食品ECサイトの売上ランキング!取り組むメリットと成功のポイント

最終更新日:2024.10.26
EC開発
安藤 大海
食品ECサイトの売上ランキング!取り組むメリットと成功のポイント3
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こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。
EC市場が近年、大きな盛り上がりを見せています。食品EC市場も例外ではなく、市場規模が年ごとに成長しています。しかし、ECに取り組む上では食品業界ならではの課題もあるため、
「食品ECにはどのような課題があるのか?」
「どうやったら成功できるのか?」
といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、食品ECサイトの

  • 特徴やメリット
  • 売上ランキング
  • 成功事例
  • 導入を成功させるポイント

などについて詳しく解説します。自社でこれから食品ECサイトの導入を検討される方は、ぜひとも本記事を参考にしてください。

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目的や売上規模に応じたEC種別選定や最適な構築手法についての診断を受けたい方は、「料金目安もわかるECサイト構築ガイド」をご確認ください。

目次

食品ECのトレンド調査

食品ECで必要となる機能や、UX施策例をピックアップし解説しています。

食品ECとは

ECとは、Electronic Commerceの略です。日本語では電子商取引と呼ばれています。電子商取引とは、インターネットを使って商品やサービスを販売することで、ネットショップやネット通信販売が該当します。
食品ECはインターネットを通じて生鮮食品、加工食品、飲料などの食品を販売するネット通信販売という定義になるでしょう。

販売形態としては一般的な食品ECの他に、ネットスーパー、食品サブスクがあります。
一般的な食品ECは生鮮食品、加工食品、飲料などを販売する一般的なECサイトの形態で、自社でECサイトを構築して運用しているケースと、Amazonや楽天市場などのECモールに出店しているケースがあります。

ネットスーパーとは、インターネット上で注文された商品をスーパーマーケットの店舗から自宅へ配送したり、店舗で受け取ったりできるサービスを提供するタイプの食品ECです。実店舗を中心に配送を行うため、利用できるエリアが限られる場合があります。

食品サブスクとは、月額料金制で会員に定期的に食品を配送するサブスクリプション型の食品ECです。定期的に商品を購入してもらえるので売上が安定しますが、会員になってもらうためには他の食品ECとの差別化が重要な分野と言えるでしょう。

インターネット上で食品を販売するには実店舗を営業するのと同じく、食品衛生責任者という資格と、食品衛生法に基づく営業許可の取得が必要です。すでに食品店などの実店舗を営業している場合は問題ありませんが、新規ビジネスとして食品ECサイトを運営する場合は、所轄の保健所に問い合わせて手続きをしましょう。

食品EC市場の現状

新型コロナウィルスの感染拡大防止対策による影響で、2020年からの数年間はEC市場全体が大きく成長しています。
食品ECも同様に市場規模が毎年拡大していますが、他の分野と比較してEC化があまり進んでいないのが現状です。
本章では食品EC市場の現状について、具体的に見ていきましょう。

巣ごもり需要で急成長した食品EC

新型コロナウィルスの感染拡大防止対策により、2020年から一時期、人々は外出を控えるようになりました。
しかし、外出して買い物をしなくなったからといって、食品の需要がなくなったわけではありません。
実店舗での買い物が減ってきたことが影響して、逆にオンラインでの需要が増えました。いわゆる、巣ごもり需要です。

巣ごもり需要によりECサイトの購買が大きく増え、EC市場が活性化しています。
食品業界も同様で、外出を控えるようになった消費者の巣ごもり需要によって、食品EC市場が毎年拡大し続けているのが現状です。

食品EC市場の規模

食品ECの市場規模は、2019年が1兆8233億円前年比7.77%の伸び率でした。新型コロナウィルスが発生した2020年は、2兆2086億円前年比21.13%と大きく伸びました。さらに、2021年には2兆5199億円で前年比14.1%と、前年よりやや鈍化したものの依然として高い伸び率を示しています。

出典:経済産業省 公式ページ

食品業界のEC化率

次に、業界の市場規模に占めるEC化の割合を見ていきましょう。
物販全体で2021年時点のEC化率は8.78%を占めているのに対し、食品業界で見るとEC化率は3.77%と低い水準にとどまっています。これは、EC化を推進する上で食品業界に特有の課題があり、足かせになっていることが考えられるでしょう。食品ECを導入する上での課題についてはあとの章で詳しく解説します。

