新規事業企画書とは?PMFの達成方法や書き方を解説

2024.07.08
事業拡大
Wakka Inc. メディア編集部
新規事業企画書とは?PMFの達成方法や書き方を解説
SHARE ON
  • FaceBook
  • Twitter
  • LINE
  • Note

こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。

新規事業企画書は新しいアイデアを上長や経営陣に伝えるうえで重要な書類です。
適切な書き方を理解しておけば、PMFの達成を実現できる可能性が高まります。

しかし、PMFを達成できる新規事業企画書は作成する際に注意しなければならないポイントがあります。
また、PMFを適切に理解していることも重要です。

本記事では、新規事業企画書の基本的な書き方に加え、PMFの意味や達成方法などについても解説します。
自身のアイデアを実現するためにも、ぜひ参考にしてください。

目次

【おすすめ資料】新規事業の社内稟議で使える、企画書・ピッチテンプレートを無料配布!

大手企業での新規事業のプロが作った、新規事業企画書・ピッチのテンプレートを配布しています。 社内の新規事業検討の際に、ぜひご活用ください。

新規事業企画書を作成する理由

最初に、新規事業企画書を作成する理由を確認しましょう。

新規事業企画書は、その名の通り、新規事業の概要や実現するメリットなどを記載する書類です。
新規事業を立ち上げる際の判断材料にするために作成されます。

新規事業企画書はただ事業の内容を記載するだけでなく、実現する可能性や戦略的な有益性などを判断するうえでも重要なものです。
上長や経営陣は新規事業企画書を見て実行の是非を決めるため、自身のアイデアや熱意が伝わるような内容にしなければなりません。

つまり、新規事業企画書は新規事業の成否を占う最初のハードルと捉えられます。
読み手がアイデアを適切に評価できるよう、新規事業企画書は内容やレイアウトにこだわらなければなりません。

PMFとは

ReactでWebサイトを開発するための環境構築ガイド | 手順と注意点を解説4

本章ではPMFについて解説します。

PMFは新規事業の立ち上げにおいて重要な要素であり、新規事業企画書はPMF達成を念頭に置いて作成しなければなりません。
より説得力のある新規事業企画書を作成するうえでも、PMFの概要は必ず把握しましょう。

PMFの意味

PMFは「Product Market Fit」の略称であり、顧客のニーズを満たしているプロダクトが適切な市場で受け入れられている状態を意味するマーケティング用語です。
ベンチャー企業や新規事業の立ち上げで使用場面の多い用語ですが、ビジネスにおける基本的な考え方でもあります。

ただ高い売上を実現するだけでなく、「適切な市場で受け入れられているか」がPMFのポイントです。

顧客のニーズに応え、プロダクトと適合している市場で受け入れられてこそ、初めて事業は成長するきっかけを得ます。
そのため、PMFは新規事業のさらなる発展を実現するうえでも達成しなければなりません。

新規事業におけるPMFの重要性

PMFは新規事業の立ち上げにおいて重要視される要素ですが、その背景には昨今のビジネス環境の影響があります。

近年は技術の発展や嗜好の多様化などによって、以前より市場の不確実性が以前よりも増してきています。
トレンドの変動も頻繁に発生するため、優れたビジネスモデルを提供しても持続的な収益の獲得が難しい状況です。

そのため、昨今の企業は既存の事業をただ続けるだけでなく、積極的に新規事業の立ち上げに着手するようになりました。

しかし、不確実性が高い市場での新規事業の立ち上げは簡単ではありません。
ただ収益ばかりを重視して「売れるもの」を開発する事業では、継続的な成長は実現しないからです。

持続的に成長する事業を実現するうえでも、企業はPMFの達成を目指す必要があります。
顧客や市場のニーズを適切に検証し、確実に応えるためにも、PMFは企業が重視すべき指標です。

