参考にすべきBtoB ECサイトの成功事例|メリットから注意点まで解説
こんにちは。Wakka Inc.のメディア編集部です。
「自社ではBtoBの製品を取り扱っているけれど、BtoCのようにECサイトは存在するのか?」
「実際にBtoBのECサイトがあるとしたら、成功事例はあるのだろうか?」
「そもそも法人向けのECサイトを作る時の注意点はどんなものか?」
上記のようなお悩みを持ち、本記事に辿り着いた方が多いはずです。
ECサイトといえば対個人向けのものが多いイメージを持たれますが、実は対法人向けのECサイトも最近では多くなってきています。
そこで、本記事ではBtoBでECサイトを作って成功した企業事例をメインに、BtoB ECサイトのメリット・デメリット、また開設する際の注意点まで、幅広く解説していきます。
本記事を読めば実際にサイトを展開するか判断できるため、ぜひ最後までお読みください。
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BtoB ECとは何か
まず、BtoB ECとはそもそも何なのかについて説明します。
BtoB ECには以下2つのパターン(公開形式)があります。
- クローズドBtoB型ECサイト
- スモールBtoB型ECサイト
クローズドBtoB型ECサイト
「クローズドBtoB型ECサイト」とは、会員登録をしたユーザーだけが利用できるECサイトのことです。
世界中の誰にでも公開されている訳ではないため「クローズド」という呼ばれ方がされています。
よく見る一般的なECサイトでは誰でも商品を閲覧でき、購入したい場合は会員登録をするのが通例です。
しかし、クローズドサイトでは限られたユーザーしか見られないため、既存顧客向けにアプローチをしたい場合や、また事前に設けた審査基準をクリアしたユーザーのみに利用を限定したい場合などに適しています。
スモールBtoB型ECサイト
「スモールBtoB型ECサイト」は会員登録をしなくても誰でも利用できるECサイトのことです。
クローズドサイトとは対極にあるビジネスモデルといえます。
誰にでも利用する権利があるため、新規顧客を獲得したい場合や、また既存顧客相手であっても遠方でなかなか営業に行けないなどといった場合に利用を検討するのがおすすめです。
あるいは、自社から場所は近くても、取引額が少ない顧客が必要なものだけ購入したい、といったニーズに応えることもできます。
BtoB ECが注目される背景
それでは、なぜBtoB ECサイトが現在注目を集めているのでしょうか。
主な要因は以下の3つが挙げられます。
それぞれ詳しく解説します。
- 働き方改革の拡大
- EC化率の上昇
- ECサイトツールの普及
働き方改革の拡大
1つ目の要因は「働き方改革の拡大」が挙げられます。
世界的に見ても日本では長時間労働が問題視されており、早急な対策が求められています。
しかし、ECサイトを使えば営業の手間が減ることもあるため、業務効率化を実現できる方法として注目されているのです。
EC化率の上昇
2つ目には「EC化率の上昇」があります。経済産業省が発表している「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、EC化率はBtoC-ECで8.78%(前年比0.7ポイント増加)、BtoB ECで35.6%(前年比2.1ポイント増加)という結果が出ています。
年々この数値は上昇傾向にあり、国内製品市場の多くがECで占めるようになってきています。
BtoB ECにおいては特にtoCよりも伸びが顕著であるため、今後ますます注目されていくものといえるでしょう。
ECサイトツールの普及
「ECサイトツールの普及」が3つ目の要因です。最近ではShopifyといった誰でも簡単にECサイトを構築できるクラウドサービスが登場しており、企業が独自にゼロからサイトを構築しなければならなかった時代の常識が変わりつつあります。
クラウドサービスの台頭によってサイト構築のコストが大幅に省けることによって、企業がますます自社のECサイトを持ちやすくなっているのです。
BtoB ECを構築する方法
