クロスプラットフォームのフレームワーク10選|アプリ開発を成功させるための選び方


こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
クロスプラットフォームは、iOSとAndroidなど異なるプラットフォームでも同様に動作するアプリ開発を実現するプログラムです。
一度の開発で複数のプラットフォームに対応できるアプリを開発でき、開発工数・コストが抑えられます。
しかし、クロスプラットフォームのフレームワークは種類が豊富にあります。
フレームワークに使用する開発言語も多種多様なため、どのように選べばよいか、また、どのように扱えばよいか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、クロスプラットフォームのフレームワークを10種類ご紹介します。
フレームワークに使用する主な開発言語と自社に適したフレームワークを選ぶ際のポイントを合わせて解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
DXプロジェクトに関わる経営者・リーダー層の方へ
失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。

クロスプラットフォームとは
クロスプラットフォームとは、iOS・Android・Windows・macOSなど、異なるプラットフォーム(OS)上で、共通のソースコードを使って同じように動作するアプリケーションを開発する手法や、そのようなアプリケーション自体を指します。
企業によってはマルチプラットフォームとも呼ぶ場合があります。
通常、異なるプラットフォームでアプリを動作させるためには、それぞれのプラットフォームに対応させる必要があります。
なぜなら、特定のプラットフォームを想定して開発されたアプリは、動作環境が変わると正常に動作しないからです。
クロスプラットフォームなら、一つのコードベースから複数のプラットフォームに対応するアプリを開発でき、それぞれの環境でスムーズな操作が可能になります。
一つの開発言語で異なるプラットフォームで同一の動作を実現でき、動作環境の多様化に対応できます。
一方で、ネイティブ機能の呼び出しやプラットフォーム固有の挙動に対応するためには、各プラットフォームに関する知識もある程度必要になります。
また、各OSの更新や変更があった際は、それぞれのOSに応じた動作確認を実施する必要があります。
クロスプラットフォームの種類
クロスプラットフォームの種類は、次の通りです。
- ネイティブ型
- ハイブリッド型
- 独自レンダラ型
各種類の違いを確認して、クロスプラットフォームの仕組みを理解しましょう。
ネイティブ型
ネイティブ型は、各OSのプラットフォームにある描画エンジンを使用するクロスプラットフォームの一種です。
例えば、App StoreやGoogle playからインストールして使用するアプリがネイティブ型に該当します。
ネイティブ型はフレームワークからOSのUI部分を操作する感覚と似ており、ユーザーが扱いやすい点が特徴です。
また、他のクロスプラットフォームと比較して、処理速度が早くスムーズなアプリ開発を実現できます。
またオフラインでも操作できるアプリ開発に向いており、ゲームやヘルスケアアプリの開発に適した種類です。
ハイブリッド型
ハイブリッド型は、WebView上でネイティブ機能を利用するクロスプラットフォームで、SafariやChromeなどブラウザと同じようにWebページを表示します。
ネイティブ型の開発要素とWebアプリの開発要素の両方を兼ね備えており、OS上で動作・Webページを表示する特性から、ハイブリッド型と呼ばれています。
Web上の機能を利用して開発言語によるアプリ開発を実現しますが、機能の一部をWebに頼るため、処理速度が遅い点に注意が必要です。
またネイティブ型より軽度な機能しか実装できません。
独自レンダラ型
独自レンダラ型は、独自のレンダリングエンジン(プログラミング言語を解析し描画するシステム)を用いて、アプリ開発を行うクロスプラットフォームの一種です。
独自のレンダリングエンジンを活用する点から、OSに依存することなく自由度の高いアプリ開発を実現します。
ネイティブ型がOSを活用し、ハイブリッド型はWebViewを用いるのに対して、独自レンダラ型は独自のレンダリングエンジンを活用します。
独自レンダラ型は、クロスプラットフォームを実現するためのプラットフォームであり、主にゲーム開発に利用される種類です。
アプリ開発の種類
クロスプラットフォームの種類を把握した後は、アプリ開発の種類を確認しておきましょう。
