開発リスクは管理できる!対策方法や意識すべき7つのポイントとは?
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
「具体的にどのような開発リスクがあるのかわからない」
「開発リスクを下げるために意識すべきポイントや対策がわからない」
このような悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。
開発リスクはプロジェクトを進める過程において常に変化しますが、対策方法や意識すべき項目を理解しておけばある程度コントロールが可能です。
本記事では、開発リスクの対策方法や、リスクの顕在化を未然に防ぐために意識すべきポイントを網羅的に解説しています。
開発リスクを適切に管理してプロジェクトを成功させたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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システム開発におけるリスク管理の重要性
システム開発におけるリスク管理は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。
開発リスクが顕在化するとプロジェクトのスムーズな進行が阻害されるだけでなく、トラブルへ発展する恐れもあるため早期の対策が欠かせません。
早期の対策を怠れば、対応に時間とコストが掛かり大きな損失につながります。
リスクの顕在化に備えて事前に対策を講じることで、プロジェクトをより効率的に進められます。
プロジェクトを成功に導くためにも、適切な方法でリスクを管理しましょう。
システム開発における4つのリスク
システム開発における代表的なリスクは以下の4点です。
- システム投資が回収できない金銭的リスク
- 自社の要望に合わない技術的リスク
- 納期に間に合わない遅延リスク
- 要件を満たしていない品質リスク
順番にわかりやすく解説します。
システム投資が回収できない金銭的リスク
多大な開発コストをかけてシステムに投資する目的は、開発したシステムを運用することで業務を効率化し、生産性を向上させるなど、将来のリターンを得ることです。
せっかくシステムに投資しても、投資に見合うだけのリターンが得られなければ意味がありません。
したがって、開発にかけたコストを上回るだけのリターンが得られないのはシステムユーザーにとって金銭的リスクと言えるでしょう。
具体的なリスク事象としては、
- 開発コストが想定以上に膨らんでしまった
- 完成したシステムを利用しても思ったほど業務改善に効果がなかった
などが考えられます。
つまり、金銭的リスクを下げるためには、上記のような事象を発生させないための対策を打っておくことが必要でしょう。
自社の要望に合わない技術的リスク
システム開発では、完成したシステムが自社の要望に合わないなど、技術的な問題も起こりがちです。
自社の担当エンジニアのスキルが十分でない場合や、開発会社の技術レベルが低い場合などは技術的リスクをはらんでいることが多いため、注意が必要です。
技術レベルが低いと例えば、
- 業務部門の要望と合っていないため使いづらく、十分な業務改善が見込めない
- システム基盤が脆弱でセキュリティ問題や障害が起きやすい
などのように、あとから気づいても取り返しのつかない結果になるおそれがあります。
そのため、開発工程の早い段階で入念なレビューを実施したり、技術的な実現可能性の検証をしたり、といった取り組みで技術的なリスクを除去しておくのが重要です。
納期に間に合わない遅延リスク
システム開発においては、納期に間に合わない遅延リスクも注意すべきでしょう。
プロジェクトに問題が発生して予定どおりに開発が進まず、納期に遅れが生じるケースはよく見られます。
特に、開発規模が大きい割にユーザーの希望納期が短い場合など、開発規模と開発期間のバランスが取れていないほど、遅延リスクは高くなります。
一度合意した納期に遅れるのは、業務部門の信用を損ねることにつながるため、あらかじめ余裕のあるスケジュールを組めるよう業務部門と十分な調整をしましょう。
要件を満たしていない品質リスク
要件を満たしていない品質リスクは、多くのプロジェクトで起こりうるため注意が必要です。
例えば、必要な機能が実装できていなかったり、想定するシステムとかけ離れていたりと、さまざまなケースが考えられます。
品質リスクを防止するには、開発会社と定期的にコミュニケーションを取り、共通の認識を持つ必要があります。
