フィリピンのオフショア開発のメリットは?費用・注意点・企業選定のコツも解説


こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
人材不足や開発コストの高騰に悩む日本企業にとって、オフショア開発は有効な解決策の一つです。
中でも、高い英語力と親日的な国民性を持つフィリピンは、オフショア開発の委託先として近年ますます注目を集めています。
本記事では、最新の客観的データに基づきフィリピンでオフショア開発を依頼する際のメリットや注意点を徹底解説します。
また、費用相場や企業選定のポイントもあわせてご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

まずは基本から|オフショア開発とは

オフショア開発とは、企業が自社のシステム開発やソフトウェア開発などの業務を、海外の開発業者に委託することです。
IT人材の不足や開発コストの削減などを目的として導入されるケースが多く、注目を集めています。
特に近年は、グローバル化の進展やIT技術の発展により、国境を越えた協業が容易になりました。
そのため、多くの企業がオフショア開発を検討するようになっています。
かつては単純な作業が中心でしたが、現在は設計やプロジェクト管理といった上流工程まで海外に任せるケースも増えています。
オフショア開発の概要やメリット・デメリット等については、以下の記事でも詳しく解説しています。
オフショア開発のメリット5つ|フィリピンの魅力を徹底解説

では、オフショア開発の委託先としてフィリピンの企業が選ばれている理由は、いったい何なのでしょうか。
本章では、フィリピンの企業を開発パートナーに選ぶ5つのメリットを解説します。
- コストを抑えて高品質な開発を実現できる
- 英語力が高くコミュニケーションが取りやすい
- 日本との時差が1時間なので円滑にやり取りできる
- 若くて優秀なエンジニアが多く得意分野が幅広い
- 親日的で価値観や働き方も近い人が多い
コストを抑えて高品質な開発を実現できる
フィリピンでのオフショア開発がもたらす大きなメリットは、コストを抑えながら高品質な開発を実現できる点です。
現地のエンジニアの人件費は日本国内と比べて抑えられるケースが多く、開発費用を大幅に軽減できる可能性があります。
プロジェクトの規模や内容によっては、国内で行う開発と比較して費用を半分以下に抑えられるケースもあり、コスト効率の高さが魅力です。
ただし、プロジェクト管理やインフラ整備にかかる追加費用が発生することもあるため、事前に総コストをしっかりと見積もることが重要です。
英語力が高くコミュニケーションが取りやすい
フィリピンの公用語は英語であり、国民の多くがビジネスレベルで通用する流暢な英語を話します。
特に教育水準が高いITエンジニアの中には、専門的な技術用語を含む英語でのコミュニケーションや資料作成が得意な人材も多く存在します。
高い英語力をもつ人材に開発を委託することで、コミュニケーションが円滑に進むのはもちろん、グローバル展開を視野に入れたプロダクト開発も進めやすくなるのです。
仕様書などの書類も英語で作成でき、海外の他拠点との連携や多国籍チームによる開発もスムーズに進められるようになります。
日本との時差が1時間なので円滑にやり取りできる
地理的な近さも、フィリピンがオフショア開発の委託先として優れている大きな理由の一つです。
日本とフィリピンの時差はわずか1時間しかなく、両国のビジネスタイムはほぼ重なっています。
そのため、リアルタイムでのコミュニケーションが可能で、時差によるやり取りの遅延がほとんど発生しません。
例えば、日中にWeb会議を設定して仕様の確認を行ったり、発生した問題をチャットツールで即座に共有・解決したりできます。
コミュニケーションの遅延によるプロジェクトの停滞リスクを大幅に低減できる点は、大きなメリットです。
若くて優秀なエンジニアが多く得意分野が幅広い
フィリピンは若年層の人口比率が高く、国を挙げてIT教育に力を注いでいる国です。
そういった背景から、学習意欲が高く、スキルアップに意欲的な若手のIT人材が豊富に存在しています。
特にWeb関連技術に強く、多くのエンジニアが以下の分野を得意としています。
※表は横にスクロールできます
技術分野 | 具体例 |
---|---|
Web系言語 | PHP, JavaScript, HTML/CSS |
モダンフレームワーク | React, Angular, Vue.js |
データベース | MySQL, PostgreSQL |
CMS | WordPress, Drupal |
WebサービスやWebアプリケーションの開発を検討している企業にとって、フィリピンは非常に魅力的な開発パートナー候補と言えます。
親日的で価値観や働き方も近い人が多い
フィリピンは日本の文化や製品に対して非常に好意的であり、国際調査では 80 %前後の人々が肯定的な印象を持っていることが確認されています。
また、フィリピン文化には「温かさ」「寛容さ」「共同体精神」に根ざしたホスピタリティが深く根付いている とされ、この点でも日本と共通する価値観が存在します。
こういった文化的親和性は、ビジネスにおいてコミュニケーションの円滑化や長期的な信頼関係の構築といった安心材料です。
参照
BBC World Service Poll 2011
The Unique Touch of Filipino Hospitality
フィリピンオフショア開発の注意点4つ

