ECサイト向けCMS7選|メリット・デメリットや選定ポイントも
こんにちは。Wakka Inc.メディア編集部です。
ECサイトを、低コストかつ簡単に構築できるツールとして人気のCMS。
近年では、無料CMSをはじめとした様々なツールが提供されている反面、どのCMSを選ぶべきかを悩む声も聞かれます。
本記事では、CMSの基礎知識・メリット・注意点・選び方を解説します。
おすすめのCMS紹介も併せてご覧ください。
【基礎知識】CMSとは?
CMS(Content Managemant System)とは、Webサイトを構築・運営するためのシステムです。
専門知識がない人でも、CMSを駆使することで、容易にWebサイトを構築できます。
CMSが活用されている主な場面は、以下の通りです。
- コーポレートサイト
- オウンドメディア
- ランディングページ
- ECサイト
活用法によっては、オウンドメディアとECサイトを単一のCMSで運営し、管理を効率化しているケースもあります。
CMSでECサイトを構築する4つのメリット
CMSを活用するとカートや商品陳列などの機能を容易に搭載できることが魅力です。
また、CMSでECサイトを構築するには下記のようなメリットもあります。
- ECサイトの構築が容易
- 操作性に優れている
- カスタマイズ性が高い
- コストを抑えやすい
それぞれのメリットについて解説します。
CMSはECサイトの構築が容易
CMSによるECサイトの構築には、プログラミング言語・コードなどの専門知識が不要です。
従来のサイト構築にはレイアウトにCSS、動きを付けるのにJavaScriptといったようなプログラミングの知識が欠かせませんでした。
しかし、CMSはプログラミングの知識がない人でも、パズルを組み上げるような感覚でECサイトを構築できます。
操作性に優れている
ECサイトでは、商品陳列・入れ替えなどの作業に加えて、新商品販売開始や価格変更などの通知も業務のひとつです。
多くのCMSでは、上記のような機能は、状況に合わせて機能を選択して操作するのみで、直感的な操作性に優れている点が特徴です。
直感的な操作性とは、テレビのリモコンをイメージすると分かりやすいでしょう。
テレビのリモコンは、説明書を読まなくても基本的な使い方は何となく分かります。
CMSの操作性もテレビのリモコン並みに優れており、説明書を読み込まなくても操作できるケースがほとんどです。
カスタマイズ性が高い
CMSは、商品や企業のイメージに合わせてカスタマイズしやすいのがメリットです。
既存のECモールに出品する場合は、サイトを構築する労力が少なく済む分、デザインは限定されている場合がほとんどです。
CMSでECサイトを構築した場合は、デザインの変更は自由にできます。
デザインの変更は、競合他社との差別化を図るという観点からも重要な要素となるため、CMSを活用したECサイトは競争力に優れると言えます。
コストを抑えやすい
CMSの中には、完全無料のツールがあります。
代表的なのは、世界シェアトップクラスを誇る「WordPress」です。
WordPressを活用する企業は多く、WordPressでECサイトを運用しているケースもあります。
上記のように、CMSを活用してECサイトを構築したケースでは、低コストでスタートできるのが大きなメリットです。
運用期間を限定したお試し系企画としても起用しやすく、運用を継続する方向になった時も、追加費用が最小限で済みます。
CMSで構築したECサイトの3つの注意点
CMSを活用したECサイトは、運用開始後に予定外のコストが発生する場合があります。
例えば「初期段階では無料デザインテンプレートを活用していたが、途中から多機能な有料版に切り替えた」といった場合です。
本章では、CMSで構築したECサイトの運用をスムーズにするための3つの注意点を紹介します。
カスタマイズには限界がある
独自開発したCMSを除き、一般的なCMSのカスタマイズには限界があります。
一般的なCMSは、カスタマイズ性の良さよりも、手軽さや使いやすさを重視する傾向が強いためです。
そのため、デザインの一部のみを動かす・ユニークなデザインを取り入れるなどは、対応が困難なCMSもあります。
CMSによっては、デザインを重視したツールもあるため、優先事項とサービスの特徴を比較しながら検討してください。
セキュリティ対策を要する
CMSの中でも「オープンソース型」と言われるものは、セキュリティ面で特に大きな注意が必要です。
オープンソース型とは、内部コードを公開するタイプのCMSです。
オープンソース型のCMSは、多くの人がデザインやプログラムを自在に変更できるカスタマイズ性の高さがメリットな反面、内部コードの脆弱性を狙ってハッキングされやすいのがデメリット。
ECサイトには、決済システムが不可欠であり、顧客データが集まります。
つまり、ECサイトにとって、オープンソース型CMSの持つセキュリティリスクは無視できないということです。
