ベトナムで会社設立をするには?気になる資本金、費用、流れを解説


こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
ベトナムは自由貿易や外資の呼び込みを行い、現在では高水準の成長率を誇る魅力的な市場です。
「ベトナムで会社設立する手順を知りたい」
「ベトナムに会社を設立する際の注意点を知りたい」
ベトナム進出を検討する企業の皆さまの中には、上記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ベトナム進出の具体的な手順から、期間、必要書類まで解説します。
ベトナムに進出して、海外拠点からグローバルに活動を行って収益を増やしたい方は、ぜひ本記事を参考になさってください。
Wakka Inc.では、ベトナムでの法人設立の支援をしています。
ベトナム法人設立における基本STEPや人材採用の基本手法について知りたい方は「ベトナム法人設立マニュアル」をご覧ください。
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ベトナム法人設立マニュアル
ベトナムにグローバル開発拠点設立を予定している方や、
日本企業がベトナムに進出する際の事業形態

ベトナムへ進出する際には複数の事業形態があるため、自社にとって適した選択をする必要があります。
日本企業がベトナムへ進出する際には法人形態を選ぶ企業が多いものの、活動内容や業種によってその他の選択肢も有効な場合があります。
具体的に主な事業形態は次の4つです。
| 現地法人 | 支店 | 駐在員事務所 | GEO | |
| 営業行為の可否 | ⚪︎ | ⚪︎ | × | ⚪︎ | 
| 日本本社の法的責任 | なし | あり | あり | あり | 
| 対象業種 | すべての業種 | 金融業・士業など一部の業種 | すべての業種 | 実店舗を除くすべての業種 | 
| 本社への損金参入 | × | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | 
| 現地での決算 | 必要 | 必要 | 必要 | 不要 | 
| 撤退時の清算手続き | 法人清算 | 支店清算 | 駐在員事務所精算 | 不要 | 
参照:投資法・企業法に基づくベトナム拠点設立マニュアル|JETRO
本章では上記4形態について、それぞれの特徴を紹介します。
現地法人
日本企業がベトナムに進出する際には複数の形態が考えられますが、その中でも代表的なのが現地法人の設立です。
現地法人を設立することで、経営権を自社で完全に保持でき、事業を自由に展開することが可能となります。
さらに、中長期的な視点でベトナム市場に参入する場合にも適した選択肢といえます。
なお、現地法人は出資者の数によって形態が異なり、次のように分類されます。
1. 有限責任会社LLC:出資者が1名の場合
出資者が1名のみの場合に選択される有限責任会社の設立形態です。
経営は出資者本人、もしくは委任を受けた代表者が担います。
設立主体は個人・法人いずれでも可能ですが、日本法人が出資者となる場合は外資比率が100%となり、自動的に子会社として扱われます。
2. 有限責任会社LLC:出資者が2名以上の場合
日本企業がベトナムに進出する際、よく選択されている方法です。
特に、外資規制により出資比率が定められている分野では、現地企業やパートナーとの合弁による設立が一般的です。
このような規定に対応するため、日本側と現地側の出資者が参加し、複数名で会社を設立するケースが多く見られます。
3. 株式会社:出資者は3名以上
株式会社は、有限責任会社と比較すると管理・運営コストが高く、出資者間の意思決定に時間を要する傾向があります。
さらに、設立には3名以上の出資者が必要となることから、日本の中小企業がベトナム進出時にこの形態を選択するケースはごく少数にとどまります。
参照:ベトナム 企業法|法務省
支店
支店は、現地法人と同様に幅広い事業活動が可能で、制約を受けにくい点が特徴です。
一方で、設立が認められるのは金融業や士業など一部の分野に限られており、業種によっては利用できない制約があります。
そのため、多くの日本企業にとっては選択肢となりにくい事業形態といえます。
参照:投資法・企業法に基づくベトナム拠点設立マニュアル|JETRO
駐在員事務所
法人設立に次いで利用される形態が駐在員事務所です。
設立コストが比較的低く、手続きも簡便ですが、事業登録後は1年以上継続して活動することが求められます。
また、駐在員事務所の機能は限定的で、本社との連絡や契約内容の管理、提携業務の補助などに限られます。
こうした制約はあるものの、将来的に法人化へ移行することも可能です。
GEO
GEOは、日本企業に代わり、現地での雇用や各種手続きを包括的にサポートするサービスです。
欧米では既に幅広く導入されており、日本国内でもコロナ禍を契機に利用が拡大しています。
煩雑なバックオフィス業務を委託できるため、事業立ち上げのスピードを確保しつつ、企業は中核業務に集中できる点が大きなメリットです。
この仕組みを活用すれば、現地に法人を設けずとも人材を確保し、事業を展開することが可能となります。
一方で、事業規模の拡大や柔軟な経営基盤が求められる段階では、現地法人の設立を併せて検討することが望ましいでしょう。
ベトナムで会社設立の流れ

