【徹底比較】ECサイトのオープンソースとは?実例やメリットを紹介

2022.09.25
ラボ型・オフショア開発
安藤 大海
【徹底比較】ECサイトのオープンソースとは?実例やメリットを紹介
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こんにちは。Wakka Inc.のWebディレクターの安藤です。
「ECサイトをなるべく安価で構築したい」
「レンタルサーバーを契約しているので、ECサイトも一緒に構築できないだろうか?」
ECサイトを構築する手段はさまざまで、上記のようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
本記事では、ECサイトの構築手法のひとつであるオープンソースの特徴や構築手順、CMSの比較などをご紹介いたします。ECサイトをオープンソースで構築しようとお考えの方は、ぜひご参考になさってください。

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目的や売上規模に応じたEC種別選定や最適な構築手法についての診断を受けたい方は、「料金目安もわかるECサイト構築ガイド」をご確認ください。

目次

ECサイトのオープンソース構築とは?

ECサイトのオープンソース構築とは、公開されているソースコードを利用し、ECサイトを構築していく手法を指します。公開されているコードはライセンスフリーのため、誰でも無料で使えます。
そのためオープンソースを用いてECサイトを構築していく手法は、非常に安価にECサイトを構築できる手法といえるでしょう。

ECサイトをオープンソースで構築するメリット

オープンソースによるECサイトの構築には、価格以外にもさまざまなメリットがあります。代表的なメリットをくわしく見ていきましょう。

初期コストがおさえられる

ソースコード自体は無料ですが、残念ながら、すべて無料でECサイトを構築できるわけではありません。ECサイトを構築する環境を整備するためのコストは発生します。

  • サーバー代(レンタルサーバーでも可)
  • ドメイン取得費用
  • 決済手数料

すでに自社でサーバーを構えている場合は、自社内のサーバーを利用することもできます。新規で自社内のサーバーを構えるのは、機器の購入やメンテナンス費用などが高額になるケースもあるので、レンタルサーバーを契約するのがオススメです。
レンタルサーバー代は月額数千円~、ドメイン取得料は年額数千円~と、非常に安価にECサイトを構築する環境を整備できます。ECサイトを構築するための予算が限られている場合に、とくに向いている構築手法といえるでしょう。

プラグインが無料

プラグインとは、サイトの機能を拡張するソフトウエアを指します。オープンソースはデフォルトのままでもECサイトを構築できます。
しかしECサイトを運営していくうちに、「あの機能があったほうが顧客に喜んでもらえそう」と気づくことがあるでしょう。
デフォルトの機能には備わっていなくても、「必要な機能を付け足して使いたい」などの要望に柔軟に対応できます。

  • クーポンのプラグイン
  • 会員限定サイトのプラグイン
  • メルマガ管理のためのプラグイン
  • お問い合わせ管理のプラグイン

オープンソースではさまざまなプラグインがあるため、自社の状況に応じたサイトのカスタマイズができます。

サイトのデザインが自由

プログラミングの知識は必要になりますが、オープンソースであればサイトのデザインを自社でカスタマイズできます。
テンプレートを使えばある程度のクオリティのサイトは作成できますが、似たり寄ったりのサイトになってしまうかもしれません。しかしオープンソースならば、デザインにこだわったサイト構築も可能です。
またプログラミングの知識がなくても、有料のテンプレートを使用すれば、より凝ったデザインのサイトを構築できます。

オープンソースによるECサイト構築が大変な理由

オープンソースでECサイトを構築するのは意外と大変です。
ソースコードは無料で、環境構築の費用もあまりかからないため、「ECサイトを構築するにはオープンソースが最適なのでは?」と思われる方も多いかもしれません。
たしかに費用面でのコストはあまりかかりませんが、サイトを維持するための人的なコストが意外とかかることは、把握しておいたほうがよいでしょう。

万全のセキュリティ対策が必要

その他の構築方法よりも、一般的にセキュリティが脆弱なのがオープンソースの特徴です。ソースコード自体を無料で公開しているため、セキュリティホールや脆弱性を第三者に狙われやすくなる恐れがあるためです。
住所や電話番号だけでなく、クレジットカードの情報などの個人情報が漏れてしまうと、ブランドが失墜したり、サイト自体が致命的なダメージを負ったりしかねません。
オープンソースでECサイトを構築する場合には、万全のセキュリティ対策を講じる必要があるでしょう。サイトのセキュリティを上げる方法は、

