マーケティングDXとは?メリットや成功のポイント、導入事例を解説
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
昨今はDXの推進によって、業務の効率化や生産性の向上を実現する企業が増えています。
マーケティングの分野においても、DXを推進し新たなビジネスモデルを創出する企業が注目されています。
しかし、マーケティングDXに興味があっても、概要がよくわからないと感じる方も多いのではないでしょうか。
マーケティングDXを成功させるためには、様々なポイントに留意しなければなりません。
本記事では、マーケティングDXの概要・メリット・成功のポイントについて解説します。
導入事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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【基礎知識】マーケティングDXとは
まずはマーケティングDXの基礎的な知識について解説します。
定義に加えて、従来のマーケティングとの違いも正確に把握しましょう。
マーケティングDXの目的
マーケティングDXは、マーケティングをデジタル化することで、新たなビジネスモデルの創出や企業の変革を目指すための取り組みです。
経済産業省は、DXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
引用:デジタルガバナンス・コード2.0|経済産業省
マーケティングDXは、昨今のマーケティング環境の変化への対応が期待できます。
コロナ禍以降、マーケティング環境は大きく変化しています。
対面でのコミュニケーションが難しくなり、マーケティングのデジタルシフトが加速しました。
さらに、SNSや動画配信サイトの普及により、顧客と接続できるチャネルの多様化も進んでいます。
その結果、企業もデジタル化に対応しなければ、有用な顧客データの取得が難しい状況となりました。
そのため、マーケティングDXによるプロセスの刷新が多くの企業の課題となっています。
また、マーケティングDXは重要なデータを部署横断的に運用するための体制を構築する効果が期待できます。
嗜好が多様化し、マーケットが変動しやすい現在において、柔軟な対応や迅速な意思決定は不可欠です。
マーケティングDXを推進し、社内でフレキシブルに情報をやり取りできる体制ができれば、企業としての競争力を高められます。
マーケティングDXに期待できること
マーケティングDXを実施すると、以下の効果が期待できます。
- 業務の効率化・生産性向上
- 新たなビジネスモデルの創出
- 最適化された顧客体験の実現
- 業務体制や企業風土の変革
マーケティングDXのゴールは、ただの業務効率化ではありません。
プロセスの刷新を通じて、ビジネスモデルや企業全体の変革を目指すのが最終的な目標です。
デジタルマーケティングとの違い
マーケティングDXとデジタルマーケティングは混同されがちですが、両者はまったく異なるものです。
デジタルマーケティングはSNSやWeb広告など、デジタル技術を活用したマーケティングを意味します。
マーケティングの一環として、デジタル技術を活用することが主な目的です。
対して、マーケティングDXはデジタル化によってマーケティングのプロセスを刷新し、企業全体の変革や新たなビジネスの創出を目指します。
施策の一種であるデジタルと異なり、戦略として実施されるものです。
DX進め方ガイドブック
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マーケティングDXのメリット
マーケティングDXを実施すると、以下の効果が期待できます。
- ユーザーに最適化した顧客体験を提供できる
- 生産性が向上する
- マーケティング業務を効率化・自動化できる
- スピーディーな意思決定ができる
- 合理的な経営判断ができる
メリットを把握すれば、マーケティングDXによって得られるベネフィットを理解できます。
ユーザーに最適化した顧客体験を提供できる
マーケティングDXは、ユーザーに最適化した顧客体験を提供できる取り組みです。
閲覧履歴やウェビナーの参加履歴などのデータを活用し、個々のユーザーに合わせた情報提供を実現します。
また、適切なタイミングで情報を発信したり、コンタクトを取ったりすることで、ユーザーのニーズが高まっている段階でのアプローチも可能です。
顧客体験を最適化すれば、顧客満足度が向上するだけでなく、企業や商品・サービスへの印象も良くなります。
その結果、売上が向上する可能性も高まります。
生産性が向上する
