PMBOKの10の知識エリアとは?第6版と第7版の違いも徹底解説

2024.09.17
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Wakka Inc. メディア編集部
PMBOKの10の知識エリアとは?第6版と第7版の違いも徹底解説
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プロジェクトマネジメントを実現するためには、PMBOKの10の知識エリアを押さえておくことが大切です。
PMBOKでは、プロジェクトマネジメントにおいて注意するべきポイントを10の領域に分割しています。

プロジェクトマネジメントを実施する際に必要な知識が備わっているため、10の知識エリアについて理解を深めましょう。
本記事では、PMBOKの10の知識エリアについて詳しく解説します。

PMBOKにおける5プロセスと、第6版と第7版の違いもあわせて解説するため、ぜひ最後までご覧ください。

目次

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PMBOKにおける10の知識エリア

PMBOKは、「Project Management Body Of Knowledge」の略称であり、プロジェクトマネジメントにおける知識体系を定義した業界標準です。
1987年に「プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute:通称PMI)」が発表し、最新のガイドは2021年に第7版へと改良されました。

PMIの本部はアメリカにあり、PMBOKはプロジェクトマネジメントの世界標準として活用されています
なかでもPMBOKによって定められた「プロジェクトマネジメントにおいて押さえておくべき10の知識エリア」に、必要な知識がまとめられています。

PMBOKにおける10の知識エリアは、次の通りです。

  1. 統合マネジメント
  2. スコープマネジメント
  3. スケジュールマネジメント
  4. コストマネジメント
  5. 品質マネジメント
  6. 資源マネジメント
  7. コミュニケーションマネジメント
  8. リスクマネジメント
  9. 調達マネジメント
  10. ステークホルダーマネジメント

各知識エリアを確認して、プロジェクトマネジメントを実施する際に活用しましょう。

1.統合マネジメント

総合マネジメントは、プロジェクト全体の方向性を定めて、各プロセスの調整や管理を行う知識エリアです。
プロジェクトマネジメントにおける他の9つの知識エリアを総合的に管理し、スムーズにプロジェクトを遂行できるよう目標やプロセスを調整します。

2.スコープマネジメント

スコープマネジメントは、プロジェクトのスコープ(範囲)を定めて、目標達成のために必要なタスクと成果物を定義する知識エリアです。
顧客ニーズを満たす成果物を定義付け、要求や要件をもとに設計書を作成します。

10の知識エリアのなかで、プロジェクトに必要なタスクと成果物を決定するプロセスになるため、目標達成率に大きく影響する重要な工程です。
顧客ニーズを読み取れずスコープが曖昧に設定されると、目標達成に向けたプロセスを構築できず、プロジェクトが難航する可能性があるため注意しましょう。

3.スケジュールマネジメント

スケジュールマネジメントは、タスクや所要時間を算出しプロジェクトを完了させるスケジュールを決定する知識エリアです。
プロジェクト完了日に向けて、どのようなタスク・流れでプロジェクトを進めていくか、全体のスケジュールを調整します。

プロジェクト進行が遅延した場合は、迅速な対応により納期までに成果物を仕上げなければなりません。
そのため、できるだけ効率的に成果物を作成できるよう、業務の効率化と適切なスケジュール調整を実施する必要があります

4.コストマネジメント

コストマネジメントは、プロジェクトにかかる予算を算出し、設定した予算内で成果物を納品できるようコスト管理を行う知識エリアです。
予算オーバーしないよう各プロセスで発生する費用を管理する必要があります

万が一、予算をオーバーしてしまった場合は、プロジェクトにかかるコストをカットするために、予算を変更するか「ECRS」と呼ばれる手法を取ります。
「ECRS」は、次の頭文字を取った略語で、業務改善を実現するための手法です。

  • Eliminate(排除)
  • Combine(結合)
  • Rearrange(入替、代替)
  • Simplify(簡素化)

5.品質マネジメント

品質マネジメントは、プロジェクトの各プロセスや成果物における品質管理を行う知識エリアです。
成果物の品質だけでなく、プロジェクトの進め方における品質確保が求められます。

高品質なプロジェクト進行、成果物の生成を実現するために、品質管理における次のポイントを意識することが大切です

  • ベースラインの期待値を上げすぎない
  • COQを確保する
  • 新QC7つ道具を活用する

COQとは、品質を担保するために発生するコストを意味し、品質担保にかけるコストのバランスを調整する手法です。
新QC7つ道具とは、品質管理における7つの手法を指し、実施することでプロジェクトと成果物の品質管理を適切に実行できます。

6.資源マネジメント

資源マネジメントは、プロジェクトを成功させるために必要な人的資本と物的資本を確保し、管理する知識エリアです。
人材育成や物的資源の使用状況を管理し、プロジェクトを円滑に遂行できるよう資源を管理します。