  • サイトを最新バージョンに保つ
  • セキュリティのプラグインを入れる
  • 社員のセキュリティ教育をおこなう

などがあります。
「セキュリティを維持するのは難しそうだ」と感じる場合には、後述するASPやパッケージなどでサイト構築するのもひとつの手かもしれません。
ASPやパッケージであれば、プロバイダ側で脆弱性をカバーしてくれますし、サイトも自動で最新バージョンに切り替えてくれるので安心です。

専門の知識が必要

オープンソースで構築するのが大変なのは、専門的な知識が必要とされるためです。とくにプログラミング言語について、深い理解を求められます。
ソースコードをそのまま使うこともできますが、他社との差別化をはかるためには、プログラミングによる本格的な開発は避けられません。

HTML 、CSS

HTMLはマークアップ言語、CSSはスタイルシート言語といわれるプログラミング言語です。
主にWebサイトのデザインで使われます。デフォルトのデザインでもECサイト自体は構築できますが、

「商品やサービスをよりわかりやすく表示したい」
「適切なカテゴリ分けをおこないたい」
などのデザイン面での要求を満たせるとは限りません。
また「コーポレートカラーに合わせたECサイトを作りたい」などのさまざまな要求が出てくるでしょう。その場合に必要となってくる言語がHTMLとCSSです。

HTMLはサイトの骨組みを作る役割を持ち、CSSは見た目を整えるために必要です。HTMLだけでもサイトの骨格はつくれますが、色やデザインに乏しく簡素なため、顧客に訴求することは難しいでしょう。
CSSはテキストの色の変更、全体の装飾など見た目を鮮やかに彩るのに必要な言語です。Webサイトのデザインコンセプトを把握し、デフォルトのデザインをカスタマイズしていく必要があります。
ECサイトのデザインは売上に直結するため、本格的なデザインでECサイトを構築したいとお考えの場合は、HTMLとCSSの知識が必須になります。

JavaScript

JavaScriptとはWebサイトに動きを持たせるために使われる言語です。HTMLとCSSだけで構成されているサイトは、ただ情報が表示されているだけなので、訪問したユーザーは利便性を感じにくいでしょう。
JavaScriptを用いることでECサイトに動きをつけられれば、一気にリッチなサイトが作れます。

  • 商品の絞り込み機能を実装する
  • 商品カートに商品を入れると合計金額が算出される

など顧客の利便性を高められるのがJavaScriptです。プラグインでもECサイトに実装できますが、細かいところを詰めていくためにはJavaScriptの理解が必要となります。

PHP

PHPはサーバーサイドをコントロールする言語です。
データベースとの連携を得意としており、ユーザーデータをデータベースに記入していく必要があるECサイトでは、必ず必要になります。主にお問合せフォームや掲示板、ショッピングカートなどの実装で使用されます。
とくにWordPressの大部分はPHPで構築されており、PHPの知識があると、プラグインのカスタマイズなどにも幅を持たせられます。

Java

Javaは、汎用性と安全性の高さから、さまざまな環境で利用されるプログラミング言語です。
たとえば楽天のECサイトはJavaで構築されています。WindowsやAndroid、MacなどOSを選ばず開発できるのが特徴で、ありとあらゆる分野で活用されています。
PHPと同様、サーバーサイドのコントロールが得意です。ECサイトで活用する際は、アプリの開発などで活用できるでしょう。

ベンダーによるサポートが受けられない

オープンソースのカスタマイズ、運用はすべて自社でおこなう必要があります。
またオープンソース提供元は無償でソースコードを提供しているだけなので、万が一のことがあっても補償はしてくれません。
すべて自社で運用するには、プログラミング言語の深い知識と、ECサイトを運営するノウハウの両方が必要です。
そのため自社の負担が想定以上にかかってしまうのが、オープンソースでECサイトを構築する大きなデメリットといえるでしょう。

ECサイトにおけるオープンソースCMSの比較表

ここからは、ECサイトをオープンソースで構築する場合のCMSについてご紹介いたします。
CMS(Contents Management System)とは、管理画面を用いて、テキスト、画像、動画などのコンテンツを登録できるシステムです。代表的なCMSを用いることで、テンプレート通りのサイトならば簡単に作成できます。
各CMSのプラグインを用いることで、ある程度のカスタマイズも可能です。

 WordPressMagentoEC-CUBEosCommerce
シェア率世界No.1 世界No.2国内No.120,000以上の企業が導入
無料プラグイン55,000以上1,000以上600以上9,000以上
SEO
越境EC