従来のマーケティング手法とは異なり、マーケティングDXには、データを活用してユーザーニーズに基づいた最適なアプローチを実施しやすいメリットがあります。
デジタル化によって無駄な作業を省くことは、コスト削減にも有用です。
無作為にアプローチするよりも、効率的に成果の獲得やコスト削減が実現できるので、企業全体の生産性が向上します。
マーケティング業務を効率化・自動化できる
マーケティング業務を効率化・自動化できる点も、マーケティングDXのメリットです。
マーケティング業務では、単純作業や情報収集が頻繁に発生します。
マーケティングDXを通じてツール・システムを導入すれば、デジタル化によって、手間がかかる作業の効率化・自動化が可能です。
効率化・自動化が進めば、従業員の負担が軽減されるだけでなく、コア業務により集中できる環境を整えられます。
スピーディーな意思決定ができる
スピーディーな意思決定をするうえでも、マーケティングDXは役立ちます。
マーケティングDXを推進することで、蓄積されたデータをスムーズに運用できる環境の構築が可能です。
部署横断的なデータの共有もしやすいため、必要な判断材料を集めやすくなります。
その結果、マーケティングの結果分析が円滑になり、より迅速で適切な意思決定を実現できます。
合理的な経営判断ができる
マーケティングDXの推進は、合理的な経営判断にも役立ちます。
マーケティングDXはデジタル化によって、有用なデータを蓄積できる取り組みです。
定量的な評価をしやすくなり、施策の効果を精密に分析できるメリットが生まれます。
その結果、精密な分析に基づいて合理的な経営判断をしやすくなり、より精度が高い経営戦略を構築できます。
マーケティングDXを成功させるポイント
マーケティングDXを成功させるなら、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
- 目的の明確化と共有を徹底する
- 経営陣がマーケティングDXの理解を深める
- ツールの選び方に注意する
マーケティングDXを成功させるうえで、いずれも無視できないものです。
目的の明確化と共有を徹底する
マーケティングDXを実施する際は、目的を明確化し、経営陣だけでなく従業員に対しても情報共有を徹底して行わなければなりません。
マーケティングDXはマーケティングにデジタル技術を導入するだけでなく、新たなビジネスの創出・企業の変革も見据えて取り組むものです。
そのため、マーケティング専門の部署だけでなく、営業やバックオフィスなど他部署にも影響が及ぶ可能性があります。
目的が曖昧だったり、共有が不徹底だったりすると、部署間で連携が取れなくなり、DXの効果を発揮できない恐れがあります。
スムーズに推進するうえでも、明確な目的を設定し、必ず企業全体で共有しましょう。
経営陣がマーケティングDXの理解を深める
経営陣がマーケティングDXへの理解を深めることも重要なポイントです。
経営陣の理解度が低いと、デジタル技術の導入はもちろん、資金調達や人員の配置などでの適切な判断ができません。
また、マーケティングDXの施策が不徹底になり、推進が滞るリスクも生じます。
何より、マーケティングDXの成功には経営陣のリーダーシップが不可欠です。
経営陣が誰よりも率先してDXへの理解を深め、従業員を先導できるようにしましょう。
ツールの選び方に注意する
マーケティングDXでツールを導入する際は、ツールの選び方に注意しましょう。
DXで導入するツールは、自社の業務に適していることはもちろん、使い勝手が良いものでなければなりません。
いくら性能が高いものでも、従業員が使いこなせなければ費用対効果が合わないと感じてしまいます。
マーケティングDXで利用するツールは必ず現場で使用感を検証し、インターフェースや拡張性などもチェックしてから導入しましょう。
マーケティングDXの成功事例3選
本章では、マーケティングDXに成功した以下の事例を解説します。
- 江崎グリコ株式会社|マーケティングオートメーションを導入
- 日本コカ・コーラ株式会社|自販機データやアプリを活用
- 株式会社JTB|AIチャットボットで観光客支援を実現
それぞれの事例について、順番に解説します。
江崎グリコ株式会社|マーケティングオートメーションを導入
江崎グリコ株式会社は、マーケティングDXの一環として、マーケティングオートメーションを導入しました。
これにより、マーケティングから営業にいたる過程のデジタル化に成功しています。
また、同社はマーケティングDXを通じて適切なタイミングで顧客にアプローチし、確実にリードを獲得できる体制も整えました。
その結果、新たな付加価値の創造や成約率の向上を実現しています。