食品ECサイトが注目されている理由

食品ECサイトを運営して成果を出すためには、利用者にとって食品ECがどのようなメリットを得られるかを押さえておくことが重要でしょう。本章では、食品ECサイトが注目されている理由を、利用者にとってのメリットの観点から解説します。これから食品ECサイトを運営しようと考えている方はぜひ参考にしてください。

買い物にかかる時間を節約できる

スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの実店舗で買い物をする場合、まず店舗までの移動時間が必要です。
自宅から買い物に出かける場合は往復の移動時間。
職場や外出先からの帰り道に店舗へ立ち寄る場合にも多少の移動時間がかかるでしょう。

また、店舗で買い物をする間も、店内で売り場の移動が発生します。さらに、店内が混みあっている場合などは、会計にも時間がかかるでしょう。食品ECサイトで買い物をすれば、実店舗の買い物でかかる時間は不要です。
店舗への移動にかかる時間や、店内の買い回りで売り場を移動する時間は大きく節約できるでしょう。
忙しくて買い物に行く時間が取れない場合でも、手軽に買い物ができるので便利です。

荷物の持ち運びがいらない

荷物を持ち運ぶ手間がないのも食品ECサイトのメリットでしょう。購入した商品は自宅まで配送してくれるため、まとめ買いなど大量の買い物をしたときに重い荷物を持ち運ぶ手間がありません。

思い立ったらいつでも買い物ができる

営業時間を気にせず、思い立ったときにいつでも買い物ができるのも食品ECサイトのメリットです。
新型コロナウィルスの感染防止対策によって、営業を短縮するようになったスーパーなども多いので、外出帰りに買い物をしたくてもすでに閉店している場合もあるでしょう。しかし、食品ECサイトを利用すれば、24時間365日いつでもどこでも買い物ができるので、時間を気にする必要がなくなりました。

近所で買えないものや良いものが簡単に買える

近所のスーパーではなかなか買えないものでも、食品ECサイトなら買えることがあります。
例えば、近年は健康志向の高まりもあって、有機栽培や無農薬の野菜が人気を集めています。しかし、一般のスーパーではなかなか手に入りません。近所に有機食品の専門店があればいいのですが、店舗数が多くないので店舗を見つけるのが難しかったり、たとえ見つかっても遠かったりすることもあるでしょう。

食品ECサイトなら有機栽培の野菜や、家畜の肥料にもこだわった食肉など、取り扱う商品にこだわりを持ったところもあります。そのようなこだわりのサイトを利用して、希少な商品や優れた品質の商品を気軽に購入できるのも食品ECサイトのメリットと言えるでしょう。

食品ECサイトの事業者にとってのメリット

食品ECサイトの導入は、事業者にとってもさまざまなメリットがあります。本章では事業者側の切り口でメリットを解説します。

商圏に制約されず販路を拡大できる

食品ECサイトの利用者は、いつどこからでも商品を注文できます。実店舗は立地によって地理的に商圏が決まってくるため、事業者は主に地元の顧客をターゲットにすることになるでしょう。

しかし、ECサイトの強みを活かすことで、これまで届かなかった全国のインターネットユーザーにアプローチできるため、商圏の制約がなくなります。そうなれば、商圏にしばられない新たな切り口でマーケティング施策を打って、販路を拡大できるでしょう。

営業時間の制約がないので販売機会を増やせる

ECサイトでは、24時間365日いつでも注文受付が可能です。利用者は欲しいと思ったときにすぐに注文ができるため、販売機会のロスをなくせます。販売機会の増加を有効に活用すれば、売上の増加につなげられるでしょう。

顧客データを収集してマーケティング施策に活用できる

食品ECサイトはインターネットを経由して購買が行われるため、実店舗と比較して利用者の購買データが集めやすいと言えるでしょう。もちろん、実店舗でもポイントカードの導入やクレジットカードの利用によってある程度の情報は集められます。しかし、すべての人が利用するわけではないので、収集できる情報は限定的です。

対して、すべての決済をオンラインで実施する食品ECサイトでは、すべての利用者の購買実績を収集できます。
それだけではなく、食品ECサイトでは利用者の行動に関する詳細なデータも収集できるため、利用者の購買行動を分析してマーケティング施策に役立てられるでしょう。