ベトナムで会社設立するには多くの手順が必要であるため、煩雑に感じる方も多いです。
具体的に必要な手順は次の通りです。
- ビジネス環境の事前調査
 - ビジネス計画の立案
 - 事業パートナーの選定
 - 予算の確保と資金計画
 - 会社形態の選択
 
上記すべての手順を終えるには、約数カ月から半年ほどを要するため、計画的に取り掛かりましょう。
ビジネス環境の事前調査
はじめに、ベトナムの規制に関する調査を行いましょう。
外資規制によって禁止されている分野や、外資100%が認められていない業種を洗い出し、自社ビジネスと照らし合わせるためです。
保険業や銀行業などのように法定資本金が決まっているケースもあります。
出資比率によっては、事業ライセンスが取得できない場合もあるため注意が必要です。
事前に規制に関する調査を行ってから、ベトナム進出を検討しましょう。
また、規制に限らず、ベトナムの国や土地について理解を深めるうえでも、事前調査は重要です。
ベトナムは言語はもちろん、国民性・文化・習慣などにおいても、日本とさまざまな違いがあります。
日本との違いを理解していなければ、ビジネスはもちろん、現地で雇用した従業員とのコミュニケーションにも影響します。
規制だけでなく、文化・言語・習慣など多角的な観点で事前調査を行ってから、ベトナム進出を検討しましょう。
ビジネス計画の立案
ベトナム進出の際は、具体的なビジネス計画の立案も重要です。
ベトナムで実施する事業内容・売上や収益などの目標・ビジネスの規模・設立する都市など、あらかじめ決めておかなければならないことは多くあります。
上記を踏まえ、具体的なビジネス計画を立案すれば、会社設立をスムーズに進められます。
また、ビジネス計画は必要なリソースの確保や、リスクの洗い出しにおいても役立つものです。
会社設立の道筋を具体化すれば、必要なリソースを明確化できるのです。
必要なリソースが分かっている状態で会社設立を進めれば、途中で資金が枯渇して計画が頓挫するような事態を回避できます。
さらにビジネス計画を立案することは、対処すべきリスクの把握にもつながります。
あらかじめリスクを把握することで、有効的な対策を講じやすくなり、会社設立時のトラブルを回避できるはずです。
事業パートナーの選定
事業パートナーの選定は、ベトナムでの会社設立を成功させるうえで欠かせないプロセスです。
法人・個人を問わず、現地で協力してくれる事業パートナーを得られれば、スムーズに会社設立を進められます。
協力的な事業パートナーは、ベトナムでのビジネスをサポートするだけでなく、市場や取引先を紹介する機会を提供してくれます。
何より、現地に精通した事業パートナーがいれば、より深くベトナムを理解するきっかけを得られるはずです。
事業パートナーを選定する際は、事業の内容への理解はもちろん、理念や企業文化などへの理解を得られるかを確認しましょう。
相性が良い相手でなければ、事業パートナーとして連携できません。
予算の確保と資金計画
予算の確保と資金計画は現地法人を安定的に運営するうえで、不可欠な取り組みです。
この時点で具体的なビジネス計画を立案することで、必要な予算を明確化できます。
なお、ベトナム進出において必要な資金には以下のようなものがあります。
- 資本金
 - 各種手続きに必要な費用
 - ライセンス税
 - 現地法人の立ち上げに必要な諸経費
 - 従業員の賃金
 
