R&Dとは?目的やメリット・デメリット、成功させるコツを解説

最終更新日:2024.10.26
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
R&Dとは?目的やメリット・デメリット、成功させるコツを解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

近年、研究や開発を行う部門を置く企業が増えています。
R&Dに興味があり、「R&Dのメリット・デメリットを知りたい」「自社開発を進めたい」と考えている担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、以下の内容を解説します。

  • R&Dの基礎知識
  • R&Dのメリット・デメリット
  • R&D部門を設けている企業
  • R&Dを成功させるコツ

R&Dに興味がある方や自社開発を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

目次

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R&Dとは

R&DとはResearch and Developmentの略で、企業における研究開発や、研究開発を行う部署のことを指します。
企業が成長・発展するためには、時代の流れに合わせて新しい技術や商品・サービスを開発することが重要です。
そのため、IT業界に限らずあらゆる業界でR&Dへの関心が高まっています。

まずはR&Dの基礎知識として、種類や目的、PoCとの違いを解説します。

R&Dの種類

R&Dは、以下3つの種類に分けられます。

基礎研究新たな科学的事実を発見し、知的資産として蓄積すること。
サービス開発や利益に直結する研究ではなく、成果が出るまでには時間がかかる。
応用研究基礎研究で発見した事実を基に、具体的なサービス開発への応用方法を確かめること。
すでに実用化されているものに関しても新たな活用方法を考え、利益を生み出す方法を検討する。
開発研究基礎研究と応用研究で生み出された技術を組み合わせ、新たなサービスや技術を開発する。
マーケティングとも連携し、市場ニーズに合った商品・サービスを研究する。

基礎研究は利益に直結しない側面があるため後回しにされがちですが、イノベーションを起こすためには必須の研究です。

R&Dの目的

R&Dの目的は、企業の競争力を高めることにあります。
独自の研究開発により知的資産を蓄積すれば、商品・サービスを他社と差別化できるでしょう。
例えば、技術や商品・サービスで特許を取得すれば、特許の使用料を得ることも可能です。

新たなビジネスチャンスを拡大するには研究開発への投資が重要であるため、R&Dへの関心が高まっています。

R&DとPoCの違い

PoCとはProof of Conceptの略で、概念実証を表す言葉です。
新たなアイデアや概念が生み出された際、実現できるかどうかを確かめます。
事前にリスクや費用対効果を把握できるため、スムーズにR&Dを進めやすくなるでしょう。

R&Dは研究開発を指し、PoCはデモンストレーションによりR&Dを成功させる役割を果たします。

R&Dのメリット

企業としてR&Dに取り組むことで、以下のようなメリットが得られます。

  • 技術を蓄積できる
  • 製品の開発スピードが早まる
  • 企業の競争力が向上する

R&D部門の立ち上げを検討している担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
それぞれのメリットについて詳しく解説します。

技術を蓄積できる

R&Dを進めることで、研究分野に関する技術が資産として蓄積されます。
技術資産が蓄積されれば他社との差別化を図りやすくなり、競争力におけるアドバンテージにもなるでしょう。

特にIT業界において、技術資産や知的財産の価値は施設などの有形固定資産の価値と比較してより高いとされています。
R&Dを進めれば技術資産を蓄積でき、企業価値を高められるでしょう。

製品の開発スピードが早まる

R&Dにより研究分野の知識や技術が蓄積されるため、製品の開発スピードが早まります。
R&Dに携わる研究者は専門分野におけるスペシャリストとなり、開発にも貢献するでしょう。
また、開発だけでなく改良スピードも早められ、常にアップデートした製品を提供できます。

開発スピードが早ければ他社との差別化を図りやすく、収益の増加も期待できます。
R&Dは、将来を見越した基礎研究と収益に直結する応用研究や開発研究のバランスを考慮して行いましょう。

企業の競争力が向上する

R&Dには、企業の競争力を向上させる効果も期待できます。
独自の技術を活用できれば、他社と差別化した商品やサービスを開発できるでしょう。
また、企業の持続的な成長にもつながります。

