保育ICTシステムを構築する手順とは?費用相場や成功の秘訣を紹介
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
「保育ICTシステムの構築手順が知りたい」
「保育ICTシステムの構築には、どれくらいの費用がかかるの?」
上記のようにお考えではありませんか?
保育園のICT化を考えているけど、「難しそう」「お金がかかりそう」と身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では「ICTでシステム化する手順」「費用相場」「成功させるポイント」について解説します。
最後までお読みいただくことで、保育園のICT化に対する不安が解消されるでしょう。
Wakka.Incではシステム構築の支援をしています。
経験豊富なエンジニアが複数在籍していますので、システム開発のちょっとした疑問から お見積もり依頼まで、お気軽にお問合わせください。
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ICTシステムとは
ICTとは「Information and Communication Technology」の略称で、ネットワークを介して情報や知識を共有する技術のことです。
身近な例としては、SNS上でのコメントのやり取り。チャットを利用した人同士のコミュニケーションもICTの活用事例に該当します。
このICT技術を利用したシステムが、ICTシステムです。
ここでは、ICTと似た言葉として知られる「IT」や「IoT」と合わせて解説します。
ICTシステムの具体的なイメージをつかみましょう。
ICTとIT・IoTとの違いは?
ICT・IT・IoTについて、それぞれの特徴を表にまとめました。
IT | ICT | IoT | |
技術 | 情報技術そのもの | 通信技術を利用して人と人とをつなげる技術 | インターネットを介してモノとモノがつながる技術 |
活用事例 | パソコン、ソフトウェア、OS、スマホなど | SNS、チャット、オンライン授業、Web会議など | スマート家電、自動運転、ウェアラブルデバイスなど |
ICTは、ITと同じ意味で使われがちですが、IT技術を利用して「情報や知識の共有」に特化した技術です。
教育現場で教科書の代わりにタブレットを使用した授業や、医療・介護現場で使用する「電子カルテ」や「情報共有アプリ」、Web会議に利用するアプリなども全てICTシステムと呼ばれます。
そして近年増加傾向にあるのが、保育園へのICTシステムの導入です。
ここからは、保育ICTシステムについて解説します。
保育ICTシステムを構築する3つのメリット
近年、保育士の人材不足を解消するため、保育園に対する保育ICTシステムの構築が注目を集めています。
保育ICTシステムとは、保育園や保育士の業務負担を軽減して効率化できるシステムです。
ここでは、保育ICTシステムを構築する3つのメリットを紹介します。
- 保育園や保育士の作業負担が軽減
- 保育士と保護者間の情報伝達が円滑化
- 保育園のサービス改善
1つずつ説明します。
保育園や保育士の作業負担が軽減
保育ICTシステムを構築する1つ目のメリットは、保育園や保育士の作業負担が軽減されることです。
園内ではさまざまな事務作業が発生しますが、これまでは手書きで記録したり類似書類へ転記したり、場合によっては計算や集計作業まで必要になることもありました。
保育ICTシステムを構築すると、隙間時間にスマホを使用した作業が可能になりますし、連携が必要な項目はシステムが自動で対応してくれるため転記の手間も無くなります。
もちろん、集計作業も自動化されるため、計算ミスの心配もありません。
園児の登降園に関しても、ICカードで管理してシステムに取り込めるため、延長保育の計算まで自動化されます。
園内の情報が一元管理されるため、常に最新の情報を取り出せるのも安心材料です。
作業負担の軽減は、保育ICTシステムを構築する1番のメリットと言えるのではないでしょうか。
保育士と保護者間の情報伝達が円滑化
保育ICTシステムを構築する2つ目のメリットは、保育士と保護者間の情報伝達が円滑化されることです。
保護者は欠席や遅刻の連絡をスマホのアプリから行えるため、保育園へ電話連絡する時間帯を気にする必要がなくなります。
例えば、前日にインフルエンザの陽性診断を受けた場合、当日夜遅くてもアプリから欠席申請をすればよいのです。
保育園側としても、朝の電話対応や保育士同士の伝達負担が減るのは大きなメリットといえるでしょう。
保護者あてのお知らせもアプリから一斉送信することによって、印刷や配布の手間、紛失問題がなくなり保護者側も好きなタイミングで確認できます。
また、全職員が一元化されたシステムを参照できるので、アレルギーの有無など園児に関する情報の伝達もれが防止できるのも安心材料です。
