ECサイトのランニングコストとは?初期費用とコストを抑えるコツを解説

2023.06.16
EC開発
安藤 大海
ECサイトのランニングコストとは?初期費用とコストを抑えるコツを解説
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こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。

近年、スマートフォンが身近となり、日本企業がECサイトで商品販売しているのをよく目にします。
今後も、ECサイトでの販売需要が高まってくることが考えられ、これからECサイトを運営したいという方も多いのではないでしょうか?

「ECのランニングコストはどのくらいかかるの?」

「ECサイトを運営する際の注意点は?」

そこで、本記事ではECを運営するうえでかかるランニングコストから運営する際の注意点まで解説します。

目次

ECサイト運営ランニングコスト一覧

  • レンタルサーバー維持費
  • ドメイン代
  • SSLサーバー証明書
  • ASPカートシステム利用料 
  • CMS更新料
  • EC運営代行(外注の場合)

レンタルサーバー維持費

自社でサーバーを持たずにレンタルサーバーを契約するには、年間で500〜10,000円ほどの費用がかかります。
レンタルサーバー会社によって、プラン内容や費用が異なるので充実したサポートや高度なセキュリティを求める場合には年間で10,000円ほど必要です。

オンプレス(ITインフラ基盤を自社で保有すること)で自社専用のサーバーを構築する場合には、保守費用がかかり、構築費の10〜15%ほど必要になってきます。
オンプレミスは、サーバーの調達や構築までが必要になるので、すぐに導入できないのが難点です。

事業が小規模の場合やサーバーを手軽に用意したいということであれば、レンタルサーバーを利用するのがよいでしょう。
レンタルサーバーは、会社によって決められたプランを選択すれば利用容量や必要な機能を選択できます。

まずは、レンタルサーバーの契約をし、サイトのアクセス数などを見ながら必要に応じてプランを変更するといいでしょう。

ドメイン代

ドメインはインターネット上の住所を表し、ECサイトがインターネット上のどこにあるのかを認識するために利用します。
よく目にするような「.com」や「.jp」などが、ドメインにあたります。

すでに自社のホームページがある場合には、ECサイトを運営する際に新しいドメイン登録が必要です。
新規のドメイン登録や維持費は年間500〜6,000円ほどです。

現在、〇〇.comで登録している場合には、1つ目は無料ですが、2つ目は750円ほどかかります。維持費はおよそ1300円です。

ドメイン代は、登録する会社によって異なるので、複数の会社を比較して安く使いやすい会社でのドメイン登録でドメイン代を抑えましょう。

SSLサーバー証明書

SSLとはインターネット上でデータの暗号化をし、送受信する仕組みです。
独自SSLは、先述した独自ドメインに対して設定するSSLサーバーの証明書です。

独自SSLサーバー証明書は、無料でも利用できますが、有料のSSLは年間で12,000円から90,000円ほどかかります。
認証タイプやセキュリティ診断の有無により年間費用が変動するので注意が必要です。

SSLは無料版と有料版では暗号の強度は同程度ですが、サポートの有無が異なります。
有料SSLは、SSLの導入の際にお困りごとの問い合わせができますが、無料の場合はできないことがほとんどです。

また、マルウェア(悪意のあるプログラムやソフトウェアの総称)などのセキュリティ診断などの追加サービスを受けられる点も有料SSLの特徴です。

有料SSLの活用事例として、レンタルサーバー会社であるXserverで申込できる「SecureCoreドメイン認証SSL」は、年間15,400円から導入できます。
ECサイトでは、顧客の個人情報やクレジットカードなど取り扱い注意なものを扱っているので、サイトのSSL化は非常に重要になってきます。

第三者による不正アクセスによる個人情報漏洩にならないようにするためにもSSLサーバー証明書の導入は必須です。

ASPカートシステム利用料

ASPカートとは、ECサイトのショッピングカート機能システムです。
ユーザーが購入したい商品をカートにいれ、支払い方法を選び、注文確定までの一連のフローが行えます。

ASPカートのシステム利用料として、年間36,000〜120万円ほどかかります。
ASPカードシステム利用料は、契約したプランやサポート内容によって金額が異なります。