多くのメリットがある一方で、フィリピンでのオフショア開発には注意すべき点も存在します。
事前にリスクを理解し、適切な対策を講じることがプロジェクトの成果を上げる鍵です。
本章では、特に注意が必要な4つのポイントと、具体的な対策について解説します。
日本語でのコミュニケーションが取りにくい
高い英語力とは対照的に、日本語を話せるフィリピン人エンジニアは限られています。
そのため、日本の開発チームと現地のエンジニアが直接やり取りする際には、言語に関する問題が生じる場合があります。
こうした課題を解決する上で極めて重要な役割を担うのが、(ブリッジSE)です。
ブリッジSEは、両国の言語と文化、そして技術を理解しプロジェクトの橋渡し役を務めます。
ブリッジSEに求められる主なスキル
- 高い日本語能力(日本語能力試験N1/N2レベルが望ましい)
- プロジェクトで使われる技術への深い理解
- 両国の文化やビジネス慣習を理解する能力
- 高いコミュニケーション能力と調整力
優秀なブリッジSEを確保できるかどうかが、プロジェクトの成否を大きく左右すると言っても過言ではありません。
ネット回線や電力が不安定なケースがある
マニラやセブといった主要都市ではITインフラの整備が進んでいますが、地域によってはインターネット回線が不安定だったり、停電が発生したりする場合があります。
こうした問題は、開発の生産性や納期に直接影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
パートナー企業を選定する際には、オフィスのインフラ環境を必ず確認しましょう。
※表は横にスクロールできます
確認すべきインフラ項目 | チェックポイント |
---|---|
インターネット回線 | – 光ファイバー回線か – 複数の回線業者と契約しているか(バックアップ回線) |
電力供給 | – 自家発電装置(UPS)の有無 – 過去の停電発生頻度と対策 |
セキュリティ | – 物理的な入退室管理 – ネットワークセキュリティ対策 |
上表に記載した設備が整っている企業を選ぶことで、インフラに起因するトラブルを未然に防げます。
台風・地震など自然災害の影響を受けることがある
フィリピンは、日本と同様に台風や地震などの自然災害が多い国です。
大規模な災害が発生した場合、開発チームが出社できなくなったり、インフラが寸断されたりしてプロジェクトが停止してしまうリスクがあります。
こうした災害リスクに備えるためには、パートナー企業がBCP(事業継続計画)を策定しているかを確認することが重要です。
BCPに関する確認事項
- データはクラウドストレージなどに安全にバックアップされているか
- 災害時に業務を継続するための代替オフィスやリモートワーク体制が整っているか
- 緊急時の連絡体制は明確に定められているか
万が一の事態にも事業を継続できる体制が整っているパートナーを選ぶことが、安心してオフショア開発を委託するための条件です。
納期や品質の基準が日本と異なるケースがある
フィリピンには(フィリピンタイム)と呼ばれる考え方があり、かつては”時間にルーズ”というイメージを持たれることもありました。
現在は政府主導でこうした傾向を緩和しようと取り組みが進められていますが、日本と同じように厳格な納期意識を期待すると、相手との間でずれが生じることがあります。
また、高い品質を求める日本に対し、フィリピンではまずは実用性を重視する傾向があります。
こうした文化的な違いがあることも認識しておきましょう。
参照
DOST leads Oras Pinas campaign in the observance of the National Time Consciousness Week
JICA 「コロンボ計画によるフィリピン派遣 – コレラ対策専門家総合報告書」
フィリピンと日本の文化的な違いを乗り越えるためのアイデアを、以下の表にまとめました。
ぜひ参考にしてください。
※表は横にスクロールできます
対策 | 詳細 |
---|---|
要件を明確化する | 開発してほしい機能や仕様を、曖昧な表現を避けて書類に具体的に落とし込む。 |
品質基準を定義する | 「不具合が〇件以下」「表示速度が〇秒以内」など、受け入れ基準を数値で明確にする。 |
定期的に進捗確認する | 週次ミーティングなどで進捗状況を細かく確認し、遅延や問題の兆候を早期に発見する。 |
文化の違いを理解し、丁寧なコミュニケーションと明確なルール設定で、認識のギャップを埋める努力が不可欠です。
オフショア開発において、プロジェクト管理やマネジメントを現地スタッフに一任するのは避けましょう。