保育園のサービス改善
保育ICTシステムを構築する3つ目のメリットは、保育園のサービス改善につながることです。
ここでは、「写真販売のシステム化」について説明します。
保育園の写真販売といえば、園内に掲示された写真の番号を見て封筒に番号を記入後、お金を入れて提出するのが通常でした。
しかし、保育ICTシステムを利用すると、保護者はアプリ上で写真を選んで購入まで行えます。
保育園側としても膨大な数の写真を印刷して採番や掲示する作業負担、保護者から集めたお金の確認をするといった手間が削減されますし、保護者側も番号の記載ミスが防げるのは大きなメリットです。
このように、保育ICTシステムを構築すると、保育士だけでなく保護者にも多くのメリットがあります。
ICTでシステム化する手順
それでは、ICTでシステム化する手順を、5つのSTEPで解説します。
- 計画の立案を行う
- 業務フローを再確認する
- システムを利用する全関係者へ説明する
- システムを利用するスタッフへの研修を実施する
- システム構築効果を検証して改善する
それぞれ解説します。
【STEP1】計画の立案を行う
ICTを構築するにあたっては、計画の立案が重要です。
いきなりICTシステムを構築して「はい、どうぞ使ってください」では、確実に現場は混乱するでしょう。
まず、ICTシステムを構築すると業務フローが変わるため、保育士に対しての説明が必要です。
さらに、保育園を利用する全ての関係者がこれまでに行ってきたことにも、変化があります。
したがって、保護者を含めた関係者全体への説明や利用者への研修も実施しなければなりません。
これらの内容を無理なく進められるように、計画を立案しましょう。
【STEP2】業務フローを再確認する
計画を立てたら、業務フローを再確認しましょう。
先述したように、ICTシステムを構築すると業務フローが変わるはずです。
これまで手書きで行っていた業務を、パソコンやタブレット・スマホから行える場合もあります。
保護者あてに紙で作成していたお知らせを、アプリの機能を利用して一斉送信するような変更もあるでしょう。
保護者であれば、これまでに電話連絡していた内容をアプリから申請する操作が必要になります。
ICTシステムの導入が、保育士や保護者に対してどう影響するのかをあらかじめ整理しておけば、導入前の説明もスムーズに行えるでしょう。
【STEP3】システムを利用する全関係者へ説明する
業務フローの見直しまで終わったら、次は関係者全体への説明を行います。
保育園内関係者や保育士はもちろん、保護者に対しての説明も必要です。
保育ICTシステムは、保育士や保護者の負担を減らすことが目的で導入されますが、説明が不十分だと導入後に苦情を受ける可能性があります。
ICTシステムの構築によってどのような変化があるのか、目的や構築のスケジュールと一緒にしっかり説明しましょう。
このSTEPでは、ICTシステムを利用する全ての方に安心してもらうのが目的です。
【STEP4】システムを利用するスタッフへの研修を実施する
関係者への説明の後は、システムを利用する保育士や園関係者への研修を実施します。
なかには、ICTシステムの操作に不慣れな方もいるでしょう。
そのような方にむけて「操作マニュアル」を作成するのもおすすめです。
園関係者向けの研修がある程度進んだら、保護者向けにテストメールを送信し、テスト投稿をしてもらうのもよいでしょう。
これは保護者にも、ICTシステムの雰囲気や操作感に慣れてもらう必要があるからです。
【STEP5】システム構築効果を検証して改善する
最後は、ICTシステムを構築した後に行う効果の検証と改善です。
ICTシステムの構築によって、どの程度の効果が得られたのか、または不満の声が挙がっていないか検証しましょう。
不満の声が挙がっている場合には、その理由についてよく検討して改善する必要があります。
使い方に問題がある場合には「マニュアルの整備や説明会」の必要がありますし、システムに問題がある場合には「システムの改修」も視野に入れる必要があるでしょう。
全ての現場に対して、完全にマッチするシステムは存在しません。
現場の声に合わせて、可能ならばシステムを改修することによって、より最適なICTシステムにしていきましょう。
保育ICTシステムの費用相場
保育ICTシステムを構築するにあたって、コストを懸念する保育園経営者の方も多いことでしょう。
ここでは、保育ICTシステムの構築に必要な費用の相場について解説します。
初期費用 | 0円〜30,000円 |
月額基本使用料 | 5,000円+(アカウント数・オプション等) |
保育ICTシステムの構築には、契約の際に必要となる「初期費用」と、継続的に発生する「月額基本使用料」が必要です。