R&Dで競争力を向上させるためには、すぐには成果が出ない基礎研究にも力を入れることが重要です。
これまでにない商品・サービスを開発できれば、市場をリードして大きな利益が生み出されます。
先進技術を習得するため、日本国内だけでなく海外に拠点を置いて研究する方法も有効です。

R&Dのデメリット・問題点

R&Dにはメリットだけでなく、以下のようなデメリット・問題点も存在します。

  • コストがかかる
  • 人材を確保するのが難しい
  • 模倣されるリスクがある

デメリットや問題点も理解した上でR&Dを立ち上げるとよいでしょう。
それぞれ詳しく解説します。

コストがかかる

R&Dを進める上で特に問題となるのは、コストがかかる点です。
研究開発を成功させるためには、費用だけでなく多くの人材と時間を投入する必要があります。
特に基礎研究の成果が出るまでには長い時間がかかるでしょう。
また、どれだけコストをかけても成果が出るとは限らないといったリスクも存在します。

ただし、コストを削減しすぎると開発の効率が下がり、成果を上げにくくなります。
R&Dの方針や期待できる成果を考え、費用や時間の投資予算を十分に検討することが重要です。

人材を確保するのが難しい

R&Dを進めるためには、専門分野に精通した人材が必要となります。
少子高齢化による人材不足は国内の企業全体としての課題であり、人材を確保することは難しいと言えるでしょう。
特にIT業におけるR&Dには、高度なデジタルスキルを持つ人材が必要です。

優秀な研究者は定着させることも難しく、競合他社に流出するリスクがあります。
人材を確保するためには労働環境や条件を整える必要があるでしょう。

模倣されるリスクがある

R&Dにより新しい技術や商品・サービスを開発しても、競合他社に真似される恐れがあります。
模倣商品・サービスが出れば自社の利益が減り、投じたコストを回収できない可能性もあるでしょう。

問題を解消するためには、特許の申請が有効です。
また、人材とともに技術が流出する危険性も考慮し、対策する必要があります。
ただし、模倣されるリスク回避のために、他社との協働を拒む自前主義に固執すると新たな技術の開発を妨げる恐れもあるため、注意が必要です。

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R&D部門を設けている企業

企業によりR&Dへの取り組みはさまざまです。
本記事では、R&D部門を設けている企業とその取り組みを5つ紹介します。

  • 日産自動車
  • NEC
  • 株式会社リクルート
  • キリン
  • ライオン株式会社

方針や取り組み方を理解し、R&D部門を立ち上げる際の参考にしてください。

日産自動車

日産自動車は、企画部門やデザイン部門、国内マーケティング&セールス部門など17の部門で構成されており、その中のひとつがR&D部門です。
長期ビジョンとして「Nissan Ambition 2030」を掲げ、車の電動化や知能化を進めるための研究を行っています。

また、2050年を目途にカーボンニュートラルとゼロ・エミッション車を実現することも目標として掲げています。
カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出を減らして実質ゼロにすることであり、ゼロ・エミッション車は排出ガスを一切出さない車のことです。
インドやアメリカといった海外にも拠点を置き、車の概念を大きく変えるための技術開発に取り組んでいます。

参照:日産自動車

NEC

NECのR&D部門は、以下3つの軸をテクノロジービジョンとして掲げています。

  • 未来を共創・試行するデジタルツイン
  • 人と協働し社会に浸透するAI
  • 環境性能・高信頼・高効率を可能にするプラットフォーム

製品化のための研究に固執しない点も、NECにおけるR&D部門の特徴です。
柔軟な事業化フローにより研究者が積極的に事業開発に関与しています。
また、環境問題に対応するために企業や国と連携した取り組みにも力を入れています。

以下のような技術を開発し、社会に提供し続けているR&D部門です。

  • コンピュータの処理時間を大幅に削減するソフトウェア「FireDucks」
  • 現場画像から被災状況を把握する技術
  • 人の顔と虹彩を認識する高精度の生体認証技術

参照:NEC

株式会社リクルート

リクルートグループのひとつとして、株式会社リクルートR&Dスタッフィングが作られています。
東京にある本社をはじめ、横浜や名古屋、仙台など全国各地に拠点を設けている会社です。
リクナビによる採用力を武器に、機械や電気電子、化学バイオといった幅広い分野の研究者を集めています。

