ECサイトの在庫管理の手法とは?システム化のメリットとおすすめツールを解説

2023.02.27
DX・システム開発
中垣圭嗣
ECサイトの在庫管理の手法とは?システム化のメリットとおすすめツールを解説
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こんにちは。Wakka Inc.のベトナムラボマネージャーの中垣です。
ECサイトでは商品数が増加するにつれ、在庫管理に頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。在庫量の調整は思ったよりもハードルが高く、過剰在庫や不良在庫など多くのトラブルがつきものです。様々な業態で在庫管理のシステム化が図られていますが、ECサイトも例外ではありません。

また在庫管理システムにも様々なものがあり、どれを導入すればいいかわからないという悩みもよくお聞きします。本記事では、在庫管理の手法やシステム化のメリット、自社に合うシステムの選び方などを解説します。自社に適した在庫管理システムを導入したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

在庫管理の手法とは

在庫管理の手法とは企業が適切な在庫を管理する手法で、大きく分けて3つの手法があります。

  • 定期的な発注
  • 発注点による管理
  • ABC分析

定期的な発注とは、月1回など一定期間ごとに手動で在庫を発注する方法を指します。この方法はシンプルで、商品数や販売量が少ない場合に適しています。売上が少ない立ち上げ直後の場合は、ECサイト全体の動きを配慮できるため、定期発注は理にかなっている管理方法です。

欠点は発注と発注の間、自社の在庫数に意識を向けなければならない点です。定点発注は必要な在庫数が、一定の水準を下回った場合に定量を発注する方法を指します。在庫の種類が増えてきて、ある程度受給が予想できる場合に適しています。定期発注よりも、在庫量を監視する頻度が高くなるため、より正確な在庫管理を行うことが可能です。

ABC分析とは、在庫管理のより詳細な方法を指します。
この方法では商品はその重要度と販売量に基づいて3つのカテゴリーに分類します。

  • A(利益率大・数量大)
  • B(利益率中・数量中)
  • C(利益率小・数量小)

このように販売数量と、利益率により在庫量をカテゴライズしていきます。
この方法によって企業は最も重要な商品に力を注ぎ、余分な在庫を減らすことが可能です。Aグループは在庫をある程度持てば、機会損失を防ぐことができます。Cグループは不良在庫になりやすいため、注視すると不必要な在庫を積み上げなくても良くなります。
ABC分析による在庫管理はある程度売上があり、商品ラインナップが豊富になった場合に取り入れるのが理にかなっていると言えます。

在庫の可視化

在庫の可視化とは、在庫に関連するデータを整理し理解しやすくすることを指します。在庫の可視化には2種類の意味合いがあります。

  • 現品チェック
  • データチェック

現品チェックは在庫を目で確認し、把握する手法です。倉庫に乱雑に商品が置かれていると、在庫の可視化がままなりません。現品チェックを行う場合は整理整頓、定物定位、清掃の徹底などを徹底的に行いましょう。その後現存する棚などがあれば、ロケーション管理をするのが望ましいです。

ロケーション管理とは棚に住所を割り振るような管理法です。在庫の位置が瞬時に把握できるのと、在庫が入荷された場合に迷わず納品できるのです。適切な在庫量を把握するためには、まずは現品チェックが行いやすい環境を整え、誰でも簡単に在庫の場所を認識できるのが重要だと言えるでしょう。

データチェックはデータ上で在庫量を確認する手法です。現品チェックで、在庫量を数えて記録していきます。
在庫データの可視化で、第三者もどこにどの在庫があるかを把握できます。ロケーションも記録していけば、より在庫管理が行いやすくなるでしょう。

在庫の適正量評価

在庫適正の評価とは、在庫量を管理し望ましいレベルを維持できるようにする手法です。在庫量が少なすぎると、欠品のリスクを伴いますし、多すぎると管理のコストが増大します。適正量を算出するには、1年単位の出庫状況から割り出すのが良いでしょう。

