DX推進におけるデータ活用の重要性とは?得られる効果や活用事例を紹介!
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
DXにおいて、企業が競争力を高め、イノベーションを加速させるためには、データの活用が不可欠です。
ただ、データ活用の重要性を理解しつつも、具体的な方法や効果が分からず、頭を悩ませている方も多いでしょう。
変化の激しい現代において、どのようにデータを活用し、ビジネスに結びつけていけば良いのでしょうか。
本記事では、DXにおけるデータ活用の重要性と具体的な活用方法を解説します。
DXプロジェクトに関わる経営者・リーダー層の方へ
失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。
DXにおけるデータ活用の重要性
DXを推進するにはデータ活用が欠かせません。
これはデータの収集・分析が、ビジネス戦略の中核を担うためです。
現代は膨大な量の情報で溢れており、この大量のデータをいかに分析し、戦略に変えるかが企業の成長や競争力に直結します。
例えば、顧客データの分析を通じて消費者の行動を予測したとします。
ここで得られた情報をもとに、自社のマーケティングや商品・サービスの設計を行います。
もし、仮定した消費者の行動が正しければ、マーケティング戦略や商品・サービスは市場から受けられ成果をもたらすでしょう。
一方、データを活用せずに推測や勘でマーケティングや商品・サービスを設計すれば、当然失敗する可能性が高まります。
このように、データを戦略的に活用することは、DXの成功ひいては企業の成長を左右する重要な鍵となるのです。
DX推進にデータを活用することで得られる効果
データ活用の効果が明確であれば、従業員にもDXに取り組む重要性を丁寧に説明でき、協力を得られやすくなります。
DX推進にデータを活用して得られる効果は以下の通りです。
- 1.自社の課題が明確になる
- 2.サービスの質が向上する
- 3.リスク管理に役立てられる
- 4.客観的な視点で意思決定できる
DXを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.自社の課題が明確になる
DXでデータを活用すれば、解決すべき自社の課題が明確になります。
社内のあらゆるデータを分析すると、自社の現状が可視化されて改善すべき課題が分かります。
例えば、業績が悪い部署や費用対効果の悪い事業も、数値やグラフで把握が可能です。
自社課題を明確にする際には、収支データや顧客データ、社員データなど複数の情報を分析して総合的な判断が求められます。
明確になった課題を社内で共有すると、取り組む方向性が定まって従業員の協力を得やすいでしょう。
2.サービスの質が向上する
DXでデータを活用すれば、サービスの質が向上する効果も期待できます。
データの活用によって、顧客の趣向や潜在的なニーズを把握でき、サービスに反映できます。
現在はインターネットの発達によりトレンドの移り変わりが早く、従来よりも顧客のニーズを捉えることが難しいのも事実です。
顧客に求められる質の高いサービスを提供するために、データ活用は欠かせません。
3.リスク管理に役立てられる
DXにおけるデータ活用は、設備のリスク管理にも有効です。
設備のデータをAIで分析することによって、故障などを事前に予測できます。
設備に不備が生じた際のデータを収集・分析すると、故障前の機械の動きや兆候が明確になります。
機械の故障を予測できるため、事前の対策も可能です。
データ活用で予測の精度を高められるため、リスク管理に効果的です。
4.客観的な視点で意思決定できる
データを活用することで、意思決定をより客観的かつ根拠に基づいたものに変革できます。
顧客の行動履歴など事実に基づいたデータを分析すれば、高い精度で予測を立てられます。
また、人間の勘や経験などの不確かな情報にも共通項を見い出し、根拠を裏付けることもできるでしょう。
ビジネスシーンでは、経営判断がその後の明暗を分けるケースも多いため、データを有効に活用し、意思決定の精度を高めましょう。
【経済産業省が発表】DXにおける正しいデータ活用の手順