アプリ開発の種類は、次の3種類です。
- Webアプリ
- ネイティブアプリ
- ハイブリッドアプリ
各種類を確認して、自社が求めるアプリを開発しましょう。
Webアプリ
Webアプリは、アプリをインストールせずに、SafariやGoogle Chromeなどブラウザで利用できます。
例えば、YoutubeやGmail・AmazonやZOZOTOWNのWebページもWebアプリに該当します。
iOS・AndroidなどOSが異なっていても、Apple・Googleなどのプラットフォームによる審査を通過せずに提供できるため、スムーズにリリース・アップデートができます。
ただしWebページの特性上、どうしても処理速度はアプリより低下してしまうので、リアルタイムでの動作が求められるゲームには向きません。
また、スマートフォンからアプリ通知を適用できないことから、お知らせやアラートが遅れてしまいます。
ネイティブアプリ
ネイティブアプリは、Google PlayやApp Storeからインストールして利用するアプリのことです。
スマートフォンアプリと称されるアプリは、ネイティブアプリに該当します。
ネイティブアプリは、スマートフォンの機能をフル活用できるため、カメラ機能やGPS機能・連絡先機能を利用したサービスの実装が可能です。
またスマートフォンの通知機能を活用できることから、Webアプリのようにユーザーが自ら通知を確認する手間がかかりません。
しかしネイティブアプリは、対象のOSが設ける制約に従う必要があるので、アプリ開発の際には注意しなければなりません。
ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリは、Webアプリとネイティブアプリの双方を合わせたような特性を持ちます。
アプリをインストールして利用することも可能ですが、ブラウザ上のWebページよりサービスを利用することも可能です。
アプリ自体はWebアプリをベースに制作され、対象のOSに適用するようプラットフォームごとに開発しなければならない部分のみネイティブアプリで開発します。
そのため、共通の部分はWebアプリ、プラットフォームごとの独自に開発する部分はネイティブアプリと双方の機能を兼ね備えています。
本来であればiOSやAndroidなど複数のプラットフォームに対応するには、それぞれのOSに応じたアプリを1種類ずつ開発しなければなりません。
しかしハイブリッドアプリは、クロスプラットフォームによって複数のプラットフォームに対応できます。
クロスプラットフォームでアプリ開発を行うメリット
クロスプラットフォームでアプリ開発を行うメリットは、次の通りです。
- 一度の開発で複数のOSに対応できる
- アプリ開発にかかる工数とコストを削減できる
- 仕様変更や保守を簡単に行える
- エンジニアを確保しやすくなる
各メリットを確認して、クロスプラットフォームを利用するべきか検討しましょう。
一度の開発で複数のOSに対応できる
クロスプラットフォームを利用すれば、一度の開発で複数のOSに対応できます。
iOSやAndroid双方に対応するアプリや、Windows・macOSのどちらでも利用できるアプリなど、複数のOSに対応したアプリ開発が可能です。
また、それぞれのプラットフォームの開発環境を必要としない点も、クロスプラットフォームのメリットです。
データベースへのアクセスやデータ動作、通信処理に関するプログラムを共通化することで、一度に複数のOSへ向けたアプリを開発できます。
OSが異なる場合は特有の機能や仕様に適応できるように、それぞれ個別に開発する必要がありますが、クロスプラットフォームを利用すれば開発工数の削減が可能です。
さらに一度の作業だけで複数のデバイス・OSに反映させられるため、スムーズなアップデートも可能です。
開発業務にかかるリソースが削減し、生産性の向上につなげられます。
アプリ開発にかかる工数とコストを削減できる
クロスプラットフォーム開発の主な利点は、開発と保守にかかるコスト効率の向上です。
開発においてはOSごとに個別のコードを作成する手間が省けるため、共通のコードベースを用いることで、工数を大幅に低減できます。
同様に、リリース後のバグ修正も共通コードの修正で済み、効率的な対応が可能です。
これらの工数削減は、開発に必要な人員や労働時間の減少に直結し、結果として開発費用の抑制につながります。
人件費も削減でき、収益性の向上が期待できます。
さらに、開発工数の低減は、エンジニアの負担軽減にも貢献し、より開発に集中できる環境づくりを支援します。
仕様変更や保守を迅速に行える
クロスプラットフォーム開発は仕様変更や保守を迅速に行えるため、アプリ運営においても大きな利点となります。