必要な予算を決めたら、資金計画を策定しましょう。
自社から捻出する資金に加え、必要な融資・補助金・助成金などを明確にすれば、資金調達をスムーズに行えます。
ビジネス計画と同様に、資金計画も具体的に策定する必要があります。
安定的に資金調達を行うためにも、調達できる資金の金額やタイミングなどを細かく記載しましょう。
会社形態の選択
次にベトナムへ進出する際の事業形態を選びましょう。
事業形態によって必要な出資者の数が異なります。
| 有限会社 | 出資者が1名の場合 | 
| 有限会社 | 出資者が2名以上の場合 | 
| 株式会社 | 出資者は3名以上 | 
事業内容や規模によりますが、一般的に外資規制がある場合は、現地パートナーとの有限責任会社、規制がない場合は出資者1名の有限会社が最適です。
出典:JICA(国際協力機構)「ベトナム 2020 年企業法(法律番号 59/2020/QH14)」
ベトナムで会社設立をする際の手続きと必要書類

本章ではベトナムで会社設立をする際の手続きについて解説します。
ベトナムでの会社設立の手続きは、以下のプロセスで実施します。
- 会社名の確認
 - オフィスの契約
 - 投資登録証明書(IRC)の取得
 - 企業登録証明書(ERC)の取得
 - 親会社関連書類の認証(リーガリゼーション)
 - 税務当局への登録
 - 国家企業登録ポータルでの公開情報の確認
 - 社印(会社印)の作成と管理
 - 銀行口座の開設
 - 従業員の雇用
 
それぞれのプロセスについて順番に解説するので、ぜひ参考にしてください。
参考:外国企業の会社設立手続き・必要書類 | ベトナム – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ
会社名の確認
会社名が決まった後に法人登記情報で照らし合わせて、他社と被っていないか確認しておきましょう。
すでにベトナム国内で使われていたり、類似していたりすると受け付けてもらえないケースがあります。
行政機関の計画投資省が運営するサイトで簡単に確認できるため、一度は目を通しておきましょう。
ただ、上記のポータルサイトは、対応言語がベトナム語・英語のみです。
日本語に対応した代替ツールがないため、現地に詳しい方に相談するか、Google翻訳との併用するなどの対応を検討しましょう。
オフィスの契約
ベトナムで会社を設立するにはオフィスの契約が求められます。
会社設立の手続きでオフィス住所が必要になるため、日本の親会社や出資者が代表で契約しましょう。
ベトナムは建物によって使用目的が決まっているため、オフィス登録が可能な場所を探さなければなりません。
インターネット環境が整備されていなかったり、建物の不備があったりするため、実際に建物を確認して契約後のトラブルを防ぐ必要があります。
投資登録証明書(IRC)の取得と必要書類
準備した必要書類を管轄の計画投資局に提出すれば、次は投資登録証明書の申請です。
基本的には申請後30~45日程度で証明書を取得できますが、投資額や分野によって審査が必要な場合はさらに長い期間を要します。
以下に該当する場合は、投資登録書の手続きに加え審査を受けなければなりません。
- 投資額が3000億ドン(約18億円)以上
 - 外資規制の対象分野
 - 首相の承認が必要な案件への投資
 