商品の出庫数を月平均で算出し、適正在庫を設定します。算出する期間が短すぎると、ピーク時の需要を拾えない可能性があるので注意が必要です。一度決めた適正量は、定期的に見直していきましょう。
途中まで上手く言っていたとしても、時代の流れにつれ変化するものです。いつの間にか機会損失に陥り、過剰在庫に陥らないためにも、期間を決めて適正在庫量を評価していきましょう。

在庫の回転率分析

在庫の回転率分析とは、その商品が売れるペースを調べることです。回転率が高ければ高いほど、その商品が売れていることを示しています。経営ベースで考えた場合は回転率だけでなく、その商品が利益を上げているかも合わせて考慮しなくてはいけません。数が売れても利益が取れなければ、管理、販売コストが積み重なってしまうからです。

回転率を分析すれば適正在庫量も計算できるでしょう。期間の売上を在庫回転率で割ったものが、適正在庫と設定できます。一般的な業種の在庫回転率は経済産業省が公表しているので、参考にするのがよいでしょう。
参照‥‥商工業実態基本調査

実店舗とECサイトでの在庫管理の問題点

近年は実店舗とECサイトを両方構えている企業も増えてきました。ECサイトは巣ごもり需要などで急速に需要を伸ばしているため、新たにECサイトでの販売にチャレンジする企業も多いのではないでしょうか。

またECサイトだけでなくSNSなどで顧客とつながりを持ち、売上を拡大していく手法も存在します。実店舗だけでなく、ECサイトなどでも販売を行っていくと、在庫管理の問題は複雑化していきます。実店舗とECサイトでの在庫管理の問題点の具体例を確認していきましょう。

販売チャンネルが複雑

実店舗やECサイトでの販売経路の多様化は、在庫管理をさらに難しくします。店舗での実売と、ECサイトでの需給予測をあわせて考えなくてはいけないからです。また店舗や倉庫などの拠点が複数ある場合もそれぞれの在庫を統括して把握する必要があり、より複雑な在庫管理を必要とします。

店舗で販売しようと思い、倉庫から取り寄せの指示をだしても、誤って他の拠点に移してしまい、結局在庫切れになってしまっているような場合もあります。実店舗、ECサイトでの販売は販売機会を最大化できる可能性がありますが、在庫をリアルタイムで把握する必要があるのです。

在庫管理の工数が多い

扱う在庫数や品数が多くなると在庫管理の工数も複雑になります。
販売する経路が増えると、どのタイミングで販売したかリアルタイムで記録し、現在の在庫状況を確認する必要があるからです。実店舗で売れた場合は、在庫から引き、ECでも売れた場合は同様に在庫の数を引く必要があります。

在庫から引く、入庫されたら足す作業は販売数が増えれば増えるほど工程が増えていきます。単純な作業のようですが、繰り返しの作業は従業員の労務負担が増すだけでなく、ヒューマンエラーの温床となり得るのです。複数のチャネルがある場合は、出入庫や販売の管理を仕組み化する必要があると言えます。

ECサイト上で在庫管理をシステム化するメリット

在庫管理のシステム化は、ECサイトでの販売を成功させるために重要な戦略です。
在庫量の適切な把握はもちろん、キャッシュフローの余裕、機会損失の防止、人件費の削減、経営に有益なデータの提供など、多くのメリットが得られるからです。それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

キャッシュフローに余裕が出る

在庫管理をシステム化すると、キャッシュフローに余裕ができます。システム化で、在庫の適正量が正確に把握できるからです。キャッシュフローが悪化する原因は、予想できない販売数の増加や過剰在庫です。売上が増加してしまうと、入庫するために販売店に支払いをしなくてはいけません。

ECサイトの場合、クレジットカード払いなど様々な入金方法を取るため、入金と支払のタイミングが合わない可能性が出てきます。販売数が急に伸びるのは良いことと言えますが、売上金と支払金のタイミングが合わない場合は、手元資金が無くなるため経営上のリスクを高めかねません。在庫管理をシステム化すれば正確な受給をつかむことで、入金と出金のバランスをとれるのです。

