SaaSのシステム開発|特徴や開発プロセス、成功のポイントを解説

最終更新日:2025.03.24
DX・システム開発
安藤 大海
SaaSのシステム開発|特徴や開発プロセス、成功のポイントを解説
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こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。

これまで、ソフトウェア製品はインストール型が主流でしたが、近年はインストール型からSaaS型への移行が進んでいます。
SaaSはユーザー、提供企業ともにメリットが大きいため、SaaSシステムを開発してビジネスに参入する企業も増えてきました。
しかし、SaaSシステムを開発するには、「どのような開発プロセスが必要か」「開発費用はどれくらいかかるか」が気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、以下について詳しく解説します。

  • SaaSシステムのメリット・デメリット
  • SaaSシステムの開発プロセス
  • SaaSシステム開発のポイント

これからSaaSビジネスに参入したいとお考えの方は、無料でダウンロードできる「SaaSにラボ型開発が最適な理由」の資料もご覧ください。

目次

DXプロジェクトに関わる経営者・リーダー層の方へ

失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。

SaaSとは

まずは、SaaSの基礎知識について解説します。

SaaSとは

SaaSとはSoftware as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の略称で、サースと読みます。
プロバイダー(サービスの提供者)がサーバー上で提供しているソフトウェアを、ユーザーがインターネット上で利用できるサービスを指しています。

インターネット上で利用するため、従来のソフトウェアのように個人のパソコンや自前のサーバーにインストールする必要がありません。
インターネットに接続できる環境とWebブラウザさえあれば、どこからでもソフトウェアにアクセスできます。

これらの特徴は、SaaSの利用者にとって大きなメリットです。
さらに、SaaSを利用すれば、下記のような恩恵を受けられます。

  • システム開発のコストを軽減できる
  • インフラの管理コストがかからない

このようなメリットが注目を集め、近年ではインストール型(オンプレミス)のソフトウェアからSaaS型のソフトウェアへとニーズのシフトが進んでいます。

ASPとの違い

ASPとは、Application Service Provider(アプリケーション・サービス・プロバイダー)の略称です。
SaaSと同じような意味合いで使われることが多いので混同しがちですが、ASPは本来、SaaSを提供する事業者のことを指します。
ASPによって提供されるサービスそのものであるSaaSとは意味が異なります。

PaaSとIaaSとの違い

PaaSとは、Platform as a Service(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の略称で、パースと読みます。
プラットフォームとは、アプリケーションの基盤となるハードウェアやOS、ミドルウェアのことを指します。
アプリケーション開発の基盤として利用できるプラットフォームを提供するサービスです。

IaaSはInfrastructure as a Service(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の略称で、イアース(アイアース)と読みます。
CPUやストレージ、ネットワークなどのインフラを提供するサービスです。

SaaS、PaaS、IaaSの違いは、ひとことで言うとサービスとして提供される階層の違いと言えます。

IaaSシステムを構築する基盤となるインフラを提供するサービス
PaaSインフラの上に構築されるプラットフォームまで提供するサービス
SaaSプラットフォーム上に構築される個別のアプリケーションがサービスとして提供される

SaaSとIaaSやPaaSの違いについては下記の記事で詳しく解説しているので、あわせてチェックしておきましょう。

SaaSの主なシステム例

SaaSは、インターネットを通じて利用できるソフトウェア全般を指しますが、具体的にどのようなサービスを利用できるのか確認しておくことが大切です。

SaaSの主なシステム例は、次の通りです。

  • 業務系SaaS(CRM・SFA・ERPなど)
  • コミュニケーション系SaaS(ビジネスチャットやWeb会議など)
  • マーケティング系SaaS(MA・SEOツールなど)
  • その他SaaS

それぞれの特徴を確認して、SaaSを利用すべきか検討しましょう。

業務系SaaS(CRM・SFA・ERPなど)

業務系SaaSは、企業の経営や運営の効率化を実現するためのシステムです。
具体的には、下記のようなシステムが業務系SaaSに該当します。

  • 顧客関係管理を担うCRM(Customer Relationship Management)
  • 営業活動を支援するSFA(Sales Force Automation)
  • 組織全体の資源や業務プロセスを統合するERP(Enterprise Resource Planning)