また、Advanced Technology Lab(ATL)と呼ばれる部署では、リクルートグループを支える先進技術を開発しています。
特にVR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術開発に強いのが特徴です。
3Dアバターを使ってWebミーティングに参加できる「TEATOR(テアトル)」や、筋トレの負荷を自動で調整するITマシンなどを開発しました。

さらに、人が働きやすい組織を研究する機関として、リクルートワークス研究所が設けられています。
労働政策やキャリア教育などを研究し、研究結果を一般にも公開しています。

参照:株式会社リクルートR&Dスタッフィング

キリン

キリンのR&Dは、3つの研究所と2つの部門で構成されています。

  • 飲料未来研究所
  • キリン中央研究所
  • パッケージイノベーション研究所
  • 研究開発推進部
  • 知財戦略推進部

原料や味、パッケージなどの分野に分けて研究開発を進める点がキリンにおけるR&Dの強みと言えるでしょう。
業務の10~20%は自発的な研究を行えるアイデア検証制度により、研究員が独自のテーマに基づいた検証を行える環境も整えられています。

また、大学や異業種と共同で研究を行うオープンイノベーションにも力を入れています。
グループ会社でもあるファンケル、慶応義塾大学とともに、AIとシミュレーション技術を活用したクレンジング剤の開発予測システムを構築しました。

参照:キリン

ライオン株式会社

ライオン株式会社のR&D部門は、以下のように構成されています。

基盤研究口腔化学、界面化学、生命科学、香料科学、分析化学、安全性科学
開発研究歯とお口のケア、カラダのケア、メディカルケア、住まいと衣類のケア、包装と容器の開発
生産技術研究生産プロセスに関する技術の開発
新研究活動DX推進、オープンイノベーション活動

国内だけでなく、タイや韓国などアジアを中心に5カ所の海外拠点があり、国内外の生活をヒントに新しい製品を開発し続けています。
特に洗濯洗剤は改良を続け、最近では汚れにかけて放置する洗濯用プレ洗剤「ブライトSTRONG 衣類の爽快シャワー」も開発されました。

参照:ライオン株式会社

R&Dを成功させるコツ

R&Dの目的は、企業の競争力を高めることです。
技術や製品を開発し、企業の価値を高めるには長い時間がかかるでしょう。
できるだけ早く成果を出すためのコツとして、以下3つのポイントを解説します。

  • 人材を確保する
  • ROIを管理する
  • 自前主義から脱却する

R&Dの課題を理解し、R&Dを適切に運用しましょう。

人材を確保する

R&Dを成功させるためには、研究開発を行う優秀な人材の確保が重要です。
研究分野の専門知識だけでなく、以下のようなスキルを持つ人材でR&Dのチームを作る必要があります。

  • 組織全体を管理・経営するマネジメントスキル
  • ビジネスモデルを構築するスキル
  • コミュニケーションや自主性を持つヒューマンスキル

優秀な人材を確保するためには、職場環境や条件を整えることが重要です。
また、人材育成にも力を入れる必要があるでしょう。

ROIを管理する

ROIとはReturn On Investmentの略で、投資収益率や投資利益率を表します。
R&Dを成功させるためには、費用に対してどれだけのリターンが期待できるかをあらかじめ予測し、コストを管理することが重要です。
利益に結びつかない研究は、いずれ予算が確保できなくなるでしょう。

自前主義から脱却する

自前主義とは、自社で開発した技術や製品に価値を置き、他社の技術や製品を評価しない考え方です。
自社のノウハウに固執すれば、イノベーションを起こす可能性が低くなるでしょう。
R&Dを成功させるためには自前主義から脱却し、他社との共同研究も積極的に行うことが重要です。

R&D部門を立ち上げて自社開発を進めよう

R&Dを成功させるためには、優秀な人材の確保や自前主義からの脱却が大切です。
R&Dのメリット・デメリットを理解し、自社開発を活発化させましょう。

R&D部門を立ち上げる際は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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