初期費用は無料としているシステムもありますが「0円~30,000円」が平均的な相場となっています。
ただし、園内にICTシステムを利用するためのパソコン・タブレットなどの機器やインターネットの接続環境が備わっていない場合には、別途費用が必要です。
次に、月額基本料金の平均的な相場としては、5,000円前後になるでしょう。
全ての機能が基本機能に含まれるシステムもあれば、別途オプションとしての選択が必要なシステムもあります。
その場合には追加料金が必要です。
管理できる園児の人数によって基本料金が変動するシステムもあります。
一般的な相場を紹介しましたが、実際には複数社で相見積もりして比較するのがおすすめです。
ICT化推進補助金の利用
2016年度、厚生労働省より「保育園等におけるICT化の推進」についての補助金の実施が発表されました。
保育園内にICTシステムを構築することによって、保育士の業務負担を軽減すること、保護者にとって必要な情報をもれなく伝えることを目的として開始された補助金事業です。
補助額の上限は1施設につき100万円で、総事業費の1/2を国が、1/4を市区町村が負担します。
したがって、事業者は総事業費の1/4が負担額です。
さらに令和5年度概算要求では、システムの更新にかかる費用の一部を1施設当たり20万円として補助するような拡充策も挙がっています。
出典:(令和5年度)保育関係予算概算要求(P32)
また、ICT化推進事業による補助金制度を独自に用意する自治体もあるので、お住まいの市役所に問い合わせてみましょう。
DX進め方ガイドブック
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保育ICTシステムを成功させるポイント
ここでは、保育ICTシステムを成功させるポイントを3つ紹介します。
- システム構築の目的を具体化する
- 園に最適な動作環境を整える
- システム構築前から保護者への周知を徹底する
それぞれ確認していきましょう。
システム構築の目的を具体化する
1つ目のポイントは「システム構築の目的を具体化する」です。
本来の目的が定まらないのに構築だけを進めてしまうと、園には不要なシステムを選択してしまうことになり、「結局使われなかった」「余計に手間が増えた」などの苦情の原因となります。
保育ICTシステムを構築する目的は大きく分類すると、「業務負担の軽減」と「コミュニケーションの改善」の2つになるでしょう。
この2つから、改善したい問題を細分化していき、その問題を解決するためにどのような機能があればよいのかまで掘り下げます。
ここまで具体化すれば、システムの選定に失敗する可能性もかなり下がるはずです。
まずは目的を具体化しましょう。
園に最適な動作環境を整える
2つ目のポイントは「園に最適な動作環境を整える」です。
保育ICTシステムを構築しても、それを動かすパソコンやタブレット、Wi-Fiの環境が整っていなければ何も改善できません。
システムを動作させるために使用するパソコンやタブレットは、構築するシステムや利用シーンに合わせて、最適な台数を用意しましょう。
普段使い慣れたスマホで動作するシステムであれば、保育士が隙間時間に作業が可能になりますし、パソコンが苦手な職員からも積極的な利用が期待できます。
ICTシステムを選定する際に、スマホによる操作が可能かどうかも判断材料に加えるとよいでしょう。
システム構築前から保護者への周知を徹底する
3つ目のポイントは「システム構築前から保護者への周知を徹底する」です。
保育ICTシステムは、保育士だけでなく保護者も利用します。
メリットの多い保育ICTシステムですが、利用する保護者の中には「手書きのお便りの方がよかった」「操作がむずかしい」と感じる方も少なくはありません。
事前の説明では、保育ICTシステムを構築するメリットをしっかりと伝え、操作方法を記載した資料も充実させる必要があります。
システムが稼働してからの問い合わせは極力減らしたいので、質疑応答の機会も設置しましょう。
まとめ|保育ICTシステムを導入して業務効率化を図ろう
この記事では、保育ICTシステムの構築手順や費用の相場、成功のためのポイントついて解説しました。
保育ICTシステムは、保育園や保育士の業務負担を軽減して効率化できるシステムです。
保育士と保護者のコミュニケーションも取りやすくなり、園と保護者の双方にメリットをもたらしてくれます。
保育ICTシステムの構築には、国や自治体からの補助金を利用できる場合もあります。
構築予定のシステムが補助金の対象になる場合には、積極的に利用していきましょう。
この機会に、保育園の運用に合った保育ICTシステムの構築を検討してみてください。
きっと、業務が効率化されるはずです!
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