例えば、CRMで顧客データを一元管理すれば、営業活動やカスタマーサポートの質を向上させられます。

SFAは営業チームの日々の活動を可視化し、効率的なアプローチを促進することが可能です。
ERPは購買、製造、販売、財務といった多岐にわたる業務を統合的に管理し、情報の一貫性と迅速な意思決定を支援します。

業務系SaaSを導入すれば、企業の競争力を高め、さらなる成長に向けた基盤を築くことが可能です。

コミュニケーション系SaaS(ビジネスチャットやWeb会議など)

コミュニケーション系SaaSは、組織間や取引先とスムーズな情報共有を促進するためのシステムです。
代表的な例として、リアルタイムでコミュニケーションが取れるビジネスチャットツールや、遠隔地にいるメンバーとオンラインで会議ができるWeb会議ツールが挙げられます。

コミュニケーション系SaaSを利用すれば、離れた場所からでもテキストや音声・映像を駆使して円滑なコミュニケーションを実現し、リモートワーク環境でも生産性を損なわずにプロジェクトを進行できます。
また、ファイル共有機能や共同編集機能が統合されている場合もあり、無駄なやり取りを削減して生産性向上につなげられるのです。

コミュニケーション系SaaSは、単なる会話ツールではなく、組織全体の情報フローを効率化し、迅速な意思決定と高いチームパフォーマンスを実現するSaaSのシステム例です。

マーケティング系SaaS(MA・SEOツールなど)

マーケティング系SaaSは、顧客の購買行動や市場動向をデータ化し、戦略立案・実行に役立つ情報を提供します。
代表例として、マーケティングオートメーション(MA)ツールやSEO(Search Engine Optimization)ツールなど、マーケティング活動を効率化するシステムが当てはまります。

MAツールは、メールキャンペーンやリード育成を自動化し、効率的な顧客コミュニケーションを実現するSaaSです。
SEOツールは、キーワードの分析や競合サイトの調査を通じて、Webサイトの検索エンジン順位を向上させる具体的な施策を提案してくれます。

マーケティング系SaaSには、レポート機能を備えており、マーケティング施策の効果を可視化し改善点を洗い出すことが可能です。
単なる広告やキャンペーンの管理だけでなく、データに基づいた効果的なマーケティング戦略を支援し、企業のブランド価値向上や収益の拡大に効果的です。

その他SaaS

上記で紹介したSaaSのシステム例以外に、次のようなものがあります。

  • オンラインストレージ
  • プロジェクト管理ツール
  • 会計ソフト
  • 人事管理システム
  • Eコマースプラットフォーム

上記は一例ですが、特定のニーズに対応し、企業がより効率的に運営できるように支援するサービスを提供します。
自社の課題や目的に合ったSaaSを導入すれば、生産性・業務効率が向上し、業績アップにつなげることが可能です。

SaaSシステム開発の特徴

SaaSシステムの開発プロセスと、開発する際のポイントについてこのあと解説しますが、その前にSaaSシステム開発の特徴を簡単に押さえておきましょう。

SaaSのシステム構成

インターネットサービスは、主に下記の2種類に分類されますが、SaaSはクラウド型に該当するシステム構成です。

  • オンプレミス型
  • クラウド型

クラウド型であるSaaSは、ベンダーが構築したシステムをインターネット経由で利用するサービスです。
ネットワークやサーバー、OS、ミドルウェア、アプリケーションなどシステムに関するすべてをベンダーが管理し、利用者は使用するデータを管理するだけでサービスを利用できます。

そのため、システム構築の手間やコストがかからず、ニーズに合ったサービスだけを享受できるのです。

開発手法

通常のシステム開発ではパッケージの製品やSaaSの利用など、システムの開発手法にはいくつかの選択肢があります。
しかし、SaaSを開発するためのパッケージ製品やサービス、SaaSを開発するためのSaaSなどは現時点で見当たりません。
したがって、SaaSシステムは基本的にフルスクラッチで開発するケースが多いです。

