ヘッドレスCMSとは?メリット・デメリットや比較ポイントを紹介
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
次世代型のCMSとも呼ばれているヘッドレスCMSが、徐々に市場に浸透してきました。
「ヘッドレスCMSについて興味がある」「Webサイトの立ち上げでヘッドレスCMSを利用したい」と考えている企業の担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、ヘッドレスCMSに関する以下の内容を解説します。
- ヘッドレスCMSの概要
- ヘッドレスCMSの種類
- ヘッドレスCMSのメリット・デメリット
- おすすめのヘッドレスCMSと比較ポイント
ヘッドレスCMSとはどのようなものなのか知りたい方や利用を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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ヘッドレスCMSとは|わかりやすく解説
そもそもCMSとは「Contents Management System」を略した言葉で、Webサイトのコンテンツを作成できるシステムです。
コンテンツを入力するバックエンドと、コンテンツを表示するフロントエンドが一体化しているものが一般的です。
対してヘッドレスCMSとは、フロントエンド部分を内包せず、バックエンドの管理に特化したCMSです。
フロントエンドのことをヘッドとも呼ぶため、ヘッドレスCMSと呼ばれています。
ヘッドレスCMSはバックエンドの役割のみを果たすこととなり、フロントエンドの役割を果たすシステムは別途構築する必要があります。
CMSとヘッドレスCMSの違い
CMSとヘッドレスCMSの違いをまとめると、以下のようになります。
CMS | ヘッドレスCMS | |
---|---|---|
対象範囲 | バックエンド・フロントエンド | バックエンドのみ |
専門性 | 低い | 高い |
代表的なCMSのWordPressは、Webサイトを作成・運営するための機能がそろっており、ほかのシステムを使わずにサイトを管理できます。
一方、ヘッドレスCMSは難易度が高い分、表示画面を自由に設計できるでしょう。
ヘッドレスCMSが必要とされる背景
ヘッドレスCMSは、2018年ころから注目され始めました。
必要とされた背景には、以下のような事情があります。
- スマートフォンやパソコン、タブレットなど情報を得られるデバイスが多様化し、あらゆるデバイスに対応する必要性が増した
- ユーザーが画面表示の遅さにストレスを感じやすくなった
- Webコンテンツが多様化し、集客のためにより質の高いUIやUX(ユーザー体験)が求められた
ヘッドレスCMSの種類
ヘッドレスCMSは、以下の2種類に分けられます。
- Self-Hosted(セルフ・ホステッド)型
- CaaS(カース)型
それぞれの特徴を理解して、利用する際の参考にしてください。
Self-Hosted型
Self-Hosted型は、自社でサーバーを用意してヘッドレスCMSを設置するタイプです。
自由に構築でき、CaaS型と比べてコストを抑えられるといったメリットがあります。
一方、システムの整備やセキュリティ対策は自身で行う必要があるため、専門的な知識が必要である点がデメリットです。
CaaS型
CaaS型は、CMSの運用会社が提供するサーバーやデータベースを利用するタイプです。
サービスとしてヘッドレスCMSが提供されているため、アクセスするだけで利用できます。
システムの構築やセキュリティ対策を任せられるため、手軽に利用できるでしょう。
トラブルが発生した際のサポートも受けられます。
一方、サービスの利用料がかかるため、Self-Hosted型と比べるとコストが高くつく点がデメリットです。
また、CMSの運用会社がサービスを終了するリスクも存在します。
ヘッドレスCMSのメリット
ヘッドレスCMSにはさまざまなメリットが存在します。
本記事で紹介するメリットは、以下の6つです。
- 表示速度が速い
- マルチデバイスに対応できる
- 開発の自由度が高い
- サーバーコストを抑えられる
- セキュリティ性が高い
- 他のシステムと連携しやすい
メリットを理解することでより効果的にヘッドレスCMSを利用できるでしょう。
それぞれ解説します。
表示速度が速い
従来のCMSは、Webサイトを表示するために、バックエンドからフロントエンドで表示するための動的ファイルを生成する必要がありました。
一方、ヘッドレスCMSは静的ファイルをそのまま表示できるため、データを処理する工程がありません。
そのため、ヘッドレスCMSの方が表示速度が速いというメリットがあります。
また、表示速度の速さがSEOの効果にもつながるため、Webコンテンツをより多くの人に見てもらいやすくなるでしょう。