上記にひとつでも該当する場合は審査が必要となり、完了までに1カ月ほどかかります。
また、投資登録証明書(IRC)を取得する際には、下記の必要書類を用意しましょう。
- 投資プロジェクト提案書
 - 投資家に関する証明書類(登記簿、パスポートなど)
 - 投資プロジェクト申請書
 - 投資家の財務能力に関する資料
 - 土地使用権又は投資場所に関する権利書
 - 投資案件実施に関係する技術証明書
 
企業登録証明書(ERC)の取得と必要書類
投資登録証明書を取得した後には、企業登録証明書を申請します。
企業登録証明書は、端的にどのような企業であるかを示しているだけでなく、税コード証明書も兼ねています。
申請して約2週間で発行され、企業登録証明書を取得できた時点で登記手続きは完了です。
企業登録証明書の取得日が会社設立の日になるため覚えておきましょう。
企業登録証明書(ERC)を取得するには、下記の書類が必要です。
- 企業登録申請書
 - 定款
 - 企業の従業員リスト
 - 発起株主及び外国人投資家である株主のリスト(株式会社の場合)
 - 投資家の証明書類(登記簿又はパスポート)
 - 委任代表者の証明書類(委任代表者のパスポート、委任状)
 - 事業登録証明書
 
親会社関連書類の認証(リーガリゼーション)
日本の親会社が出資する場合、親会社の定款や決算書などを日本の公証役場・外務省・ベトナム大使館を通して認証(リーガリゼーション)する必要があります。
例:
- 親会社の定款・登記簿謄本
 - 決算書(直近2期分)
 - 銀行残高証明書(出資金額以上)
 - 委任状や役職証明書
 
なお、代理人が認証の手続きを行う際は、上記に加えて認証役場用に委任状と役職証明書を用意しましょう。
税務当局への登録
ベトナムでは会計情報を税務当局に登録することが義務付けられています。
税務当局で登録する情報は以下の通りです。
- 固定資産の減価償却費方法
 - 会計制度の選択適用
 - 会計通貨の選択
 - 棚卸評価法の選択
 
国家企業登録ポータルでの公開確認
ERC取得後、企業名・企業コード・資本金・出資者等の登録情報が公的ポータルに公開されます。
公開内容に誤りがないか確認し、差異があれば所管の計画投資局へ修正申請をおこないましょう。
社印(会社印)の作成と管理
ベトナムでは社印の利用頻度が高いため、デザイン・保管・使用権限の社内ルールを明確化しましょう。
2020年企業法以降は印鑑サンプルの届出・公告は不要となっています。
取引先から社印を求められるケースがある一方、電子署名の利用も拡大しています。
銀行口座の開設
最後に銀行口座を開設しなければいけません。
ベトナムで会社設立する場合は、以下2つの銀行口座が必要です。
- 投資資本口座(DICA)
 - 取引用の銀行口座
 
口座開設する銀行は自由に選べるため、外国の銀行でもベトナム資本の銀行でも構いません。
銀行によって必要書類は異なりますが、一般的には投資許可証や企業登録証明書、印鑑サンプル掲載通知書が必要です。
資本金は90日以内に振り込む必要があるため、早めの開設が求められています。
従業員の雇用
会社設立後の従業員雇用は、事業運営の重要な柱といえます。
下記の内容について、ベトナムの労働法を遵守した適切な雇用手続きを行うことが重要です。
- 労働契約
 - 試用期間
 - 就業規則
 - 社会保険
 