フルスクラッチ開発では既存の仕組みを利用せず、ゼロからシステムを開発するため、自社の要件に応じた機能を柔軟に開発できるのがメリットです。

しかし反面、既存の仕組みを利用しないため、以下のようなデメリットもあります。

  • 開発コストが高額になる
  • 開発に長期間かかる
  • 高い技術力が要求される

プログラミング言語

SaaSはユーザーがインターネット経由でソフトウェアを利用する想定で構築されるため、Web系のシステム構造を持たせます。
そのため、開発に使用するプログラミング言語も、Web系の開発でよく利用される言語を使うのが一般的です。

Web系の開発でよく使われるプログラミング言語には、下記のものが挙げられます。

  • PHP
  • Ruby
  • Python
  • Java
  • JavaScript
  • C#
  • Go
  • Swift

例えば、JavaやPHPはSNSなどの有名なサービスでも広く利用されています。
スマートフォン用のアプリならSwiftやJavaが向いていると言われます。
また、機械学習の分野はPythonが得意です。

それぞれに特徴があるため、必要なサービスに適した言語を選択して、効率的な開発と安定した品質を得るのが重要です。

開発費用と体制

開発手法のところでも述べましたが、SaaSシステムの開発は基本的にフルスクラッチになるため、開発費用は高額です。

比較的小規模の開発であっても、500万~1,000万円程度はかかると考えておいた方がいいでしょう。
開発規模によって変わるので一概には言えませんが、ある程度の豊富なラインナップで機能を充実させるのであれば、2,000万~3,000万円以上かかるケースもあります。

さらに、メリット・デメリットの章でも触れましたが、SaaSを運営していくには継続的なアップデートや機能追加が必要です。
開発したSaaSシステムをリリースしたあとも、開発体制を維持しておく必要があるため、システム規模に応じたランニングコストも想定しておく必要があります。

こうした状況を踏まえると、SaaS開発では初期開発の段階からリリース後の運用保守や機能拡充まで、一貫した体制を維持しておくのが有効です。
開発ベンダーに依頼してSESでエンジニアを確保するのも可能ですが、一定規模の運用保守体制を維持するにはラボ型開発が向いています。

SaaSのセキュリティ対策

SaaSは、インターネットを経由してクラウド上のシステムを利用するサービスなので、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃に備えなければなりません。
万が一、不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合、データの破損や漏えいにつながるため危険です。

SaaSのセキュリティ対策として、以下の施策を実行しましょう。

  • パスワードやアクセス権限の付与・管理
  • ファイルの暗号化
  • マルウェア対策
  • セキュアネットワークの導入
  • セキュリティ意識の強化研修
  • 適切なベンダーの選定

情報漏えいやデータの持ち出しを防ぐために、パスワードやアクセス権限の付与が効果的です。
また外部からの不正アクセスやサイバー攻撃を防止するため、ファイルを暗号化し、マルウェア対策やセキュアネットワークを導入しましょう。

従業員のセキュリティ意識を強化するための研修を実施し、セキュリティ面で信頼できるベンダーを見極めれば、SaaSのセキュリティリスクを軽減できます。

SaaSシステムの開発プロセス

前章では、SaaSシステム開発の特徴として、フルスクラッチによる開発を挙げました。
フルスクラッチとは言っても、通常のシステム開発とは異なるSaaSシステムならではの手法も、部分的に必要になります。

本章では、SaaSシステムを開発する際のプロセスについて解説します。

要件定義

開発プロセスの中でも特に重要度が高いのは要件定義です。
SaaSで提供するソフトウェアの具体的な機能は要件定義で決めていきます。

通常のシステム開発(特定の顧客向けのシステム開発)であれば、ユーザーから要件をヒアリングし、要件定義をまとめます。
しかし、SaaSの場合は顧客がいない状態で先行して開発を進めなければならないため、まずは顧客候補になる方を対象にリサーチを実施します。