機会損失を防げる

在庫管理をシステム化すると、機会損失も防げます。
機会損失の大きな理由の一つに、在庫切れが挙げられます。在庫切れは、出入庫の正確な値がわからないことや入庫のタイミングが不明確なことが原因です。キャッシュフローの問題で、在庫は少なめにしたいとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、経営効率を最大化するためには、機会損失を防ぐのも重要と言えます。出入庫の正確な管理、入庫のタイミングなどを把握するためにも在庫管理のシステム化は必須と言えるでしょう。

人件費を削減できる

在庫管理のシステム化で人件費も削減可能です。在庫を取りに行く、入れ替える、帳票をつけるなどの単純作業がシステム化できるからです。在庫管理の単純作業を本来の業務に回せるため、生産性を上げる業務に注力できます。ヒューマンエラーも減らせるため、エラーを修正する業務自体が削減可能です。
また管理専門の部署があるならば、在庫システムの運用で生産性の高い部署に再配属も可能になります。システムを導入するにも費用はかかりますが、人件費削減などのトータル面でのメリットは大いにあると言えます。

在庫管理をシステム化する時に気をつけるポイント

在庫管理をシステム化を決定した場合、気をつけたいポイントは在庫管理のゴールをどこに置くかです。
在庫管理を通じて実現したい目標は何でしょうか。顧客サービスの向上なのか、コスト削減なのか、それとも在庫レベルの最適化なのかなど企業が抱えている課題は様々です。目標が定まればそれを達成するための方法を計画し始めることができます。
システム化する際に特に気をつけるポイントを解説いたします。

在庫管理フローを確認する

在庫管理システムを導入する前に、自社で行われている在庫管理の方法をフローチャート形式でまとめましょう。入庫から出庫、現在の在庫数はどのタイミングでカウントしているかなど細かく分けて記載していくのが望ましいと言えます。在庫管理で把握したい要素も明確にする必要があります。

たとえば、在庫の有効期限や品質保証期限などです。とりあえずシステム化を目指すのではなく、自社の望ましい状況を把握してからシステム化を進める必要があります。

自社の既存システムとの連携

実装予定の在庫管理システムが、すでに実装されているシステムと連携できるかを確認しましょう。既存のシステムとの連携で、手動でのデータ入力を減らし在庫管理を容易にできるからです。
会計システム、請求書作成システム、顧客関係管理システムなど様々なものがありますが、入庫から販売まで一気通貫に行えるシステムが企業にとって望ましいと言えます。システムの統合によって部門間のデータ共有も容易になり、より効率的な運用が可能です。

棚卸機能

在庫管理システムが棚卸し機能を実装しているかも重要なポイントです。
在庫に印刷されているバーコードを専用端末などで読み込み、在庫データと実在庫数を合わせます。在庫データと実在庫の照らし合わせは、実際のデータ数と差が出ていないか確認するだけでなく、会計上、棚卸資産を計算する上で欠かせません。全体の棚卸だけでなく、一部のみ棚卸する場合もあるため、自社が行いたい棚卸の機能を実装しているか確認しましょう。

在庫管理システムの選び方のポイント

各社から提供されている在庫管理システムには、様々なものがあります。自社に必要な機能を網羅しているのはもちろんですが、自社の取り巻く環境にも合わせることが必要です。具体的にどのようなポイントがあるのか解説いたします。

オンプレミス型かクラウド型か

機能を絞り込んだあとは、オンプレミス型またはクラウドベース型のどちらを利用するか決定しましょう。
オンプレミス型は、企業が所有するPCとサーバー上で稼働するシステムです。オンプレミス型をおすすめするのは、自社サーバーをすでに構えている企業です。一般的に買い切りのソフトなので、継続的なコストの発生を抑えたい場合はオンプレミス型を選びましょう。