人材のモチベーション向上やチームワークの強化、十分な資源の獲得などが資源マネジメントに求められます。

7.コミュニケーションマネジメント

コミュニケーションマネジメントは、ステークホルダーと円滑にコミュニケーションを取るために、会議の予定や情報共有の場を設ける知識エリアです。
ステークホルダーに必要な情報を共有し、関係者間で情報を理解した上でプロジェクトを進められるよう、適切なコミュニケーションの場を設定する必要があります。

なおコミュニケーションマネジメントには、チームワークを強化する役割は含まれていません。
コミュニケーションを通じてチームワークを強化する役割は、資源マネジメントの領域に含まれます。

8.リスクマネジメント

リスクマネジメントは、プロジェクトを進めていく過程で発生するリスクを管理し対処する知識エリアです。
リスクをただ回避するだけでなく、リスクは機会損失を防ぐケースもあることを想定して、適切に起こりえる事情を予測することが大切です。

事前にリスクを想定しておき、実際にトラブルが発生した際にはどのように対処するべきか打開策を考案しておきましょう。

9.調達マネジメント

調達マネジメントは、プロジェクトに必要なプロダクト(資源)を外部の仕入れ先から調達し、管理する知識エリアです。
仕入れ先の選定や納品の進捗管理・検収など、調達に関わるすべてのアクションを管理します

調達マネジメントでは、業務を外部機関へ外部委託する場合に、調達意思を示した入札文書を、調達の進め方を定めた調達マネジメント計画書を作成する必要があります。
その他にも必要な書類がある場合は、事前に調べて用意しておきましょう。

10.ステークホルダーマネジメント

ステークホルダーマネジメントは、顧客やチームメンバーなど、プロジェクトに関わる利害関係者(ステークホルダー)を管理する知識エリアです。
ステークホルダーごとにプロジェクトへの関与度を分析し、貢献度を最大化できるよう調整する役割を担います。

プロジェクトへの関連度を分析する際には、ステークホルダー関与度評価マトリクスを活用し、下記の5段階でステークホルダーを振り分けます

段階関与度
指導プロジェクトを指揮する
支援型プロジェクトを指示する
中立プロジェクトに対して抵抗も支持もしていない
抵抗プロジェクトを邪魔する
不認識プロジェクトの存在を認識していない

ステークホルダーの関与度を分析し、望ましい数値まで調整することが、ステークホルダーマネジメントの役割です。

PMBOKにおける5プロセス

PMBOKの各フェーズは、次の5プロセスで構成されています。

  • 立ち上げプロセス
  • 計画プロセス
  • 実行プロセス
  • 監視コントロールプロセス
  • 終結プロセス

立ち上げから終結までに、PDCA(P:計画・D:実行・CA:監視)が含まれており、プロジェクトを遂行するために必要なプロセスが揃っています
各プロセスの概要を確認して、PMBOKにおけるプロジェクトマネジメントを実現しましょう。

立ち上げプロセス

立ち上げプロセスは、プロジェクトを成功させるためにステークホルダーを特定するプロセスです。
プロジェクトを立ち上げる前に、目的や目標・予算・成果などを定めて、基本的な骨格を作成します

計画プロセス

計画プロセスでは、プロジェクトを成功させる計画を立案するプロセスです。
立ち上げプロセスで定めたプロジェクトの骨格をもとに、各フェーズの作業計画を立てて、一連の流れを計画書に書き出します

実行プロセス

実行プロセスは、計画プロセスで作成した作業計画書をもとに、プロジェクトを実行するプロセスです。
計画に基づいて資源や人材を調達し、作業を進めていきます。

監視コントロールプロセス

監視コントロールプロセスは、プロジェクトを進めていく過程で計画と差異がないかをチェックするプロセスです。
作業進捗を都度確認しながら、必要に応じてスケジュール調整や計画の見直しを行います

終結プロセス

終結プロセスは、計画したプロジェクトが完了したことを確かめて、クライアントに成果物を納品するプロセスです。
ただプロジェクトを終結させるだけでなく、各フェーズで得たノウハウを次のプロジェクトに活かせるよう、知識やスキルを残すよう意識しましょう。

PMBOK第6版と第7版の違い

PMBOKは、2017年に発行された第6版が主流でしたが、2021年に発行された第7版で大きく内容が変わりました
主な変更内容は、次の通りです。

  • プロセスベースから原理・原則ベースへ変更
  • プロジェクトマネジメントをシステム全体から捉える見方へ変更
  • テーラリング専用の章を設定・拡張
  • プロジェクトマネジメントにおけるモデル・方法・作成物のグループ分け

参照元:PMBOK ®ガイド 第7版の紹介|一般社団法人PMI日本支部

さらに第6版の「10の知識エリア」が、第7版では「8のパフォーマンス領域」に改良されました。
第6版の「5つのプロセス」は、第7版において「12の原理・原則」に置き換わり、プロジェクトマネジメントにおける標準が大きく変わりました。