自社の既存顧客がいるなら、既存顧客の協力を得てアンケートを実施したり、インタビューを実施したりして情報を収集しましょう。
どのようなサービスや機能なら利用したいかといった情報をできるだけ多く集め、集まった情報を元に機能要件を固めます。

いきなりすべての要件を盛り込んで大規模な開発をするのではなく、必要最低限の機能に絞り込んで小規模の要件から開発を進めましょう。

プロトタイプの作成

開発する機能の要件が決まったら、プロトタイプ(試作品)を作成します。
早い段階で実際に動くものを試作したほうが利用シーンをイメージしやすく、改善すべき課題も見つかりやすいからです。

可能であれば、プロトタイプも顧客候補の方に使用してもらい、使用感や改善要望などのフィードバックをもらいましょう。
得られたフィードバックをもとにプロトタイプのチューニングを繰り返し、ブラッシュアップしていきます。

UIデザイン

プロトタイプによって機能の仕様が決まったら、SaaSシステム全体の機能のつながりや流れ、それぞれの画面機能などのデザインを設計します。

ユーザーにとって使いやすく分かりやすいデザインを意識して、以下を設計していきましょう。

  • 画面や機能の遷移方法や処理の流れ
  • 画面内のコンテンツの配置
  • 画像や文字の大きさ
  • 画面の装飾
  • ヘルプの設置

UIデザインは顧客満足度を左右する重要なポイントなので、しっかりと力を入れて質の高い設計をすべきです。

開発

機能の仕様とUIデザインが決まったらいよいよ開発に着手します。
開発のプロセスは通常のフルスクラッチ開発と特に変わったところはありません。

ただし、システムの内部構造には注意が必要です。
SaaSシステムとしての運用に耐えられ、将来の機能追加やスケールアップにも対応しやすい内部構造が求められます。

技術的にも高いレベルが求められるため、SaaSシステム開発の経験が豊富な開発ベンダーに依頼しましょう。

テスト

開発したシステムが、問題なく稼働するかチェックするためのテストが必要です。
テスト工程では、機能性だけでなく操作性やセキュリティ性、カスタマイズ性など利用者が実際に使う際のトラブルを想定しておくことが大切です。

リリース前に想定できるリスクを洗い出し、テスト工程で発見できれば、利用者に負担をかけずに済みます。

SaaSシステムをテストする際は、下記のUATテストについてまとめた記事を参考に、システムに問題がないか徹底的にチェックしましょう。

リリースと運用保守

開発が終わるといよいよリリースです。
SaaSシステムをサービスとしてユーザーに提供します。

前述したように、SaaSはリリースして終わりではなく、ここからが始まりです。
ユーザーに満足してもらうために、運用の中でシステムからさまざまなデータを収集・分析して改善につなげます。

既存機能をブラッシュアップしたり、新規機能を追加したりするためには保守の予算と体制が必要になるため、計画段階から保守の予算と体制を検討しておきましょう。

SaaSシステム開発のポイント

SaaS開発を実施する際には、下記のポイントを押さえておきましょう。

  • UX/UIを強化する
  • システムのスケールアップに備える

UX/UIを強化する

ユーザーは、使い勝手の良い製品やサービスを期待しています。
使い勝手の良さは顧客満足度の向上につながり、SaaSのビジネスモデルを支える上では非常に重要です。

したがって、SaaSシステムの開発ではUX/UIには十分なコストをかけて、以下のようにユーザーの使い勝手に関わる部分をしっかり作りこみましょう。

  • 使いやすさ
  • 操作の分かりやすさ
  • サポート機能

リリースしたあともユーザーのフィードバックなどを受けながら、改善する取り組みを継続的に実施していくべきです。

マルチテナントについて理解を深める

マルチテナントとは、同一のシステムを複数の顧客(テナント)が共有しつつ、それぞれが個別の環境やデータを保つ仕組みを指します。

従来のオンプレミス型システムでは、各顧客ごとに独立したシステムを用意する必要があり、初期コストや運用コストが高くなる傾向にありました。
対して、マルチテナントでは、ひとつのシステムを複数の顧客で共有するため、システム構築の手間や利用コストを削減できます。