その他に、労働時間、休憩時間、残業、年次有給休暇、法定休日などが労働法で詳細に規定されています。
必要に応じて、専門家のアドバイスを受けながら準備しましょう。
必要書類まとめ
ベトナムで会社設立する際は、下記の必要書類を用意しておきましょう。
※表は横にスクロールできます
| 分類 | 必要書類 | 
|---|---|
| 投資登録証明書(IRC)取得に必要な書類 | ・投資プロジェクト提案書 ・投資家に関する証明書類(登記簿、パスポートなど) ・投資プロジェクト申請書 ・投資家の財務能力に関する資料 ・土地使用権又は投資場所に関する権利書 ・投資案件実施に関係する技術証明書  | 
| 企業登録証明書(ERC)取得に必要な書類 | ・企業登録申請書 ・定款 ・企業の従業員リスト ・発起株主及び外国人投資家である株主のリスト(株式会社の場合) ・投資家の証明書類(登記簿又はパスポート) ・委任代表者に関する証明書類(パスポート、委任状) ・事業登録証明書  | 
| 定款の認証に必要な書類 | ・親会社の定款 ・定款認証用の宣言書 ・親会社の財務諸表 ・財務諸表の宣言書 ・外務省・ベトナム大使館に渡す委任状 ・身分証明書(免許証など) ・法人印鑑カード ・法人印鑑証明書  | 
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ベトナムで会社設立、登記までの期間

ベトナムで会社を設立する際は、平均3~6カ月ほどの期間が必要です。
会社設立のフロー別にかかる期間目安は、下記の通りです。
- ビジネス環境の事前調査:1~2週間
 - ビジネス計画の立案:1~2週間
 - 事業パートナーの選定:1~2週間
 - 予算の確保と資金計画:2週間
 - 会社形態の選択:1~2週間
 
なお、ベトナムで会社設立する際は、上記のフロー以外に各種手続きで時間がかかります。具体的には、下記の手続きで時間がかかるため、長ければ6カ月ほどの期間が必要です。
- 必要書類の作成・翻訳・公証:1カ月
 - IRCの申請・発行:3~6週間(通常は30~45日ほど)
 - ERCの申請・発行:2週間
 
なお、会社設立にかかる期間は会社形態や事業内容によって変動するため、3~6カ月の目安は参考程度に、早めの準備をおすすめします。
ベトナムで会社設立にかかる各種費用

ベトナムで会社を設立する際には、資本金だけでなく各種費用が必要です。
業種によってかかる費用は異なるため、本記事では一般的な範囲で紹介します。
ベトナムで会社を設立する際にかかる各種費用は下記の通りです。
- 最低資本金
 - 労働許可証の取得費用
 - オフィス賃貸料
 - ライセンス税
 - 従業員の最低賃金
 
