した場合によく話題にあがる、SEOは本当に大丈夫なの?という話題についてですが、
結論からいえば通常のサイト構築と比べても、特別不利になるようなことはありません。

ただし、同じヘッドレスCMSといってもAPIをバックエンド・フロントエンド・SSGなどどこで呼び出すかによってもクローラーの認識が少し変わってくる場合があります。

SSGを利用する場合は、ビルド時にAPIが呼び出され配信することになるので結果的に通常の静的ページと同様の扱いでこれまでのSEOの基準となにも変わることはありません。

また、シングルページアプリケーションなどでフロントエンド側からAPIを読み込む場合も、JavaScriptについては既にGoogleのクローラーがしっかりと認識をするようになっていることから、特段問題が発生することはありません。

本当にヘッドレスCMSを選択したほうがよいのか

元も子もない話ですが、運営するサービスの目的や仕様によっては当然ヘッドレスCMS化に向かないということもあります。

前述の通り、ヘッドレスCMSではプレビュー機能がないことから、開発環境の別途用意や運用者やエンジニアのAPIやプラグラミング知識も既存のCMSに比べると必要になってきます。

利便性やメリットはあれど、場合によってはコストが上がることや、使いこなすためのリテラシーの高さが求められます。

例えば、ページスピードを求めるならWordPressのままCDNを検討してみることも必要でしょう。
または、多数のデバイスで同一のコンテンツを配信する必要があるのであればヘッドレス化は当然検討されるべきです。

単純にメリットだけを見て導入を決定するのではなく、本当に自社に必要なものなのかどうかを慎重に検討し運用していく姿勢が求められるのではないでしょうか。

さいごに

WordPressでのヘッドレスCMS化という話題をもとに、ヘッドレスCMSの概要や各社のヘッドレスCMS紹介もあわせてお送りしてきました。

当社ではこうしたヘッドレスCMSの実装はもちろんですが、本当に実装が必要なサービスなのかどうかという部分についても、システムやWebサイトの特徴、仕様、ご要望をもとにアドバイスをさせていただいております。

WordPressでの実装だけではなく、クラウドサービスを利用した実装についてもご相談可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

弊社の事例・ノウハウについて詳しく知りたい方は「資料ダウンロード・ウェビナー一覧」もぜひご覧ください。


ヘッドレスCMSの選定にお悩みの方へ。
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独自選定の代表的なヘッドレスCMSの特徴をもとに、誰でもヘッドレスCMSの選定ができるポイントを押さえた資料を作成しました。

この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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