フィリピンオフショア開発の費用相場

フィリピンでのオフショア開発を検討する上で、特に気になるのが費用面ではないでしょうか。
以下は、フィリピン人エンジニアの人月単価の目安です。
具体的な金額は、スキルレベルやプロジェクトによって異なりますが、ぜひ参考にしてみてください。
※表は横にスクロールできます
職種 | 経験レベル | 費用相場(月額) | 備考 |
---|---|---|---|
プログラマー | ジュニア(1〜3年) | 21万円~30万円 | 主にコーディングを担当する若手。 |
ミドル(3〜5年) | 30万円~38万円 | 自律的に設計・開発を進められる中堅。 | |
シニア(5年以上) | 38万円~43万円 | チームを技術的にリードできるベテラン。 | |
システムエンジニア | – | 35万円~55万円 | 要件定義や設計など上流工程を担当。 |
ブリッジSE | – | 43万円~76万円 | 日本語能力やマネジメントスキルで変動。 |
プロジェクトマネージャー | – | 53万円~78万円 | 経験やプロジェクト規模により大きく変動。 |
上記の費用はあくまでエンジニアの人月単価です。
実際の契約では、人件費に加えてオフィス利用料をはじめとする各種費用が含まれます。
また、米ドル/円といった為替レートの変動によって、日本円での支払い額が変わる可能性がある点にも注意が必要です。
複数の企業から見積もりを取り、費用の内訳を詳細に確認することが重要です。
出典
【2024年最新版】フィリピンオフショア開発の人月単価相場はいくら? | オフショア開発.comフショア開発.com
フィリピンでオフショア開発する際の契約形態

オフショア開発の契約形態には、主に「ラボ型契約」と「請負契約」の2種類があります。
ただし、プロジェクトの目的や期間、仕様の確定度合いによって最適なものが異なります。
したがって、それぞれの特徴を理解して選択することが重要です。
ラボ型契約
ラボ型契約は、一定期間、専属の開発チームを確保できる契約方式です。
あらかじめ合意した月額費用を支払うことで、契約期間中は多様な開発タスクを任せられます。
ラボ型契約のメリット
- 仕様変更や追加要件に柔軟に対応しやすい
- 長期的に開発ノウハウをチーム内に蓄積できる
- チームとの一体感が生まれやすい
ラボ型契約のデメリット
- 開発タスクがない期間も費用が発生する
- プロジェクト管理を自社で行う必要がある
ラボ型契約が向いているプロジェクトの例
- 長期にわたるサービス開発や運用・保守
- 仕様が固まっていない新規事業開発
- アジャイル開発で進めたいプロジェクト
請負契約
請負契約とは、仕様や納期、費用を事前に確定させて成果物(システムやソフトウェア)の完成を約束する契約形態です。
開発業者は、定められた要件通りに成果物を完成させる責任を負います。
請負契約のメリット
- 成果物の完成が保証される
- 予算と納期が明確で、計画を立てやすい
- プロジェクト管理を開発業者に一任できる
請負契約のデメリット
- 原則として契約後の仕様変更が難しい(追加費用が発生)
- 開発のノウハウが自社に蓄積されにくい
請負契約が向いているプロジェクトの例
- 開発要件や仕様が完全に固まっている
- 比較的小規模で、開発期間が短い
- ウォーターフォール型で進めたいプロジェクト
フィリピンでオフショア開発する際の企業選定のポイント