アプリ開発後の運営段階では、バグの修正に加えて、ユーザーニーズに応じた新機能の追加や改善が不可欠です。
クロスプラットフォームであれば、これらの修正やアップデートを効率的に実施でき、アプリ運営の手間を大幅に軽減します。
迅速なバグ修正と定期的なメンテナンス・アップデートは、ユーザーに安定した快適な利用環境を提供し、顧客満足度の向上につながります。
そのため、仕様変更や保守を機動的に行えるクロスプラットフォームの採用は、長期的なアプリ運営において推奨される選択肢と言えるでしょう。
エンジニアを確保しやすくなる
従来の開発方法では、OSごとのソースコードを覚えて各プラットフォームで利用できるアプリ開発が求められていました。
しかし、クロスプラットフォームを利用すれば、共通のソースコードを覚えるだけでアプリ開発ができます。
昨今は少子高齢化に伴う労働人口減少によって、人材不足が課題である現在では、優秀なエンジニアの確保が困難になりました。
そのため複雑な知識・スキルが求められている従来のアプリ開発より、クロスプラットフォームを活用したアプリ開発のほうが、エンジニアの確保が容易です。
クロスプラットフォームを利用すれば、複数のOSに関する知識やスキルを有していなくても、共通のソースコードを扱えるエンジニアであれば使いこなせます。
クロスプラットフォームのフレームワークおすすめ10選

クロスプラットフォームでのアプリを開発に利用するフレームワークのなかで、おすすめのものを10種類ご紹介します。
フレームワーク名 | 開発言語 | 特徴 |
---|---|---|
Flutter | Dart | Googleが開発したオープンソースのフレームワーク |
React Native | React(JavaScript) | Meta Platforms(旧Facebook)が開発したクロスプラットフォームのフレームワーク |
Cordova | HTML・CSS・JavaScript | Apacheソフトウェア財団が提供するフレームワーク |
Xamarin | ・C#・F# ・.NET | Microsoftが提供するフレームワーク |
Unity | C# | Unity Technologiesが開発したゲーム・AR/VR用のプラットフォーム |
Ionic | ・HTML・CSS・JavaScript | JavaScriptによってReact・Angular・Vueと統合できる |
Cocos2d-x | ・C++・Lua・JavaScript | Chukong Technologies社がメインに開発したオープンソースのゲーム用フレームワーク |
Vue Native | JavaScript | Googleの元エンジニアが開発したVue.jsをベースにしたフレームワーク ※現在は公式メンテナンスが終了 |
NET MAUI | ・C#・XAML | Xamarinの後継となるアプリ開発フレームワーク |
Visual Studio | ・C#・Visual Basic(VB)・C++ | Microsoftが提供するAIコーディングフレームワーク |
各フレームワークで使用する開発言語や特徴を解説するため、クロスプラットフォームでアプリ開発を行う際の参考にしてください。
1.Flutter
Flutterは、Googleが開発したオープンソースのフレームワークです。
Googleが開発した言語であるDartを採用しており、共通のコードでiOS・Android・Webなど複数のプラットフォームに対応できます。
Dartは、JavaScriptの問題点を改善した2011年に開発されたプログラミング言語で、モバイルやWebだけでなくサーバーやデスクトップ向けのアプリ開発に適しています。
独自レンダラ型のフレームワークであるため、OSに依存しない自由度の高いアプリ開発が可能です。
またホットリロード機能によって、プログラムの変更をリアルタイムで把握できます。
Flutterは、Googleの開発チームがGooglePayのモバイルアプリを開発する際に使用されています。
参照:Flutter
2.React Native
React Nativeは、Meta Platformsが開発したクロスプラットフォームのフレームワークです。
JavaScriptライブラリであったReactと呼ばれるWebアプリを引き継いで、クロスプラットフォームへと進化しました。
Reactを利用していたエンジニアにとっては、使用方法や機能が近いため使いやすいフレームワークです。
JavaScriptを使ってiOSとAndroid双方のプラットフォームに対応するアプリを、ネイティブアプリのような感覚でスムーズに開発できます。