PMFとPSFの違い

PMFと似た用語にPSFがあります。

PSFは「Problem Solution Fit」の略称であり、顧客の抱える課題にプロダクトが適合している状態を示す用語です。
PSFも新規事業が成功するうえで不可欠な指標であり、PMFを達成する前段階に位置づけられています。

市場に受け入れられるには、まず顧客のニーズに応えられるプロダクトを製造する必要があります。
そのため、PMFを達成するうえでも、企業はまずPSFの達成を目指さなければなりません。

PMFを測定する5つの方法

PMFの達成は特定の方法を用いることで、定量的に判断できます。
本章でPMFを測定する以下の方法を紹介します。

  • PMF survey
  • NPS
  • リテンションカーブ
  • 口コミの調査
  • エンゲージメントデータ

それぞれ順番に解説するので参考にしてください。

PMF Survey

PMF SurveyはMVP開発と連動した測定方法です。
PMF Surveyの手順は以下の通りです。

新規事業で製造するプロダクトのMVPを作成し、ユーザーに提供した後、ユーザーに以下のような質問を行います。

「そのプロダクトがなくなったらどのように感じるか」

  • 非常に残念
  • まあまあ残念
  • 残念ではない
  • その他(「もう使用していない」等)

上記の質問をした後、「非常に残念」の回答がユーザーの40%以上を占めれば、PMFを達成したと判断できます。

NPS

NPSは「Net Promoter Score」の略称であり、MVPを提供したユーザーの「他のユーザーに薦める可能性」を調べることで、PMFを測定する方法です。
NPSでは「このプロダクトを他のユーザーに薦めるか?」という質問に対し、ユーザーに0~10の数字で回答してもらいます。

その後、回答を以下のように分類します。

回答分類特徴
0~6批判者プロダクトに不満があり、悪評を広げるリスクが高い
7~8中立者プロダクトにおおむね満足しているが、他社のものでも構わない
9~10推奨者当該企業のプロダクトを愛用し、他者に薦める可能性が高い

参照:NPSとは|NTTコムオンライン

上記の基準に則って分類した後、推奨者の割合から批判者の割合を引いた数字がNPSです。
算定したNPSが50以上に達していれば、プロダクトはPMFを達成していると判断されます。

なお、NPSは400以上のサンプルを集めなければ信頼できるデータは得られません。
より誤差の少ないデータを得るなら、2000以上のサンプルを集める必要があります。

リテンションカーブ

リテンションカーブは「プロダクトが顧客から継続的に利用されているか」をグラフで視覚化する測定方法です。
つまり、「既存顧客の維持ができているか」を調べることで、PMFの達成を判断します。

リテンションカーブで用いるグラフは、縦軸をリテンション率(継続率)・横軸をリリース後の期間と設定したうえで作成します。

グラフが横ばいになっていればPMFを達成していると判断が可能です。
逆にグラフが右肩下がりに下降していると、既存顧客が離れていることを意味します。

口コミの調査

口コミの調査は、SNSやレビューサイトなどに投稿された口コミを集計し、PMFの達成を判断する方法です。

昨今はさまざまなSNSやレビューサイトが誕生していることもあり、以前よりプロダクトに関する情報が集まりやすくなっています。
プロダクトへの有用なフィードバックも得られるため、PMFの達成を判断するうえでも、口コミの調査は有効な手法です。

エンゲージメントデータ

エンゲージメントデータとは、ユーザーが自社のプロダクトを「どのように使用しているか」「いつ利用しているか」などを調査し、PMFの達成を測定する方法です。
エンゲージメントデータでは、契約数・利用回数・ユーザー数などの定量的指標や、ユーザーの傾向などを調査します。

自社で設定した指標をクリアしているかでPMFの達成を判断する点が特徴です。

PMFを達成する新規事業企画書の書き方

本章では、PMFを達成する新規事業企画書の書き方を解説します。
各プロセスのポイントを解説するので、参考にしてください。

サマリーを記載する

最初に新規事業のサマリー(要約)を記載します。
サマリーでは新規事業の目的や理念に加え、事業内容・実現したいこと・事業計画・市場規模・背景などを網羅的にまとめましょう。

