UAT(受け入れテスト)とは?目的・進め方などについて解説

最終更新日:2024.10.29
DX・システム開発
Wakka Inc. メディア編集部
UAT(受け入れテスト)とは?目的・進め方などについて解説
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こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

システム開発では、重要なプロセスが多くあります。
特に受け入れテストであるUAT(User Acceptance Test)は、システムのエラーや不具合の有無を確認するうえで不可欠な作業であり、最終的な品質を左右する取り組みです。

しかし、UATにはさまざまな種類があり、適切に実施するうえで注意すべきポイントもあります。
より有意義なUATを実施するためにも、その目的や進め方を必ず把握しましょう。

本記事では、UATを実施する目的や進め方などについて解説します。
スムーズなシステム開発を実現するためにも、ぜひ参考にしてください。

目次

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UAT(受け入れテスト)とは

UATとは、システム開発の終盤(稼働前・納品前)に実施する検証作業です。
システムの稼働・運用に際し、重大な不具合がないかを見極めるうえで、UATは不可欠なプロセスです。

なお、一般的にUATは「受け入れテスト」と訳されますが、「ユーザー受け入れテスト」「承認テスト」「運用テスト」「検証テスト」など、別の呼び方をする場合があります。

UATはシステム開発のテストの最終段階に位置づけられるテストです。
UATは以下のテストを完了した後に実施されます。

単体テスト(コンポーネントテスト・ユニットテスト)初期段階で実施されるテストソフトウェアを構成する最小単位で適切に機能するか確認する
結合テストコンポーネントやシステムを組み合わせたうえで適切に機能するか確認する
総合テストシステムの内容が要件定義と合致しているか・運用や保守管理に問題がないか確認する

UATを含めた上記のテストを完了して、初めてシステム開発はリリースを実行できます。

UAT(受け入れテスト)を実施する目的

一般的に、UATは「稼働前・納品前に潜在的な欠陥はないか」「求められている要件を満たしているか」を確認することを目的に実施されます。

システム開発におけるUATは、最終的なテスト工程に位置付けられるものです。
そのため、UATが不十分だと、稼働後・納品後に致命的な欠陥や深刻な不具合が見つかるリスクが高まります。

UATはシステムの品質を保証し、ユーザーからの信頼損失を防ぐために不可欠なプロセスです。
企業は適切な手順でUATを実施し、リスクや不具合を最大限除去しなければなりません。

UAT(受け入れテスト)の種類

UATは、検証する内容によっていくつかの種類に分けられます。
本章では、以下の種類のUATについて解説します。

  • ユーザー受け入れテスト
  • 工場受け入れテスト
  • サイト受け入れテスト
  • 運用受け入れテスト
  • 契約・規制による受け入れテスト
  • アルファテスト・ベータテスト

それぞれのテストの内容を適切に理解しましょう。

ユーザー受け入れテスト

ユーザー受け入れテストとは、システムの使用者であるユーザーの目線に立って実施するテストです。
「ユーザーニーズや要件を満たしているか」をチェックするために実施されます。

また、ユーザー受け入れテストでは、システムの使用感も重要な検証項目です。
「ユーザーがスムーズに操作できる仕様か」「エラーが発生した場合に適切な誘導ができるか」など、ユーザビリティに関わる部分も入念に検証する必要があります。

工場受け入れテスト

工場受け入れテスト(FAT)とは、供給者が工場で実施するテストであり、システムやコンポーネントが契約や要件を満たしているか確認するテストです。
これにはハードウェアやソフトウェアの動作確認も含まれます。

工場受け入れテストは、システムのソフトウェアだけでなく、ハードウェアの要件を確認するためにも実施されるテストです。
ハードウェアは複雑な機構が組み込まれているほど、エラーを誘発するリスクが高まります。

工場受け入れテストを入念に実施することで、リスクを効果的に軽減できます。

サイト受け入れテスト

サイト受け入れテストとは、開発したコンポーネントやシステムを顧客やユーザーが自身のサイトに受け入れる形で実施する受け入れテストです。

サイト受け入れテストも、ソフトウェアとハードウェアの両方をチェックする点が特徴です。
顧客やユーザーのニーズ・ビジネスプロセスと適合しているかを確認します。

運用受け入れテスト

運用受け入れテストは、ユーザーではなく、システムを運用する側の視点で行われるテストです。
開発したソフトウェアが円滑に運用できるかを確認するために実施されます。

また、「性能が実運用に耐えられるか」「エラーが発生しても適切に対応できるか」「仕様書・要件定義書通りに稼働するか」なども運用受け入れテストのチェック項目です。
運用面の検証は、運用者はもちろん、顧客やユーザーの満足度を向上させるうえで欠かせないプロセスです。