マルチデバイスに対応できる
ヘッドレスCMSはバックエンドのみの役割を果たし、フロントエンドとは切り離されています。
そのためデバイスに合わせて複数のフロントエンドを独自に構築でき、マルチデバイスに対応可能です。
従来のCMSでは、表示する画面の大きさに合わせてデザインを多少変更する程度でした。
ヘッドレスCMSと独自のフロントエンドを利用することで、デバイスごとに優れたUIを提供できるでしょう。
開発の自由度が高い
従来のCMSは、バックエンドとフロントエンドが連動しています。
そのためフロントエンドの改修を行う場合、バックエンドへの影響を確認しながらの作業となります。
一方、ヘッドレスCMSはバックエンドとフロントエンドがそれぞれ独立している点が特徴です。
そのため、フロントエンドの改修を自由に行えるのがメリットです。
例えば、パソコンに表示される画面のみをアップデートしたり、一時的にキャンペーンのお知らせを表示したりできるでしょう。
サーバーコストを抑えられる
先に説明した通り、ヘッドレスCMSは動的ファイルを生成する必要がなく、静的ファイルのまま表示できる仕組みです。
そのため、サーバーの処理や負担が減ります。
また、スペックの高いサーバーを必要としないため、コスト削減にもつながります。
バックエンドとフロントエンドをそれぞれ別でシステム構築できるため、効率的に作業が進めば人件費の削減にもつながるでしょう。
セキュリティ性が高い
サイバー攻撃の多くは動的ファイルを狙ったものです。
ヘッドレスCMSはフロントエンドに動的ファイルを使用しないため、セキュリティ性が高いと言えるでしょう。
ただし、API部分は外部と接続しており、リスクがまったくないわけではありません。
独自のセキュリティ対策は必ず実施しましょう。
他のシステムと連携しやすい
ヘッドレスCMSは、APIによってCRMやMAなどさまざまな外部システムと連携できるのがメリットです。
APIとは、Webサービス同士をつなげるインターフェースのことを指します。
CRMやMAのデータを取り込んだり、Webコンテンツを他のシステムで活用したりできるため、コンテンツの幅が広がるでしょう。
ヘッドレスCMSのデメリット
ヘッドレスCMSにはさまざまなメリットが存在する一方、デメリットも存在します。
ヘッドレスCMSのメリットは、以下の2点です。
- フロントエンドを開発するスキルが必要となる
- プレビュー表示ができない
それぞれ解説します。
フロントエンドを開発するスキルが必要となる
ヘッドレスCMSは従来のCMSとは異なり、フロントエンドを独自に開発する必要があります。
自由に開発できる分、開発するためのスキルが必要となる点がデメリットです。
ヘッドレスCMSからフロントエンドへはAPIを使って連携させるため、APIの知識も必要となります。
コンテンツは作成して終わりではなく、管理や運用を行う必要もあります。
メリットとエンジニアにかかる人的コストを比較してヘッドレスCMSの利用を検討しましょう。
プレビュー表示ができない
ヘッドレスCMSにプレビューを表示する機能はありません。
プレビューを表示するためにはAPIを通じてプレビューサイトを用意する必要があります。
公開前にサイトのプレビューを表示する難易度が高い点が、ヘッドレスCMSのデメリットです。
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おすすめのヘッドレスCMSサービス5選
ヘッドレスCMSのサービスは数多く存在します。
中でも本記事でおすすめするのは、以下の5つです。
- Contentful
- MicroCMS
- GraphCMS
- Kuroco
- Newt
それぞれに特徴があるので、比較して自社に適したサービスを選ぶと良いでしょう。
Contentful
「Contentful」は、ドイツに本社を置くcontentful社が提供しているヘッドレスCMSです。
世界で最も有名なヘッドレスCMSとも言われ、Spotifyをはじめとする数多くの企業が利用しています。
スマートフォンやパソコン以外のプラットフォームにも配信できるAPIを使用しているのが特徴です。
画像サイズを自動で変更する機能が搭載されており、markdown記法にも対応しています。
ただし、日本語には対応していないため、海外のシステムを使い慣れていないエンジニアには難易度が高いサービスと言えるでしょう。
参照:Contentful
MicroCMS
「MicroCMS」は、株式会社microCMSが提供している国産のヘッドレスCMSです。
ホットペッパービューティーやZOZOTOWN、クラウドワークスなど、日本の大手企業でも利用されています。
操作が簡単で、コードを使わずに更新できるためエンジニアでない社員も扱える仕組みになっています。
会社の規模や機能によって4つのプランから選べるのも魅力です。
参照:MicroCMS
GraphCMS