それでは、BtoB ECを構築するには具体的にどのようにすれば良いのかについて見ていきましょう。
ECサイトには下記3つのタイプがあり、それぞれ構築方法が分かれているため、それぞれに分けて詳しく説明します。
- ASP
- パッケージ
- フルスクラッチ
ASP
ASPは「Application Service Provider」の略であり、インターネット上でアプリケーションを提供する事業者のことを指します。
今まではローカル上にインストールして使用していたところを、ASPを使えばASP事業者のサーバーを借りてECサイトを構築できるようになるため、コストを大幅に省くことができます。
ASPの構築方法は至って簡単です。サーバーを自社で用意する必要がなく、ブラウザ上で完結できるからです。
パッケージ
パッケージ型はECサイトの基本機能が全てそろったショッピングカートシステムです。
ECサイトを構築するには商品管理や売上管理といったさまざまな機能を搭載することが必要です。
パッケージ型はこれら必要機能が機能がそろっているため、比較的手軽にECサイトを構築できます。
構築のしやすさで言えばASPには劣りますが、パッケージ型でも充分開発しやすいといえます。
また、ECパッケージはベンダーがソースコードを公開していないため、セキュリティも強固です。
ソースコードが公開されているオープンソースと比べるとセキュリティ性は高く、安心して活用できるものといえます。
フルスクラッチ
フルスクラッチはASPとパッケージ型とは違い、まっさらな状態からECサイトを構築する手法のことをいいます。
サーバーも自社で用意し、プログラムをゼロから作り上げていくため、非常に自由度が高くオリジナリティの高いサイトを作れます。
ただし自由度が高いぶん、コストがかかってしまうのも事実です。
社内に専門知識を持った人材が豊富にいる場合や外注できる予算があれば問題ありませんが、そうではない場合はかなり厳しい手段になるといえるでしょう。
BtoB ECの成功事例7選
BtoB ECサイトの概要が分かったところで、実際にBtoB ECで成功した企業事例を見ていきましょう。
本章では7つの企業をピックアップし、それぞれ解説していきます。
- モノタロウ
- ミスミ
- タジマヤ卸ネット
- 髙山堂
- アスクル
- 熊本馬刺しドットコム
- フーヅフリッジ
モノタロウ
モノタロウは兵庫県尼崎市に本社を置く工具製品販売の企業です。
今や大規模な通販サイトになっているモノタロウですが、工具製品は大量発注をする大企業に卸すことがメインで、小口発注をしたい中小企業などはどうしてもECを利用しにくい状況にありました。
そこで同社は、たった1点からでも注文できるシステムを導入。それまで取りこぼしていた、小口顧客の獲得に成功します。
2023年4月14日現在では取扱点数1900万点、当日出荷65万点を誇っており、すぐに商品を必要としている層のニーズにもしっかり応えています。
MISUMI(ミスミ)
製造業における生産ラインで必要な製品を販売する「MISUMI(ミスミ)」にも注目しておきたいところです。
ミスミでは2023年4月14日時点で当日出荷の商品を約135万点を取り揃えており、豊富なラインナップが特徴といえます。
しかし、それだけではありません。
ミスミの成功事例で最も注目したいポイントは、ECサイトの使いやすさにあります。
求めている商品を瞬時に検索するために、「瞬索くん」と呼ばれる独自の検索システムを搭載しています。
「商品の数が多すぎて逆に探しづらい」といったデメリットにもきちんと対策されているのです。
タジマヤ卸ネット
お菓子から日用品まで、幅広い生活用品が販売されているのが「タジマヤ卸ネット」です。
イベントや飲食店などに会員制で卸売も行っており、小口販売から大口販売まで幅広いニーズに応えています。
タジマヤ卸ネットでは、カテゴリが充実していて探しやすいだけではなく、「人気キーワード」という検索欄があることによって、いま話題の商品まで網羅できるようになっています。
例えばイベントや催事においてはこの検索欄は非常に重宝するといえます。
これだけではなく、シンプルで分かりやすいUIも強みです。
髙山堂