ReactやJavaScriptを使っているエンジニアであれば、ネイティブアプリ開発の経験が乏しくても十分に使いこなせます。
またReact NativeもFlutterと同じくホットリロード機能を搭載しており、プログラムの変更をリアルタイムで確認し、開発時間を短縮できます。
なお開発元であるFacebookは、React Nativeによって制作されたハイブリッドアプリです。
参照:React Native
3.Cordova
Cordovaは、オープンソースのソフトウェアプロジェクトを支援する非営利団体のApacheソフトウェア財団が提供するフレームワークです。
Apache Cordovaとも呼ばれており、HTML・CSS・JavaScriptを使用した、ハイブリッドアプリ開発に向いています。
Webアプリは、Apple・Googleなどのプラットフォームによる審査を通過せずに提供できるため、リリース・アップデートをスピーディーに実践できます。
ただし、Webページと同じく処理速度はインターネット環境に依存し、通信環境が安定しない場所やデバイスには不向きです。
ネイティブアプリは、スマートフォンなどのデバイスに直接インストールするタイプで、速い処理速度を実現します。
スマートフォンのカメラ機能・プッシュ通知・位置情報・連絡先機能を活用でき、利便性が高いアプリの開発が可能です。
Cordovaでは、Webアプリとネイティブアプリの特性を併せ持ったハイブリッドアプリ開発ができ、複数のプラットフォームに対応できる柔軟性の高さが魅力的です。
4.Xamarin
Xamarinは、Xamarinが開発したフレームワークですが、現在はMicrosoftが提供しています。
Microsoftが開発したプログラミング言語「C#」と「F#」を活用して、ネイティブアプリと同じようなアプリ開発を実現しました。
各プラットフォームのネイティブAPIやライブラリを活用し、ネイティブアプリの性能を持つハイブリッドアプリ開発ができ、速い処理速度を実現できます。
もともとはMicrosoft向けの言語であった「C#」ですが、現在はMac向けの開発環境「Visual Studio for Mac」を利用することで、Mac向けのアプリ開発にも対応します。
また「.NET」フレームワークの使用を可能としているため、「C#」だけでなく「.NET」に精通しているエンジニアにとって、使いやすいフレームワークです。
5.Unity
Unityは、2005年にUnity Technologiesが開発したゲーム用のプラットフォームです。
プログラミング言語は「C#」を採用しており、Windows・Mac・iOS・Androidなど、異なるプラットフォームに対応できます。
3D・2Dゲームの制作に向いており、スマートフォンアプリだけでなく、Nintendo SwitchやPlayStation 4などに対応するゲーム開発も可能です。
さらに3D・2Dだけに留まらず、サウンド再生も兼ね備えており、VRやARコンテンツやアニメーション制作にも有効的です。
また開発者同士のコミュニケーション環境も充実しており、Unityが提供するアセットストアから、他のユーザーが作成した部品や素材を入手できます。
アセットストアを活用することで、開発スキルを学習でき作業効率の向上にもつなげられます。
参照:Unity
6.Ionic
Ionicは、モバイルアプリ開発に適したクロスプラットフォームのフレームワークです。
HTML・CSS・JavaScriptなどのプログラミング言語を使用して、iOSやAndroidなど複数のプラットフォームに対応するアプリを開発できます。
Ionicは、React・Angular・VueいずれかのJavaScriptフレームワークと組み合わせられ、より効率的なアプリ開発を実現します。
またJavaScriptによって、カメラ・マップ・位置情報・Bluetoothなどの機能と連携でき、シームレスなネイティブ統合が可能です。
参照:Ionic
7.Cocos2d-x
Cocos2d-xは、中国のChukong Technologies社がメインに開発したオープンソースのゲーム用フレームワークです。
「C++」「Lua」「JavaScript」の3種類のプログラミング言語を使用でき、複数のスマートフォンOS・デスクトップOS・Webブラウザーに対応できます。
自社開発の3Dエンジンで、2DインターフェースとUIシステムを組み合わせたカスタマイズが可能です。
グラフィックスレンダリングやGUI・オーディオ・ネットワーク・物理・ユーザー入力などさまざまな機能を搭載しているだけでなく、独自レンダラ型特有の速い処理速度を兼ね備えています。
