マルチプラットフォームとは?システムやメリットをわかりやすく解説

2023.01.04
DX・システム開発
安藤 大海
マルチプラットフォームとは?システムやメリットをわかりやすく解説
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こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。
マルチプラットフォームを活用すれば、アプリ開発が効率的になり、エンジニアにとっても多くのメリットがあります。昨今のアプリ開発では、マルチプラットフォーム開発が増加傾向にあるものの、
「マルチプラットフォームという言葉を聞いたことはあるが、具体的な意味まではわからない」
「マルチプラットフォームを活用して効率よくアプリ開発をする方法を知りたい」
といった悩みをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか?


本記事では、マルチプラットフォームのシステムやメリットから具体的なツールまで詳しくご紹介します。マルチプラットフォームで効率的なアプリ開発を実現し、コスト削減や新規ユーザー獲得に役立てたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

マルチプラットフォームとは

マルチプラットフォーム(クロスプラットフォーム)とは、異なる機種やOSでも、同じアプリケーションの動作が可能なプログラムを指します。
現在はシステムやツールの動作環境が多様化し、単一のプログラムで対応できるマルチプラットフォームが求められています。
またスマートフォンのアプリ開発に関しても、iOS・Android両方に対応させるケースが一般的になってきました。

マルチプラットフォームの開発手法

マルチプラットフォームの開発手法には、下記の2種類があります。

  • ソースコードを同じにする手法
  • 仮想マシンを活用する手法

それぞれ詳しく解説します。

ソースコードを同じにする手法

マルチプラットフォームの開発手法のひとつは、ソースコードを同じにする方法です。ソースコードを同一にし、複数のプラットフォーム向けに動作可能なプログラムを作成します。
iOSとAndroid、MacOSとWindowsなど異なるプラットフォームそれぞれに対応したアプリを開発する際に、頻繁に活用される手法です。
また、商用のソフトウェア製品をマルチプラットフォーム化する場合も、ソースコードを同一にする手法が用いられています。

仮想マシンを活用する手法

マルチプラットフォームは、仮想マシンを使って開発されるケースもあります。仮想マシンを簡単に説明すると、MacOSが搭載されたMacBook上で、WindowsOSを起動させるようなイメージです。
1台のパソコンに別々のOSが存在することで、多くのプログラミング言語に対応でき、実行環境が整っているプラットフォームでソフトウェアを動作させることができます。
主にJava言語やスクリプト言語によるソフトウェア開発がこの手法に該当します。

3種類のマルチプラットフォーム

マルチプラットフォームには3種類の型が存在します。それぞれの特徴を理解すれば、効率よくアプリ開発が行えます。具体的な型は、以下の3種類です。

  • ネイティブ型
  • ハイブリッド型
  • 独自レンダラ型

順番に見ていきましょう。

ネイティブ型

ネイティブ型の特徴は、それぞれのOSプラットフォームの描画エンジンを使用して開発する点です。操作性に優れたOSのUIを利用できるため、ストレスなく扱えるでしょう。
その他にも、処理速度が高速な点や、オフライン環境でのアプリ開発も快適な点が特徴として挙げられます。
ネイティブ型の開発環境は、Microsoft社が提供するXamarinやMeta社(Facebook)が開発したReact Nativeなどが代表的です。

ハイブリッド型

ハイブリッド型は、HTML・CSS・JavaScriptなどのプログラミング言語を用いて、Web機能を開発します。
スマートフォンに組み込まれているWebViewというソフトウェアを利用して、ChromeやSafariなどのブラウザと同じように、WebページをOS上に表示できるのが特徴です。
ただしWebページを利用するため、アプリと比べると処理速度が遅めで、ネイティブ型ほど高度な機能は実装できません。ハイブリッド型の開発環境は、CordovaやTitanium Mobileなどが代表的です。

独自レンダラ型

独自レンダラ型は、独自のレンダリングエンジン*を利用してアプリを開発します。
ネイティブ型やハイブリッド型と違いOSやWebに依存せず、それぞれのプラットフォームにある描画エンジンを使い、オリジナルなUIを表示できます。自由度が高く、アプリ開発やゲーム開発に向いているのが特徴です。
独自レンダラ型の開発環境は、UnityやFlutterなどが代表的です。
※レンダリングエンジン……プログラミング言語を解釈し、描画するシステム

マルチプラットフォーム開発のメリット

マルチプラットフォーム開発には、経営視点に留まらず、開発者の視点で見ても多くのメリットがあります。代表的なメリットは次の3つです。

  • 開発コストを減らせる
  • 開発人員を確保しやすい
  • 多くのユーザー獲得が期待できる

詳しく見ていきましょう。

開発コストを減らせる

マルチプラットフォーム開発により、開発にかかるコストを大幅に減らせる可能性があります。
開発時にマルチプラットフォームを活用すれば、ひとつの言語でコーディングをするため、ソースコードの削減が可能です。OS毎の新たな言語学習コストがなくなり、開発期間の短縮にも繋がるでしょう。
ソースコードが統一されることで、バグの修正や機能追加も容易になり、エンジニアの負担も軽減されます。