オフショア開発の成否は、パートナーとなる企業選びで9割決まると言っても過言ではありません。
費用の安さだけで選んでしまうと、自社のプロジェクトに必要な技術やサポート体制に対応していない可能性があります。
こちらの章では、信頼できるパートナーを見極めるための重要な選定ポイントを解説します。
パートナー企業の選定基準(費用だけで選んではいけない)
費用はもちろん重要ですが、それ以上に「品質」と「実績」、そして「自社との相性」を見極める必要があります。
以下のチェックリストを活用し、多角的にパートナー候補を評価しましょう。
※表は横にスクロールできます
選定カテゴリ | チェック項目 | 確認方法 |
---|---|---|
実績・信頼性 | □ 類似業界・類似規模のプロジェクト実績があるか | ポートフォリオ、事例紹介の確認 |
□ ISO9001(品質)、ISO27001(情報セキュリティ)などの国際認証を取得しているか | 認証証明書の提示を求める | |
技術力 | □ 自社が求める技術スタック(言語、フレームワーク)での開発経験は豊富か | 技術者へのヒアリング、技術テストの実施 |
□ エンジニアのスキルレベルや経験年数は妥当か | 開発チームのメンバーリストを確認 | |
体制・セキュリティ | □ 品質管理(QA)の専門チームやプロセスは存在するか | 品質管理体制に関する資料の確認 |
□ セキュリティポリシーは明確に文書化されているか | セキュリティポリシーの提示を求める |
契約と要件定義(細部まで入念に確認する)
優秀なパートナーを見つけても、契約内容や要件定義が曖昧ではプロジェクトは円滑に進まない可能性があります。
特に文化や商習慣が異なる海外企業とのやり取りでは、暗黙の了解を期待するなどの期待は禁物です。
契約を締結する前に、以下の点を徹底的にすり合わせ、文書として残しましょう。
- コミュニケーションルール
- 定例ミーティングの頻度と時間
- 使用するコミュニケーションツール(Slack, Teamsなど)
- 報告・連絡・相談(報連相)の具体的なフロー
- 品質基準
- 受け入れテストの具体的な項目と合格基準
- コードレビューのルール
- パフォーマンス(表示速度など)の目標値
- 契約内容
- 知的財産権(IP)の帰属
- 瑕疵担保責任の範囲と期間
- 契約解除の条件
細部にまでこだわって双方の認識を合わせることが、後のトラブルを防ぎプロジェクトを無事に達成させるための、重要なステップです。
フィリピンオフショア開発の成功事例

理論だけでなく、実際の成功事例を知ることで、より具体的なイメージが湧くはずです。
本章では、フィリピンでのオフショア開発を活用して事業を成長させた企業の事例を2つ紹介します。
事例①フランチャイズ展開を支える会員専用アプリの開発
ある大手サービス業A社は、全国にフランチャイズ展開する店舗の会員向けに、新たなスマートフォンアプリの開発を計画していました。
しかし、国内の開発業者では予算が合わず、開発リソースの確保も難しい状況でした。
そこでA社は、フィリピンのオフショア開発業者とラボ型契約を締結します。
iOSとAndroidに精通したエンジニア5名の専属チームを組成しました。
日本のディレクターとフィリピンのブリッジSEが密に連携し、アジャイル開発手法でプロジェクトを推進。
定期的な機能改善とユーザーフィードバックの反映を迅速に行い、リリース後わずか半年で会員のアクティブ率を30%向上できました。
事例②アパレル向けスマートフォンアプリの開発
急成長中のアパレル企業B社は、自社ECサイトと連携するスマートフォンアプリの開発を急いでいました。
明確な仕様は固まっていましたが、開発スピードとコストが課題でした。
B社は、Webアプリケーション開発に実績のあるフィリピンの開発業者に請負契約で開発を依頼。
React Nativeを用いたクロスプラットフォーム開発を採用し、開発期間を当初の計画より20%短縮しました。
完成したアプリは、洗練されたUI/UXが高く評価され、アプリ経由の売上が全体の40%を占めるまでに成長。
B社のブランドイメージ向上にも大きく貢献しました。
まとめ:フィリピンは戦略的なオフショア開発パートナーとして今も魅力的

本記事では、フィリピンでオフショア開発を依頼する際のメリットや注意点、費用相場など網羅的に解説しました。
結論として、フィリピン企業への委託は単なるコスト削減の手段ではなく、高い英語力と豊富なWeb系人材によって開発を力強く進めるための、非常に魅力的な選択肢です。
もちろん、文化の違いやインフラなどの注意点は存在しますが、適切なパートナー選びと綿密なコミュニケーションを行えば十分に乗り越えられます。
フィリピンでオフショア開発を成功させるには、まず自社のプロジェクトの目的を明確にしましょう。
そして、プロジェクトを達成するための、最適なパートナーと契約形態を選ぶことが特に重要です。
本記事が、実際にオフショア開発を依頼する際の一助となれば幸いです。