髙山堂は老舗の和菓子店であり、伝統の味を全国どこからでも味わえるようにECサイトを展開しています。
髙山堂のECサイトではCVRの高い商品をアイキャッチに配置しており、看板商品の強みを最大限に活かしているのが特徴です。
販売価格は会員にのみ公開されているため会員登録が必要です。
1つの商品ページを開くと下部におすすめ商品がレコメンドされるようになっているため、ECサイトの設計としてはとても親切なものになっているといえます。
アスクル
オフィス用品を主に取り扱っているため、利用している企業、もしくは名前だけでも知っているという企業担当者は多いのではないでしょうか。
言わずと知れた有名ECサイトであるアスクルですが、アスクルの強みは独自の流通体制にあります。
顧客開拓や債権回収などは独自の代理店が行い、注文や発送はアスクルが担当するという体制を取っているため、効率の良いシステムが確立されているのです。
熊本馬刺しドットコム
BtoBの食品通販サイトとしてのモデルケースとなる「熊本馬刺しドットコム」を運営しているのは、株式会社利他フーズです。
同社は業務効率の悪さやBtoB特有の掛け払いに対して課題感を覚えていました。
BtoC ECも持っていたようですが、BtoBは特に運用が難しく、難航していたようです。
そこでBtoBにもECサイトを導入してみたところ、掛け払いが自動化されただけではなく他の機能も充実したことで、業務効率が大幅に改善しました。
新規案件も獲得しやすくなったため、現在決済などの効率の悪さに悩んでいる企業は参考にすべき事例といえます。
フーヅフリッジ
独自の商品を1年間に約30個も開発しているフーヅブリッジは、主に飲食店向けの食品や食材を扱うBtoB ECサイトです。
フーヅブリッジのECサイトが成功している理由はUIの使い勝手の良さにあります。
「カフェ・喫茶店」「洋食」「和食」「中華」「エスニック」「病院・介護施設」「イベント・学園祭・お祭り」といった他にはないカテゴリを設け、それぞれに適した商品が紹介されています。
また、季節に応じた特集が頻繁に組まれていることで、飲食店のニーズに合ったサイト設計が展開されていることも特徴です。
どのような飲食店でも自身のお店に適した食材は何かを探しやすくなっているのです。
BtoB ECのメリット
BtoB ECサイトの成功事例が理解できたところで、次にBtoB ECサイトにはどのようなメリットがあるのかについて見ていきましょう。
本章ではメリットを2つに分けて解説します。
- 工数削減につながる
- 業務効率化につながる
工数削減につながる
1つ目のメリットは「工数削減につながる」ことです。
BtoB ECサイトには商品の正確な名前、商品点数、また商品の素材まで商品にまつわる情報が全て詳しく記載されているため、これまで電話やFAXなどで手動で行ってきたお問い合わせに答えるコストを削減できます。
工数削減という面においては、お問い合わせ面だけではなく、営業にも同じことが当てはまります。
ECサイトは検索をかけたりSEO対策をしっかり行ったりすれば、自社のことを知らないユーザーにも届くようになるため、新規顧客の開拓の助けになるからです。
業務効率化につながる
2つ目のメリットは「業務効率化につながる」ことです。
①で挙げたお問い合わせに関するコスト削減にもつながりますが、人の手で受発注処理をしたり質問に答えたりすると、どうしてもミスが生じてしまいます。
こうなるとクレームにつながるだけではなく、企業としての信頼も失いかねません。
しかし、ECサイトを使えばこうした人的なミスを無くすことができます。
システムの不具合はあったとしても、最大限ミスを減らすことが可能であるため、業務が倍以上ラクになるといえます。
BtoB ECのデメリット
BtoB ECにはメリットはもちろんありますが、反対にデメリットも存在します。
ECサイトを実際に構築したいと思ったとき戸惑うことのないように、しっかりデメリットも把握しておきましょう。
- 慣れるまでに時間がかかる
- 顧客サポートが必要になる
慣れるまでに時間がかかる
もしも社内にIT人材やそれに近しい人材が数少ない場合、ECサイトを運営するのには慣れるまでに時間がかかってしまいます。