DXにおける正しいデータ活用の手順を理解しておきましょう。
データ活用の手順は次の通りです。
- 1.データ活用の目的を明確にする
- 2.データを収集する
- 3.データを分析する
- 4.データに基づいて意思決定を行う
自社でデータを活用する際の参考にしてみてください。
参照:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションの河を渡る」
参照:経済産業省「データ利活用のポイント集」
1.データ活用の目的を明確にする
はじめにデータ活用の目的を明確にします。
目的が明確でないければ、扱うデータが定まらなかったり、ムダな業務が発生したりします。
目的を明確にできれば、集めるデータの量や種類・期間が定まるため、無駄な収集作業を省けます。
ビジネスモデルの変革や新しいサービスの提供など、本来の目的を従業員にも共有して方向性を明確にしましょう。
2.データを収集する
目的が明確になれば、実際にデータを収集しましょう。
顧客の情報や行動パターン、商品の売り上げ動向など、目的に適したさまざまなデータが必要です。
膨大な情報量を扱うため、以下のデータ基盤で管理すると品質の劣化を防げておすすめです。
名称 | 役割 |
データレイク | さまざまな形式のデータを集め、処理をせずに管理する。 |
データウェアハウス | 時系列や目的別のデータを分析しやすいように整理して管理する。 |
データマート | データウェアハウスのデータをさらに加工・抽出して、利用しやすい形で管理する。 |
収集した情報は部署間で統一した管理を行い、データ品質の劣化を防ぎましょう。
3.データを分析する
必要なデータを収集した後は、分析を行います。
データ分析によって、自社課題の原因や因果関係が明確になります。
データを分析する際には、分析ツールを活用すると効率的です。
分析をして終わりではなく、繰り返し行う過程で予測の精度を高めましょう。
さらに予測の精度を高めたい場合は、データサイエンティストなど専門家に依頼するのもおすすめです。
4.データに基づいて意思決定を行う
最後に、客観的な情報を参考に経営判断を行いましょう。
データに基づいた意思決定を、データドリブン経営と呼びます。
ビジネスのスピードが加速した現代において、データドリブン経営は企業を成長させるためには重要な取り組みです。
消費者の価値観が多様化している現在では、個人の勘や経験による判断だけでは不十分です。
消費者のニーズをつかみ、変化に素早く対応して意思決定を行うためにもデータドリブン経営は欠かせない要素でしょう。
DXで扱うデータの分析方法5選
DXを効率的に推進するためデータ活用は有効ですが、扱う情報の質を見極める必要があります。
良質な情報を、データの分析方法を紹介します。
- 1.クロス集計
- 2.時系列分析
- 3.アソシエーション分析
- 4.クラスター分析
- 5.ロジスティック回帰分析
順番に解説するので参考にしてみてください。
1.クロス集計
クロス集計は、複数の設問を掛け合わせて集計する手法です。
属性別のデータを集めたり分析をしたりする際に有効な手法なため、さまざまな業界で活用されています。
クロス集計はデータの傾向が細分化されるため、小さなニーズもつかみやすいのが特徴です。
全体の割合では見えない細かな違いや、単純な集計では得られないニーズを把握できるため、あらゆる統計的調査で用いられています。
2つ以上の設問を掛け合わせる多重クロス集計も存在しますが、あまり細分化しすぎると関連性も不透明になるため注意が必要です。
2.時系列分析
時系列分析は、経済学や統計学、その他多くの産業でも応用されている手法です。
一般的には、時間の経過で変化するデータを分析する際に活用されます。
具体的には「長期的な変化」や「周期的な変化」、「その他不規則な変化」を分析して将来の値を予測します。
時間の経過に伴って変化する株価や気温の時系列データを扱い、現在と過去の関係を数値化して分析できます。
3.アソシエーション分析
アソシエーション分析は、膨大な量のデータから一定のパターンや関連性のある情報を割り出す際に有効です。