参照:Cocos2d-x
8.Vue Native
Vue Nativeは、Vue.jsをベースにしたフレームワークです。
※Vue.jsは、オープンソースのJavaScriptフレームワークですが、現在は公式メンテナンスが終了しています。
Vue Nativeでは、クロスプラットフォームモバイルアプリ開発においてスムーズな統合を提供しています。
JavaScriptを使用して、iOSとAndroidの双方で動作するアプリ開発を実現し、開発工数とコストを軽減できるクロスプラットフォームのフレームワークです。
豊富なドキュメンテーション・拡張パッケージ・コミュニティからのサポートを受けられるため、開発途中に発生した課題をスムーズに解決できます。
参照:Vue Native
9..NET MAUI
.NET MAUIは、2022年にMicrosoftがリリースしたモバイルアプリやデスクトップアプリ開発用のフレームワークです。
「C#」と「XAML」を使用しており、Android・iOS・macOS・Windows で実行できるアプリを開発できます。
同じくMicrosoftが提供していたXamarinが、2024年5月1日で提供が終了になることから、後継となる.NET MAUIがリリースされました。
.NET MAUIは、「C#」によるUIを実装でき、直観的でシンプルなコード記述を実現しました。
またXamarinで課題となっていた、レンダリング速度の遅さを改善し、快適な処理速度でアプリ開発を行えます。
さらにホットリロード機能が搭載されており、プログラムの変更をリアルタイムで確認できます。
参照:.NET マルチプラットフォーム アプリ UI のドキュメント – .NET MAUI
10.Visual Studio
Visual Studioは、Microsoftが提供する統合開発環境です。
AIコーディングを施しており、コードの生成とリファクタリング・バグと解決策の特定・パフォーマンスの最適化など、ワークフロー全体での業務効率を向上させます。
また作業途中で進捗データを紛失しないために、作業履歴の保存も可能です。
プログラミング言語は、「C#」「Visual Basic(VB)」「C++」など豊富な言語に対応しています。
DX進め方ガイドブック
DXプロジェクトを検討している担当者の方に向けて、失敗しない社内体制の構築から開発リソース確保までを網羅して解説しています。

クロスプラットフォームのフレームワークで使用する主な開発言語

クロスプラットフォームを利用する際には、フレームワークで使用する主な開発言語を知っておくべきです。
クロスプラットフォームのフレームワークで使用する主な開発言語として、以下の4種類をご紹介します。
- React
- Dart
- C#
- F#
各開発言語の特徴を解説するため、フレームワーク選定の参考にしてください。
React
Reactは、Meta Platforms(旧Facebook)が開発したフレームワークReact Nativeで使用される開発言語です。
Reactを習熟しているエンジニアは、React Nativeをスムーズに使いこなせるため、クロスプラットフォームでのアプリ開発を円滑に進められます。
Dart
Dartは、Googleが開発した開発言語です。
iOSとAndroidのアプリを開発する際に使用でき、Googleが提供するFlutterを利用する際に活用できます。
2011年にDartが登場した際は、あまり注目されませんでしたが、2017年にFlutterがリリースされてからは話題になりました。
Dartは、注目され始めてからまだ年数が浅いため、使用できる人材が少ない傾向があります。
C#
C#は、Microsoftが開発した開発言語で、幅広いジャンルのシステム開発に活用できます。
C#は「C++とJavaの派生」と言われており、「C++」「JavaScript」を習得しているエンジニアであれば、使いこなすのに時間がかかりません。
F#
F#は、INRIA(フランス国立情報学自動制御研究所)で開発された開発言語「OCaml」をベースに作られた開発言語です。
Microsoftが開発したXamarinで使用されており、コード量が少なく済むため、高いメンテナンス性を誇ります。
クロスプラットフォームのフレームワークを選ぶ際のポイント

クロスプラットフォームのフレームワークを選ぶ際のポイントは、次の通りです。
- 開発するアプリの種類
- ターゲット層
- エンジニアのスキル
- 開発スケジュール
- 予算
- パフォーマンス
- サポート体制
各ポイントを確認して、自社に適したクロスプラットフォームのフレームワークを導入しましょう。