BASEのように無料で利用できるものもありますが、機能面・デザイン面の制限が多い点に注意が必要です。
社内でカートシステムを構築実装することも可能ですが、高度な専門知識と自社で対応できる人員も必要になるので、かなりコストがかさみます。また、外注する場合にも多額の費用がかかります。

ASPカートシステムの利用により、低コストで早い導入ができます。
例えば、e-shopsカートSのスタンダードプランでは、初期費用10,000円、月額費用3,500円で利用できます。
ASP会社により費用やサポート内容が異なるので、何社か比較検討してからの導入をおすすめします。

CMS更新料

ECサイト運営をCMSで行う場合には、有料のCMSには更新料が必要です。
提供先の企業にサポートを受け、ECサイトを構築運営したい企業には有料CMSがおすすめです。

WordPressのように無料CMSであれば、必要になるのはサーバー代とドメイン代のみになります。
有料のCMSを利用する場合は、更新料が年間10,000〜25,000円ほど必要です。

決済代行サービスの手数料

ECサイトでは、クレジットカード決済やコンビニ決済などを導入するために決済代行サービスを利用する場合があります。
決済代行サービスの利用には、年間で42,000〜96,000円かかり、決済手数料として売上の3〜5%を代行業社に支払う必要があります。

例えば、GMOイプシロン株式会社の決済代行サービスでは、クレジット決済、コンビニ決済に加えネット銀行決済など多様な方法での決済が可能です。
VISA・Masterなどのカード決済の場合は、 ​​月額手数料2,500円、決済手数料が3.6%〜が必要です。

決済代行サービスの手数料は、代行会社によって異なります。
複数社の代行サービスを比較検討してなるべく費用を抑えましょう。

携帯電話会社のキャリア決済やID決済などの多様な決済方法に対応したい場合には、GMOイプシロン株式会社がおすすめです。
クレジットカード決済と銀行決済のみで低コストで導入したい際は、PayPalが良いでしょう

EC運営代行(外注の場合)

ECサイトの運営が自社だけで行うのが困難な場合には、ECサイトの運営を代行する方法もあります。
費用は、72〜420万円と高額ですが、一般的な商品登録や受注発注、返品交換処理など商品管理から物流や顧客サポートまで一貫して任せることが可能です。

運営代行業者によっては、マーケティングやコンサルティングの支援などのサービスを受けられる場合もあります。
自社でECサイトを運営するよりも運営の負担が削減でき、企画や事業拡大などその他の業務に注力できるのが最大のメリットです。

ECサイト構築にかかる初期費用

ECサイト構築にかかる初期費用は、サイトの構築形態によって異なります。ECサイトの代表的な構築形態は、以下の通りです。

  • ECサイトモール
  • ECサイトパッケージ
  • ASP
  • オープンソース
  • フルスクラッチ

本章では、上記の構築形態ごとに初期費用を解説します。

ECサイトモール

ECモールとは、Amazonや楽天市場などのショッピングモールに自社のネットショップを開く方法です。
ECモールに出店登録するだけで、商品の販売が可能です。初期費用は、0円〜10万円です。

例えば、楽天市場を利用する場合には「がんばれ!プラン」を利用すると初期費用が6万円で登録可能商品数が5,000商品、画像容量500MBまでです。
ECモールを利用する際は、低コストで出店したい場合やモールの集客力を活用したい企業におすすめです。

しかし、ECモールのデザインや機能は運営会社側で制限されているので自社の希望にあったカスタマイズは難しいです。

ECサイトパッケージ

ECサイトパッケージとは、ECサイト構築に必要な機能がパッケージ化されている商品のことです。
初期費用は50万円〜です。ECパッケージ「ecbeing」のスタートアッププランの場合、初期費用49万からはじめられます。

ECパッケージは、短期間で他社と差別化したECサイトを構築したいという企業におすすめです。
ただ、ECパッケージは、サーバーにインストールするのが基本的なので定期的なアップデートが必要になります。
自社でできない場合にはEC運営代行業者に委託するのも1つの手です。