品質リスクは追加の修正コストが発生するだけでなく、手戻りでスケジュールにも大きく影響するため、徹底的に対策を講じましょう。
システム開発におけるリスク別の対策方法
プロジェクトを円滑に推進するためには、リスクへの対策が欠かせません。
以下の対策を講じてリスクを適切に管理しましょう。
- 金銭的リスク:打ち合わせで綿密な計画を立てる
- 技術的リスク:システム検証を実施する
- 遅延リスク:スケジュールに余裕を持たせる
- 品質リスク:開発するシステムを明確にする
順番に解説します。
金銭的リスク:打ち合わせで綿密な計画を立てる
金銭リスクを防ぐためには、打ち合わせで綿密な計画を立てて可能な限り正確な見積額を提示してもらいましょう。
金銭リスクは業務への理解が足りていないことや、システム要件のあいまいさなどによって起こるため、事前に双方の認識を明確にしてすり合わせておくのが重要です。
定期的に開発会社と情報共有を行えば、システム機能が業務要件を満たせていないといった事態を防げます。
開発会社との打ち合わせは進捗状況の確認だけでなく、開発を進める過程で開発会社が正確に要件を押さえているかレビューの機会を設けて確認しておくのがおすすめです。
技術的リスク:システム検証を実施する
技術的リスクを回避するには、一つひとつの要件に対して細かく情報収集を行い、実現性を検証していく必要があります。
技術リスクが発生する大きな要因は、実装するシステムに対する発注側の理解が不足しているためです。
実装するシステムを正しく理解するためには、細かいアセスメントや実現性の検証をしなければいけません。
検証によってバグや問題点を洗い出しておくと、その後の開発が滞りなく進められます。
開発会社に任せっきりにせず、共同でシステム検証を行うなど積極的に介入して細かな情報も共有すべきです。
遅延リスク:スケジュールに余裕を持たせる
遅延リスクに対しては、余裕を持ったスケジュール管理が大切です。
特に、開発規模が大きい割に納期がタイトな場合は遅延が発生するリスクが高く、また、遅延が発生した場合は業務部門にとっても業務への影響が大きくなってしまいます。
その場合はタイトなスケジュールを言われたとおり受け入れるのではなく、業務部門と相談してサブシステムや機能ごとに開発の優先順位をつけましょう。
優先順位の高い順に納期を再設定し、段階的にリリースすることで少しでもスケジュールに余裕ができるよう調整するのがおすすめです。
また、技術的な実現可能性が確認できておらず、不確定要素がある場合なども遅延リスクが高いと言えます。
その場合は、技術的な実現可能性を検証するためのスケジュールを確保するとともに、想定どおりの結果が得られなかった場合の対策を打っておきましょう。
その他、可能であれば不測の事態に備えて、全体スケジュールの10%程度のバッファを持っておくと良いでしょう。
遅延リスクを減らすためには、余裕のあるスケジュールを確保できるよう調整するのが大切です。
品質リスク:開発するシステムを明確にする
品質リスクを防ぐには、開発する内容を明確にしてプロジェクトに関わる関係者全員が共通認識を持つべきです。
プロジェクトに関わる関係者全員が共通認識を持てば、認識の違いが生まれず、万が一の際も早期に指摘ができるため品質リスクを最小限に抑えられます。
優先的に実装する機能や各タスクの役割などヒアリングした内容をリストにまとめたり、SlackやTrelloなどのチャットツールを活用してリアルタイムで情報を共有したりすると、話し合いに参加できなかったメンバーも安心です。
認識の違いが生じない体制の構築や、不明な点はすぐに質問するなど、仕組みで品質リスクを防ぎましょう。
システム開発のリスク管理には管理表の作成が効果的
リスク管理表の作成
プロジェクトを滞りなく遂行するためには、リスク管理表を有効活用するのがおすすめです。
リスク管理表を活用すれば、対応すべき優先度や対応策が明確になってトラブルの場合も冷静に対処できるためです。
プロジェクトに合わせて項目の変更・調整は必要ですが、リスク管理表に記載する項目の例として下記の一覧を参考にしてみてください。
項目 | 内容 |
リスク要因 | 発生しうるリスク要因を詳細に記載する。5W1Hを意識して書く |
リスクへの対応者 | 誰がリスク対応するのかを明記しておく |
リスクの重要度や優先度 | ・当該リスクがプロジェクトに及ぼす影響規模を記載する ・他のリスクと比較して、対処する優先度を明記しておく |