契約・規制による受け入れテスト

契約・規制による受け入れテストとは、顧客との契約や各種法規制に基づいてシステムに問題がないかを確認するためのテストです。
契約による受け入れテストでは、顧客と交わした契約内容とシステムに相違がないかを確認します。

一方、規制による受け入れテストは、各種法規制と照合し、安全面やコンプライアンス上の問題がないかをチェックします。
契約・規制による受け入れテストは、専門的な知識を持つ第三者によって実施されるケースが少なくありません。

アルファテスト・ベータテスト

アルファテスト・ベータテストは、実際にユーザーや運用者がシステムを利用し、フィードバックを得るために行われるテストです。
フィードバックを得ることで、リリースに向けてさらに改良を進められます。

アルファテストは、開発チーム内部や一部の限られたユーザーによって実施され、製品の初期バージョンを確認します。
一方、ベータテストは、実際のユーザーや運用者にシステムを使ってもらい、リリース前に広範なフィードバックを得るためのテストです。

アルファテストとベータテストは一見似たものに見えますが、実施者が異なる点に注意しましょう。

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UAT(受け入れテスト)の進め方

UATの進め方は以下の通りです。

  • テストの目的と範囲を明確にする
  • テストのシナリオを作成する
  • テストの環境を構築する
  • テストを実施する

UATは進め方によって効率性や効果が大きく左右されます。
適切なプロセスを知り、スムーズに進められるようにしましょう。

テストの目的と範囲を明確にする

UATで最初に実施することは、テストの目的と範囲の明確化です。
このプロセスでは、以下の事項を決定します。

  • テストする内容
  • テストの方法
  • テストする内容の優先順位
  • テストのスケジュール

テスト範囲の計画は、今後のプロセスを左右する重要な取り組みです。

テスト範囲が不明確だと無駄なタスクが発生しやすくなり、UATをスムーズに進められません。
余計なコストが発生したり、過剰な労力・時間をかけてしまう結果になるので注意しましょう。

テストのシナリオを作成する

次にテストの対象・UATを実施する範囲・スケジュール・検証項目などを網羅したシナリオを作成します。
シナリオを作成する際は、テストの内容を明記したテストケースも作成しましょう。

テストシナリオはなるべく具体的に作成することが重要です。
プロセスを具体化することで、スムーズにテストを進められます。

以下にシナリオの記載例を記載するので、参考にしてください。

工程No.項目テストシナリオ結果実施日担当者備考
ユーザー登録1ユーザー登録機能ユーザーを問題なく登録できるか10/18〇〇
ユーザー登録2ユーザー削除機能ユーザーを問題なく削除できるか×10/19△△
業務フロー3業務フロー(商品登録)商品情報を問題なく登録できるか10/19〇〇
業務フロー4業務フロー(仕入れ)仕入れ情報を問題なく登録できるか10/19〇〇
業務フロー5業務フロー(売上)売上情報を問題なく登録できるか10/19〇〇

シナリオの書式は企業によって異なるので、自社のテスト方式に合ったものを選びましょう。

テストの環境を構築する

シナリオを作成したら、テスト内容に合わせて環境を構築しましょう。
検証方法や検証項目によって環境のディテールは変わりますが、基本的には実運用を想定した環境を構築する必要があります。
実運用に極力近い環境でなければ、リリース後に生じる可能性のあるリスクを把握できないためです。

なお、受け入れテストはシステムの構造や開発プロセスを理解している従業員が実施する必要があります。
システムに対する理解が浅いメンバーでは、適切な検証ができません。

テストを実施する

準備が完了したら、いよいよ受け入れテストを実施します。

シナリオに応じて検証を進め、結果を詳細に記録しましょう。
万が一リスクや問題を発見した場合は、具体的な内容と影響を記録します。

さらに成功・失敗を含めたテスト結果をそれぞれ記録し、比較できるようにしましょう。
リスクや問題の原因を把握できたら修正を行い、再度テストを実施します。

UAT(受け入れテスト)の課題と成功させるポイント

UATを成功させるなら、以下のポイントを意識しましょう。

  • 優先順位を必ず決める
  • シナリオに沿って進める
  • 実際の環境・データを使う
  • 合否基準を明確にする
  • プロジェクトの遅延に注意する
  • 連携するシステムも確認する