開発するアプリの種類
開発するアプリの種類によって、選ぶべきフレームワークが変わります。
例えば、ゲーム開発を目的としているなら、UnityやCocos2dなどゲーム開発に特化したフレームワークが向いています。
クロスプラットフォームのフレームワークを選ぶ際には、どのようなアプリを開発したいのか目的と計画を立てておくことが大切です。
特にプロジェクトの目標と要件定義は明確にしましょう。
プロジェクトが達成すべき目標や、目指す要件定義が明確になっていれば、自然と適切なフレームワークの仕様を具体的にイメージできるようになります。
ターゲット層
ターゲット層を定めておくことで、自社が求めるクロスプラットフォームのフレームワークを選べます。
例えば、iOSユーザーをターゲット層にする場合は、iOS開発に適したフレームワークを導入するべきです。
対して、Androidユーザーがターゲット層の場合は、Android開発に適したフレームワークが適しています。
アプリ開発の際には、販売するターゲット層を明確にしてからフレームワーク選びを行いましょう。
エンジニアのスキル
自社が抱えるエンジニアのスキルによって、選ぶべきクロスプラットフォームのフレームワークが変わります。
エンジニアが使いこなせる開発言語に対応したフレームワークを選ばなければ、適切にアプリ開発を行えません。
エンジニアチームのスキルに応じて、学習コストとリスクを抑えたフレームワーク選びが必要です。
開発スケジュール
開発スケジュールによっても、選ぶべきクロスプラットフォームのフレームワークが変わります。
開発スケジュールがタイトな場合は、短期間でクロスプラットフォーム開発を行えるフレームワークが必要です。
反対に十分な開発スケジュールが設けられている場合は、ネイティブ開発で高品質なアプリを開発できます。
なお、開発スケジュールに加えて、開発チームのスキルセットも考慮すると、より良いフレームワークを選べます。
開発チームが扱える言語やプラットフォームの知識などを踏まえてフレームワークを選べば、スムーズな開発が可能です。
予算
クロスプラットフォーム開発を行う際には、予算内で導入できるフレームワークを選びましょう。
どれだけ優れた機能を備えていても、導入コストが高ければ予算をオーバーしてしまいます。
せっかく高品質なアプリを開発できても、予算をオーバーすれば、利益を得られない可能性があります。
開発スケジュールとともに予算を確認して、自社に適した価格で導入できるフレームワークを選んでください。
パフォーマンス
開発するアプリに、どの程度のパフォーマンスを実装したいかによって、フレームワーク選びが左右されます。
高いパフォーマンスが求められるアプリには、ネイティブ開発ができるフレームワークが向いています。
対してある程度のパフォーマンスを確保すれば十分な場合で、クロスプラットフォーム対応が重要な場合は、クロスプラットフォーム開発ができるフレームワークを選ぶべきです。
また、ユーザーエクスペリエンスにも配慮しましょう。
クロスプラットフォームで開発されたアプリは、さまざまなデバイスやOSで操作されるため、各ユーザーに合わせたユーザーエクスペリエンスを提供できるようにしなければなりません。
アプリのパフォーマンスは、ユーザー視点で設計するように心がけましょう。
サポート体制
アプリを開発する際には、長期的に運営することを想定して、サポート体制が整ったフレームワークを選びましょう。
メンテナンス頻度の高さとアプリの提供範囲・ターゲット層の広さによって、求めるサポート体制が変わります。
メンテナンスやトラブルに対応できるサポート体制が整ったフレームワークを選べば、安心して長期的なアプリ運営ができます。
クロスプラットフォームを利用する際は自社に適したフレームワークを選ぼう

クロスプラットフォームを利用する際は、自社に適したフレームワークを選びましょう。
クロスプラットフォームは、複数のプラットフォームで動作できるアプリを、共通コードによって開発できるプログラムです。
エンジニアの開発工数・コストを削減しながら、より多くのチャネルに対応したアプリ開発を実現し、幅広いターゲット層にサービスを提供できます。
ただしクロスプラットフォームのフレームワークは、豊富な種類があるため、自社が求めるアプリの種類やターゲット層に適したものを選ぶ必要があります。
開発スケジュールや予算、パフォーマンスにサポート体制など、自社が求める条件に合致したフレームワークを選んで、クロスプラットフォーム開発を行いましょう。
DX進め方ガイドブック
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