最新のプロジェクトマネジメントを実施するために、PMBOKの10の知識エリアとあわせて、第7版で改良された内容を確認しておきましょう。

プロジェクトマネジメントのメリット

そもそもプロジェクトマネジメントを実施する目的は、次の通りです。

  • QCDの向上
  • 利益の最大化

QCDを向上させて企業の利益を最大化するために、PMBOKを活用してプロジェクトマネジメントを実施します。
さらにプロジェクトマネジメントを実施することで、次のようなメリットを得られます。

  • 組織内の状況把握を円滑化できる
  • マネジメントを効率化できる
  • 業務効率を向上できる

各メリットを確認して、プロジェクトマネジメントに必要な知識やスキルを身に着けるべきか検討しましょう。

組織内の状況把握を円滑化できる

プロジェクトマネジメントを実施することで、組織内の状況把握を円滑化できます
プロジェクトにおける全体像を把握するために、各工程におけるタスク量や進捗状況が共有されるため、組織全体の状況把握をスムーズに行えます。

プロジェクトを一元管理できるため、問題の早期発見・解決を行い、QCDを向上させることが可能です

マネジメントを効率化できる

プロジェクトマネジメントは、マネジメント業務を効率化できるため、管理者の負担を軽減できます。
プロジェクト全体の状況把握を円滑化できるため、各フェーズにおける進捗状況やリソースを瞬時に把握できます。

そのため空いているリソースを不足しているフェーズにまわし、タスクを振り分けて業務の遅延と品質低下を防ぐことが可能です

業務効率を向上できる

プロジェクトマネジメントによって、各フェーズのタスク・進捗状況を把握できれば、業務効率を向上させる施策を実行できます
作業を行っているメンバー本人では気づけない無駄や改良点も、第三者の目から見ることで発覚しやすいです。

俯瞰した体制でプロジェクトを管理できるため、作業手順の改善やタスクの振り分けにより、業務効率を向上させられます

PMBOKを活用する際の注意点

PMBOKを活用する差異には、次のポイントに注意しなければなりません。

  • PMBOKに依存しすぎない
  • ヒューマンスキルを別途学んでおく
  • 中小規模のプロジェクトには不向き

プロジェクトマネジメントの実現に向けて、各注意点を押さえておきましょう。

PMBOKに依存しすぎない

PMBOKはプロジェクトマネジメントの基本的なノウハウが学べますが、依存しすぎてはいけません。
あくまでプロジェクトマネジメントの適切に実施できるガイドブックとして、活用する方法が正しいです。

例えば、PMBOKに記載されていないイレギュラーな対応が求められる際に、依存しすぎていると自社のノウハウやマニュアルで対応できない事態に発展します。
PMBOKが必ずしも正しいとは限らず、常に変化していくガイドブックとなるため、プロジェクトマネジメントを実施する際のガイドブックとして活用しましょう。

ヒューマンスキルを別途学んでおく

プロジェクトマネジメントの実施する差異には、PMBOKの知識エリアやプロセスだけでなく、管理者のヒューマンスキルが重要です。
管理者のヒューマンスキルが不足していると、チームメンバーをまとめられずプロジェクトマネジメントが難航します

あくまでプロジェクトマネジメントを実施する上で重要になるスキルは、コミュニケーションを円滑化しチームワークを強化するヒューマンスキルです
PMBOKの知識エリアだけに捉われず、ヒューマンスキルを磨いてマネジメントスキルを身につけましょう。

中小規模のプロジェクトには不向き

PMBOKは、プロジェクト全体を一元管理しスムーズな遂行を実現するガイドとなるため、中小規模のプロジェクトには不向きです。
PMBOKは、大規模なプロジェクトに対応するよう標準を定めているため、中小企業が扱うとリソースが不足する可能性があります

プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKですが、あくまで参考程度に留めて自社の事業規模に適した管理を行うことが大切です

PMBOKを活用してQCDを向上させよう

PMBOKを活用すれば、QCDを向上させて企業の利益を最大化できます。
プロジェクトマネジメントを実現するためには、PMBOKの10の知識エリアを理解し、5ステップに沿って管理を徹底することが大切です

しかしPMBOKの知識エリアは、第6版から第7版にバージョンアップした際に改良されており、絶対的な基準ではありません。
プロジェクトの規模や管理者のヒューマンスキルによっては、PMBOKの知識エリアを遵守しても、プロジェクトマネジメントを適切に実施できない可能性があります。

PMBOKはあくまで世界標準のガイドブック程度の認識で参考にし、自社に適した方法でプロジェクトマネジメントを実施することが大切です
本記事でご紹介した注意点を参考に、PMBOKを上手く活用してプロジェクトマネジメントスキルを向上させましょう。

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