開発・運用コストを削減するだけでなく、運用の簡略化と迅速なアップデートの実現により、顧客満足度を高められます。

しかしマルチテナントでは、テナント間でデータが混在しないように徹底し、ひとつの顧客データが別の顧客に影響を与えないように管理しなければなりません。

また、カスタマイズの要件に対して、どの範囲でテナントごとに設定するかを設計段階で明確にしておく必要があります。

システムのスケールアップに備える

SaaSシステムを開発する際は、将来的なユーザーの増加を見越してシステムをスケールアップしやすい構造にしておくのが重要です。

そのためには、以下の取り組みが必要です。

  • 機能間が密接に結合せず分離性の高いソフトウェアの構成を設計しておく
  • スケールアップしやすいインフラの構成を設計しておく

例えば、大幅にユーザーが増加した場合、サーバーへのアクセスが集中しないよう負荷分散を図ることがあります。
そのときに、サーバーやストレージなどを多重構造にして負荷を分散できるインフラ構成になっている必要があります。
また、サーバーを多重構造にすると、サーバー上で稼働するソフトウェアも複製したり分離したりしないといけないため、分離性の高い構造になっていないと対応できません。

SaaSシステム開発を行うメリット

前章ではSaaSの意味や、SaaSの利用者にとってのメリットを解説しました。
本章では、SaaSシステムを開発することで得られる、開発者側のメリットについて解説します。

継続的に安定した収益が得られる

SaaSのビジネスモデルは基本的にサブスクリプション型の料金体系をとっています。
顧客がサービスに満足し継続的に利用すれば、月額利用料が継続的に得られる仕組みです。

サービス・サポート面が優れたSaaSシステムは、多くのユーザーからの満足度が高く、収益が安定しやすい傾向にあります。

一方、買い取り型のソフトウェアであれば、収益を安定させるために製品を販売し続けなければなりません。
解約されない限り、利用している顧客から一定の利用料が入ってくる点は、SaaSシステムのメリットです。

スピーディーなリリースと継続的なブラッシュアップができる

SaaSはインストール型のソフトウェアよりもスピーディーにリリースできます。
インストール型のように、インストーラーを作成したり、メディアを作成して顧客に配布したりといった手間がいらないからです。
個別の顧客ごとにソフトウェアの導入をサポートする必要もありません。

また、ソフトウェアの本体は常に自社で保持しているため、いつでも手を加えられます。
つまり、継続的にソフトウェアをブラッシュアップできるのです。

ユーザーはインターネット経由でソフトウェアが配置されたサーバーにアクセスして利用するため、常にブラッシュアップされた最新版のソフトウェアを利用できます。
アップデートしたソフトウェアをユーザーに配布する手間もないため、頻繁なアップデートも可能です。

顧客獲得の流れを作りやすい

ビジネスモデルの作り方次第ですが、SaaSでは無料プランや低価格のプランからサービスを導入してもらえます。
そのため、見込み客の獲得においては有用です。

例えば、見込み客にはまず無料プランや低価格のプランで利用してもらい、機能の使い勝手などを気に入ってもらえれば上位プランに切り替えてもらう流れが作れます。
つまり、見込み客を獲得し、獲得した見込み客を育成(ナーチャリング)して顧客化する流れを作りやすいということです。

この考え方を利用すれば、さらに既存顧客を優良顧客化する流れも作っていけるはずです。

DX進め方ガイドブック
>DXプロジェクトを検討している担当者の方に向けて、失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。

SaaSシステム開発を行うデメリット

SaaSシステムを開発することはメリットばかりではありません。
本章では、SaaSシステムを開発する上で負わなければいけないデメリットについて解説します。

高額の初期投資が必要になる

SaaSシステムは、多くのユーザーを想定した堅牢な仕組みを構築しなければなりません。

堅牢な仕組みを構築するには、開発費用がどうしても高額になってしまいます。
さらに、ユーザーの増減に合わせてシステムのスケーリングが必要になるため、SaaSを安定的に運用するにはインフラの投資も欠かせません。