オンプレミス型はサーバーへの不正アクセスの可能性が比較的低いため、セキュリティ面を重視する企業に適しています。また導入後にカスタマイズができるので、より自社の状況に合わせたい場合はオンプレミス型がおすすめです。

しかし、このタイプのシステムは自社でサーバーメンテナンスを行う必要があり、管理コストがかさむ可能性が高いです。クラウド型のシステムは、自社でサーバーを構築する必要なく、インターネットに接続できる環境さえあれば、どこでもアクセス可能です。サーバーを用意する必要もなく、メンテナンスコストを削減できます。

クラウドベースのシステムは、低価格であることが多く、導入スピードもオンプレミス型のシステムよりも早い傾向があります。しかしカスタマイズはあまりできないため、自社にあったシステム選びが重要と言えそうです。オンプレミス型、クラウド型どちらもメリット・デメリットがありますが、最近ではクラウド型のシステムを取り入れる企業が多い傾向があります。

料金プラン

料金プランも在庫管理システムを選ぶ際のポイントとなります。
オンプレミス型で数十万円〜1,000万円程度、クラウド型で月数万円程度のコストがかかります。オンプレミス型は一度支払えば追加のコストはかかりませんが、法改正やシステムの老朽化に対応するために再度購入する必要もあるでしょう。事業規模の拡大とあわせて、トータルのコストを考えてシステムの導入を決定すべきです。

自社に合うシステムがない場合はフルスクラッチ型がおすすめ

オンプレミス型、クラウド型、どちらも自社の課題を解決するに至らない場合はフルスクラッチ型の開発もおすすめです。ベンダーと要件定義を丁寧に話し合うことで、自社に理想的なシステムの構築の提案を受けられます。
信頼できるベンダーを選ぶ際は、システムの開発実績などを参考にしましょう。開発実績が豊富なベンダーは様々な課題を解決しシステムを実装しているため、企業の要望に寄り添う提案を行ってくれます。

ECサイトの在庫管理におすすめな2つのツール

ここからは導入実績が豊富で、おすすめできるツールを2つご紹介いたします。

アラジンオフィス

アラジンオフィスは5000社のユーザーに導入されている在庫管理システムです。在庫管理単体の機能だけでなく、販売管理まで行える一気通貫のシステムと言えます。対応できる業種は

  • ファッション
  • 食品
  • コスメ

など様々なシチュエーションに対応可能です。オンプレミス型にもクラウド型にも対応できるため、自社の状況に合わせたシステムの導入を検討しましょう。

ロジクラ

安価な在庫管理システムをお探しの企業におすすめの在庫管理システムです。
必要十分な機能を実装しながら無料で利用可能であり、出荷量や拠点数によって必要な料金プランを選べます。クラウド型のシステムのため様々なデバイスで利用可能です。様々な外部サービスとの連携も可能なので、自社の状況に合わせることもできるでしょう。

まとめ:ECサイトの在庫管理システムはベンダーに相談しよう

ECサイトでの在庫管理は、システム化前提で構築したほうが生産性の向上を目指せるといえるでしょう。とはいえども、実際自社の問題点はどこにあるかわからないとお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。とりあえず、なんとなくシステムを導入してみるのはおすすめできません。

システム化のゴールは自社の利益の最大化ではないでしょうか。そのための課題解決に向けた、最適なシステムの構築は他社との優位性を確保するためにも必要不可欠です。問題点の把握からゴールまで並走できる、開発経験豊富なベンダーに一度相談してみるのをおすすめいたします。

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この記事を書いた人
中垣圭嗣

WebメディアでPGから管理職まで幅広く経験し、Wakka Inc.に参画。Wakka Inc.のオフショア開発拠点でラボマネジャーを担当し、2013年よりベトナムホーチミンシティに駐在中。最近では自粛生活のなかでベトナム語の勉強にハマっています。

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