業種によっては、上記の項目以外に費用が必要な場合もあるため、進出する際は事前に確認するのがおすすめです。
1.最低資本金
ベトナムでの会社設立に必要な資本金は、業種によって条件が異なります。
ほとんどの業種では最低資本金が設定されていませんが、以下の分野では法定資本が定められています。
| 商業銀行 | 3兆ドン(約180億円) | 
| 海上輸送 | 50億ドン(約3,000万円)以上の保証又は船員に対する船首の責任を保証する保険への加入 | 
| 人材紹介サービス | 預かり金額3億ドン(約180万円) | 
| 映画制作 | 2億ドン(約120万円) | 
| 商品取引所 | 1,500億ドン(約9億円)「外国投資家は49%を超えない場合許可される」 | 
| 商品取引所の仲介業者 | 50億ドン(約3,000万円) | 
また、外資企業の資本金は一律額ではなく、事業内容・規模・損益見込み・人員計画等の妥当性(サブスタンス)で審査されます。
所要資本は業種により大きく異なるため、事前に当局・専門家と要件のすり合わせを行いましょう。
上記以外にも、資本金が定められている業種が存在するため、JETROの「ベトナム 外資に関する規制」を確認しておくと安心です。
2.労働許可証の取得費用
労働許可証の取得には費用がかかります。
ベトナムで外国人が働く場合は労働許可証が求められ、日本企業が進出する際には欠かせません。
労働許可証の発行には以下の手数料がかかります。
| 項目 | 発行手数料 | 
| 労働許可証の新規発行 | 600,000 ドン(3,600円) | 
| 労働許可証の再発行 | 450,000 ドン(2,700円) | 
| 労働許可証の延長 | 450,000 ドン(2,700円) | 
また、労働許可証の発行を日系代行企業に依頼する場合は、約90,000円の費用がかかります。
自社での取得に不安がある方は、代行企業の利用を検討しましょう。
参照:ベトナムにおける労働許可書/ビザ(査証)の取得手続き|JETRO
3.オフィス賃貸料
会社設立に掛かる各種費用には、オフィス賃貸料も含まれます。
会社設立に必要な投資登録証明書を申請するには、オフィスの住所を記載する必要があるため、はじめから必要経費と考えておきましょう。
ベトナムの物件は格付け会社がグレード別に区分しています。
セキュリティ面が安心で、管理も行き届いている物件は、グレードの高いA〜B評価です。
設備やセキュリティ面が劣る物件は、グレードCに分類されます。
なお、以下がホーチミン中心地(1区や3区辺り)のオフィス賃料の相場です。
| グレードA | 35~50ドル/㎡ ※東京の渋谷区や港区ぐらい  | 
| グレードB | 25~40ドル/㎡ ※東京の新宿区や豊島区ぐらい  | 
| グレードC | 15~25ドル/㎡ ※大阪府ぐらい  | 
上記はあくまでも目安なので、物件を選ぶ際には実際に確認をしてから決めましょう。
4.ライセンス税
ベトナムで事業を行うなら、ライセンス税を納めなければいけません。
管轄の税務機関へライセンス税の申告書を出し、企業登録証明書を取得した初年度に納税義務があります。
具体的な金額では、資本金が100億ドン(6,000万円)以上の場合は300万ドン(1万8千円)、100億ドン(6,000万円)以下なら200万ドン(1万2千円)です。
資本金の金額によってライセンス税が異なり複雑であるため、適切な納税額を支払うよう気をつけましょう。
参照:税制|JETORO
5.従業員の最低賃金
会社を設立して現地のベトナム人を雇う場合、従業員の最低賃金を調べておきましょう。
従業員の最低賃金は、業界や各地域の生活水準を目安に毎年決められています。
2021年にJETROが調査した給与水準動向では、日系製造業で作業員の月額基本給は平均値で265ドルの約37,000円でした。
非製造業のスタッフで見ると、平均値676ドルで約95,000円です。
業種だけでなく、ハノイ市やホーチミン市が高い傾向にあるなど、地域別に見ても賃金に開きがあります。
引用:新型コロナ禍2年目のアジアの賃金・給与水準動向|JETRO
ベトナムで会社設立をするメリット

ベトナムで会社を設立する大きなメリットは、海外の企業が進出しやすい制度や環境が整っている点です。
ベトナムなら貸出金利の引き下げや税制優遇措置も実施されています。
ビジネスをしやすい環境が整備されつつあるため、日本企業の進出数も増加傾向です。
経済成長率も高く、活気のあるベトナム市場に進出したい企業は今後も増加するでしょう。
その他ベトナムで会社を設立するメリットは次の通りです。
- 人材採用がしやすい
 - 経済成長率が高い
 - 法人税率が低い
 
分かりやすく説明します。
人材採用がしやすい
ベトナムは理系教育を受けた若い労働人口が多いため、優秀な人材採用がしやすい国と言われています。
人件費は近年増加傾向にありますが、日本よりも低いのが実情です。
また、ベトナムでは日本語・英語の学習が盛んに行われているため、比較的コミュニケーションを取りやすい点も魅力です。
日本と同様、仕事に対して真剣に取り組む勤勉な国民性もあるため、諸外国に比べ人材育成コストを削減できます。
参照:新型コロナ禍2年目のアジアの賃金・給与水準動向|JETRO
経済成長率が高い
ベトナムは経済成長が著しく魅力的な市場です。
近年でも4%前後で経済成長を遂げており、日本と比較しても高水準です。
自由貿易を推進したり、外資を呼び込みビジネスの発展に尽力したりなど、国を上げて経済を拡大する動きが活発に行われています。
今後も継続した経済成長が予測されるため、日本企業の進出も増える見込みがあります。
引用:第2四半期のGDP成長率、前年同期比4.14%、製造業が低迷|JETRO
法人税率が低い
ベトナムへの進出では、節税効果も期待できます。
現状の日本の法人税率は約30%で、諸外国と比較すると比較的高い水準です。
一方のベトナムは法人税率が20%です。
さらに、ベトナム政府は外資系IT企業の誘致にも力を入れており、経済特区では15年間法人税が10%になる税制優遇制度を施行しています。
条件を満たせば法人税をさらに削減できる可能性があり、現地法人を設立し、現地に根ざして事業を展開したい企業にとっては魅力的な選択肢です。
IT企業の優遇税制については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ベトナム政府がの税制優遇制度を知りたい方は、ぜひご覧ください。
ベトナムで会社設立する際に注意すること