リスクの対応策 | 具体的な対応策を記載する |
ステータス | 「対応中」「実施済」など、関係者が一目でわかるように対応状況を記載しておく |
リスク要因の洗い出し
リスク管理表を作成するには、リスク要因の洗い出しが非常に重要です。
開発プロジェクトにおいて考えられるリスク要因を、開発工程やプロセスごとに分けて挙げていくと良いでしょう。
ここで重要なリスク要因を漏れなく洗い出せるかが、リスク管理の成否を分けるといっても過言ではありません。
考えられるリスクがあらかじめ網羅されたチェックリストを用意しておくと、洗い出しが進めやすくなるためおすすめです。
過去に実施したプロジェクトがあれば振り返ってみて、上手くいかなかった原因を分析してチェックリストに含めておけば、リスク管理には非常に役立つチェックリストになるでしょう。
例えば、要件定義におけるリスクであれば、
- 業務部門のユーザーによる仕様確認が不十分なため、仕様変更が頻発するリスク
- 要求の優先度があいまいになっているため、納期の遅延が致命傷になるリスク
- 業務要件の網羅性が検証できていないことにより、システム機能が漏れてしまうリスク
などといった具合に、考えられるリスクを挙げていきます。
発生してもあまりインパクトのないものは後回しで構わないので、まずは発生してしまうとプロジェクトにとって大きなダメージになるリスクを中心に洗い出していきましょう。
システム開発で実施するリスクマネジメント4ステップ
システム開発において正しくリスクマネジメントを実施すれば、問題を未然に防げるケースは多いです。
以下のリスクマネジメント4ステップを参考にして、開発現場で活用してみてください。
- 想定される開発リスク要因を洗い出す
- 対処するリスクの優先度を決める
- リスクの対策方法を決める
- リスクの対策を講じる
それぞれ詳しく解説します。
1.想定される開発リスク要因を洗い出す
リスクマネジメントを実施する場合、開発プロジェクトで想定されるリスク要因をはじめに洗い出します。
ここで洗い出したリスク要因を、前章で紹介したリスク管理表にまとめておくと良いでしょう。
メンバー全員がそれぞれの視点で問題点を洗い出すと、プロジェクトに影響を及ぼす可能性のある潜在的なリスクも把握できます。
想定されるリスク要因を洗い出す際には、IPAによるITプロジェクトのリスク予防への実践的アプローチを参考にしてみてください。
手戻りを少なくするためにも、メンバー全員でプロジェクトの初期段階で取り組むのがおすすめです。
参照:IPA『ITプロジェクトのリスク予防への実践的アプローチ』
2.対処するリスクの優先度を決める
想定される開発リスクを洗い出した後は、対処する優先順位を決めます。
洗い出したリスクによって発生確率やプロジェクトへの優先度が異なるため、ランク付けして対処する順番を明確にすべきです。
優先度を決めるだけでなく、リスクが顕在化した際の対応に掛かる金額や期間などを具体的に数値化しておきましょう。
数値化すると、プロジェクトへの影響度をメンバー間で判断できます。
影響が大きいリスクほど、慎重に対策を練りましょう。
3.リスクの対策方法を決める
対処するリスクの優先度を決め、それぞれ適した対応方法を考える必要があります。
リスクごとの対応方法を事前に決めておけば、問題が発生した際に焦って対処しなくて済みます。
その場しのぎで対処していては、問題を複雑にしてしまう恐れもあるため注意が必要です。
なるべく多くのプロジェクト関係者で対応方法を協議すれば、合理的な解決方法が見つかる場合もあります。
過去の事例も参考にしながら、適した対策方法を決めましょう。
4.リスクの対策を講じる
最終段階では対策を講じてリスクをコントロールします。
洗い出したリスクが発生する可能性もあれば発生しないケースもあるため、継続的な監視が必要です。
プロジェクトが進むと開発環境や状況も変化するため、想定していないリスクが発生する可能性もあるでしょう。
少しの変化でも早期にメンバーへ共有・対応を行うと、問題を未然に防げます。
システム開発リスクを減らすために意識すべきポイント6選
開発リスクの対応においては、想定される問題を洗い出してリストにまとめ、打つべき対策を事前に検討して準備しておくのが効果的です。
その他にも、システム開発におけるリスクを減らすために、以下の6つのポイントを意識しましょう。
- 慎重に開発会社を選定する
- .最小限で開発を実施する
- 事前にあらゆるリソースを確認する
- マルチベンダーは避ける