操作はもちろんのこと、仕組みの理解や新しく導入されたことによるフローの構築などに関しても時間が必要です。
また、ECサイトを構築するのには、比較的簡単にできるASPであっても導入コストが膨大にかかります。
社内稟議はもちろんのこと、どのサービスを選定するかも考えなければなりません。
総合的に見て導入に時間がかかるため、これらはBtoBに限らずECサイトのデメリットといえるでしょう。
個客サポートが必要になる
個客サポートが必要になることもデメリットの1つとして挙げられます。
これは新規顧客というよりも既存顧客に対しての話ですが、既存顧客がメールや電話、FAXといった手段で自社とのコミュニケーションに慣れきっている場合、ECサイトという新たな手段が出現することによるフォローをしなければなりません。
中には年配の社員が多い企業など、デジタルにまだ慣れていない取引先もあるでしょう。
こうした既存顧客を抱えている場合には注意が必要であるといえます。
BtoB ECサイトを構築するのに活用すべきおすすめのカートシステム3選
BtoB ECサイトを構築するには、導入のしやすさやコストの低さという観点からASPを使うことがおすすめです。
そこで本章では、ECサイトを構築するためにおすすめのカートシステムを3つ紹介します。
これから実際に自社でもECサイトを作ろうとしている方はぜひ参考にしてください。
- Shopify
- Bカート
- アラジンEC
Shopify
「Shopify」は、BtoCだけではなくBtoBの利用にもおすすめです。
専門知識がなくてもECサイトの構築を簡単にできることが特徴であり、アメリカではAmazonに次いでShopifyが第2位のシェアを占めています。
ShopifyはAmazonやeBay、Instagram、Facebookといったチャネルとも連携でき、非常に使い勝手が良いのがメリットです。
また、機能性が高くショップのカスタマイズの自由度が高いため、自社独自のブランドイメージを創出することができます。
初期費用はかからず、ランニングコストも比較的安価であるため、まずはECサイトを試しに構築してみたいという企業におすすめです。
Bカート
「Bカート」はBtoB専門のクラウドサービスです。
BtoB専門というだけあって、掛売り決済などといった法人向けには必要不可欠な機能も搭載されており、toB製品を持つ企業のことをよく考えられているのが特徴といえます。
他にあるメリットとしては、顧客に応じて価格設定が柔軟に設定できることや、決済方法を指定できること、また事前にメッセージを設定しておけばお問い合わせに対して自動で返信してくれる機能があることです。
toBに特化した便利なシステムで安心して使いたい、という企業のニーズにはぴったりといえます。
アラジンEC
「アラジンEC」は受発注を自動化し、アナログで行っていたことを効率化、またそれだけではなく既存顧客の囲い込みまで行えることが特徴のカートシステムです。
既存顧客には専用のIDを割り当て、そのIDを使ってログインすることで「こんな商品もあるのか」と新しい購入機会を見つけてもらうことができます。
自社も取引先も使いやすい仕様になっており、かつアラジンECもBtoBに特化して作られているため、安心して利用することができるはずです。
まとめ|適切な事例を知ってECの運用を成功させよう
本記事ではBtoB ECサイトの成功事例だけではなく、BtoB ECサイトのメリット・デメリットまで詳しく紹介してきました。成功した事例にはどれも新しい挑戦や試みがあり、ユーザーファーストに作られたUIが特徴であることがお分かりになったかと思います。
また、メリットとデメリットも同時に把握することで、自社で実際にECサイトを構築する際の参考になることは間違いありません。
自社は本当にECサイトを導入するべきか、またしないべきかを慎重に判断することが重要です。
ただECサイトを準備すれば良いという訳ではなく、重要なのはその後にどのように運用していくかの体制を整え、実際に売上を上げていくことだといえます。
適切な成功事例を収集し、自社のECの運用を成功させましょう。