ベトナムで会社を設立する際には、日本では馴染みのない制度や規制が多数存在します。
正しく理解していない場合、事業停止の事態に発展する可能性もあるため、下記の注意点を把握しておきましょう。
- 法規制の対象となる場合がある
 - ベトナム語の通訳やサポートが必要
 - ビジネス慣習や文化の違いがある
 - 専門家の支援がないと難しい場合がある
 - VATインボイスが必要
 
注意事項を丁寧に解説するので、理解を深め進出の際にお役立てください。
法規制の対象となる場合がある
外資規制は安全保障や経済政策を目的に世界各国で定められており、国によって内容が違うため確認しておきましょう。
規制について知識がない状態で進出を進めた場合、申請が通らなかったり、事業停止に追い込まれたりする恐れがあります。
国際法で定められている分野の他には、不動産や通信サービス、医療など制限を受ける条件付き投資分野も19項目あります。
制限されている分野での進出は外資100%が認められず、現地会社との合弁が条件であるケースもあるため注意が必要です。
現在は制限されている分野であっても、2004年に締結された日越投資協定によって今後解除されるケースもあるため、日頃から情報を注視しておきましょう。
ベトナム語の通訳やサポートが必要
ベトナム語の通訳やサポートも、現地でのビジネス展開に欠かせません。
ベトナムは日本語教育も積極的に行っており、日本語に長けた人材も多くいます。
しかし、現地でビジネスを拡大するなら、ベトナム語によるコミュニケーションが求められる場面が増えてきます。
もちろん、役所や取引先で書類のやり取りをする際にも、ベトナム語は不可欠です。
ベトナムで会社設立を行うなら、ベトナム語の通訳やサポートができる人材を確保しましょう。
ベトナム語を理解できる人材がいれば、さまざまな場面で役立ちます。
また、言語だけでなく、ベトナムの規則や習慣などを学ぶきっかけを得られます。
ビジネス慣習や文化の違いがある
ベトナムでは日本と異なるビジネス慣習や文化の違いがある点にも注意しましょう。
例えば、ベトナム人は勤勉ですが、残業をする習慣がほとんどありません。
ベトナム人はプライベートな時間や家族と過ごす時間を大切にする文化があるため、残業を嫌う傾向があります。
そのため、日本のように仕事が残っているからといって残業に応じるケースはあまりありません。
このように、ベトナムのビジネス慣習や文化の違いを理解していなければ、現地のスタッフのマネージメントや取引先との商談で齟齬が生じる恐れがあります。
ベトナムで会社設立を行う際は、事前調査や現地の事業パートナーのアドバイスを得るなどして、ビジネス慣習や文化への理解を深めましょう。
専門家の支援がないと難しい場合がある
ベトナムでの会社設立は、専門家の支援がないと難しい場合があります。
実際にベトナムに限らず、海外での会社設立はさまざまな手続きをクリアする必要があります。
もちろん、会社法や税法などの各種法規制も理解していなければなりません。
そのため、ノウハウがないと海外での会社設立は困難です。
スムーズな会社設立を目指すには、専門家の支援を受けましょう。
近年は海外進出をサポートする企業が増えており、ベトナム進出に特化した専門家から支援を受けられます。
手続きやベトナムの基本的な知識をレクチャーするだけでなく、現地の事業パートナーを見つけるサポートをしてくれる専門家も珍しくありません。
ベトナムで会社設立を成功させるためにも、専門家の支援は積極的に活用しましょう。
VATインボイスが必要
ベトナムでビジネスを行うなら、VATインボイスを忘れてはいけません。
VATインボイスは、ベトナムでビジネスを受けた際に発行される公式の領収書です。
法人税法上の損金算入や付加価値税(VAT)の還付の際にも必要となるため、注意が必要です。
ベトナム語での記載が基本であるため、一字でも間違いがあれば公式な領収書に認められません。
ベトナム政府は電子形式を推奨しており、2022年7月以降は紙形式が使えなくなったため覚えておきましょう。
ベトナムでの会社設立に関するよくある質問
ベトナムで会社設立を検討している方は、下記のよくある質問に対する回答を確認しておきましょう。
- ベトナムで会社設立するにはいくら必要ですか?
 - ベトナムで会社設立するメリットは?
 - ベトナムの会社に税金はかかりますか?
 