食品ECサイトの売上ランキング

本章では、2022年時点の食品ECサイトの売上ランキングを紹介します。上位3社は、1位と3位の顔ぶれが前年から変わっていません。2位にはイオン(ネットスーパー)が入りました。
次項では、上位3社を詳しく紹介していきましょう。

出典:日経流通産業新聞 公式ページ

1位 アマゾン(日本事業)

大手ECモールのAmazonが提供するAmazonフレッシュは、食品EC市場における売上高が1位で、2022年度の売上高は約900億円でした。Amazonフレッシュが配送可能なエリアは東京の一部地域に限定されていますが、新鮮な食材を注文から最短2時間で届けてくれるのが大きな特徴です。

また、配送の時間指定も8時から24時までと幅広く、ライフスタイルに合わせた柔軟な利用ができるようになっています。Amazonフレッシュの利用は、Amazonプライム会員であれば追加の登録手続きや会費はかかりません。
1回の注文金額は4,000円からで、10,000円以上注文すると配送料が無料になります。

Amazonフレッシュ 公式ページ

2位 イオン(ネットスーパー)

イオンネットスーパーは、最寄りのイオン店舗から自宅へ商品を届けるサービスを提供しています。
イオンスクエアメンバーかiAEONの登録をすれば誰でも利用できます。
メンバー登録をしても入会金や年会費はかかりません。

サイトで購入した商品は自宅配送のほか、店舗で受け取ることもできます。
勤務先などで空き時間に注文しておき、帰宅途中に最寄りの店舗へ立ち寄って受け取るといった利用方法もできて便利です。アパレル業界などで導入が進んでいるOMO(Online Merges with Offline、ネットと実店舗を融合したマーケティング戦略)の食品業界版といったところでしょう。

イオンネットスーパー 公式ページ

3位 オイシックス・ラ・大地(Oisix)

2017年にオイシックスと大地を守る会が経営統合、さらに2018年にらでぃっしゅぼーやと経営統合して現在のオイシックス・ラ・大地になりました。
オイシックス・ラ・大地は、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決することを目指し、「作った人が自分の子供にも食べさせられるもののみを届ける」というオイシックス独自の安全基準で、食の安心・安全に取り組む会社です。

  • 農薬ゼロを目指す
  • 育て方や飼育場所が確認できるもののみ扱う
  • 安全な海でとれた魚のみを扱う
  • 合成保存料・合成着色料を一切使用しない

といった、安心・安全にこだわった商品を取りそろえているのが特徴です。

オイシックス・ラ・大地 公式ページ

食品ECのトレンド調査

食品ECで必要となる機能や、UX施策例をピックアップし解説しています。

食品ECサイトを運営する上での課題

利便性を高める

自宅に近い店舗で食品を買っている人の中には、「買い物は店舗で事足りている」と考えている人も多く、食品ECサイトを利用するメリットをあまり感じていないでしょう。また、店舗で実際に商品を手に取って、鮮度を確認したいというニーズも根強くあります。

実店舗と比較して食品ECサイトにとって不利な点をいかに改善し、利便性をアピールできるかが食品ECサイトの課題のひとつです。さらに、利便性の高いサイトの構築とサービスを設計し、実店舗とは違った切り口で食品ECサイトならではの利便性を追求することも必要でしょう。

生鮮食品の鮮度を確保する

生鮮食品の取り扱いが難しいのは、食品ECサイトにとって大きな問題でしょう。
生鮮食品で重要なのはもちろん鮮度ですが、鮮度を保つことがECサイトの運用では容易でないのです。鮮度を保つために例えば、次のような対策が必要になります。

  • 商品の在庫を持つため冷凍・冷蔵設備に投資する
  • 設備を持たない場合は専門業者にアウトソーシングする
  • 配送時に鮮度を落とさないため、食品に特化した物流網を整備する

このような対策が必要になるため、他の業界と比較して設備費用がかかります。生鮮食品の鮮度を確保しながら、いかに運用コストを抑えて収益性を高めていくかが食品ECサイトの課題と言えるでしょう。

利益率を高めるビジネスモデルを確立する

食品ECは、商品の単価が低いわりに、バックエンドでは数多くの業務が発生して運用コストがかかるため、利益率が低くなりがちです。今後も食品ECの市場が成長して利用者が増えていくと、運用の負荷も高まっていくため、運用の効率化を進めるとともに収益性の高いビジネスモデルを構築することが課題となるでしょう。