サマリーを記載する際は、アイデアを齟齬なく伝えられるよう、わかりやすい内容でまとめることがポイントです。
ボリュームが大きくなりがちですが、読み手が理解しやすいように、簡潔でわかりやすい内容になるようにしましょう。

事業概要をまとめる

事業概要では、新規事業の概要に加え、ターゲットとなる顧客層・コンセプト・提供価値などを記載します。

事業概要は、読み手が事業の大まかなイメージを把握できるように記載することが重要です。
サマリーと同様に、ボリュームが大きくなりすぎると読みづらくなるので注意しましょう。

課題と解決策を明確にする

新規事業を立ち上げるうえで、解決しなければ課題と、その解決策を明確にすれば、実現する可能性が高まります。
特に上長や経営陣を説得するうえで、この項目は必ずクリアしなければなりません。

課題は優先順位をつけて洗い出すようにしましょう。
例えば、「解決の優先度が高い課題」「不明確だが解決した方が良い課題」と、課題を分類すれば、優先的に記載すべきものが明確になります。

また、把握していないリスクがないように、多角的な観点から洗い出すことも重要です。
さらに、課題に応じた解決策を記載することにより、より説得力のある新規事業企画書になります。

市場とターゲットを提示する

新規事業の市場とターゲットの提示をする際は、具体的に記載することが重要です。

具体性がなく、漠然としたイメージだけで記載すると、市場やターゲットが不明瞭になりかねません。
市場について記載する際は、現状の市場規模や傾向について記載しましょう。

市場を記載する過程で、顕在化しているニーズも明記しましょう。

ターゲットとなる顧客を記載する際は、ペルソナを設定する方法がおすすめです。
ペルソナを設定すれば顧客像を具体化でき、PMFやPCFを達成するきっかけをつかみやすくなります。

実現する計画を策定する

新規事業企画書の段階で計画(スケジュール)を策定する際は、大まかな内容で問題ありません。
開発に要する期間・各タスクの達成に必要な期間・収益化が果たされるまでの期間などを、簡潔にまとめましょう。

ただし、新規事業の計画は必要なコストやリスクを算定するうえで不可欠な要素です。
計画に狂いが生じると予算を超過する可能性が高まるため、短期的・中期的な視点で計画を策定しましょう。

事業の仕組みを記載する

事業の仕組みを記載する際は、どのように顧客に価値を提供し、収益を得るかを具体的に記載しましょう。
まず、プロダクトを製造し、顧客に届けるまでの「オペレーション」と、顧客にアプローチするための「マーケティング」のプロセスを明示します。

さらに事業を運営するうえでの体制や人員も記載しましょう。
収益について記載する際は、新規事業が利益を得る手段や過程を明確にします。

また、収益を上げ続けるための施策も記載すると、説得力が増します。

想定される収益とコストを算定する

ビジネスである以上、想定される収益とコストの算定は欠かせません。
企画書の段階でも、黒字化できる時期や費用対効果を明示すれば、新規事業が承認される確率が高まります。

新規事業企画書では、新規事業の立ち上げ・運営に際して必要なコストを網羅し、想定される収益を具体的に記載しましょう。
コストや収益が具体的になれば、予算や費用対効果も明確になります。

なお、収益を算定する際は、達成すべきKPIも併記しましょう。

KPIが明示されていれば、収益を獲得する過程の確実性を把握できます。
また、算定した数字への説得力も高まるでしょう。

【おすすめ資料】新規事業の社内稟議で使える、企画書・ピッチテンプレートを無料配布!