オープンソース

無料で公開済みのプログラムのソースコードを利用する方法です。
オープンソースを用いたECサイト構築には、無料〜数百万円の初期費用がかかります。

ECサイトの構築経験があるエンジニアが在籍しており、費用を抑えたうえで独自性があるECサイトを作成したい場合におすすめです。
プログラミングの知識がないと構築や運用が難しいので、その際はECサイトの制作を委託するのも一つの手です。

フルスクラッチ

フルスクラッチは、オリジナルのECサイト構築方法です。
初期費用は、500万円からと高額ですが自社の要望にあった独自のECサイトが構築できます。

また、他のシステムとの連携がしやすく、機能追加の制限がないのもおすすめなポイントです。
大規模なECサイトを構築したい方や独自機能やデザインを取り入れたい方には、フルスクラッチはぴったりの構築方法です。

ECサイト運営以外にかかるランニングコスト

ECサイトの運営には上記のランニングコストに加えて、以下のようなコストがかかります。

  • 配送費
  • 撮影・画像編集費
  • 資材梱包費

配送費

商品の発送は、ECサイトを運営している会社が自社で行う場合はほとんどありません。
実際に顧客に配送しているのは、ヤマト運輸や佐川急便、日本郵政などの配送業者です。

配送費は、荷物の大きさと重さによって変動します。
サイズが小さく薄いものであれば、メール便で1つ300〜400円ほどで送ることができます。
洋服やノートパソコンといった一般的な大きさの配送費は、1つ1000円ほどです。

ECサイト運営では、配送費をゼロにすることはできず、大きくて単価の安い商品は配送費と利益がミスマッチになる恐れがあります。
送料を考慮した上で、商品単価を決める必要もあるので配送費は正確に見積りましょう。

撮影・画像編集費

ECサイトで、顧客に画面を通じて商品を購入してもらうためには、商品ごとの詳細ページが必須です。
そこでは、実際の商品が想像できるように商品撮影をし、ECサイトに載せるための加工が生じます。

商品を魅力的に撮影するには、スマートフォンでも形状や色がイメージできるような撮影技術と加工技術が必要です。
自社で人員を割けない場合には、外注することになります。
撮影する商品の枚数や求めるレベルにもよりますが、1つの商品ごとに最低でも数千円から1万円程度はかかります。

資材梱包費

ECサイトの商品を発送する際には、梱包が必要になります。
その場合には、段ボール箱や封筒、商品が傷つかないようにするための緩衝材などが必要です。

材質や大きさによって異なりますが、ダンボール箱は1つ50〜100円程度を見込んでおきましょう。
封筒でも十分な耐性のあるものは数十円です。

洋服などの布製品や本など比較的衝撃に強い商品であれば、緩衝材は紙製のものでも問題ありません。
しかし、食器や電気機器など衝撃に弱く壊れやすいものは空気の入った緩衝材が必要です。

資材梱包費は配送費と同様に、商品が売れるごとにかかってくる費用のため、変動費として予算化しておくと良いです。

人件費

ECサイトの運営には、かなりの人手が必要になります。
一般的な商品でも、商品を選別し梱包、発送するのに1時間に100個が限界です。

自社のECサイトの売れ行きから注文数を予測し、人員を適切に配置しなければ余計なコストがかかってしまいます。
商品の保管から梱包や発送作業まで一貫して行ってくれる代行サービスもありますが、外注費として1商品100円〜200円程度が必要です。

発送作業と同じくして、コールセンターの外注化も検討するべきでしょう。
自社で担当者を置く場合には、通信機器の導入費や維持費やコールセンター用の場所代なども含めると月間30〜50万円程度が必要です。

外注する場合には、コールセンターの委託費として電話1件ごとに100〜200円ほどがかかってきます。
抱える顧客数や問い合わせの数などによって自社で用意するか外注するか決めましょう。

ランニングコストはECサイトの構築方法で違う

  • ECモールによるECサイト構築
  • ECパッケージによるECサイト構築
  • ASPカートによるECサイト構築
  • オープンソース(EC-CUBE)によるECサイト構築
  • フルスクラッチによるECサイト構築