いずれも、UATの効率化やコスト削減につながるものです。
効果的にテストを行うためにも、必ずチェックしましょう。

優先順位を必ず決める

UATを実施する際は、検証項目の重要度に応じてテストの優先順位を決めましょう。

一般的にUATはプロジェクトの最終段階で実施するため、スケジュールに余裕がないケースは珍しくありません。
状況によっては、システムの全機能を検証する時間を確保できない場合もあります。

重要性が高い機能を確実にチェックすれば、システムの致命的なエラーを防ぎやすくなります。
優先順位を決めていない状態で受け入れテストを行うと、基幹機能の不具合を見落としかねません。

システムの品質を担保するためにも、重要度が高い項目は優先的に検証しましょう。
特にシステムの中核を担う機能や、仕様変更した機能は優先的に検証する必要があります。

シナリオに沿って進める

UATはシナリオに沿って進めることが重要です。

UATは限られたスケジュールで実施するため、効率的に進行しなければなりません。
突発的に検証項目を増やしたり、検証に過度な時間をかけたりすると、スケジュールが狂い、受け入れテストが不徹底になる恐れがあります。

また、UATの進行が遅れると、その分人件費などのコストが増加します。
シナリオに沿って進めることは、無駄なプロセスをなくし、コストを削減するうえで不可欠な取り組みです。

実際の環境・データを使う

システムを検証する際は、必ず実運用を想定した環境・データを利用しましょう。

実運用を想定した環境・データでテストを行わないと、リリース後に潜在的なリスクが顕在化することがあります。たとえば、負荷テストやセキュリティテストにおいては、実際のデータ量や運用環境に近い条件でテストすることで、リリース後に予期しない問題が発生するのを防止できます。

擬似データの利用が前提となる開発環境で検証しても、正しい結果は得られません。
正確に検証するためにも、UATでは実際の環境・データを利用して検証を行いましょう。

合否基準を明確にする

UATの結果を評価する際は、明確な合否基準を設定しましょう。
合否基準が曖昧だと、テスト結果に一貫性がなくなってしまい正確な検証ができません。

合否基準は主観的な評価ではなく、要件定義書に基づいた客観的な評価ができるように設定しましょう。
開発の目標や数値化したデータなどを用意し、複数の基準を設定すれば、より有意義なUATが実践できます。

プロジェクトの遅延に注意する

UATは性質上、プロジェクトの最終フェーズで実施されるものです。
そのため、プロジェクトのスケジュールが遅延しているとその影響を受けるリスクが高まります。

スケジュールが遅延している状況でUATを実施すれば、十分な検証ができず、リスクを放置する結果になりかねません。
UATを実施する際は、優先順位を意識するだけでなく、効率的かつスピーディーに実施できる体制を構築しましょう。

必要に応じて、UATを専門家に外注する方法も効果的です。
経験豊富なプロフェッショナルに任せることで、スムーズかつ効果的なUATを実践できます。

連携するシステムも確認する

UATを実施する際は、連携するシステムも確認しましょう。

特にシステムの仕様変更を行う際は、開発者が仕様の変更作業に気を取られてしまい、連携するシステムへの配慮がおろそかになる場合があります。
万が一連携するシステムのリスクを見落とすと、リリース後に重大なエラーが発生する事態になりかねません。

仕様変更を行う際は、連携するシステムも確認し、想定通りの動作を行っているか必ずチェックしましょう。
もちろん、通常の開発においても、連携するシステムの確認は不可欠です。

UAT(受け入れテスト)でプロジェクトの成功率を向上させよう

UATは稼働前・納品前にシステムの最終的な検証を実施するプロセスです。
システムに致命的なエラーがなく、求められている要件を満たしているかを確認するため、UATは適切に実施されなければなりません。

UATの正しい進め方や意識すべきポイントを理解することは、UATの効果や効率性の向上につながります。

また、有意義なUATを実施すれば、プロジェクトの成功率向上が期待できます。
自社の信頼を守るためにも、UATは適切な手順で取り組みましょう。

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