大手企業での新規事業のプロが作った、新規事業企画書・ピッチのテンプレートを配布しています。 社内の新規事業検討の際に、ぜひご活用ください。

PMFを達成する4つのポイント

新規事業でPMFを達成するなら、いくつかのポイントを意識しなければなりません。
本章では、以下4つのポイントを解説します。

  • 顧客の声を取り入れる
  • PoCを実践する
  • MVP開発と組み合わせる
  • PSFの達成を目指す

いずれのポイントも、新規事業立ち上げに伴う不確実性を低減し、成功する確率を引き上げるものです。
新規事業企画書を作成する際も意識しましょう。

顧客の声を取り入れる

PMFを取り入れるうえで、顧客の声を取り入れることは重要です。

不確実性が増している以上、企業だけで市場の動向を予測することは簡単ではありません。
もし動向の予測に失敗すれば、新規事業は失敗し、多額の損失を被る恐れがあります。

そのため、新規事業でPMFを達成する際には、積極的に顧客の声を取り入れましょう。
昨今はインターネットの普及やIT技術の発展により、さまざまなチャネルから顧客の声を取り入れられます。

適切に活用すれば、新規事業の立ち上げに有益な情報を得られます。

ただし、顧客の声を取り入れる際は取捨選択を意識しなければなりません。
顧客の意見には有用なものもあれば、役に立たないものもあります。

不必要なものまで取り入れると、かえってコンセプトがブレるリスクが高まります。

PoCを実践する

PoCとは「概念実証」を意味する用語であり、事業やアイデアの実現可能性を検証する取り組みです。
市場にまだ存在しないアイデアを検証するうえで、PoCの実践は有効な手段です。

あらかじめ実現可能性を検証し、プロダクトの開発やリリースに伴うリスクや課題をクリアしておけば、不確実性を低減できます。
また、プロトタイプを作成してユーザーからフィードバックを得たり、社会的受容性や有用性などの観点から分析したりすれば、新規事業が成功する確率を向上させられます。

MVP開発と組み合わせる

MVP開発は必要最小限の機能のみを搭載したプロダクト(MVP)をリリースし、ユーザーのフィードバックを集めながら完成を目指す開発手法です。
ユーザーのフィードバックを集めながら完成を目指すため、新規事業が失敗するリスクを減らせるうえに、低コストでスピーディーに開発できます。

MVP開発はPoCのように新規事業のリスクを低減できる手法であり、世界中の名だたる企業でも実際に活用されています。
フィードバックを受けてPCDAサイクルを回し、プロダクトを完成させればPMFの達成が可能です。

ただし、MVP開発は相性が悪いプロダクトがある点には注意しましょう。
特に複数の機能を搭載しなければならないものや、完成された状態が求められるものは、MVP開発には不向きです。

PSFの達成を目指す

先述しましたが、PMFを達成するうえで、最初にPSFを達成することは重要です。
開発するプロダクトが顧客の課題解決に貢献できなければ、市場で受け入れられる確率は低下します。

そのため、まずプロダクトの有用性は十分証明できるようにしましょう。

また、PSFを達成するには開発・供給を行う体制やリソース面の問題をクリアしなければなりません。
プロダクトが安定的に供給できる状況が実現できなければ、事業として継続することが困難になります。

PMFの達成は新規事業企画書が鍵になる

PMFとは、顧客のニーズを満たすプロダクトが市場に適切に受け入れられている状態を指す用語です。
新規事業企画書を作成する時点から、PMFの達成を意識しておけば、不確実性やリスクを低減できます。

PMFを達成する新規事業企画書を作成する際は、ポイントを押さえ、適切な書き方を意識するように心がけましょう。
クオリティの高い新規事業企画書をするだけでも、新規事業の立ち上げをスムーズに進められます。

【おすすめ資料】新規事業の社内稟議で使える、企画書・ピッチテンプレートを無料配布!

大手企業での新規事業のプロが作った、新規事業企画書・ピッチのテンプレートを配布しています。 社内の新規事業検討の際に、ぜひご活用ください。

この記事を書いた人
Wakka Inc. メディア編集部