「GraphCMS」は、Facebook社が開発したAPIであるGraphQLを活用したヘッドレスCMSです。
シンプルで扱いやすいシステムですが、動画を使った複雑な設定は苦手としています。
GraphQLを扱い慣れたエンジニアがいる場合は、GraphCMSの利用を検討すると良いでしょう。
参照:GraphCMS
Kuroco
「Kuroco」は、株式会社ディバーダが2021年から提供しているヘッドレスCMSです。
株式会社ディバーダは4,000社以上で導入されている国産の従来型CMS「RCMS」を運営している企業でもあり、ノウハウを活かしたシステムとなっています。
特に、外部システムやデータとの連携のしやすさが特徴です。
機能も充実しており、CRM機能を活用すれば顧客情報の管理も同時に行えます。
参照:Kuroco
Newt
「Newt」は、Appテンプレートとスターターが用意されており、数分でサイトを立ち上げられるのが特徴のヘッドレスCMSです。
また、サイトやプロジェクトごとにメンバーを入れ替えて管理できます。
App単位でメンバーを招待したり参加や退会が自由なため、チームでのコンテンツ運営がしやすいでしょう。
参照:Newt
ヘッドレスCMSを比較するポイント
どのヘッドレスCMSを利用しようかと悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
ヘッドレスCMSを導入する際は、以下の点に注目して選定すると良いでしょう。
- 機能の充実と拡張性
- 対応する言語とフレームワークの範囲
- 料金体系
機能の充実と拡張性
ヘッドレスCMSはサービスによって活用できる機能が大きく異なります。
以下のような機能があると便利でしょう。
- コンテンツの自動保存
- 画面をプレビュー表示する機能
- 予約投稿機能
- 編集履歴を管理する機能
また、機能の拡張性が高いサービスを選ぶのもおすすめです。
コンテンツマーケティングの市場は変化が激しく、Webコンテンツも柔軟に変化させる必要があるからです。
また、自社業務の変化や拡大も考えられるため、拡張性が高く機能をカスタマイズしやすいサービスを選ぶと良いでしょう。
対応する言語とフレームワークの範囲
ヘッドレスCMSは、APIによってフロントエンドと連携する必要があり、その際にプログラミング言語やフレームワークが使われます。
言語とフレームワークに幅広く対応しているサービスを選ぶと、スムーズに作業が進められるでしょう。
エンジニアが得意な言語があれば、その言語に対応しているサービスを選ぶべきです。
料金体系
料金体系もサービスによってさまざまです。
例えば、定額制の料金設定や、PV数に応じて料金が変わる設定などがあります。
また、Strapiのように無料で利用できるヘッドレスCMSも存在します。
利用状況を想定して、自社に適した料金設定のサービスを選ぶと良いでしょう。
また、サポート体制やセキュリティ性も併せて検討するのがおすすめです。
ヘッドレスCMSに関するよくある質問
ヘッドレスCMSに関してよくある質問として、以下の3つが挙げられます。
- WordPressはヘッドレス化できる?
- ヘッドレスCMSはどのような場合に導入すると良い?
ヘッドレスCMSへの理解を深めれば、より便利に利用できるでしょう。
それぞれの質問にお答えします。
WordPressはヘッドレス化できる?
WordPressは世界で最も普及しているCMSです。
WordPressはヘッドレス化して利用することもできます。
プラグインを利用してヘッドレス化するのが一般的で、WordPressに標準搭載されているWordPress REST APIを利用する方法もあります。
WordPressのヘッドレス化に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
ヘッドレスCMSはどのような場合に導入すると良い?
ヘッドレスCMSは、以下のような場合に導入するのがおすすめです。
- 複数のサイトで共通のコンテンツを管理したい場合
- スマートフォンアプリやIoTなどのWebサイト以外でもCMSを利用したい場合
- 独自開発の比率が高い場合
従来のCMSでは異なるサイトごとにコンテンツを作成する必要がありますが、ヘッドレスCMSであればバックエンドをAPI連携によって複数のサイトに利用できます。
特に複数サイトを運営する企業は、ヘッドレスCMSの利用が有効です。
ヘッドレスCMSについての理解を深めてうまく活用しよう
ヘッドレスCMSはフロントエンド部分がないCMSです。
フロントエンドを独自に開発できる技術があれば、マルチデバイスに対応できるなどのメリットがあるため便利です。
自社コンテンツを作成する企業は、ヘッドレスCMSの利用を検討するとよいでしょう。
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