アソシエーション分析を行えば、さまざまなデータの中から自社にとって必要な情報を探し出せるだけでなく、単体のデータでは見つけられなかった法則を見いだせることもあります。
オムツを購入する人はビールも一緒に購入する傾向があるなど、購買行動の関連性を把握する際に有効な手法です。
アソシエーション分析によって、同時に購入されやすい商品を把握できるため、販売戦略でも応用されています。
4.クラスター分析
クラスター分析は、異なる性質が入り混じったグループから、似ているものを集めて分析する方法です。
大量のデータを効率的に分類する際に活用され、クラスター分析の対象には人や企業、商品も含まれています。
特に、顧客の行動を分類する際にクラスター分析は有効です。
顧客の行動で分類されたグループごとに異なる施策を行って、購買行動につなげる戦略を行う企業もあります。
市場調査でクラスター分析を使うことも多く、マーケティングの場面で有効活用されています。
5.ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析とは、ある要因から事象の発生率を分析して予測する手法です。
高い精度で分析結果が求められるため、医療や災害などの場面で多く活用されています。
気象条件で災害発生の予測を立てたり、患者の検査結果から病気の発生率を予測したりします。
専門家でないくても、一般的な表計算ソフトで分析が可能な汎用性の高い手法です。
DXのデータ活用で役立つ5つのITツール
DXでデータを扱う際にITツールを活用すれば、データ分析の効率化や精度向上に役立ちます。
役立つ5つのITツールは以下の通りです。
ツール名 | 概要 |
SFAツール | SFAツールは、Sales Force Automation(セールス フォース オートメーション)の略称です。 企業の営業活動の情報及び、業務プロセスを支援するツールです。 営業部門が管理する情報をデータ化して、蓄積・分析ができます。 営業活動において、データを効率的・効果的に活用するためのツールです。 |
CRMツール | CRMツールは、Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略称です。 CRMツールは顧客情報をデータ化して分析でき、適したタイミングで製品やサービスの提案が可能になります。 データを活用して、顧客との信頼関係の構築に役立つツールです。 |
BIツール | BIツールは、Business Intelligence(ビジネス インテリジェンス)の略称です。 企業が持つデータを分析して可視化できるツールです。 経営判断が必要な場面において、データに基づいた合理的な意思決定を行う際のビジュアライゼーションに役立ちます。 |
MAツール | MAツールは、Marketing Automation(マーケティング オートメーション)の略称です。 MAツールは、マーケティングを自動化できるツールです。 MAツールを活用すれば、新規顧客の獲得において適したアプローチを自動で行えます。 |
RPAツール | RPAツールは、Robotic Process Automation(ロボティック プロセス オートメーション)の略称です。 手作業で行っていた作業をロボットによって自動化できるツールです。 従来、Excelを使って手作業で行っていた簡単なデータ集計やレポート作成も、RPAツールなら自動で行えます。 |
ITツールを活用すれば、大量のデータを扱う場合もストレスなく分析できるためおすすめです。
より精度の高いデータ分析が必要な場合は、専門家への依頼も有効な選択です。
DX進め方ガイドブック
>DXプロジェクトを検討している担当者の方に向けて、失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。
DX推進におけるデータ活用事例
DX推進で有効にデータ活用を行い、多くの企業が魅力的なソリューションを生み出しています。
DX推進する際の参考になるため、データ活用事例を企業別に紹介します。
- 伊藤忠商事
- ソフトバンク
- ブリヂストン
順番に見ていきましょう。
伊藤忠商事
伊藤忠商事は、食品サプライチェーンのDXによる最適化のため、販売データを活用した需要予測と発注自動化の実証実験を行いました。