オープンソース型CMSの活用は、セキュリティ対策を万全にした上で検討しましょう。
独自開発のCMSは高コスト
CMSの独自開発は、汎用型CMSの持つデザイン・機能・セキュリティなどの課題を解決できるのがメリットである一方で、導入にはコストがかかりやすいのがデメリットです。
開発には時間を要することから、運用開始までの期間は余裕を持った設定も要します。
しかし、長期的な運用が決定している場合は、独自開発にかけたコストの回収ができる場合もあります。
CMSの独自開発は、ECサイトの運用でコストを回収できるかを十分に計算した上で検討しましょう。
ECサイトを構築するCMSの3つの選び方
ECサイトの成功において「どのCMSを選ぶか」というのは大切な要素です。
なぜなら、CMSが機能やユーザーエクスペリエンスに大きく影響するため。
本章では、ECサイト構築向けのCMSの3つの選び方を解説します。
顧客・管理向けの機能を備えたCMSか
ECサイトに欠かせない顧客・管理機能は、それぞれ下記の通りです。
顧客向け(フロントエンド)機能 | 商品一覧・商品検索機能・カート機能・決済機能など |
管理向け(バックエンド)機能 | 商品管理機能・顧客管理機能・セキュリティ対策・売上管理機能など |
上記に加えて、フロントエンド機能はスマートフォンに対応しているか、バックエンドに追加を要する機能がないかなどを確認しておきましょう。
スマートフォン対応の可否で引き込めるユーザーの幅が異なりますし、バックエンドの使いやすさ次第で業務効率化につながります。
国内・越境のどちら向きのCMSか
ECサイトは、国内と越境(海外)で、主に以下のような要素に影響を受けます。
- 通貨
- 文化
- 言語
- 法規制
国内向けのECサイトを構築する場合は、上記のような要素の影響が少ない分、競合他社との差別化をはじめとした他要素に尽力しなければなりません。
越境向けのECサイトの場合では、多言語にするほか、各国の物流事情や関税・法律に合わせた調整が必要です。
上記のように、国内・越境のどちらに向けたECサイトを構築するかによって、選ぶべきCMSは異なります。
CMSのデータ容量に余裕があるか
CMSのデータ容量は、サイトのユーザビリティに直結します。
なぜなら、データ容量に余裕があれば処理の遅延リスクが低下して、ページや商品の表示速度が速くなるため。
ECサイトは、規模によって柔軟に拡張できるのがメリットですが、容量に余裕がなければ拡張がままなりません。
ユーザビリティや柔軟性の高さを保つために、データ容量に余裕があるかどうかを確認してください。
なお、データ容量を拡張できるCMSを活用する場合は、データ容量拡張を申し込んでから反映させるまでの時間も確認するのが大切です。
反映までの時間を把握できれば、スケジューリングが容易になり、スムーズな運営が実現します。
●料金目安もわかるECサイト構築ガイド
>新規事業などでECサイトを構築する場合のガイドを作成しました。目的や売上規模に応じたEC種別選定や最適な構築手法についての診断を受けることができます。
ECサイトの運営に必要な9つの業務
ECサイトを円滑に運営するには、9つの基幹業務を理解することや、業務フローの作成による効率的な業務体制構築が大切です。
ECサイトの運営にあたり、必要となる主な業務は以下の9種類です。
- ECサイトの戦略を構築:仮説ベースに課題・解決策を検討する
- ECサイトの構築方法を検討:CMSで構築・既存のECサービスの利用などを検討
- 商品の仕入れ:販売予測をもとに商品数を調整
- 有益情報の発信:ユーザーにとって有益な情報を発信して信頼関係を構築
- 広報業務:Web広告を活用して自社のECサイトをアピール
- 注文受付:商品の注文受付を開始
- 在庫管理:適正な在庫量を管理
- 商品の梱包・発送:受注した商品をユーザーのもとに届ける
- アフターフォロー:発送した商品に対するクレーム・不具合などに対応
上記のように、ECサイト運営に関わる業務は多岐にわたります。
そのため、充実した管理機能や使いやすいインターフェイスを持つCMSを選び、いかにして業務効率化を図れるかが重要です。
運営を開始する予定のECサイトの内容を精査した上で、相性の良いCMSを選択することで、よりスムーズなプロジェクトの遂行に期待できます。
国内ECサイト向けのCMS4選
国内ECサイト向けのCMSには、日本で一般的に使用されている決済システムへの対応力や、スマートフォンにも対応できる高い柔軟性が求められます。
本章では、国内ECサイト向けのCMSを6つ紹介します。
オープンソースで無償利用可能「EC-CUBE」
EC-CUBEは、国内での導入実績が豊富なオープンソース型のCMSです。
WordPressと比較して、ECサイトに特化しており、豊富な機能を活用できるのが魅力です。
また、EC-CUBEはセキュリティ面で様々な安全対策に取り組んでいます。