WordPress

WordPressは、ブログやWebサイトの制作に用いられるCMSです。非常に高いシェアをほこり、世界のWebサイトの半数近くはWordPressで構築されているといわれます。
専門的な知識がなくても直感的に操作できるため、オウンドメディアやコーポレートサイトを立ち上げるときにもよく利用されます。

WordPress単体でECサイトを構築できるわけでなく、Welcartなどのカートプラグインを用いることで、ECサイトに必要な機能を実装できます。Welcartは日本で開発されたプラグインなので、日本語化に対応している点も魅力です。
すでにレンタルサーバーを契約していて、WordPressでブログなどを定期的に更新しているような場合には、オススメできるECサイトの構築方法です。

もちろんWordPressなのでSEOもおこなえます。サイトのドメインパワーが強く、ブログ自体に集客効果がある場合には、すぐにECサイトへの自然検索での流入が見込めるでしょう。
機能を追加したい場合には、プラグインを利用したり、プログラミングでカスタマイズしたりして実装できます。
ただしプラグインを調整したり、こだわりの機能を実装したりする場合には、HTMLやCSS、JavaScript、PHPなどの知識が必要です。

Magento

Magento(マジェント)は、日本よりも海外で有名なCMSです。全世界のオープンソース型ECプラットフォームでは、世界第三位のシェアをほこります。Magentoの大きな特徴は、越境ECに強いことでしょう。
全世界で展開しているため、多言語対応、他通貨取引にも対応しているからです。
国内だけでなく、海外でも取引を拡大していくとなると、進出先にあわせてサイトをカスタマイズする必要が出てきます。

Magentoはオープンソース型のCMSのため、海外向けのカスタマイズにも柔軟に対応できるでしょう。
ある程度日本語化されていますが、ベースは海外で開発されているので、利用方法を理解するのにはある程度の英語力が必要です。
機能が非常に多いため初期構築の難易度はやや高いですが、越境ECサイトを運営したい場合にはオススメできる構築方法です。

EC-CUBE

EC-CUBEは国内シェアNo.1のオープンソースCMSです。ダウンロード数180万、稼働店舗数が35,000を超える実績から、信頼性の高さがうかがえます。
公式サイトには2,000件を超える構築例があるため、もしEC-CUBEでサイトを構築したい場合は、自社のECサイトのイメージと近いものを検索することをオススメします。
EC-CUBEは、クラウド版とダウンロード版があるのも特徴的です。現在はクラウド版でECサイトを運用していくのが主流ですが、

「自社でサーバーを構築しているので、レンタルサーバー代を経費として計上したくない」
「自社サーバーで運用しているシステムとECサイトを統合する必要がある」
など企業によってさまざまな状況があるのも実情です。
このような企業の状況に合わせて運用できるのも、EC-CUBEの特徴だといえます。またEC-CUBEはコミュニティも活発です。
カスタマイズや構築は自社でおこなう必要がありますが、困ったときはユーザー同士で意見交換をおこなったり、開発コミュニティで相談したりすることもできます。

osCommerce

欧米を中心に導入されているオープンソース型のCMSが、osCommerce(オーエスコマース)です。2000年に設立されて以来、20,000件もの導入実績があり、信頼性の高いCMSです。
ほかのCMSと同様プラグインが豊富で、9,000を超える機能を基本機能に追加できます。日本では日本語に対応しているプラットフォームであるZen Cartが有名です。

  • SEO
  • クーポン配布などのマーケティング機能
  • デザインの調整のしやすさ
  • PHPを用いたカスタマイズ性

などのバランス面に優れています。海外で開発されているので、言語や通貨の切り替えが可能であり、海外対応が得意なのも特徴としてあげられます。

オープンソース以外でECサイトを構築する方法

オープンソースは、費用面でのコストはおさえられます。しかし、「人的なコストが高く、自社では構築が難しそうだ」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
その場合の代替案として3つの方法をご紹介いたします。

ASPで構築する

ASP(Application Service Provider)は、大変手軽にECサイトを構築できる方法のひとつです。サーバーもレンタルサーバーも用意する必要がなく、クラウド上で運用できます。
とくに構築に際して専門的な知識が必要ないのも特徴的です。

ASPのメリット

ASPの大きなメリットは、構築費用をおさえられる点です。
オープンソースも導入費用はおさえられますが、ASPはプロバイダが用意するサーバーを利用するため、環境構築が必要ありません。
また、プログラミング言語の知識を持たなくてもすぐに構築できます。
最短で3時間ほどで構築できる例もあるため、「とりあえずECサイトを構築して、販売実績を積んでいきたい」とお考えの企業には向いている構築手法といえるでしょう。