参照:Glicoのデジタル戦略 パーパス実現に向けて|江崎グリコ株式会社
日本コカ・コーラ株式会社|自販機の利用データやアプリを活用
日本コカ・コーラ株式会社は自販機と連動するアプリ「Coke ON」を導入し、マーケティングDXを成功させています。
Coke ONはアプリを経由して手軽にドリンクを購入できるだけでなく、無料でドリンクを購入できるスタンプを貯められる機能を持つものです。
さらに、自販機利用データからユーザーの傾向を把握し、嗜好にマッチしたクーポンやコンテンツを配布するなど、リピーターの獲得を実現しています。
Coke ONは順調にダウンロード数を伸ばしており、日本コカ・コーラ株式会社の業績向上に大きく貢献しています。
参照:自販機とスマホが楽しくつながる!新デジタルマーケティングサービスがスタート|日本コカ・コーラ株式会社
株式会社JTB|AIチャットボットで観光客支援を実現
大手旅行会社である株式会社JTBは、業界で初めてAIチャットボットを観光案内に導入しました。
導入したAIチャットボット「Kotozna laMondo(コトツナラモンド)」は、20言語に対応した多言語生成系AIです。
天候や交通など、観光客が必要な情報を提供するだけでなく、問い合わせ対応や予約機能などを活用できます。
また、AIチャットボットに蓄積された観光客の行動データをサービスの品質向上に役立てています。
参照:観光案内に多言語生成系AIチャットボットを日本初導入|株式会社JTB
マーケティングDXを実施する際の注意点
マーケティングDXを成功させるには、以下の注意点に留意しましょう。
- DXに対応できる人材を確保しなければならない
- 業務が複雑化する場合がある
- 施策が定着しないリスクがある
- 利益相反を起こす可能性がある
それぞれの注意点を押さえ、失敗するリスクを回避しましょう。
DXに対応できる人材を確保しなければならない
マーケティングに限らず、DX化を推進するにはスキルやノウハウを持つ人材の確保が不可欠です。
マーケティングDXに取り組む際は、自社の人材を育成するか、外部から人材を採用する必要があります。
あらゆる業界でDXが推進されている昨今、人材の確保は容易ではありません。
自社で確保することが難しい場合は、DXコンサルティングのようなサポートを得るようにしましょう。
業務が複雑化する場合がある
マーケティングDXを推進すると、業務内容やプロセスが大きく変更される可能性があります。
昨今は顧客データを得られるチャネルが多様化しているため、運用や分析などによって業務負担が増加するリスクがあります。
加えて、新たなツールやシステムを導入することで業務が複雑化すれば、効率化どころか、かえって従業員を疲弊させかねません。
新しいツールやシステムを導入する際は、既存のシステムと親和性が高いものを選びましょう。
また、デモンストレーションやトレーニングなどを通じて、従業員の熟練度を向上させるプロセスも必須です。
施策が定着しないリスクがある
マーケティングDXを推進しても、施策が定着しないリスクがあります。
従業員が従来のプロセスに慣れ親しんでいたり、データの運用に価値を見出せなかったりすると、DXの施策は効果を発揮しにくくなります。
DXは、実施する目的を共有し、従業員を巻き込むことで初めて効果を発揮するものです。
従業員への研修や説明を積極的に行い、DXに対する意識を高めましょう。
利益相反を起こす可能性がある
マーケティングDXによってビジネスモデルが変化すると、利益相反を起こす可能性がある点は無視できません。
ビジネスモデルが変化すると、従来の取引先にも影響が及びます。
場合によっては、取引先も業務を変更しなければならない事態になるでしょう。
特に、ビジネスモデルの変化が取引先の業務負担やコストの増加を招くようなことがあれば、取引先が不満を抱き、取引の継続を再検討するリスクもあります。
また、マーケティングDXにはWeb関連の部署や営業部署の業績が上がる効果がある一方で、恩恵を受けられなかった店舗の業績が低下するリスクもあります。
マーケティングDXを推進する際は、取引先や他部署に悪影響がないように注意を払い、体制の全体的な調整と配慮が必要です。
マーケティングDXで効率的に売上を伸ばそう
マーケティングDXは、デジタル化によって新たなビジネスモデルの創出や、企業の変革を目指す取り組みです。
適切に実施すれば、業績の向上はもちろん、企業のさらなる成長につながります。
しかし、マーケティングDXを成功させるには、様々なポイントや注意点を意識する必要があります。
過去の成功事例も参照し、適切なプロセスで実施しましょう。