ベトナムで会社設立するにはいくら必要ですか?
ベトナムで会社設立するには、約600万~1,000万円の費用が必要です。具体的な内訳は、下記の通りです。
・資本金:10億ドン(約560万円)
・労働許可証の取得費用:150万ドン(約9,000円)
・オフィス賃貸料(200/㎡想定):7,000ドル(約100万円)
・ライセンス税:200万ドン(約12,000円)
上記は目安で、人材採用費、光熱費などのライフライン整備費用を加えると、1,000万円程度の費用を用意しておくと安心です。
なお、資本金によって必要な初期費用は大きく変わるため、初期投資を抑えたい場合は1,000万円以下での会社設立も実現できます。
ベトナムで会社設立するメリットは?
ベトナムで会社を設立する主なメリットは、以下の通りです。
・経済成長率が高い
年間約7%の成長を続けており、ASEAN諸国の中でも有数の成長市場
・豊富な労働力を低コストで確保できる
若くて優秀な人材が多く、人件費も日本や中国に比べて低水準であるため、人材確保がしやすい
・法人税率が低い
ベトナムの法人税率は標準で20%と、日本の約23%と比較して税率が低い
・勤勉な人材が多い
ベトナム人は仕事に対して真摯に取り組む傾向があり、その勤勉さが企業にとって魅力
・ASEAN市場へのゲートウェイ
ベトナムから他のASEAN諸国や中国へのアクセスが良好で、輸出拠点として地理的優位性を備えている
ベトナムの会社に税金はかかりますか?
ベトナムの会社設立には、下記のような税金が発生します。
・法人税(CIT):20%
・付加価値税(VAT):10%(2026年末まで8%)
・外国契約者税(FCT):1~10%(取引内容によって異なる)
・個人所得税(PIT):5~35%(課税所得による)
ベトナムで会社設立を成功させて収益の向上を目指そう

ベトナムは経済成長を続ける魅力的なマーケットであり、親日的な国柄であるため、企業にとって有益な進出先といえます。
実際に、近年は多くの企業がベトナム進出を実現しています。
しかし、ベトナムでの会社設立は、さまざまな手続きをしなければならないうえに、入念な事前調査や現地の事業パートナーの確保が欠かせません。
もちろん、ベトナムの法規制・文化・習慣などへの理解を深めることも重要です。そのため、ノウハウがないと、ベトナムでの会社設立はハードルが高い戦略です。
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採用から法人設立までを最短1年でサポートできるうえに、会社の運営支援も行うなど、支援の手厚さが魅力です。
スムーズなベトナム進出を実現するためにも、ぜひWakka Inc.にご相談ください。
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