ASPのデメリット

ASPのデメリットは、拡張性に乏しいことです。オープンソースで構築する場合は、さまざまなプラグインを導入することで、自社の状況に合わせたカスタマイズが可能でした。
しかしASPの場合は、プロバイダが提供する枠の中でしかECサイトをカスタマイズできません。

ECサイトの規模が大きくなればなるほど、売上の最大化をはかるため、サイト自体のカスタマイズをおこなう必要性がでてきます。その際は、ASPでは対応できない場合もあるでしょう。
またASPは外部機能との連携を前提につくられていないので、自社の基幹システムとの連携が必要になった場合は、対応が難しくなります。

ECパッケージで構築する

ECパッケージとは、ECサイトに必要な機能が詰め込まれた製品を指します。ベンダーが提供している製品で、各社が独自の特徴を持って販売しています。

ECパッケージのメリット

ECパッケージのメリットは、カスタマイズのしやすさです。各ベンダーの特徴はありますが、ECパッケージはそもそもカスタマイズを前提に提供される商品がほとんどです。
「事業が拡大してきたので越境ECにチャレンジしたい」
「業務効率化のために自社の基幹システムに連携させたい」
などのさまざまな要望に応えられます。

オープンソースでもプラグインを実装すれば可能でしたが、ECパッケージのもうひとつのメリットは、ベンダーがサポートしてくれる点ではないでしょうか。
社内に専門の知識を持つ人材がいなくても、ベンダーにカスタマイズを依頼できます。セキュリティ面の安心感も、ECパッケージを選ぶメリットといえるでしょう。
オープンソースのようにソースコードを開示していないので、セキュリティホールを突かれるリスクは小さいです。

ECパッケージのデメリット

ECパッケージのデメリットは、導入にコストがかかる点です。オープンソースであれば、導入のイニシャルコスト、サーバー代などのランニングコストをおさえられます。
しかし、ECパッケージはベンダーが提供するものなので、どうしてもコストが割高となってしまいます。
一般的に標準のパッケージで500万円程度、カスタマイズしていくと1000万円程度かかってくるため、「気軽にECサイトを構築したい」という企業には向いていない手法です。

フルスクラッチ開発で構築する

既存のシステムやソースコードを流用するのではなく、1からECサイトを構築する手法がフルスクラッチ開発です。
オープンソース、パッケージ、ASPのなかでもっとも自由度が高く、どのような要望でも柔軟に対応できます。

フルスクラッチ開発のメリット

フルスクラッチ開発のメリットはカスタマイズ性の高さです。サイトのデザインや拡張性など、パッケージやオープンソースの比にはならないほど、自由にカスタマイズできます。
また自社でサイトを内製化できるため、「この施策をおこなえば、売上が改善しそうだ」などの計画を、ベンダーに依頼することなく高速で実装可能です。
高速のPDCAにより売上の最大化を目指せるのも、フルスクラッチ開発の大きなメリットでしょう。

フルスクラッチ開発のデメリット

フルスクラッチ開発のデメリットは、実装期間の長さと高額な費用です。1からサイトを構築していくため、要件定義からテスト運用まで、サイトの構築にどうしても時間がかかってしまいます。
またイニシャルコストに数千万円かかることもめずらしくありません。
イニシャルコストを上回る相応の売上や利益が必要となるため、ECサイトの売上規模が大きくないと、フルスクラッチ型でECサイトを構築するメリットが感じにくくなるでしょう。
ただし、オフショア開発により海外リソースを活用するなど、フルスクラッチ開発のコストを大幅におさえる方法もあります。

▼フルスクラッチ開発については下記の記事をご覧ください

オープンソースによるEC構築はベンダーに相談しよう

オープンソースでのECサイト構築は、費用面でのメリットは大いにありますが、運用していく面で人的なコストがかかるのがデメリットといえます。ECサイトは構築してからが本番です。
クリエイティブな業務に時間をかけられるように、構築やカスタマイズはベンダーに相談するのが賢い選択ではないでしょうか?
自社の状況に合わせて、システム構築や開発のプロを上手に活用していきましょう。

この記事を書いた人
安藤 大海

学生時代にWebサイトを自作したことがきっかけでWebの世界に。制作会社でデザイン、WordPressテーマ開発の実務を経て、テクニカル・ディレクターとして大規模サイト構築のディレクションを経験。2021年からWakka Inc.の日本拠点でWebディレクターとして参画。最近はブロックエディタになったWordPressをもう一度、勉強しています。

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