- 継続的にリスク評価をする
- メンバー間のコミュニケーションを円滑にする
開発リスクを少しでも減らすための参考にしてみてください。
1.慎重に開発会社を選定する
信頼できる開発会社を慎重に選定するのも、リスクを下げる対策としては重要です。
あまり考えず開発会社を選定しては、自社と相性が悪かったり、解決したい課題に対して技術的に不安があったりすることが考えられます。
その他、開発会社を選定する際に意識すべきポイントは以下の4つです。
- 予算内で課題解決できるか
- 自社が解決したい課題に対しての経験や実績はあるか
- 担当者の対応や理解力はどうか
- 相見積もりを取ったか
依頼先を間違えばコストや時間を無駄にしかねないため、慎重に開発会社を選定しましょう。
Wakka Inc.では、専門性の高いチームがお客様のニーズに寄り添い、それを実現するアイデアをご提案します。
具体的な進め方や費用感などが知りたい場合はお気軽にお問い合わせください。
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2.最小限で開発を実施する
開発リスクを避けるため、最小限での開発がおすすめです。
はじめから完璧を目指して開発を行うと、再々機能の追加が必要になり延々と予算や時間を消費してしまいます。
あらためてシステムで解決したい明確な課題を洗い出して、本当に必要な機能だけにフォーカスすべきです。
運用スケジュールにも影響するため、実装する必要があるものに限定して開発を行いましょう。
3.事前にあらゆるリソースを確認する
前もってあらゆるリソースを確認しておけば、多くの開発リスクを防いで計画的にプロジェクトを進められます。
開発リスクにおける多くの要因はリソース不足が関係しているため、優先的に実施しましょう。
具体的には、以下のリソース不足が挙げられます。
- 時間:業務部門から提示された納期までに使える開発期間
- 人員:開発プロジェクトを推進する自社要員、開発会社の技術者
- 金銭:業務部門が確保しているシステム開発予算
- 情報:システム要件を満たすために必要な業務に関する情報など
一部のリソースが不足した場合でもプロジェクトに大きな影響を与えるため、管理ツールなども活用して計画的に配分しましょう。
エクセルやスプレットシートで作成して、プロジェクトメンバーや社内で共有しておきましょう。
最新の状況を共有するために定期的な更新が欠かせません。
5.マルチベンダーは避ける
複数メーカーの製品を組み合わせてシステムを構築するマルチベンダーは避けるべきです。
マルチベンダーでシステムを構築した際のトラブル対応は複雑になるだけでなく、メーカー側のスケジュール調整も難しい傾向があります。
複数メーカーの製品が連携する部分は複雑になるため、入念な相談や調整を要してプロジェクトがスムーズに進まないケースも多いです。
トラブル時の復旧も時間が掛かる傾向にあるため、運用に大きな影響を及ぼします。
マルチベンダーを採用する際は、開発会社にあらかじめ確認しておきましょう。
6.継続的にリスク評価をする
リスクを洗い出して把握した後も、継続してリスク評価すべきです。
一度リスク評価を実施した後も、プロジェクトを終えるまで状況は常に変化します。
プロジェクトが進む過程で想定していなかったリスクが発生する可能性は常に潜んでおり、監視を続ければ見逃す心配もありません。
継続してリスク評価を行い、早期対応を心がけましょう。
7.メンバー間のコミュニケーションを円滑にする
開発リスクを防ぐために意識すべきポイントは、メンバー間のコミュニケーションです。
メンバー間のコミュニケーションは、プロジェクトの効率的な進行に大きく影響する要素です。
メンバー全体のコミュニケーションが円滑であれば、進捗状況を正確に把握できたり、認識のズレを防げたりします。
コミュニケーションが不足すると、情報伝達がされずプロジェクトの遅れやリスクの原因に直結するため注意が必要です。
特定のメンバーだけでなく、チーム全体でコミュニケーションの重要性を認識して取り組むと効果的です。
開発リスクを正しく回避してプロジェクトを成功させよう!
開発リスクはプロジェクトの遅延につながるだけでなく、トラブルの要因になるため早期の対策・対処が欠かせません。
想定される開発リスクを正しく理解して対策を講じると、トラブルを未然に防げてプロジェクトを成功に導けます。
ぜひ本記事を参考にプロジェクトを成功させ、ユーザー満足度の高いシステムづくりを目指してください。