脆弱性リストは随時更新され、セキュリティ専門会社と連携し、より安心して利用できる体制を構築しています。
無償で利用できてサポートもあることから、低コストでのECサイト構築におすすめのCMSです。
高い柔軟性と拡張性「ecbeing」
ecbeingは、中堅・大企業を対象としたECサイト向けCMSです。
豊富な決済手段に対応しているほか、割引・送料無料・定期購入など、幅広い販売方法にも対応しています。
ecbeingは、顧客のデータをもとにした分析をもとにしてマーケティング施策を検討できるのが大きなメリットです。
ユーザーの離脱原因を分析し、離脱防止施策を検討及び実施できます。
保守費用はかかりますが、マーケティングの観点からは十分な効果を見込めます。
売上を重視したい企業や、現状の売上に課題を感じている企業向けです。
アドバイス機能で初心者も安心「makeshop」
makeshopは、インターネット大手のGMOインターネットグループ株式会社が運営するCMSです。
makeshopは、大手企業が提供しているサポート体制が魅力です。
セキュリティ面での不安が少ない上に、ECサイトとしての機能も充実しています。
makeshopは、デザインテンプレートが170種類以上あるのもメリットです。
競合他社との差別化になり、商品や企業のイメージとの整合性も高められます。
makeshopは、機能の豊富さ・セキュリティ面などから、初めてECサイトを立ち上げる人向けです。
リピート通販事業に特化「W2 Repeat」
W2 Repeatは、商品の定期販売を促進するビジネスモデルのリピート通販事業に特化したCMSです。
搭載した機能の豊富さやさまざまな決済方法に対応する対応力の高さがあり、リピート販売事業に必要なものがほとんど揃っています。
W2 Repeatは、バックエンド作業の大幅な効率化を実現している点もポイントです。
LPノーコード運用によるカスタマイズ性向上・独自性獲得のほか、自動受発注ワークフロー・在庫/配送管理連携・情報の一元管理によって作業効率性の向上に期待可能。
W2 Repeatは、人材が不足しがちな中小企業や、省力化が必要な企業向けのCMSです。
越境ECサイト向けのCMS3選
越境ECサイトには、多言語対応・シンプルなUIなど、国内ECサイトにはない機能が求められます。
本章では、越境ECサイト向けのCMSを3つ紹介します。
AIアシスタントで生産性向上「Adobe Commerce」
Adobe Commerceは、複数サイトを管理する場合におすすめのCMSです。
海外にECサイトを展開する場合は、言語の違いや文化に合わせて、複数サイトを管理するケースが散見されます。
しかし、Adobe Commerceは複数のサイトを管理できる機能を搭載しており、管理の労力を軽減できます。
Adobe Commerceは、複数のECサイトやプロモーションサイトを要する場合におすすめです。
ECサイトの規模拡張が容易「shopify」
shopifyは、実店舗とECサイトの双方で事業の展開を検討したい人にぴったりのCMSです。
その理由は、shopifyにはECサイト向けの機能が豊富に備わっているのに加えて、実店舗向けの販売管理をサポートできる「shopify POS」が利用できるため。
実店舗とECサイトの販売管理を別個にしている場合と比較して、単一のプラットフォームで管理したほうが作業効率の向上に期待できるのは明白です。
shopifyは、日本ではなじみの少ない決済方法に対応できるのもポイントです。
幅広い決済方法に対応できるため、ECサイトを展開する地域を選びません。
高機能なECプラットフォーム「osCommerce」
osCommerceは、多言語・多通貨対応オープンソースCMSの草分けとして知られています。
また、osCommerceは世界的なECシステムとして、世界トップクラスの利用者数を誇っていることでも有名です。
osCommerceは、短期間・低コストでECサイトを解説できる反面、英語力を要するのが難点です。
日本語版があるのは、2003年2月19日に発表されたバージョンに対応しているもののみで、2023年にリリースされたver.4.11の日本語版は現時点(2024年6月)で確認できていません。
osCommerceは、英語力のある人材を確保する方法も含めて検討しましょう。
CMSを活用したECサイトには限界もある
本記事では、ECサイト向けのCMSや基礎知識などを解説しました。
CMSを活用したECサイトは、低コストかつ短期間で構築できるのが魅力です。
しかし、近年では独立したCMSとECサイトを連携させ、マーケティングと購買管理をそれぞれで実施する方法に注目が集まっています。
マーケティングと購買管理を独立して実施することで、総合的な作業効率が高まると考えられるためです。
CMSを活用したECサイトに限界を感じている場合は、CMSとECサイトもしくはシステムとの連携を検討してみましょう。