開発人員を確保しやすい

開発人員を確保しやすい点も、マルチプラットフォーム開発のメリットのひとつです。従来は、OS毎に異なるプログラミング言語での開発が必要でした。
しかしマルチプラットフォームを活用すれば、単一言語で開発できるため、人的リソースを節約できます。経済産業省の試算では、2030年に79万人のエンジニアが不足すると予測されています。
マルチプラットフォーム開発は、エンジニア不足の解消にも有効な手段と言えるでしょう。

多くのユーザー獲得が期待できる

マルチプラットフォーム開発により、多くのユーザー獲得が見込めるメリットも忘れてはいけません。
マルチプラットフォーム開発で複数のOSやデバイスに対応でき、アプリを利用するユーザーの幅も広がります。
例えばスマートフォンアプリであれば、iOSとAndroidの両方に対応するアプリをリリースすることで、より多くのユーザーにリーチできるのです。
エンジニアにとっても業務負担が減り、アプリそのものの品質向上に集中できるでしょう。

マルチプラットフォーム開発のデメリット

マルチプラットフォーム開発には、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットも把握した上で、自社への導入の可否を判断しましょう。
マルチプラットフォーム開発で想定されるデメリットは下記の3つです。

  • 開発事例が少ない
  • 不具合への対応が複雑
  • 新機能を取り入れにくい

開発事例が少ない

開発事例が少ないことが、マルチプラットフォーム開発のデメリットのひとつです。マルチプラットフォーム開発は比較的新しい技術のため、開発事例がまだそれほど多くありません。
日本国内での事例に絞るとさらに少なく、開発には高度な知識や技術を持ったエンジニアが必要になるでしょう。

不具合への対応が複雑

不具合への対応が複雑な点も、マルチプラットフォームのデメリットとして挙げられます。
マルチプラットフォームを活用すれば単一言語で開発できますが、不具合時には各OSに対応した言語での修正が必要となる場合があります。
例えばiOSとAndroidでアプリを開発した場合、片方のアプリのみで不具合が生じ、開発時とは違う言語での修正対応が必要なケースも出てくるでしょう。

新機能を取り入れにくい

マルチプラットフォーム開発には、新機能を取り入れにくいデメリットもあります。
マルチプラットフォームを活用すれば異なるOSでの開発が可能ですが、新機能が不具合なく利用できるかは実装してみないとわからない面も多いのです。特にカメラ機能などは実装のハードルが高いと言われます。

マルチプラットフォーム開発ツール6選

マルチプラットフォームに欠かせない開発ツールには、それぞれ強みや特徴があります。自社の開発目的と合致するツールを適切に選ぶためには、ツールへの知見も欠かせません。
今回ご紹介するマルチプラットフォーム開発ツールは、下記のとおりです。

  • Flutter
  • Unity
  • Swift
  • Xamarin
  • Cordova
  • React Native

Flutter

Flutter(フラッター)は、Google社が提供する独自レンダラ型のマルチプラットフォーム用フレームワークです。Google社が開発した言語であるDartを使用しており、アプリの処理速度が速いのが特徴です。
さらにプログラムの変更をリアルタイムで確認できるホットリロード機能も備えています。UIの自由度が高く、初心者にもおすすめのフレームワークです。

Unity

Unity(ユニティ)は、Unity Technologies社が提供する独自レンダラ型のマルチプラットフォーム用フレームワークです。
プログラミング言語はC#を使っており、主にゲーム開発にて活用され、3D描画にも対応します。完成されたプログラム部品や素材を購入できたり、コミュニティが準備されているのも大きな特徴でしょう。

Swift

Swift(スウィフト)は、Apple社が開発したオープンソースのプログラミング言語です。主にiOSのアプリで使われています。
Objective-Cの後継と認識されており、C言語との連動も手軽に行えます。導入するハードルが低いのもSwiftの特徴と言えるでしょう。

Xamarin

Xamarin(ザマリン)は、Microsoft社が提供するマルチプラットフォームです。
ネイティブアプリの開発言語をC#に置き換えることで、OSを問わず高性能なアプリを開発できます。ラムダ式やLINQ、async/awaitなどの処理やライブラリを活用して、コーディング作業を効率化できる点も強みでしょう。

Cordova

Cordova(コルドバ)は、Apache社のソフトウェア財団が提供するハイブリッド型のマルチプラットフォームです。
Web開発の基本的な技術であるHTML5・JavaScript・CSSが使われており、学習コストが低く開発に注力できる点は大きなメリットと言えるでしょう。プラグインが豊富な点もCordovaの特徴のひとつです。

React Native

React Native(リアクト・ネイティブ)は、Meta社(Facebook)が開発したネイティブ型のマルチプラットフォームです。
iOSとAndroidを単一言語で開発でき、プログラムの変更をリアルタイムでUIに反映させられます。JavaScriptを扱えるエンジニアであれば、ネイティブ環境のノウハウがなくても扱える点も優れた特徴です。

マルチプラットフォームを導入して効率的に開発を進めよう

今回はマルチプラットフォームの開発手法やメリットについて詳しく解説しました。効率的な開発が可能なマルチプラットフォームは、今後ますます需要が拡大していくでしょう。
マルチプラットフォームが自社に合っているかを判断するためにも、まずはシステム開発に精通したベンダーに相談するのが良いのではないでしょうか。

この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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