サービスの提供を開始するまでにこれらの初期投資が必要になるため、サブスクリプション型のビジネスモデルで初期投資を回収するには時間がかかります。

カスタマーサポートの負担が大きい

SaaSのビジネスモデルでは、顧客満足度を高めて離脱を防ぐことが重要となるため、カスタマーサポートの負担が大きくなります。
カスタマーサポートが手薄だと顧客満足度が低下し、離脱して競合他社へ移ってしまうためです。

サブスクリプション型の料金体系では多くの顧客を囲い込まないとなかなか収益が増えないため、多くの顧客を獲得してサービスやサポートの満足度を高める努力を続けなければなりません。

システムを常にアップデートし続けなければならない

SaaSのビジネスモデルはソフトウェアを販売して終わりではありません。
販売してからが始まりです。

カスタマーサポートだけではなく、提供しているサービスにおいても満足してもらうことが重要です。
したがって、提供するソフトウェアの使い勝手を向上させたり、便利な新機能を追加したり、SaaSシステムを常にアップデートする必要があります。

ここでも顧客満足度を高めるための努力が必要です。

SaaSシステム開発の外注

SaaSシステムを開発するリソースが不足している場合は、自社での開発にこだわらず外注を視野に入れましょう。

SaaSシステム開発の一部を外注すれば、開発に費やすリソースを他業務に回して、業務の遅延や生産性の低下を防止できます。

外注先を選ぶ際は、専属のエンジニアチームを編成して開発するラボ型開発ができる企業を選びましょう。
Wakka Inc.では、SaaSシステム開発を支援しており、ラボ型開発での外注が可能です。

SaaSの将来性

市場規模と将来性

SaaS業界の市場は右肩上がりで成長を続けています。
特に、2020年以降はコロナ禍を背景に、年間20%もの急成長を遂げてきました。

日本国内のSaaS市場規模は2028年度まで成長が続き、同年には3兆円規模まで発展する見込みです。

参照:スマートキャンプ株式会社「SaaS業界レポート2024

現在では多くの企業が何らかのSaaSサービスを導入していますが、それだけではなく自社の新規事業としてSaaSサービスを構築する企業も増えてきました。

また、2020年以降は5Gの対応やデジタル庁の発足、デジタル改革関連の法整備など、インフラのさらなる発達と法制度の整備が進んでいます。
これらが後押しとなって、SaaS市場の成長は一段と加速する可能性が予想されます。

ビジネスモデル

SaaS業界では、市場が急成長を遂げるとともに、サブスクリプション型のビジネスモデルも定着してきました。
サブスクリプション型のビジネスモデルは、これまで買い取り型の商品・サービスを利用していたユーザーの初期投資を不要にします。

したがって、パッケージ製品やフルスクラッチ開発のような巨額の初期投資がなく、手軽にサービスを利用できるようになりました。
初期投資のハードルがなくなったことも、SaaS市場の成長要因のひとつです。

サブスクリプション型のビジネスモデルはユーザーにとっては初期投資を不要にし、SaaSの提供側にとっても収益を安定化させるため、双方のメリットが大きいのです。
今後の成長トレンドを考えても、SaaS市場は大きく成長し、市場の成長とともにサブスクリプション型のビジネスモデルも定番化する可能性が高いでしょう。

SaaSを成功させるにはビジネスモデルが肝心!

SaaSは、システム開発を成功させることも重要ですが、それだけでは成功とは言えません。
サービスとしてSaaSシステムを多くのユーザーに提供し、顧客満足度を向上させ、収益を上げてようやく成功と言えます。

成功のためにはやはり、ビジネスモデルを初期段階でしっかり設計しておくことが非常に重要です。
次のようなビジネスモデルを設計し、マーケティング施策も絡めてより収益を増やせるように取り組むことが求められます。

  • サブスクリプション型のモデルを前提として、提供する機能の内容によって料金プランを複数設定する
  • ベーシックプランから導入してもらい、顧客の育成を通してより上位の料金プランにシフトしてもらう

ビジネスモデルをしっかり構築して、SaaSビジネスの成功を目指していきましょう。

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この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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