伊藤忠グループである日本アクセスの在庫や入出荷データ、小売の売上・発注データ、天候にカレンダー情報などをAIに読み込ませて需要予測を実施しました。
需要予測の結果から商品を自動発注する仕組みを構築して、適した在庫数や発注作業の負担軽減が実現しています。
在庫数は3割削減でき、発注業務量も5割削減が実現しました。
伊藤忠商事は、今回の取り組みで輸送時のCO2削減や在庫の適正化によるフードロス削減を実現させています。
SDGsを意識した取り組みも拡大しています。
参照:伊藤忠商事「食品サプライチェーンDXの本格的な展開について」
ソフトバンク
ソフトバンクは、LPガス配送最適化サービスの「Routify」を提供して、人材不足に悩む企業のDXを支援しています。
「Routify」はスマートメーターから収集できるデータや、LPガス事業者が保有する人員や道路情報に天気データなどをインプットして、ガスの残量予測や適した配送計画を提案しています。
属人化していたLPガスの残量予測の精度を高められたり、少ない人員で効率的な配送が実現したりしました。
配送員の人材不足を解決できる新たなソリューションとして注目を集めています。
参照:ソフトバンク「LPガス配送最適化サービス Routify」
ブリヂストン
ブリヂストンはマイクロソフト社と協業して、プレミアムタイヤ事業とソリューション事業を強化しています。
タイヤモニタリングシステムによってユーザーのタイヤ使用状況が詳細に把握でき、データを活用して精度の高いタイヤ摩擦・耐久予測が実現しました。
安全で効率的なメンテナンスの提案や、リトレッド回数の拡大につながっています。
ブリヂストンはさらにITオペレーションを進化させて、コスト改善や生産性の向上も目指しています。
参照:ブリヂストン「ブリヂストン、マイクロソフト社と協業 データ価値の増幅によりプレミアムタイヤ事業とソリューション事業を強化」
DXでデータを扱う際の注意点
効果的にDX推進を行うためには、データ活用は欠かせません。
しかし、データを扱う場合はリスクも存在するため、以下の点に注意すべきです。
- 個人情報は慎重に扱う
- 信憑性のあるデータを扱う
- 適切な人材がデータ分析を行う
それぞれ順に説明します。
個人情報は慎重に扱う
DXでデータ活用を行う際、個人情報は慎重に扱いましょう。
DXで扱うデータには、個人を特定できる名前や住所が含まれているケースも多く、外部に漏れた場合は信用問題につながります。
個人情報・個人関連情報の扱いについて社内ルールを設定し、データを管理するシステムはアクセス権を制限するなど、セキュリティ対策は万全に行うべきです。
データを扱う従業員も、セキュリティリテラシーが高まる対策を講じてリスクに備えましょう。
信憑性のあるデータを扱う
DXでデータを活用する場合は、情報源や信憑性を事前に確認が必要です。
信憑性に欠けるデータを扱った場合、正確な分析結果が得られず間違った経営判断を下す恐れがあります。
誤ったデータを活用した場合、掛けたコストや手間が無駄になってしまう可能性もあります。
データ分析にかけるコストや労力を無駄にしないためにも、扱うデータの信憑性は慎重に確認しましょう。
適切な人材がデータ分析を行う
活用するデータの分析には適切な人材配置が大切です。
データ分析は統計学の専門的な知見に加えて、市場動向や自社ビジネスへの理解も欠かせません。
DXを行う組織体制が整っても肝心なデータ分析が行わなければ、企業の進む方向性を見誤ってしまう恐れがあります。
従業員に研修を実施してデータ分析を内製化する選択肢もありますが、専門家へ委託する方法もあります。
自社のリソースを考慮して、適した選択を取りましょう。
データ活用でDXを成功させてビジネスの変革を成し遂げよう
今回はDXでデータを扱う重要性から、得られる効果に実際の活用事例まで解説しました。
多くの企業で人材不足への対策や、競合との優位性を得るためにDXへ取り組むケースが増えています。
DXにおいて迅速で合理的な意思決定を行うために、データ活用は欠かせない要素で重要性は今後も増加する見込みです。
ぜひ本記事を参考にしていただきデータ活用を通じて、ビジネスの変革を成し遂げましょう。