本章では、ECサイトの構築方法別のランニングコストを解説します。

ECモールによるECサイト構築

先ほど紹介したようにECモールとは、Amazonや楽天市場などのモールでの出店方法です。
ECモールは手軽に商品販売ができるので人気ですが、手数料が他のECサイトの構築方法に比べて高くなります。

楽天市場でECモールの出店をする場合には、「出店料」から「システム利用料」「楽天ペイ利用料」などが必要です。

ECパッケージによるECサイト構築

ECパッケージは、はじめからECサイトに必要な機能が備わっていて、カスタマイズが柔軟にできるのが特徴です。

一方で、初期費用とランニングコストが高いのがデメリットでもあります。

よほど、ECパッケージの構築方法にこだわりたい特別な理由がない場合は、あまりECパッケージでの構築は行いません。

ASPカートによるECサイト構築

ASPカートは、既にカートシステムが構築されているので月額数千円から数万円で簡単にECサイトの構築ができます。
初期費用も安く抑えられるため、小規模や中規模のの事業者には非常に人気のある構築方法です。

オープンソース(EC-CUBE)によるECサイト構築

無償で公開されているプログラム「ソースコード」をオープンソースと言います。
EC-CUBEが代表的で、初期費用、ランニングコストがかからないのが魅力的です。

しかし、ECサイトの構築には専門的知識が必要なため、構築の難易度が高いのがデメリットです。
また、セキュリティ対策は初期の状態では備わっていないため、不具合が起きた際にサポートが受けられない可能性がある点にも注意しましょう。

フルスクラッチによるECサイト構築

フルスクラッチは、ゼロベースからオリジナルのECサイトを構築する方法です。
ASPカートのように、カートシステムがはじめから構築されていないので初期費用が他の構築方法よりもかかります。

ランニングコストが安く抑えられるので、長い目で見ればおすすめな構築方法です。
オリジナルのECサイトを構築したい方はフルスクラッチでの構築を検討してみましょう。

EC運営のランニングコストを抑えるコツ

ECサイトを運営するうえではランニングコスト抑えるコツをご紹介します。

自社商品や市場規模、担当者にあったECサイトのシステム構築をする

運営するECサイトによって特徴があるので、自社の担当者にシステム構築をする必要があります
「商品の種類が多く、入れ替わりが激しいため商品管理に時間を取られる」「商品は固定でリピート客が多いが、顧客重視なため顧客対応に追われる」などビジネスモデルによっても変わってきます。

運営の担当人数やECサイト運営にかけられる時間によってできることの幅が変わります。

これらのECサイトにあった商品特性にあった方法でのシステム構築方法を選ぶ必要があります。
十分に検討したうえで、ECサイトの導入をしましょう。

ECサイトに必要な機能とランニングコストを精査する

効率的にECサイトを運営するためには、必要な機能とランニングコストを精査する必要があります
ECサイトの導入時に、構築の初期費用が少なくすむという理由だけで構築方法を決めてしまうと運営開始後に必要な機能が不足する事態に陥るケースがあります。

余計なコストや時間がかかるため、構築前に必要な機能を精査し、あとで追加オプションを使うことのないようにしましょう。

情報収集を徹底的に行う

ECサイトやインターネット業界では、日々の目まぐるしい動向についていけず、ECサイトをアップデートできていないケースも少なくありません。
特にECサイトに注力できるだけの人員を割けない企業だったり、EC担当者が他の業務を兼任をしたりする場合などでよく発生します。

EC業界は、技術の進化や社会のトレンドによって変化する非常に流れが早い分野の1つです。
そのため、常に新しい情報を収集することを意識していかなければなりません。

ASPなどを利用してECサイトを運営している場合には、EC自体のアップデートも必要になるので注意しましょう。
日々の業務をこなすことも重要ですが、ECサイトを運営するうえでは世の中の最新情報に常に目を光らせる時間も必要です。

ECサイトのランニングコストを把握し効率的な運営を

構築方法は、自社にあった機能やデザイン性など運営しやすいものをおすすめします。
初期費用やランニングコストがかかりますが、必要なランニングコストの精査がです。
無駄なコストをかけず、効率的なECサイトの運営をしていきましょう。

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この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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