食品ECサイトを成功させるためのポイント

物流業務を効率化する

食品ECには、実店舗にないメリットがあります。
そのひとつとして、重いものや大きいものなど、持ち運びが大変な商品を配送してもらえることが挙げられます。メリットを活かすためには物流を整備し、効率化することで鮮度を落とさず商品を届けることが必要でしょう。
消費者に食品ECを利用するメリットを感じてもらうために、物流面の取り組みは重要です。自社に物流のノウハウがなければ、物流業務のアウトソーシングを検討してみても良いでしょう。

定期購入につなげてリピーターを増やす

食品ECに限ったことではなくすべての業界に言えることですが、顧客のリピート率を高めることは食品ECにおいても重要です。定期購入やサブスクリプション型のサービスを導入するなど、リピーターを増やして安定した売上につなげる施策を打ちましょう。

その他、リピート率を高めるための施策としては、お買い得情報などのメルマガ配信や、初回・2回目など入会から日が浅い購入者向けキャンペーンの実施などが挙げられます。

信頼性と知名度を高める

ECサイトは実店舗と違って商品の実物を見ながら買い物ができません。そのため、実際の商品を手に取らなくても安心して購入できると思ってもらえるような、企業の信頼感や知名度が重要です。
信頼感や知名度は一気に上げられるものではないので、安価でお試し購入のサービスを実施するなど、信頼を得るための施策を採り入れることも必要でしょう。

食品ECサイトを成功させた3つの事例

食品ECサイトを導入する際には、自社に適したモデルを構築するためにも成功事例を参考にするのがオススメです。
本章では、自社の特徴を活かして成功している食品ECサイトの事例を紹介しましょう。

ハイ食材室

「良い物は良い、悪い物は悪いと本音で語れる少し面倒な食材屋」というスローガンを掲げ、テーブルを中心に人々を笑顔にすることを目指して、選ぶ幸せと食べる幸せを提供する株式会社ドレステーブルのECサイトがハイ食材室です。

こだわりぬいた食材が持つ物語。
食材の作り手と受け手の間に生まれる物語。
食材の物語をお客様と共有することで、食の本質を徹底的に追求した食材の価値を、ドレステーブルは提供しています。企業理念を読むだけで、ハイ食材室の食に対する信念が伝わってくるため、同じ価値観を持つ利用者からは厚い信頼が寄せられるのでしょう。

ハイ食材室 公式ページ

職人醤油

職人醤油は、日本各地の400以上の醤油蔵を訪問してセレクトしている醤油の専門店です。すべての商品は100mlの小瓶で統一されています。職人醤油は作り手を大切にしています。

  • 醤油のことが大好きな作り手
  • 自分の理想とする醤油に近づくために製造設備の改良を続ける作り手
  • 伝統的な製法を守り続けるために木桶づくりから手掛けるつくり手
  • 醤油を使ってくれるお客様が大好きなつくり手

それぞれに醤油と向き合う思想があって、常によりよいものづくりをしようとしている、そのような職人がつくる醤油を取り扱っています。様々なこだわりの醤油を使い分けると、毎日の食卓が楽しくなる。
作り手のこだわりを伝えることで、豊かな食のスタイルを提案するのが職人醤油です。

職人醤油 公式ページ

食べチョク

「生産者からチョクでお届け。だから新鮮。だから美味しい」
キャッチコピーが目を引くのは、日本最大のオンライン直売所である食べチョクのECサイト。購入した商品が農家や漁師からチョクで届けられるのが大きな特徴です。食べチョクでは、市場には出回らない珍しい食材や限定の商品など、45,000点以上の商品が出品されています。
生産者自身で値決めができるシステムにより、食べることで生産者の応援につながるのがポイントです。そのこだわりが消費者の共感を呼び、2022年にユーザー数は70万人を突破しました。

食べチョク 公式ページ

市場の伸びが期待できる食品EC

食品ECサイトを運営するには、食品業界ならではの課題をクリアしなければならず、難しいところがあります。しかし、課題をクリアできれば大きな強みとなるため、顧客の信頼を得て売上を伸ばしていけるでしょう。
また、食品業界は他の業界と比較してEC化率が低く、これからまだまだ市場の成長が期待できる分野でもあります。食品ECサイトを導入するきっかけとして、本記事の内容をお役立ていただければ幸いです。

食品ECのトレンド調査

食品ECで必要となる機能や、UX施策例をピックアップし解説しています。

この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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